【インタビュー】第5期、新生WANDS――これまでを振り返りながら『名探偵コナン』OPテーマ「YURA YURA」が生まれた背景について、柴崎 浩と上原大史の二人に話を聞く

上原大史を新ボーカリストに迎えて、伝説のバンド・WANDSが衝撃の復活を果たしてからおよそ2年が経った。これまでシングル・アルバムと、新生WANDSを強烈に印象づける楽曲が次々とリリースされてきた。そして11月には「真っ赤なLip」以来となる『名探偵コナン』とのタッグとなった「YURA YURA」がリリースされる。改めて第5期のこれまでを振り返りながら、「YURA YURA」が生まれた背景について、柴崎 浩と上原大史の二人に話を聞いた。

二人のソングライティングから生まれる、第5期WANDSの手ごたえ

――上原さんをボーカルに迎えた第5期WANDSの始動からおよそ2年が経ちましたが、改めてお二人から見て新生WANDSでの活動の手ごたえはいかがですか?

柴崎 浩 第5期が始まった最初はおっかなびっくりというか、WANDSを知ってくれている方たちや再始動を期待していくれている方たちがどのように受け止めるか未知数だったので、様子が見えないなかでのスタートだったと思います。そこから、「メンバーが代わってもWANDSらしさがあって応援します」という人がいたり、その逆もあったり……ある程度様子が見えてきたりして、自分の中でこういうふうにやっていこうという腹づもりができたというか。過去のWANDSの音楽を頭の片隅に置きつつも、今のメンバーでやっていい音楽というものを作っていこうかなっていう、そんな気持ちでいます。

上原大史 僕は、加入したときは本当にどうなるかわからなくて、果たして応援してくれる人が現れるのかってくらい不安がたくさんありましたが、まったく先が見えない状態で1年やってみて、最初想定していたよりは良い空気を感じ取っています。元々好きだったけどこれからも応援しようっていう方もいらっしゃったり、WANDSを全然知らなかったけど第5期から好きになってくれた人ももちろんいました。そこに以前のほうが良いという人はいらっしゃると思うんですけど、その割合が当初のイメージしたよりも良い方向なのかな、ちゃんと応援してくれる人がしっかり増えたなっていう気がしています。

――結果、手ごたえを感じられているということですね。

上原 ただ、まだ途中段階だと思うので、この先どうできるのかというのははまだわからないですね。僕のほかにも主要メンバーが変わったバンドは結構いらっしゃいますし、例えばクイーンのアダム・ランバートもそうですよね。彼はとても上手いですけど、この先彼のクイーンがどれだけ認められるかというのもあるし。そこってどうしても難しい課題だとは思いますし、僕自身の悩みの種ではあるんですけど、良い状況になったなと感じています。

――一方で、柴崎さんが作編曲をされて上原さんが作詞をするというソングライティングの行程についても、普段から遠隔で曲のやりとりをされているそうですが、1年経っての感想はいかがですか?

柴崎 すごく事細かにするわけではなくて、たまにLINEでやりとりすることもあります。僕からすると、上原の解釈で元々デモにはなかったフレーズやフェイクがボーカルトラックに追加されたり、メロディが少し変わったりとか、そういう部分を良い感じにしてくれるなっていう実感が重ねるごとにあって。そこのやり取りには結構安心していますね。

――曲作りの段階で上原さんのアイデアが盛り込まれていくわけですね。

柴崎 今回の「YURA YURA」にもそういう部分があって。落ちサビのキーボードと歌だけのところも、上原判断でメロディを少し変えているところがあるんです。

上原 歌っていて“うずうず”するときがあるんですよね。

柴崎 おお……(笑)。

上原 なんていうんですかね、デモ通りにメロディを歌っているときも感情を込めて歌うんですけど、そうすると曲の後半になってくると気持ちよくなってくるわけじゃないですか。今回の「YURA YURA」に関しては、落ちサビでこう、ガーッとくるわけですよ。そこで盛り上がっていくときに下メロで歌っているのがなんかモヤモヤしちゃって。「うおー! 僕も一緒に乗っかっていきたい!」ってなるんですよ。それで気がついたらああなったと(笑)。こういうメロディで歌いたくなっちゃったんですけど、どうですか?ってなるんですよね。

――そこは第5期ならではというか、お二人のソングライティングが有機的に行われているというか。

上原 僕はそんな、ちょいちょいですから(笑)。

柴崎 はははは(笑)。

――さて、第5期WANDSとして最初のシングルだった「真っ赤なLip」と今回の「YURA YURA」は、いずれもTVアニメ『名探偵コナン』のOPテーマ。お二人から見て、そうした国民的アニメの主題歌を手がけることについて、どのような思いを抱かれていますか?

柴崎 単純にWANDSとしてまず良い曲をいくつか書こうという大前提があり、いくつか『名探偵コナン』サイドに聴いてもらって選んでもらうという工程は前回も今回も変わらずで。でもアレンジ面においては、イントロで引き寄せる感じはあったほうがいいなという掴みみたいなものは常に意識していますね。

――なるほど。作詞の面ではどうですか?

