リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト

INTERVIEW

2022.04.25

【連載】テクノロイド 徹底解剖! ~MUSIC LABO~ 第2回目:菊田大介 楽曲制作秘話、各ユニットの音楽へのこだわりとは?

【連載】テクノロイド 徹底解剖! ~MUSIC LABO~ 第2回目:菊田大介 楽曲制作秘話、各ユニットの音楽へのこだわりとは?

上松範康×RUCCA×Elements Gardenが贈る、新世代メディアミックスプロジェクト『テクノロイド』。上松といえば、大人気コンテンツ『うたの☆プリンスさまっ♪』シリーズや『戦姫絶唱シンフォギア』シリーズ、最近では『ヴィジュアルプリズン』の生みの親でもある気鋭のクリエイター。そしてKAT-TUNや嵐、King&Princeの楽曲をはじめ、下野紘や蒼井翔太らの曲の作詞でも知られるRUCCA、さらに上松率いるElements Gardenとでタッグを組んで生み出した新たなコンテンツは、切なくも美しい、アンドロイドたちの物語を描くものに。

今年1月にAPPゲームがリリースされ、ゲーム画面からタイトルが示すようにテクノミュージックが流れ出す。近未来サウンドともいえる楽曲にアンドロイドたちの歌が重なり、心惹かれるユーザー続出中の『テクノロイド』は、7月にはアニメ化も発表されている。そんな『テクノロイド』を、リスアニ!は徹底解剖!第2回目は、本作の音楽面を支えるElements Garden・菊田大介に各ユニットの魅力やカラー、楽曲制作秘話などについて語ってもらった。

【連載】テクノロイド 徹底解剖!特設ページはこちら

【連載】テクノロイド 徹底解剖! ~MUSIC LABO~


Elements Garden・菊田大介の音楽――その始まり

――「テクノロイド」の音楽で菊田さんのことを知った方もいらっしゃるかと思うので、まずはご自身が音楽に携わるようになった経緯を教えてください。

菊田大介 学生の頃は「音楽の仕事をしよう」とは思ってもいませんでしたが、小・中学時代にはテレビで音楽番組がたくさん放送されていましたし、歌番組を見るのが好きだったので毎日見ていたんですよ。ほかにもラジオを聞くことも好きで、当時からFMをよく聞いていたんです。ランキング番組などもあり、ベスト100がずっと流れているような子供時代、青春時代を過ごしました。ただ、当時はそのときのヒット曲を主に聴いていたので、楽器は趣味程度でキーボードをやっていたくらいで。その後、高校に入ってから曲を作り始めました。パソコンで耳コピをしていたものが、いつからかオリジナル曲を作り始めていて……作った曲をどこかで発表することもなく、自分で満足していただけでしたね。

――バンドをやってはいなかったのですか?

菊田 やっていなかったです。高校卒業後の進路についてどうするか考えたときに、「専門学校に行って音楽をやりたい」と思って。専門学校に入って、上松(範康)と出会いました。

――そうだったんですね!

菊田 専門学校の先生に紹介していただいたのが、上松が以前所属していた音楽制作事務所だったんです。楽曲制作ではなく、携帯電話の着メロを作る仕事でした。そこで上松や藤田(淳平)、藤間(仁)[Elements Garden初期メンバー]に出会いました。その事務所を独立してElements Gardenを設立するとき、僕も加入しました。

――Elements Gardenの始まりですね!

菊田 そうですね。最初はアシスタントをしていましたが、いつかは楽曲制作をしたいという想いもあったので、上松から教えてもらったり、見て学んだりして勉強していきましたね。そういう環境に身を置いていたからこそ、自然と音楽をやる決心に繋がっていった感じではありました。ただ、仕事として音楽をやりたいと思い始めたのは、進路を考えていた高校時代からだと思います。当時は作家を目指したわけではなく、音楽に携わる仕事をしたいと思っていました。

菊田大介

影響を受けたのは時代の寵児・TKサウンド

――音楽制作に興味を持つきっかけになったアーティストがいるわけではない?

