【インタビュー】黒崎真音、ニューシングル「春愁詠-Beautiful world-」リリース!復帰後初インタビューで語った今の想い――。

2021年9月18日、配信ライブの途中で倒れ、長期療養を行っていた黒崎真音。彼女はその後順調に回復し、今回初めて対面でのインタビューが実現した。病後から復帰までの道のりや、2021年12月24日発売のシングル「春愁詠-Beautiful world-」の話、そして現在の率直な心境――。すっかり元気になった黒崎真音の声をお届けする。(※2021年12月9日@NBCユニバーサルにて)

今、自分に起こっていることをマイナスに捉えるのではなく、特別な経験だと思って記録を残しておこう

――まずは読者の皆さんへの復帰後第一声ということで……お元気ですか?

黒崎真音 はい!ご心配をおかけしました。手術をしてから3ヵ月くらい経ちますが、2ヵ月くらい経ったときから筋トレをしたりしていて、日常生活に支障はなかったですね。(休業期間の)2ヵ月が過ぎてからはもういつも通りの生活をしていて、すごく元気です。

――よかったです。でも、真音さんがブログで状況を事細かにお知らせしてくれていたので、ファンの皆さんも安心したと思います。

黒崎 そうですね。ブログも入院中暇だから書いていたのですが(笑)。病名も告知されていましたし、自分が発症したときに、参考になる資料や体験記みたいなものが少なかったんですね。それだったら、今、自分に起こっていることをマイナスに捉えるのではなく、特別な経験だと思って記録を残しておこうと思って書いたところがあるんです。だから、これを読んでくださっている皆さんで、“え、黒崎真音に何かあったの?”と思った方は、ぜひブログを読んでいただけたらと思います。

――ブログを読むと、どういうお気持ちだったのかというのも伝わるかと思います。こういう形で皆さんに伝えるという前向きな気持ちには、早い段階からなっていたんですか?

黒崎 これはブログにも素直に書いたんですけど、やっぱり最初は全然そんな前向きな気持ちにはなれなくて……。配信ライブをしている途中で倒れてしまったので、自分がどこまで歌えたのかわからなくて、どこで倒れたのかが一番気になっていたんですよ。意識が戻ってから両親に聞いたら、「歌ってる途中だったよ」ということだったので、まず観ていたファンの方の心配がまずありました。「元の黒崎真音には戻れないだろうな」というのがあったので、最初はネガティブで、「辞めよう」みたいな気持ちにはなりましたね。

――最初はどうなるかわからないという気持ちがあったわけですね。

黒崎 最初の1ヵ月は傷の治りが遅かったり、手足の骨が熱くなるという副作用みたいなものがあったり、iPhoneを持つだけでも痛かったり、制限が色々あったんですね。いつ治るかわからないし、ずっと後遺症が残るんじゃないかという不安があったので、最初は前向きになれなかったけど、身体が治っていくうちに精神的に落ち着いた面もありますし、逆に不安になった面もありましたね。でも、私とは違う病気をされた方のお話を聞く機会があって、「治療の過程を発信していったほうがその後の活動をしやすくなるんじゃないか」と言ってもらえたんです。妙に隠してると、みんなも気を遣うし、腫れ物に触るような感じになるじゃないですか。例えば、今はウィッグで過ごしているというのも告知しているんですけど、ちょっとずつウィッグの長さを伸ばしていって自然に髪が伸びたように見せかけるのも面倒なので、それだったら「色んなウィッグを楽しんでます」と言ったほうがいいなって思って。そのほうが色々な髪型を試せるし、告知して楽になった部分がありますね。だんだんと勇気が湧いてきたっていう感じです。

――見てる側からすると、情報が少ないとどうしても裏を勘ぐってしまいがちですからね。真音さんが話してくれたことで、ファンの方々も不安がやわらいだんじゃないかと思います。

黒崎 一番最初にファンの方に「無事です」って言いたいですって、マネージャーさんにも伝えました。あの配信を観ていた方は絶対、怖かったと思うし、このまま放っておいたらみんなのトラウマになっちゃう可能性があると思って、それは一番に気になりました。本来、歌でメッセージを伝えたい、楽しんでほしいというのが目的だったのに、そんなことになったらもう戻れないなと……。

――ファンの方々だけでなく、レーベルの方や同業のアーティストの方からも色んな声が届いたのでは?

黒崎 たくさんいただいていたと思うんですけど、最初の4日間は意識がなくて、Twitterだとメッセージが流れてしまうので拝見できていないのもあったと思います。意識が戻ってから見たものはお返事をお返ししたのですが、色んな方が心配してくださって、最近お会いできてなかったアーティストさんからもメッセージをいただきました。Girls Dead Monsterのmarinaちゃんなんかはプレゼントとウィッグを送ってくれたんですよ。同じライブに出たこともあったんですけど、あんまりしゃべる機会がなかったんですよね。

――marinaさんとはほぼ同期くらいですよね。

黒崎 そうですね。でも、TwitterでDMをくれたのがきっかけで最近は仲良くなって、LINEとかもするようになりました。そういう新たな繋がりが生まれたので、不思議なご縁だと思いますね。……って、あれ?