上原 最初にワンコーラスデモで「YURA YURA」を書いたときは『名探偵コナン』のタイアップって決まっていなかったんです。フルコーラスのときに『名探偵コナン』になるのでって聞いて。でもアニソンのタイアップになりそうな楽曲の雰囲気ではあったので、もしなるとしたら『名探偵コナン』なんじゃないかなって(笑)。

柴崎 勘がいいね(笑)。

上原 なのでそこを意識はしていないですけど、ふんわり頭の片隅にはありましたね。

今の時代だからこそ“詰め込む”アレンジを

――ニューシングル「YURA YURA」ですが、まず作曲の段階で柴崎さんはどのようなイメージを?

柴崎 今回に限らずですが、嬉しい驚きというか、良い意味での裏切りは常に曲を出すごとにあったらいいなとは思っていて、少しでもいいのでそういう部分が入れられたらなといういう感じで作っていますね。

――「真っ赤なLip」を経て制作されたということで、より攻めたアレンジが施されていたのも印象的でした。それは作曲段階から想定されていたのでしょうか?

柴崎 どうだろう、曲を作っている段階ではそこまで想定していなかったかもしれないですね。アレンジの作業を進めるなかで、飽きないようにやっていこうと思ったら、盛りだくさんの内容になってしまって(笑)。

上原 僕はめちゃくちゃかっこいいと思いました。イントロの派手な感じからAメロのしっとりした雰囲気にいく緩急がすごいし、でもそれがバラバラな感じにならずまとまっていて、さすがだなって。後半の展開も飽きさせない作りになっていて、シングルっぽい曲だなと思いました。

――そうした緩急を見せながら後半に盛り上がっていく展開など、アレンジについてはどのように作られていきましたか?

柴崎 頭から作っていきました。例えば間奏でいうと、2番から英語の部分が終わってどこにいこうかなというところから始まり、そこから決まっていって、じゃあ次はどうしようかなって。それを最後まで繰り返していって。

上原 僕は間奏のギターソロのところがすごく好きなんですよ。

柴崎 本当?

上原 はい、めちゃくちゃ気持ち良いです。

柴崎 あそこも違う展開にいくのか、そのまま縦ノリのままいくのか考えたんだよね。結局ガーってノリでいっちゃうのがいいのかなっていう判断をして。そのあと急激に落ちていくとまた気持ち良いかなって。

――良い意味で詰め込む、やり切るというアレンジの妙が感じられる仕上がりだなと思います。

柴崎 今どき流行っているJ-POPはあまりごちゃっとしていない曲が多い気がして、ちょっと盛り込みすぎかなって悩んだりもしたんですけど……なんか、ちょっとやりたいなっていう気持ちがあって(笑)。

上原 時代に逆行するのがかっこいいというのはありますよね。逆にそれも今っぽいというか。

柴崎 周りと違うっていう。

上原 そういうのがかっこいいと思うんですよね。

――上原さんの作詞はいかがでしたか?

上原 基本楽曲の雰囲気、楽曲を聴いてのニュアンスやフィーリングを大事にして書いていった部分はありますよね。途中で自分の中に「こういう感じで完結させたい」という思いがあって、随所で音の雰囲気が全然違うので、その雰囲気に合った歌詞の内容にしたつもりです。Aメロは楽しい感じではなく哀愁があったので、そういうイメージになったと思いますし、サビでは朗らかな感じにして、強い感じではなく「気楽にいこうぜ」っていうイメージを感じ取ったので、そういった雰囲気を感じ取ってもらえる歌詞になったと思います。

――そういったイメージの中で生まれたワードも独特だなと思いました。

上原 Aメロの辺りはだいぶリアルな歌詞というか、抽象的じゃないワードが出てくるんですよね、“プレゼン”とか。最初どうしようか考えたんですけど、変かなと思いつつ面白いから入れようかなと思ったんです。少し違和感を感じるかもしれないけれど耳に残るので最終的にOKというか。変わったフレーズって耳に残りますよね。「ん?」ってなるけど、記憶に残るのはそういう歌詞だと思い、あえて残しました。

――フックになるような歌詞という点でも、改めて第5期的、上原さんらしい色が出た歌詞ですよね。

上原 でも歌詞は苦手なんですけどね……。

――意外ですね。では柴崎さんから見て、上原さんの歌詞はどう思いますか?

上原 ここで聞きますか(笑)。

柴崎 音の雰囲気に寄り添ったものを選んでくれているというか。雰囲気や世界観を大事にしようという部分では好きです。さっき上原も言っていた、ちょっと変かもしれないけどぶっこんじゃえっていう発想も好きだし、良いと思っていますよ(笑)。

――その流れで伺いますが、今回の上原さんのボーカルについてはいかがでしたか?曲の展開に対して高揚していく、という上原さんの弁がありましたが。

柴崎 上原の最初の直感のフィーリングがとても優れている感じがして。英語の部分は、デモのときに歌ってもらったテイクがすごくかっこよくて、それをそのまま使いました。EQとかコンプ処理済のデータをもらっていたんだけど、そのまま使っていると思う。

上原 そうなんですか。

柴崎 それも含めてかっこいいなって。あとアウトロも、普段デモが返ってくるときに、こっちから何も言わずともフェイクが入っていたりすることがあるんですけど、ここはぜひ欲しいなと思って丸投げしました。

上原 あそこに関しては色々試して歌いましたね。数パターン録って送った気がします。

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