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INTERVIEW

2022.02.26

【インタビュー】ファン待望の1stアルバム『ひとつ』が完成!たくさんの可能性を秘めた楽曲たちについて、高野麻里佳に聞く

【インタビュー】ファン待望の1stアルバム『ひとつ』が完成!たくさんの可能性を秘めた楽曲たちについて、高野麻里佳に聞く

声優デビュー当初から数々のキャラクターソングを歌い、いくつものユニット活動に参加し、多くのCDリリースに関わってきた高野麻里佳が、満を持してソロアーティストとしての1stアルバム『ひとつ』をリリースした。すでに2022年1月10日、日本青年館で開催した“高野麻里佳 1st LIVE ~夢みたい、でも夢じゃない~”(昼夜2公演)で先行してファンに届け、会場を魅了した楽曲群について、高野麻里佳本人の言葉から探っていく。元気や癒しといった高野麻里佳を思わせる楽曲のみならず、彼女の可能性を感じさせる新境地楽曲もあるが、そのどれにおいてもアーティストとして活動する高野麻里佳の気概が込められている。喜びを提供する、という。

声優としてもアーティストとしても「みんなで楽しむ」という気持ちを大切に

――1stアルバムを制作するにあたって高野さんは、何か実現させたい夢や願望はありましたか?

高野麻里佳 できればこういうときにアーティスティックな答えをしたいと思うんですけれども(笑)。私、自分が歌をうたうということを人生で想像したことがなかったんですよね。「アルバムを作りましょう」と言われたときも、自分が何を歌えばいいのかという不安が半分でした。アルバムなのでたくさんの楽曲で自分を表現したいんですけど、まだ自分らしさを出せる音楽を見つけてはいないですし、だからアルバムの方向性を自分で定めきれないことを申し訳なく感じていました。ただ、歌いたい楽曲を一つ一つ提案していくのは私の仕事だと思ったので、新曲を8曲収録すると決まったとき、私の引き出しを全部開けるつもりで、様々な方向から楽曲の提案をさせていただきました。その結果として自分というものが最終的に見えてきたら……という思いでしたね。なので、チャレンジの気持ちが詰まった1枚になったとは思っています。

――自分が歌っている姿を想像したことがないということですが、日常生活の中で歌うのは好きでしたか?カラオケとか。

高野 家族やお友達に誘われてカラオケに行くことはもちろんありましたし、カラオケという場所が素敵なのはわかるんですけど、自分から行こうと誘うことはなくて。カラオケで歌うためには曲を覚えていないといけないですよね。でも私は、「どうしてみんなはそんなに曲を覚えているんだろう?」と思っていて。私はカラオケに行っても1、2曲しか歌えないんですよ。でもみんなは、毎回レパートリーに新しい曲を取り入れているじゃないですか。なんだか不思議な感覚でした。大人になって、「歌う」ということに触れてこなかったんだな、と気づきました。

――でも、音楽を聴くのはお好きなんですよね?

高野 はい。聴きます聴きます。でも普段から歌っていないと、歌おうとしたときにリズムやメロディラインにつまずくというか。聴いているだけでパッと歌える人ってあまりいないと思うんですよ。とすると、「カラオケで歌える人はお家で練習しているのかなぁ?」とか。

――そうですね。

高野 え?そうなんですか?練習してるんですか?

――練習とまではいかなくても、好きな歌は口ずさんだり、たまに熱唱したりはしている人が多いと思いますよ。

高野 そうなんですね。私、口ずさむことも多分していないんですよ。

――曲に聴き入るタイプなんでしょうね。

高野 そうなんですよ。ノリノリにはなるんですけど、メロディを覚えようとかリズムに乗って口ずさもうとは思ったことがなかったので、実際に歌うことになって「音楽ってこんなに難しいんだ」とは思いました。

――ちなみにカラオケで歌えた数少ない曲というのは?

高野 小さい頃は、『ONE PIECE』のOPテーマとかだったと思います。

――今回がソロデビューだとしても、ユニットではすでに多数のCDをリリースしてきた方とは思えないですね。

高野 不思議ですよね。私もそう思います(笑)。高校生のときに友達とカラオケに行ったときも、「麻里佳はいつもそれを歌うよね」と言われたことがあって。「え?みんなはいつも歌う曲が決まってないの?」と思いました。なので、アーティストデビューは私のチャレンジ項目の一つであって、新しい表現の幅を広げる機会というイメージではいますね。

――今回のアルバムに収録された楽曲のうち、高野さんのアイディアから生まれた楽曲というのは?

