【インタビュー】より新しく、より自分らしく――声優・芝崎典子、2ndミニアルバム『てん、てん、てん』リリース! 作曲という新しい挑戦の中で本作とどのように向き合ったのか、話を聞く

2021年1月にミニアルバム『Follow my heart』でアーティストデビューを飾った声優・芝崎典子。そこから1年を待たずに早くも2ndミニアルバム『てん、てん、てん』がリリースされた。艶やかなアートワークからもわかるように、デビュー作から一転して新たな彼女のチャームに触れることができる本作とどのように向き合い、そして歌っていったのか話を聞いた。

デビュー作より新しく、より自分らしく

――前回インタビューしたのがちょうど1年前の12月で、そこから年が明けて2021年1月に1stミニアルバム『Follow my heart』(前回インタビュー)をリリースして、アーティストデビューを飾った芝崎さんですが、改めてデビューした実感をどう感じていますか?

芝崎典子 昨年取材をしていただいた辺りから、自分の中でずっとデビューしているような気持ちになっていたのですが、取材は去年だったんですね!それから2021年になって皆さんの元にCDが届いて感想をいただいて、ようやく「伝わったんだな」っていう実感がありました。皆さんが収録曲の中から「この曲が好き」という感想をSNSやお手紙などを通して伝えてくださって、そこで「デビューするってこういうことなんだな」と思ったというか。今まで自分だけが知っていて、自分の話だけをお伝えしていただけだったのがこうしてレスポンスが返ってきて、皆さんと気持ちを共有できることってこんなに嬉しいんだなって改めて感じました。

――そこから1年を待たずして2ndミニアルバム『てん、てん、てん』をリリースしました。ご自身の中ではこのスピード感についてどう思いますか?

芝崎 正直、1stミニアルバムを出せたことに安心していて(笑)。デビューが決まってからも、ご時世的にもこの先どうなっていくのかという不安もありましたし、そのなかでようやく出来た1枚だったので、次はいつかというのは考えていなくて……私の中では突然でした。

――そうしたなかで前作とはまたアプローチが異なる作品となった『てん、てん、てん』ですが、そうしたところはジャケットなどのアートワークからも感じられますよね。

芝崎 最初から、今回はちょっと艶っぽい路線でいこうと思っているというお話をいただいて、私としても「おお、そうなんだ」という感じで。その段階から自分の好きな曲調や進んでいきたい方向性はお伝えしていましたね。

――そこから和装の芝崎さんという艶っぽいイメージが出来上がっていったと。

芝崎 最初の衣装のイメージは色もピンクが入っていて、そこまで艶っぽい感じじゃなかったのかな?ピンクのちょっとかわいらしさも入った方向性もあったのですが、結果的に色っぽい女性のほうに振って、衣装も赤黒を基調にさせていただいたんです。

――芝崎さんとしてはそうした方向性にどうアプローチしていこうと考えていましたか?

芝崎 1stミニアルバムのときは、キャラクターソング以外ほとんど歌ったことがなかったので、いかにキャラソンっぽさを抜くかというのを考えていたんですね。でもキャラクターソングも元は自分の声だし、自分で歌おうと思いつつ、誰かの声に似せたくないっていう意識も働いて、ちょっと探り探りな面がありました。ただ、それを取っ払って挑戦をした1stミニアルバムを皆さんが「良い」って言っていただいたことで、私の中でこの方向性でいいんだっていうのが固まったんです。1stミニアルバムのときより自分の声も好きになり臨めた2ndミニアルバムだなって。1stがあったからこそ、より自分らしさというものを出せるようになってきました。

作曲という新しい経験の中で生まれたもの

――そうした『てん、てん、てん』の制作ですが、最初に作ったのはMVも撮った「moment」からになりますか?

芝崎 そうですね、「moment」は一番最初に録りました。幻想的でもあり浮世離れした世界観もあり、そして力強さもあり、最初は「それを私が表現できるかな?」という思いがあったんです。でも単純に曲調が好きで、歌っていてすごく楽しくて。すでにファンミーティングで歌わせていただいた曲でもあるんですけど、そのときもすでに収録からより一歩進んでより楽しめる気持ちにもなっていて、歌えば歌うほうど楽しくなる曲だなって思います。

――本作では芝崎さんが手がけた楽曲を除いてソングライティング集団のWEARTが全曲手がけていますが、楽曲の印象としてはいかがでしたか?

芝崎 前回はデモ曲をいただいたあとにも何度か方向性のやりとりをさせていただいたんですが、今回はいただいたものそのまま歌った楽曲が多いですね。前回のものも素敵なものをいただけたんですけど、あのときは1stというのもあって自分の中でポジティブなイメージに変えたかった部分があったんですが、今回はポジティブだけじゃない世界も表現したくて、なんでも受け入れてみようと思って。どれも素敵な曲ばかりでした。

――そうしたなかで1曲目の「(機種依存文字)」は、芝崎さんが作詞作曲を手がけています。

芝崎 1stのときも「挑戦したかったら、作曲もやりましょう」という話もいただいたのですが、何もわからない状態だったので「いきなりはちょっと……」と、作詞だけ挑戦させていただいたんです。ただ、今回は作曲もやりたいなっていう気持ちになっていたので、「挑戦させていただきたいです」と。でも何も知識もないし、何から始めていいかわからない状況で……。

――これまで作曲経験もなかったんですか?