菊田 僕の学生時代は小室哲哉さんが華やかに活躍されていたので、小室さんの存在にはすごく影響を受けたと思います。小室さんの楽曲はあらゆるヒットチャートを総なめにしていましたから、避けては通れないですよね。後々音楽シーンに出てくるテクノもそうですが、ダンスミュージックがすごく流行っていましたし、そこに影響を受けたのは大きいかな、と。

――当時の音楽シーンは、TK(小室哲哉)サウンドが一世を風靡していましたよね。

菊田 ブランドとしても、1つの音楽ジャンルとしても確立していましたよね。カラオケも流行っていましたし、盛り上がりはすごかったです。

――あの時代はテクノミュージックが盛んになっていく時期でもありましたよね。電気グルーヴの登場も含めて。

菊田 当時のテクノはアンダーグラウンドなジャンルだったと思うんです。多くの人にとってはそれほど馴染みの深い音楽ではなかったのですが、小室さんが日本人向けにわかりやすく作ってくださっていたところはありますよね。4つ打ちのリズムも、古くから存在はしていたけれど、大衆受けするように上手くプロデュースされていた部分は大きいと思います。

――当時裾野を広げたテクノミュージックが、今改めて「テクノロイド」でフォーカスされていることも面白いですよね。

菊田 一時期から受け入れられたこともあると思いますし、年によってロックが流行ったりヒップホップが席捲したりと、時代によって違っていく側面もありつつ、テクノというか今はEDMと呼ばれるジャンルも広まってきたなと感じます。

「テクノロイド」との出会い

――ここまでは音楽シーンに足を踏み入れた経緯を伺いましたが、菊田さんはこと「制作」においてアニメやゲームの音楽というフィールドに特化するようになられました。音楽をやっていきたい、と思ったときにはそれを想定していたのでしょうか。

菊田 そこはまったく想定していなかったです。でもアニメやゲームは好きだったので、「関われたら面白いだろうな」と思っていました。とはいえ、その道を狙っていたわけでもなかったので、やはり上松をはじめとしたメンバーとの出会いが大きいですね。元々上松が以前に所属していた会社もゲームやアニメに強かったので。

――そのElements Gardenは音楽の制作を担うだけではなく、コンテンツ自体の企画から手がける制作会社です。「うたの☆プリンスさまっ♪」をはじめ、原作も含めての音楽を作っていくことの魅力はどんなところにありますか?

菊田 受注して制作していくというのが一般的なスタイルでしたが、こちらから提案して、原作を立ち上げて、ストーリーまで考えることをElements Gardenがやるまではあまり聞くこともなかったと思いますね。その醍醐味は……やっぱりすべてを自分たちで考えられること。ストーリーや世界観により寄り添って作ることができるのは大きいですね。作家として受注した音楽に向き合うことももちろん大切なことですが、音を1つ取っても細かいところや設定に至るまでシンクロして作品と音楽が一体になれるところは魅力だと思います。意思疎通が取りやすいこともメリットです。

――そして「テクノロイド」が誕生します。原作からすべてを皆さんで手がけてこられているコンテンツですが、立ち上げの段階では上松さんやRUCCAさんとどのようなお話をされたのでしょうか。

菊田 また1つ新しい企画をやるぞ!という話があがってきて。僕がEDMやテクノといった4つ打ち系の楽曲が得意でもあるので、上松から「音楽周りはプロデュースも含めて菊田にまとめてほしい」と話があり担当することになったんです。僕自身、1つのコンテンツを自分から発信することをあまりしてこなかったので、「ぜひやらせてほしい」と伝えましたね。

――テクノミュージックにフォーカスすることについてはどのような印象がありましたか?

菊田 テクノミュージックやEDMを起用し、ストリングスやギターの生音を使わずコンテンツのサウンドを構築するのは面白いなと思いました。「なんでもあり」というのも、もちろん面白いですが、ジャンルを限定することは新しい試みだと感じました。あえてジャンルを絞ることで、世界観の印象をつけやすいという部分はありますよね。世界観を統一しやすいですし、「こうしたい」ということを明確に出しやすいのは狙いとしてもいいなと思います。

――「テクノロイド」が動き出した際に、「これは面白いぞ」と心が動いたのはどんな部分ですか?

菊田 「アンドロイドの世界」という試みですね。全員がアンドロイドというのは稀有で世界観も面白いですし、さらにSFっぽい話が繰り広げられていくところも魅力で。僕、SF好きなんです。メインストーリーもそうですが、お話がすごくしっかりしていますし、読ませる感じも面白いですよね。そういった世界観がすごく好きですし、ワクワクします。

次ページ:「テクノロイド」登場の各ユニット。その魅力とカラーとは?

SHARE

RANKING
ランキング

もっと見る

PAGE TOP