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INTERVIEW

2022.05.25

【インタビュー】約2年半ぶりとなるニューアルバム『ULTRA FLASH』が完成!アルバムの魅力をたっぷり語る、鈴木このみロングインタビュー

【インタビュー】約2年半ぶりとなるニューアルバム『ULTRA FLASH』が完成!アルバムの魅力をたっぷり語る、鈴木このみロングインタビュー

今年デビュー10周年イヤーを迎えた鈴木このみが、約2年半ぶりのニューアルバム『ULTRA FLASH』をリリースした。ヒット曲「Bursty Greedy Spider」をはじめとした6曲のシングル表題曲に加え、草野華余子や岡嶋かな多、BRADIO、野性爆弾くっきー!といった豪華な顔ぶれの参加による多彩な新曲をたっぷり収めた本作。まさに今の彼女のウルトラな輝きを堪能できる一枚となっている。2012年に当時15歳でデビューしてから10年、元気にデイズオブダッシュし続けてきたこのみんの進化を見逃すな!

10年分の輝きとエネルギーが詰まった『ULTRA FLASH』

――デビュー10周年の節目に届けられる今回のニューアルバム『ULTRA FLASH』、どんな作品にしようと思って制作を始めたのですか?

鈴木このみ まず、この2年半でリリースしたシングル曲を並べたときに、あまりにも密度が濃すぎて、これをアルバムにまとめるのは大変だぞ……!というところから始まりました(笑)。ただ、そのすべての曲に共通していたのが、たくましくて生命力があるということだったので、今回のアルバムはそれを軸にしようということになって。

――たしかに「Realize」「Theater of Life」「命の灯火」など、近年のシングル曲はエネルギーに満ち溢れたものが多かったです。

鈴木 それと私はこの2年くらいで、「誰も見逃せないくらい輝いてやる!」という気持ちが沸々と湧いていて(笑)。いくら(コロナ禍の状況が)緩和してきたとはいえ、まだ以前のようには会えないなかで活動するのであれば、いつもの倍は輝くしかないと思っていたので、アルバムのタイトル候補として「FLASH」という言葉が出てきたんです。そこから鈴木らしい、ちょっと面白おかしいけどかっこよくも取れる言葉ということで『ULTRA FLASH』というタイトルにしました。

――『ULTRA FLASH』はインパクトがある言葉です。

鈴木 それに使い勝手も良くて。「ウルトラなライブをやります!」とか「ウルトラなメンバーでお届けします!」とか、すごく言いやすいんです(笑)。

――ジャケットやアーティスト写真もギラギラに輝いていますよね(笑)。

鈴木 今回はとにかく面白いアルバムにしたくて。シングル曲を並べたときに、すごく幅があるので、これに統一性を持たせるのは難しいと思ったんですね。であれば思い切り振り切ったほうがいいなって。

――ちなみに、もっと輝きたいという気持ちがどのように生まれてきたのか、もう少し具体的にお話を聞いてみたいです。

鈴木 1つは、今の私の周りにすごくギラギラしている人が多いということ。それと、これは抽象的な言葉になるんですけど、「今この瞬間を生きねば!」という気持ちが自分の中で大きくなってきたのもありますし、この2年半のシングル制作がすごく楽しかったというのもありますね。私は悩みがちな性格なんですけど、今は気持ちがスッキリしてきたというか、「どんな状況でもやることは変わらないか!」という気持ちに自然になってきたのが大きいです。

――実際、今回のアルバムからも、鈴木さんの絶好調ぶりが伝わってきましたし、心身ともにすごく健やかな雰囲気も感じました。

鈴木 たしかに私、今すごく健康的かもしれないです。本当によく歌い、よく笑い、よく遊んだ制作期間だったので。締め切りがあるのに、内緒でこっそり遊びに行ったりもしていましたし(笑)。今は何が起こっても大丈夫!っていう感じですね。

――では、そんなアルバムについて、新曲を中心にお話を聞かせてください。まず表題曲の「ULTRA FLASH」は、最近よくご一緒されている草野華余子さんと鈴木さんの共作曲になりました。

鈴木 まず私が鼻歌のような形で作ったものを、華余子さんとスタジオに入って一緒に悩みながら整えて、それを私が持ち帰って2コーラス目を考えて、また華余子さんに整えてもらう、という作り方でした。華余子さんは私が何を出しても受け止めてくれるので、すごく心強かったです。