高野 基本的には、私が提案したものを一つずつ楽曲にしてもらっていて、唯一、リード曲である「ひとつ」だけは私の提案とは関係なく、ディレクターである井上(哲也)さんと、デビュー曲の「夢みたい、でも夢じゃない」を作詞作曲された鶴﨑(輝一)さんが、高野麻里佳をイメージして作った曲だと言って持ってきてくださいました。そのとき、アルバムに入れるかどうかの判断は私に任せると仰ってくれたんですけど、アルバムの中で一番「高野麻里佳」という的を射ているような気がして、リード曲に選びました。

――リード曲に選んだのも高野さんだったんですね。

高野 そうなんです。自分の引き出しを全部開けた結果、色々な方向に尖った曲が生まれて。どれも魅力的ではあるんですけど、1stアルバムのリード曲ということはこれからの声優人生で私を表す1曲になるということでもあるので。その意味でも「ひとつ」がすごくしっくりきました。

――それ以外の曲は高野さんのどういった提案が形になったものなのか、教えていただけますか?

高野 私が声優としてだけではなくアーティストとしても大切にしている、「みんなで楽しむ」という気持ちを象徴する楽曲がほしくて、1年くらい前からロックな楽曲をいつか歌いたいと思っていたんですね。それを形にしてもらったのが「Ready to Go!」ですね。ライブでみんなと一緒に声を張り上げて楽しめる楽曲になりました。

――「楽しむ」をイメージしたときにロックが浮かんだということだと思いますが、ロックはお好きなんですか?

高野 好きなんですよー。マキシマム ザ ホルモンさんとかONE OK ROCKさんとかよく聴きます。ただ、自分で歌うかと言われたら……。

――たしかに。

高野 そうなんです。歌えるものと聴くものは違いますよね。ただ、ロックな楽曲は熱さや楽しさを伝えてくれるものだと思ったので、いつかロックな自分をお見せしたいという思いがありましたし、それが叶いましたね。

――歌い慣れていないロックですが、どんな気持ちで歌いましたか?

高野 この曲がアルバム制作で最初にレコーディングした楽曲だったんですけど、「やっとロックが歌える」という気持ちが強かったですね。それに、チャレンジするときって勇気を持って一歩踏み出すような気持ちだと思うんですけど、そのがむしゃら感が「Ready to Go!」にはハマっていたので、レコーディングの1曲目として相応しかった気もしますね。ただ、歌で表現するというところで、すごく悩みながら準備をしてから現場に向かった覚えはあります。悩みや準備がものになるかというとまた別の話なんですけど。「Ready to Go!」の場合、英語詞が多いので、少しでもネイティブのようにかっこよく歌うため、家でRとLの発音の違いを練習しましたね(笑)。

――「Ready to Go!」は、1stライブ『~夢みたい、でも夢じゃない~』のために曲間の掛け声を募集する企画を立ち上げ、実際にライブで音源を背に歌われましたね。

高野 やっぱりこの曲を120%楽しむためにはみんなの声が必要だと思っていたので。ライブでも本当に楽しい曲になりましたね。

――そのライブの映像は見返しました?

高野 もらってはいるんですけど、まだ見れていないんですよ。私は普段、自分が演じたキャラクターを見直すこともほぼないんですけど、特に「Ready to Go!」はいつもの自分のローなテンションとはかけ離れたところで歌っていたので、CD音源を聴くのも恥ずかしくて。アーティストデビューには初挑戦なことも多いから聴き直した方がいいとは思っているんですけど、あらためて自分を客観視するのは恥ずかしいですね。

――アルバムに収録する楽曲として、他にはどんな楽曲を高野さんから提案されましたか?

高野 「Sweet Voice」はASMRのような、しゃべるように歌う楽曲を入れたいという思いから作ってもらいました。声優なので最初は言葉に力を込めて歌ってみたんですけど、少し強いという話になったのでウィスパー気味に優しく歌ってみたいんですね。そうしたら曲が完成したあとで、「ウィスパーのように歌う曲は得意なんだね」とディレクターさんに言われて。それまで、自分は何が得意かというところをイメージできていなかったので、新たな自分を発見できた曲でもありますね。

――「Sweet Voice」とは別に、ポエトリーリーディングを歌いたいという提案もされたとライブでお話されていました。

高野 「Flavored hug」ですね。この楽曲は冒頭に、改札の音や携帯電話のプッシュ音といった生活感ある音が入っていて、現実にひき戻されるところもあるんですけど、歌詞に登場する二人にとってはその音さえもドラマチックで。なんだか1本の映画を観ているような楽曲になっています。私も、そんな可愛らしさやポエトリーリーディングらしさを生かすように、すべての力を抜いて歌うようなイメージで歌いました。声優ではありますけど、何か表現しようと思うと味付けが濃くなってしまいそうだったんです。だから、さらっと歌ったほうが染み込んでくる楽曲になると思いました。

――声優ではありながら表現を抑えて。

高野 そうですね。表現をそぎ落とす感覚でした。声優っぽく歌ったという意味では「Hide & Seek」がそうでしたね。

次ページ:アーティスト活動を高野麻里佳の武器の一つに

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