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INTERVIEW

2022.07.02

【撮りおろし対談】May’n、ニューシングルは大石昌良との共作!“盟友”の2人がノンストップで語り合う!

【撮りおろし対談】May’n、ニューシングルは大石昌良との共作!“盟友”の2人がノンストップで語り合う!

8月17日にリリースされるMay’nのニューシングル「あはっててっぺんっ」。表題曲は、お笑いに邁進する女子高生たちを描いたTVアニメ『てっぺんっ!!!!!!!!!!!!!!!』のED主題歌で、May’nにとって大石昌良との再見となった。前回の「未来ノート」で互いの力量を肌で感じた末の今作だが、前作とは打って変わってのドタバタソング。だがそこは、ボーカリストでありながら「笑い」にも精通する2人だけに、捉えるポイントは見事。その裏には、2曲の制作を経て互いに盟友と認め合うほどに理解を深め合ったからというところがあるのだろう。それを証明するかのようにノンストップトークとなったMay’n×大石昌良の独占対談をお届けする。

★カップリング「蒼の鼓動」について語ったMay’nと草野華余子との対談記事はこちら

ボーカリスト同士だから本質を見誤らない

――「アイ・マイ・ミー・マイン・May’n!」(OPENREC.tv)で放送されたお二人のコメントにもありましたが、「未来ノート」の制作はお互いに大きな経験になったとのことでした。今回はその経験を踏まえてのバッテリー(投手と捕手の2人をまとめて意味する野球用語)起用かと思いますが、どのような経緯で実現したのでしょうか?

May’n TVアニメ『てっぺんっ!!!!!!!!!!!!!!!』のED主題歌をMay’nに、というオファーをいただいたとき、お笑いで頂上を目指すアニメだけにわちゃわちゃした楽しい曲にしたいと思ったんですけど、そのときにパッと浮かんだのが大石さんで。

大石昌良 嬉しい。

May’n というのも、「未来ノート」はエモーショナルなミディアムナンバーではあったんですけど、ポジティブなメッセージや多幸感みたいなところですごく歌いやすいし、素の私にすごくフィットする感覚があったんですね。

大石 いや、めちゃくちゃ嬉しかったですよ。お声がけいただいて。今までのMay’nっぽくない曲を、というオーダーだったので難しいところはあったんですけど、May’nちゃんの振れ幅について研究しつつ、どこまで振り切れられるかに関してはキャッチボールしながら塩梅を探っていきました。やっぱり振り切る方向といっても色々ありますし、共同制作という形ではあったので。

May’n そこに関しても、今までご一緒したことがないクリエイターさんにお願いするとか、今までのキャリアになかったぶっ飛んだ曲もアリだよね、という意見もあったんですけど、ボーカリスト“オーイシマサヨシ”でもある大石さんなら、May’nの今までのアーティストとしてのブランドも大事にしてくれると思ったんですよね。そこも「未来ノート」でご一緒したからこそ掴んだ感覚で。そのうえでチャレンジして、新しいものを作りたかったんですね。

大石 ヤバくないですか、この信頼感(笑)。でも、今のはすごく芯を食った話で。電波ソングっぽい曲の場合はどうしても、「どこで息継ぎすんねん」みたいなボカロ前提の曲になりがちなんですよね。でも、僕が提供するうえで一番の条件としたいのはやっぱり、歌っていて気持ちいい曲、なんです。そこは共通認識としてあった気がします。一息で歌えないような曲、ライブでの再現度が低い歌は作らないでおこうとは思いました。だから、May’nちゃんがライブで歌っているときの客席が想像できる楽曲、というところは意識したかもしれないですね。お客さんに向かって歌ったりいじったりしたときに、お客さんがどんな顔をするかというのは想像しながら書きました。こちらとしてはお笑いっぽい曲を書いたつもりなのに、May’nちゃんが歌うとこんなにエモくなるのかと感動しました。笑いながら泣いちゃうような大きな感情が生まれるんですよね。レコーディングスタジオでも話したんですけど、ミュージカルをまた経験したからか、「未来ノート」のときよりも表現の幅が進化していると感じたんですよ。「どこまで成長すんねん」って思いながらレコーディングした記憶があります。

May’n ありがとうございます。私も、ボーカリストとしての引き出しをたくさん持っていたいという意識はあって。それはミュージカルを経験したことでさらに強くなりました。自分の中にある声のプランとは別に、「こういうのはどう?」と言われたとき、その引き出しを用意しておきたいですし、大石さんにはそのアイデアをたくさんいただいたので、「未来ノート」以上に応えさせてもらった楽曲になったとは思います。それに今回は、部員(May’nのファンの総称)の皆さんが好きと言ってくれる楽しいお祭りソングを作りたかったんですよ。シングルではアグレッシブに歌い上げるロックナンバーが多いですが、カップリングやアルバム曲では皆とふざけるような曲もたくさん作っているので。あまりかっこつけず、楽しいボーカルにしたいとは考えていました。