――本作にも収録のシングル曲「Bursty Greedy Spider」をはじめ、これまでの制作で信頼関係を築けていたわけですね。

鈴木 歌のことについても詳しく教えてくれますし、すごく褒めてくれるのでレコーディングも自信をもって進めることができて。それこそ「たくましく生きていこう!」という気持ちも華余子さんに影響されている部分が大きくて、華余子さんはこの2年半の私にとってのキーパーソンだと思います。本当にいつもギラギラしている方なので。

――たしかに、いつもエネルギッシュな印象です。

鈴木 それこそ「Bursty Greedy Spider」をアルバムの1曲目にしたのも、声帯結節の手術を経たこともあって、改めてリスタートを切った曲という気持ちがあったからで。私は歌うことには自信がありますけど、(楽曲を)作ることに関してはまだまだ頑張るべき部分がたくさんあって。でも、華余子さんと一緒だったら、きっといい曲が作れると思ったんです。

――作曲はお二人の共作ですが、作詞は華余子さんにすべてお任せしていますね。

鈴木 華余子さんはこの2年半、ずっと私のことを見てくれていた方ですし、ご本人のエナジーも上乗せしていただきたくてお願いしました。華余子さんには、先ほどお話した「今のこの瞬間を切り取りたい」という気持ちをお伝えして。今は配信ライブもありますけど、それでも私は直接届けられる場所が好きだし、いつでも会えると思っていてはいけない気がするんです。目の前にいる人に、次もまた会えるとは限らないから、その瞬間をすごく大事にしなくてはいけない。そんな話を2人でして。

――実際にあがってきた歌詞を見てどう思いましたか?

鈴木 自分の中でもすごくエモくなって……10年の重みを感じるー!って思いました(笑)。華余子さんから「今までの楽曲のキーワードをたくさん盛り込むのはどうですか?」と言っていただいたんですけど、これは私的にもサプライズ感があってすごく嬉しかったです。しかも今までに発表してきたシングルにまつわるキーワードがちょうど10個入ってるんですよ。それに気づいたときはビックリしました。

――「DAYS of DASH」「Love is MY RAIL」「This game」「Redo」「Beat your Heart」など、キャリアごとの大切な曲のタイトルがたくさん入っていて、聴いているだけで鈴木さんのこれまでの歩みがフラッシュバックするような歌詞ですよね。

鈴木 サビの“輝け ULTRA FLASH!!!”のビックリマークが3つなのも、私がいつもブログを更新するとき、タイトルは全部ビックリマーク3つで統一しているところを反映してくれていて。すごく細かな愛情がたくさん隠されています。

――しかもそんな特別な楽曲のアレンジに、ファンキーなサウンドで人気のバンド、BRADIOさんが参加されていて。これはどういった経緯で?

鈴木 今回はすごく弾けた楽曲にしたいとお願いしたときに、華余子さんから提案していただきました。私、実は昔、金沢のアニメイベントでBRADIOさんと一度だけご一緒させていただいたことがあって。楽器レコーディングのときにBRADIOさんから「昔、ご一緒しましたよね?」と言っていただけたのが、すごくびっくりで嬉しかったです(笑)。私もそのときのことを鮮明に覚えていて。客席からBRADIOさんのライブを観ていて、自然に体が揺れていたんですよ。その頃の私はまだ10代だったんですけど、「わー!大人ってかっこいい!」って思った記憶があって。だから仕上がりがすごく楽しみでした。

――で、実際に完成したものを聴いてみていかがでしたか?

鈴木 いやー、たまらなかったですね(笑)。元々のデモは爽やか青春ロックみたいな感じだったのですが、そこに大人のかっこよさみたいなものが加わっていて。「大人も最大限に遊んでいいし、それがかっこいいでしょ?」と言われている気持ちになりましたし、パーティーに混ざれた気がしました。この曲のレコーディングは本当に楽しくて、遊ぶような感覚がありましたね。

――歌も晴れやかといいますか、一点の曇りもない感じが気持ち良くて。

鈴木 ありがとうございます!これがアルバム制作の最後に歌った曲だったので、これで(アルバム制作が)終わりと思うと、すごく寂しかったんですけど(苦笑)。私もこんなにハッピーなアルバムになるとは思っていなかったです。