通りすがりの水島精二(アニメ監督) おつかれさまでーす。インタビューしてるって聞いたから、真音ちゃんの顔を見に来ようかなって。

黒崎 わぁー、おつかれさまです!わざわざ来てくださるなんて、びっくりしました(笑)。

水島 元気な姿を見てほっとしました。

黒崎 ありがとうございます。おかげさまで元気になりました。

――数分間の雑談を経て――

水島 デビュー当時から応援してるし、同じ事務所(一二三)の仲間だからね。あんまり邪魔しちゃ悪いので、また今度。頼みますよ、澄川さん(笑)。

――いい記事になるように頑張ります(笑)。

黒崎 いやー、こんなサプライズがあるとは(笑)。

――水島監督もそうですけど、会いたかった人もたくさんいますよね。

黒崎 そうですね。幼なじみと最初に会ったときは大号泣されて。そのときに「私って大きな手術したんだな」って改めて思いましたね。

――でも本当に無事でよかったです。年が変わるまでにこうしてお話しできて僕も感慨深いです。それでもう1つお聞きしたかったんですが、療養中にどの辺りから歌うことを意識されたんですか?

黒崎 まず、目が覚めたときは人工呼吸器がついていたので、最初の3週間くらいは声がかすかすで、息が漏れちゃうみたいな感じだったんですけど、1ヵ月くらい経ってから声が出るようになりました。病院に防音室があって、そこでは声出してもいいって言われたので、試しにiPhoneに入ってた自分の曲を流しながら、歌ってみたりもしました。

――病院で声出しを(笑)。

黒崎 1ヵ月くらいで声出ししました(笑)。まずは声が出るのか試したかったというのがあって。実はまだ口が開きづらくて、プチトマトがギリギリ入るぐらいなんですよ。そんな状態で歌うとどうなるかと思って歌ってみたら、歌のときはあんまり関係なく口が開いたんです。例えば、「ROAR」って激しいロックな曲ですけど、ああいうのも全然歌えたし、声も出せたし、歌詞も覚えていました。なので防音室を何日か借りて歌の練習をしていましたね。

――やっぱり病気になっても体に染み付いたものがあるんですね。

黒崎 それはすごく感じました。入院中も今だから感じることってあるのかなと思って、作詞をしたりとかもしてました。あと、途中で一度転院をしたんですけど、そこがすごく田舎だったので、田舎道を歩いてると思いつくことが色々あって。元々私はお話を書きたいという夢があるんですけど、その原案になりそうなアイデアが浮かんだので、プロットみたいなものを作って、人物像を考える作業もしていたので、意外とクリエイティブな作業というのはできましたね。

――でも、まず防音室を借りて歌ってみようという気持ちになったのがすごいなと思います。

黒崎 意外と自然に歌いたいって気持ちが出てきましたね。もう行けるべ!みたいな(笑)。体も動いてたし、病院にジムがあったので筋トレもしてましたし、じゃあ歌ってみようかな、みたいな感じでした。

こうやって立ち上がるんだって、そういう姿を見せていくことが、皆さんへの恩返し

――今はもう歌いたい気持ちでいっぱいですか?

黒崎 やってみたいですね。感触的には1回“死んだ”気持ちがあって、意識がない4日間というのは“無”だったんですよね。思ったよりも苦しみとか、誰かを恨んだりする気持ちもなくて、ただふわふわしてるんです。「ああ、死ぬ直前ってこうなのかな」って。もちろん私の感覚なので、実際に死ぬときはどうなのかわからないですけど。なんとか目覚めることができて、ここから新しい音楽を作りたいと思ったときに何か変化があるような気がしていて、それが楽しみですね。自分からどんな言葉や、やりたいことが出てくるかが未知数なので、これから面白いなと思っています。

――一度、そういう体験をされたあとの意識の変化が生じた部分はありますか?

黒崎 今までの黒崎真音は、どこかで“飾ってる自分”がいたと思うんです。自分の出し方がちょっとわからないというのがずっと続いてきたんですけど、今回のことがあって、多分アニメが好きな方だったらこの事故のことを何かで知っていると思うし、私のことを改めて深く知ってもらえた気がするんですね。一度倒れて、お休みした人が、こうやって立ち上がるんだって、そういう姿を見せていくことが、皆さんへの恩返しになるし、新しい自分を見せるいいきっかけだったのかなって、考え方を変えて前向きに思えるようになりました。

――そういう前向きな気持ちになれた段階で、新しくリリースがあるということで、しかもそれが真音さんと縁が深い『薄桜鬼』の楽曲というのが運命的ですね。これはいつ頃収録されたんですか?