大石 そこは『てっぺんっ!!!!!!!!!!!!!!!』という作品が持つテーマですしね。それにアーティストも漫才師の方もステージに立つ職業なので、そこから見た景色やお客様への向き合い方、客席に生まれる幸福感なんかは似てると思うんですよ。だから、嘘がない作り方になっていると思います。でも、僕がメロディを書いて、それをMay’nちゃんにお渡しして、それから送られてきた歌詞を見たとき、「勝ったな」と思いましたよ。作品に対する解像度の高さと、May’nちゃん自身がステージで歌ったときに気持ちよくなるフレーズを、しっかり混ぜこぜにしていたので。

May’n サビの1行目にある“笑って 笑って あはって”というのは大石さんからの提案で、その一行を膨らませていく形でまずは歌詞を書き始めたんですけど、今の話にあったように、自分と共通するリンクポイントをたくさん見つけながら進めていきました。

――サビ終わりの“すっとっとっとっと てっぺんっ”はどちらのアイデアですか?

May’n 最初は歌詞を入れる話もなかったですよね?

大石 そう。とりあえず、擬音や口馴染みの良い言葉を入れたらいいんじゃないか、くらいのことを言ったら(May’nが)歌詞を入れてきよったんですよ。

May’n (笑)。

大石 「やるなぁ」と思いましたね。なんとなく幕が上がる感じがあって、日本っぽいじゃないですか?そこからの“ここから4分 名前以外も覚えてねっ”というフレーズで、お笑い好きなのはすぐ伝わりましたね。そもそもメロディを投げてから歌詞が出てくるまでが速かったんですよ。たしかミュージカルの遠征中で。

May’n そう、名古屋で書きましたもん。私はゆっくりと机に向かわないと歌詞を書けなくて、ミュージカル中はその時間をとれなかったんですけど、(ミュージカル『フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~』のユリア役は)ダブルキャストだったので休演日に一日で書きました。

大石 すごくないですか、この瞬発力。でも確かに筆がノッてるとは感じましたね。

May’n “4分”は私も気に入っている箇所で、年末のお笑い賞レースの制限時間が4分なんですけど、楽曲も4分くらいのものが多いですよね。なので、この曲が始まってから終わるまでの4分間を楽しんでくださいね、という気持ちを込めました。

――“べっぴんさん べっぴんさん ひとつも飛ばさずべっぴんさん”もお笑い好きには響く歌詞ですね。

May’n 私も大好きです。これも大石さんからの提案で。

大石 ベタな漫才フレーズがあってもいいんじゃないの?ということで。そうしたらMay’nちゃんが頭の中で想像を膨らませてくれて、「ライブのときは指差しますわ」みたいに言ってくれたんです。そうやって面白がってくれたのも嬉しかったですね。

May’n お笑いのステージでも私たちのコンサートでも、お客さんと掛け合いすることって多いじゃないですか?なのでライブでやるのが楽しみですし、2番も「じゃあどういう歌詞にしようか」って楽しみながら考えて、「べっぴんさんって言ってたらお母さん来とる!?」みたいな状況が浮かびました。私も、急に親が関係者席ではなくて一般席にいたことがあるし、お笑いの方もご家族に応援されている話もよくしているじゃないですか?

大石 すごく速く返ってくるんですよ。羨ましいくらいに。

May’n 大石さんも書くのがめちゃめちゃ速いじゃないですか。

大石 (マネージャーの顔を見ながら)いや、僕は……速くないですよ。

May’n (笑)。

大石 いや(笑)、本当に筆が速いほうではないので。だから、May’nちゃんに触発されるところはありましたね。「早く返さなきゃ」って。ただ、筆がノる曲、ノらない曲というのはあるので、その意味ではMay’nちゃんが書きやすい曲だったということで、めちゃくちゃ嬉しいですね。

May’n 細かいところで言えば、1Bの“六畳半のお茶の間で目を輝かせて”は最初、私は“六畳”って書いていたんですよ。でも大石さんから“六畳半”のほうがいいと返されて、変えたんです。六畳半ってあるのかな、と思いながら。

――四畳半はありますが、六畳半はないですよね。

May’n でも自分で歌ったときに、音楽的なハマりや、パッと「六畳」という単語が浮かぶ感じが全く違ったんですよ。こういう細かいところで変わるんだと勉強になりました。

大石 「六畳」だと別の漢字にも変換されると思ったんですよ。でも、「半」をつければ畳のほうだとすぐにわかって絵が浮かぶと思い、提案させてもらいました。やっぱり、言葉が音感として飛んできたときにどれくらい伝わるかはすごく大事で、今回のように言葉数や音符が多くて、パッセージの速い曲では特に。“六畳半”はパワーワードにもなる言葉だと思ったので、誤解なく想像してもらいたいという気持ちでした。

May’n ホント、部屋が見えたというか。

大石 ……めちゃめちゃ恥ずかしいですね。「大石、裏ではこんな細かいこと言ってんのや」って思われそうで。

May’n いやいやいや(笑)。とてもありがたいです!

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