芝崎 そうですね。なので、曲から作っていいのか歌詞から作っていいのか、どこから書き始めたらいいのか、「何をしたらいいんだろう?」っていう状態で……そこから1回寝かせて(笑)。

――そのことは一旦置いておいて(笑)。

芝崎 しばらくは何もなかったことにしました(笑)。それで何かが降りてくるかもしれないと思って放っておいたんですけど、そのうち少しずつ自分の気持ちにアンテナを張っていくようにしたら、そういえば私っていつもSNSで誤解のないように言葉を選んでいるなって気づいて。

――なるほど。

芝崎 言葉って自分から離れてしまうと相手はどう受け止めるかわからないよねっていうところを強く感じて。それは多分私だけじゃなくて色んな方が色んな立場で思っていることなんですけど。それを歌詞にしたいなと思ったときに、それぞれが機種依存文字を発している状態で、受け取り側には別の絵文字に見えちゃうという意味のタイトルにして、そこから決めていきました。実は提出期限まではメロディも違っていて、Aメロとサビも逆だったりしたんですね。それで当日になって「なんか違うな」って思って変えて……とか、逆にどこから作ったかっていう記憶がないくらい。

――ご自身の生活の中から曲が出来上がっていくというのは実にアーティスト的だと思いますし、しかも題材やアプローチなどに芝崎さんのご性格が出てらっしゃるなと(笑)。

芝崎 たしかに(笑)。そんな気がしています。

――“世界はまるでサイレントモード ”というフレーズから始まる非常にフックの効いたメロディだなと思いましたが、改めて作曲というメロディを作る経験はいかがでしたか?

芝崎 楽器が使えないので、思いついたら鼻歌を吹き込むという感じでした。でも降りてくるものが全部パクリなんじゃないかなってくらい、恐れながら録っていて(笑)。こんなに出てくるならどこかで聴いたフレーズを使っちゃてるんじゃないかって。なので鼻歌で音楽検索してくれるアプリで調べながら進めていきました。
――そこもしっかり確認をしながら作っていったと。

芝崎 そうですね、せっかく作ったのにパクリだって言われたら悲しいじゃないですか(笑)。

――たしかに(笑)。でもそうやってメロディが降りてくるということは、自分の中で自然と出たメロディということなのでしょうか?

芝崎 んー……どうなんですかね?提出期限当日までは全然違うメロディだったので、偶然という感じです。それをなんとか繋いで「これでいくか……?」みたいに悩んでいたときに、ちょうど牛タンを食べていたんですけど、なぜかそこで「これだ!」って思いついて(笑)。

――牛タンを食べて舌が回るようになったと(笑)。

芝崎 そうかもしれないですね(笑)。そこは本当に偶然だったので、提出期限があと1日早かったら全然違う曲になっていたと思います。

――いずれにせよ作曲も含めて自分を楽曲を作るというのは、アーティスト活動においてまた新鮮な経験になりましたね。

芝崎 新しい感覚でした。

――また、自分で作ったメロディを自分で歌うというのも新しい経験だったかと思います。こちらは歌ってみていかがでしたか?

芝崎 作曲したときはこう歌おうっていう考えは全然なくて。まず提出するものに自分の歌を吹き込むためにアカペラで録ってみたのですが、私は両親と住んでいるので、娘がいきなり部屋でアカペラで自作の歌を歌っていたら心配されるかなと思い、小声で歌っていたんですよ(笑)。

――親御さんに娘が突然歌い出したと思われないように(笑)。

芝崎 デモ音源にその録音した私の声を付けて返してくださったときに、「あれ?この歌い方でいいんじゃない?」ってなったんです。コンセプト的にも自分の心情を歌っているし、あまりみんなに広く伝えるというよりかは1対1の距離感で、それこそスマホと自分くらいの距離感で歌っているぐらいのほうがいいのかなって思って、むしろそれをなぞろうと意識して歌いました。

――偶然ではありますけど、芝崎さんが想定していた世界観にあったボーカルになったと。

芝崎 結果的に良い感じにまとまって良かったです。ディレクションも私が歌ったことが正解で、私次第だからということでそれが逆に不安になって、「これで大丈夫なんですか?」って何度も聞いて録った気がします。正解というのはわからないですけど、私がやったら正解になることなので、私の想像している通りにやらせていただきました。なかなかこんな経験ができることはないので、私にとっての挑戦であり、そのなかで発見もたくさんありましたね。

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