黒崎 1、2曲目は6~7月くらいで、3曲目は9月でした。まさか『薄桜鬼』にまた関われるとは思っていなかったので、歌えてすごく嬉ししかったです。

――今回はOVAの連作ということで、それぞれ異なるテーマのEDテーマを作られたわけですが、3曲とも真音さんが作詞をされていますね。

黒崎 楽曲に関してはプロデューサーや監督の意向があるので私は関わっていないんですけど、今回選ばれた楽曲は和のテイストが組み込まれていますね。今まで私が歌わせていただいた『薄桜鬼』の楽曲は和のテイストというよりも現代的で、黒崎真音なりの『薄桜鬼』を表現してきたんですけど、今回はすごく作品に寄り添っている楽曲になっていたので、それが逆に新鮮でした。歌詞のイメージも沸きやすくて、OVAの要となる人物や、私から見た彼らの気持ちを1曲1曲に書いていった感じですね。

――特に第一章「絢爛 -I’ll never forget you-」は『薄桜鬼』のイメージがすごく強い楽曲ですね。

黒崎 1曲目から『薄桜鬼』を想像させる音から始まっているので、私もすごく気に入っていて、作詞もそんなに悩まなかったですね。第一章は沖田総司さんが中心人物になっていますが、沖田総司さんをイメージした曲は以前、『薄桜鬼』のイメージアルバム『五色詠-Immortal Lovers-』で書かせていただいたんですね。今回は新しいテイストを盛り込みながらも、やっぱり沖田総司さんのイメージは私の中で不変のものがあったので、前回の曲のタイトルは「夢幻 -a true love tale-」だったんですけど、今回も“夢”という歌詞を入れています。沖田総司さんの“誰かのために力になりたい”という熱い想い、そしてそれが儚く散っていく、桜のような力強さ、そういうものを表現した豪華絢爛な曲にしたいと思いました。

――彼の儚さを想起させる歌詞、サウンドですが、ボーカルもこの楽曲ならではの聴かせ方が印象に残ります。

黒崎 それは今回のシングルはところどころにあえて入れていますね。元々の楽曲には入ってなかった小さな十六分音符をちょこちょこ入れてみるというのは、私なりに和テイストをさらに引き立てられるかなと思ってやってみました。声色も曲によって少し変わってますね。

――バラードって広く長く聴かせる部分もあるので、語尾の余韻のきかせかた、回し方が今回よくわかりますね。

黒崎 そうですね。そこは今回こだわりました。とにかく、今回の曲のポイントは『薄桜鬼』に気持ちをどれだけ寄り添えるかというところでしたね。

――第二章EDテーマの「朱華 -The like the Flowers-」はどのキャラクターがテーマとなっているんですか?

黒崎 全体的な新選組隊士の皆さんですね。皆さんの志や、世の中を変えようとして行動してきた気持ちの強さを表現したかったので、ちょっと言葉も硬くて、私が歌手として歌うというよりは男性っぽさを意識して書いた歌詞です。でも、メロディ的には華やかになるので、その対比が『薄桜鬼』っぽさになるのかな、と。

――タイトルの「朱華(はねず)」というのはどういう意味なんですか?

黒崎 朱華は“枯葉のような赤”の渋い感じの色で、万葉集にも出てくるワードなんですが、人の心は常に移り行くものだという意味があって、そういう時代を生きてきた隊士たちを意識してこのタイトルと歌詞にしました。シングルのタイトルにも入っている“Beautiful world”という言葉も、この曲の中に“美しき世界”という歌詞があるんですけど、みんなが目指した世界はすごく美しい世界であって、たとえ新選組を批判する人がいたとしても、彼らが目指した世界は絶対本物だったし、その気持ちは間違っていない、そんな彼らの世界を意識して書きました。

――そして、第三章EDテーマは「体温 -I’ll be by my side forever-」ですね。

黒崎 一歩間違っていたら私の遺作になっていた曲ですね(笑)。昨日、家で一人で聴いていて、「あっ、この曲を最後に死んでたらヤバかったな」って思いました(笑)。歌詞の“死んだ感”がすごくて、もしこれが遺作だったらファンの皆さんのトラウマになってたんじゃないかって。改めて「生きててよかった」と思いました(笑)。この曲に関してはちょっと特別で、今までは『薄桜鬼』の世界観に寄り添って、時代背景に合うようなワードをチョイスして作ってきたんですが、この曲は『薄桜鬼』の世界観によって時代を知ることができた視聴者目線で書いています。彼らからもらった温もりみたいなものは、私たちの心の中でずっと生き続けているよっていう、『薄桜鬼』の世界に生きた人たちに送りたい言葉を詰め込んだ曲なんですね。

――楽曲的にも綺麗ですよね。真音さんのボーカルもストレートで、想いを込めた感じが伝わってきます。

黒崎 この曲に関しては、ワードも小難しいものにしなかったというのは、新選組という歴史が今に繋がっているよ、ということで現代感を出したかったんですね。新選組という熱い想いを持った方たちがいたんだということを、今ここにいる私たちがアニメや色んな歴史書で受け止めて、ありがとうございますという気持ちを込めたという、シングルの最後はそういう曲になりました。

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