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INTERVIEW

2021.12.07

【インタビュー】巨匠・田中公平に訊く――「新サクラ大戦 the Stage ~二つの焔~」壮大なスケールの2.5次元文化へのビジョン、演者と役の“シンクロ”という独特な現象

【インタビュー】巨匠・田中公平に訊く――「新サクラ大戦 the Stage ~二つの焔~」壮大なスケールの2.5次元文化へのビジョン、演者と役の“シンクロ”という独特な現象

田中公平が考える「2.5次元文化」へのビジョン――。

――勉強になります。そうして少しずつ育っていく「新サクラ大戦 the Stage」を、田中先生はどう広げていきたいとお考えなのでしょうか?

田中 私はできれば、今のメンバーで続けたいな。『サクラ大戦』の良さはキャストが固定化することだと思っているから。演者を変えて続いていく舞台のシリーズもあって、それにはそれの良いところがあるけれど、『サクラ大戦』はまた違う。頑張れる限り、今のメンバーで最後までやろうかなと。

――となると、2.5次元舞台でも少し雰囲気の違った展開を目指すことになるのでしょうか。

田中 そうなりますよね。私がやりたいのは、地方公演と海外公演です。日本武道館でやるよりも、そっちがやりたい。

――大きなステージよりは、広く全国を巡る。

田中 舞台はやっぱり、役者さんと近い方がいいでしょ。あんまり大きくない会場で、回数を多くやりたいですね。ブロードウェイは、平均1200人キャパ、オフブロードウェイは平均500名キャパ。一番大きい劇場でも1600人程度。『オペラ座の怪人』はここでやってるからね。

田中公平

――ミュージカルの本場を思えば、たしかに先生のお考えがもっともに思えます。

田中 そういう展開をして最終的にどうしたいかなあ……パック売りできればいいとは思ってるんだけどね。音楽も演出も全部つけて、キャストは現地の人で、現地の言葉で「新サクラ大戦 the Stage」をやってもらう。「レ・ミゼラブル」とか、全部パック売りでしょう。そういう感じで日本のミュージカルを輸出したい。

――それはとてつもない発想ですね……!2.5次元舞台の文化は花盛りですが、その勢いで日本発のオリジナルミュージカルを世界に輸出されたいと。

田中 実はずっと昔からそれで動いてるのよ。公的なところに働きかけたりもしてね。

――先生ご自身は、ご自分の曲を披露される海外公演も行われていますが、それはもしかして、その布石でもある?

田中 間違いなくそうです。というのも、この頃海外からの印税の振り込みが多いんですよ。それはなぜかというと、海外で配信がどんどん強くなっていて、『サクラ大戦』はまだそれほど知られていないけど、『ONE PIECE』や『ジョジョの奇妙な冒険』、それから『かいけつゾロリ』は海外のお客さんがめちゃくちゃ観てるの。『ゾロリ』のミュージカルを作って海外に出せたら、ものすごく喜ばれると思うよ。そういう仕掛けを、日本発でやっていかないといけないのよ。今のとこやられっぱなしじゃない、アメリカに。日本はこれから老大国になっていく。少子化で国力がなくなっていく。そんななかで、汗かいて作るもので商売したらいけない。権利売りして、その商売で生きていくべきだね、どんな分野でも。それくらい頭脳のある人は多いし、日本のアニメやゲームはすごいんだから。2.5次元ものもそうやったらいい。

前作「新サクラ大戦 the Stage」より

――その橋頭堡を築くのが『サクラ大戦』というのは、とても納得がいくお話です。

田中 私、実は7年前からとある作品のミュージカルを立ち上げようと動いてたんです。あるところが3億円の予算を用意するところまでいった。でも、色々ありましてね……。夢がないとみんな思いすぎやで。

――力強いお言葉ありがとうございました。では最後に、改めて「新サクラ大戦 the Stage」に向けて、「リスアニ!」読者へのメッセージをお願いします。

田中 今回の舞台は1分、1秒どころか、瞬きするのもはばかられるようなスピード感の中身の濃い舞台です。今日は演者の話を多くしたけれど、私がこの舞台に関わって一番嬉しかったことは、伊藤マサミ(演出/脚本)という天才と仕事ができたことなんですよ。エイベックスさんに感謝してます。世界中の色んなミュージカルを観ているけれど、一番テンポが速かったロンドンのミュージカルと比べても、伊藤くんの舞台のテンポはもっと速い。あんなの、なかなかできないよ。伊藤くんが参加するまでの『サクラ大戦』の舞台は自由で、役者さんが勝手にやる感じで、それも面白かったし、私は好きだったけど、でも「新サクラ大戦 the Stage」の作り込んだものはすごいとしかいいようがない(笑)。来る人は迫力に圧倒されてほしい。配信で観る人は、何度も観て、細かいところをチェックしてください。そして、私の曲も良い曲なので、見るだけじゃなく聴いてくれたら嬉しい(笑)。

INTERVIEW & TEXT BY 前田 久


●公演情報
舞台「新サクラ大戦 the Stage ~二つの焔~」

原作:「新サクラ大戦」(株式会社セガ)
シリーズ原作:広井王子
音楽:田中公平
演出/脚本:伊藤マサミ

【出演キャスト】
天宮さくら:関根優那
東雲初穂:高橋りな
望月あざみ:寒竹優衣
アナスタシア・パルマ:平湯樹里
クラリス:沖 なつ芽
ヤン・シャオロン:本条万里子
ホワン・ユイ:西田ひらり
アーサー:楓
ランスロット:小松穂葉
神崎すみれ:片山萌美
ほか

日時・公演スケジュール
2021年12月17日(金)~12月19日(日)全6公演
※公演回数・日時は変更の可能性があります。

劇場
シアター1010

チケット料金
S席(1階席):¥11.000円(税込/全席指定)
前方席+非売品特典「舞台新サクラ大戦 キャスト意気込みプロフィール
帳」付き
A席(1階席):¥8,400(税込/全席指定)
B席(2階席):¥6,800円(税込/全席指定)

主催:エイベックス・ピクチャーズ株式会社

©SEGA / エイベックス・ピクチャーズ

関連リンク

田中公平 プロフィールページ
https://www.imagine-music.co.jp/artist/index/6

田中公平 公式Twitter
https://twitter.com/kenokun

「新サクラ大戦 the Stage ~二つの焔~」公式サイト
https://shinsakura-stage.com/

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