【連載】マクロス40周年記念超時空コラボアルバム『デカルチャー!!ミクスチャー!!!!!』特集 ~歌姫インタビューと全曲レビューからアルバムの魅力を紐解く!~ 第3回 プロデューサーインタビュー&アルバム全曲レビュー

『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!』同時上映『劇場短編マクロスF ~時の迷宮〜』の公開を記念して行われた、ワルキューレに歌ってほしい『マクロスF』ソング、シェリル&ランカに歌ってほしい『マクロスΔ』ソングを募集した投票企画「超時空コラボ歌選挙!!!!!!!」。その結果を踏まえ実現した、マクロス40周年記念超時空コラボアルバム『デカルチャー!!ミクスチャー!!!!!』が好評発売中だ。

リスアニ!WEBでは、アルバムリリースを記念した連載企画を実施。最終回となる今回は、両作品の音楽プロデューサーである、フライングドッグの内田 峻プロデューサー(『マクロスF』担当)と福田正夫プロデューサー(『マクロスΔ』担当)へのインタビューと、アルバム『デカルチャー!!ミクスチャー!!!!!』収録曲の全曲レビューをお届け。アルバムを聴きながら、じっくり読んでもらえたら幸いだ。

<PART.1>
フライングドッグ 内田 峻プロデューサー(『マクロスF』担当)、福田正夫プロデューサー(『マクロスΔ』担当)インタビュー

――完成したアルバムを聴いての率直な感想と手応えを教えて下さい。

内田 峻 一言で言うとその名の通りデカルチャー!な作品になったと感じています。私は昨年上映の『劇場短編マクロスF ~時の迷宮~』から弊社代表・佐々木(史朗氏)と共に『マクロスF』を担当しており、『マクロスF』の放送当時は1ファンとして作品に夢中になっていた身ですので、『F』と『マクロスΔ』がクロスオーバーすることのできる世界線に生きてることを感謝しつつ、ジャケット構図や作品仕様含めて最大級の遊び心を詰め込ませていただきました。

福田正夫 『F』のファンも『Δ』のファンもそれぞれ原曲に思い入れがあるでしょうから、オケやアレンジはいじらずに、そのまま歌い直すだけのカヴァーにしたのですが、歌い手が変わるだけでここまで印象が変わるのかと驚きました。そして、人気投票や歌い手たちの希望で選曲が決まったので、双方の作品の強い曲ばかりがズラリと並んでいて、かなり密度の濃いアルバムになったと自負しています。

――今回のアルバムの『マクロスF』と『マクロスΔ』コラボ企画。企画としては最高に面白いですが、制作サイドとしての苦労はどんなところにありましたか?

内田 原曲へのリスペクトを込めながらもいかにシェリルらしく、ランカらしく、魂を込められるかという点でMay’nさん・中島さんお二人と話し合いながらレコーディングをしました。皆さんがたくさん聴き込んでくれている楽曲だからこそ、中途半端なものは作れないぞというプレッシャーは大きかったです。

福田 歌録りを始めるまでの準備が大変でしたね。菅野さんのコーラスアレンジって、不規則な作りになっていることが多くて、1番は3声コーラスなのに、2番の同じところは2声になっていたりとか。それらを一つ一つ解析しながら、どのパートを誰に歌わせるのかを考えていくわけですが、ワルキューレはライブで再現可能な歌い分けにするのが原則なので、同じ人が同時に重ならないようにパズルを組み合わせていくのが一苦労でした。

――歌の振り分けなどについて、『マクロスF』サイドのこだわり、『マクロスΔ』サイドのこだわりがあれば教えて下さい。

内田 シェリル・ランカの歌の振り分けについては佐々木が考えていますが、ワルキューレのような5人ならではの掛け合いやハーモニーを踏襲するのではなく、各々が“『一人の歌姫”』という側面を意識したパート分けにしています。

福田 ワルキューレの歌い分けは僕が考えているのですが、それぞれのキャラクターの設定やストーリーを思い浮かべながら、ワルキューレが『F』の歌詞を歌ってもあまり矛盾しないように神経を使いました。面白いなと思ったのは、シェリルやランカの生き様を歌った歌詞をワルキューレが歌っても意外にシンクロする部分が多かったことです。作品が違っていてもキャラクターの心情がちゃんと時空を超えてオーバーラップしていて、脈々と貫かれている芯のようなものがある。さすが40年続いているシリーズだなと思いました。

――「愛・おぼえていますか(40th Anniversary DeCulture Edition)」は、デカルチャーな楽曲になりました。語り継いできたこの曲を服部隆之氏にアレンジしていただいた理由を教えて下さい。

福田 2010年に坂本真綾の「DOWN TOWN」という曲のビッグバンドアレンジを服部隆之さんに頼んだのですが、その時のアレンジは作曲者の山下達郎さんも舌を巻くほど超絶ハイブロウなもので、今回も大所帯のアレンジはやはり隆之さんに頼みたいなと思いました。オリジナルの清水信之さんから、菅野よう子さん、コモリタミノルさんに受け継がれて、今回が服部隆之さんなら誰も文句なかろうと(笑)。編曲の要望としては、オーケストラを主体としたバラードにしてほしいということと、編成が次第に厚くなっていくこと、あとは7人の歌い分けが最初から僕の中で決まっていたため、どこを何回繰り返してとか、コーラスを何声にしてほしいとか、そんなくらいでしょうか。アレンジが上がってきた時に、僕はどうしても曲を難しくしたくなる傾向があって、コードをもっと複雑にしてほしいと頼んだのですが、頑として聞き入れてもらえませんでした(笑)。隆之さんは、美しく、より高揚感のあるアレンジを目指していたようで、特にエンディングで、オーケストラとシェリル・ランカ・ワルキューレが一体となって高まっていく様は感動ものでした。また、1番が終わって2番からテンポチェンジしていくというアイデアも僕にはないもので脱帽しました。

――「爛々スペシャルボーナスメドレー」について。『Δ』は作曲者が多いので、メドレーを作るのは難しいと思いますが、どんなところにこだわりましたか?

福田 ワルキューレが歌う『F』のメドレーは、各曲がうまくつながるように菅野さんがアレンジを施して再構築したものですが、『Δ』のメドレーはおっしゃるとおり作曲者や編曲者が曲ごとに違うので、曲をつなぐための“のりしろ”にあたる部分を勝手に作り変えるわけにもいかず、とにかく既にある音だけを使ってどのようにスムースにメドレー化していくか、というのがいちばん苦労したところです。個人的には、「ワルキューレがとまらない」が、来るぞ来るぞと思わせておいてなかなか出てこないところが気に入っています。

――マクロス40周年に向けて、ファンへメッセージをお願いします。

内田 今後もデカルチャーな企画がたくさんありますので、令和もマクロスをよろしくお願いいたします。40周年もマクロスピードで突っ走りましょう!

福田 『F』を放送していた時、ワルキューレの面々はリアルタイムで観て、シェリルやランカに憧れていた立場でしたが、その数年後に今度は自分たちがマクロスの歌姫を演じる立場になり、はからずも今回は同じ土俵で『F』の曲を歌い、「愛おぼ」では共演も果たしたわけです。また何年か経つと、今度はワルキューレに憧れていた次の世代がマクロスの歌姫となって同じことが起きるかもしれません。そうやって同じマクロスという作品の中で歌を歌い継いでいけるのも、40年続いているシリーズだからこそできる業だと思います。ぜひマクロスと同じ時代を生きているファンの皆さんも、50周年、60周年に向けて、下の世代にマクロスを語り継ぎ、歌い継いでいっていただけたら本当に嬉しいです。

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