大阪人魂が爆発!? 野性爆弾のくっきー!作詞の笑撃ロック

――そして本作随一の衝撃作が、アグレッシブなロックチューン「ダメージ小でした」。まず野性爆弾のくっきー!さんが作詞を担当していることに驚きました。

鈴木 これは私がどうしても大阪弁で面白い曲を歌いたくて。私は大阪人なんですけど、自分が思っているよりもそのことを認知してもらえていない気がするんです。なので「意外とコテコテの大阪人やねんけど」というところを見せたくて(笑)。それとアルバムだからこその面白い曲を作りたくて、「歌詞はくっきー!さんにお願いできないですか?」とダメもとでお願いしてみたら、まさか本当に書いていただけて。本当に嬉しいです。

――そもそもなぜ、くっきー!さんにお願いしたかったのでしょうか?たしかに盆地で一位やジェニーハイといったバンドで音楽活動もされていますが。

鈴木 どうせなら普段とは違う界隈の方と一緒にやってみたい思いがあったのと、面白い化学反応が起こることを期待して、大阪弁であればお笑い芸人の方がいいのかな、というところから始まっていて。でも、曲としてちゃんと成立しているものにしたかったので、ご自身でバンドもやられていて、YouTubeでも音楽関係のことに触れていることの多い、くっきー!さんがいいんじゃないかしら?ということでお願いしました。それにどんな歌詞を書いてくださるのか全く想像がつかなかったので。

――野性爆弾のネタも含め、予想外のことを平然とやってのける人ですものね(笑)。

鈴木 歌詞も予想以上のものが届いて、「こうきたか!」と思いました。1行目から“ミジンコくらい鬼みみちぃ”だし、やっぱり“歯”というワードが多いんだなあと思って(笑)。でも、よく読むと意味がちゃんと通っていて、歌い終わったあとに感動するんですよね。この歌詞をどうやって書いたのか、すごく気になっています。

――時折理解不能なフレーズも挿みつつ、なぜか最終的にはエモいんですよね。

鈴木 そうなんですよ。子供のまま大人になりたかったけど、大人もいいことあるし頑張ろうや!みたいな気持ちになれるというか。最終的にはすごくハッピーな方向に気持ちが持っていける曲に感じました。

――そのテーマ性は鈴木さんから提案したわけではない?

鈴木 私から提案させていただいたのは、日常には色々な細かい嫌なこと、例えば足の小指をぶつけたり、色んなダメージがあるけど、でもこまごまとした良いことも毎日あって。だから最終的にはめっちゃハッピーやん?という方向になるようにお願いしました。

――まさしくそんな感じにはなっていますね。

鈴木 たしかにそうなんですけど、使われているワードが想像していなかったものばかりで。しかも表情をどれだけ付け加えても大丈夫な曲調だったので、歌い方の模索も色々できました。2Aの“畳のほつれをモミモミしながら”のところはかわいらしく歌ったり、“背骨の 歪みは なんセンチ”は「リゼロ」っぽくシリアスで重めな感じにしたり。コーラスも「大人の歯ぁたち」というクレジットでスタッフさんに歌ってもらったんですけど、みんなアホの子になって微妙に音程を外しながら歌うっていう(笑)。いっぱい遊べました。

――ラウドロック寄りのアレンジも相まって、キバオブアキバとの楽曲「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い」を彷彿させるインパクトも感じました。

鈴木 そういえば昔、作詞家の坂井竜二さんの作詞レッスンを受けていたことがあったんですけど、そのときに「君の武器はどの曲のときでも思い切り振り切れることだよ」と言ってくださったんです。青春っぽい曲では全力で青春に振り切るし、カップルがたくさんいる場所でも「ワタモテ(私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い)」みたいな曲を思い切り歌えるしって(笑)。なのでこれは自分の得意分野なんだと思います。

――しかし、ここまで関西弁が入っている曲は今までなかったですよね?

鈴木 そうですね。よくファンクラブイベントで、自分の曲を関西弁で替え歌することはあったんですけど、そういえばしっかりと大阪弁の歌はなかったなと思って。“だいぶ擦ったけど”という歌詞も、普通なら“こすった”だと思うんですけど、私が“すった”と歌ったら、スタッフのみんなが「あれ?」ってなったんですよ。そのときに「そうか、“すった”は大阪弁だ」と思って。なので割とナチュラルボーンな大阪弁で歌いました(笑)。

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