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INTERVIEW

2021.10.20

【インタビュー】幸せいっぱいの『異世界食堂2』主題歌と、声優活動10周年記念ソングに込めた演者としての姿勢――。4thシングル「おんなじキモチ。」への想いを安野希世乃に聞く

【インタビュー】幸せいっぱいの『異世界食堂2』主題歌と、声優活動10周年記念ソングに込めた演者としての姿勢――。4thシングル「おんなじキモチ。」への想いを安野希世乃に聞く

声優アーティストの安野希世乃が4thシングル「おんなじキモチ。」をリリースした。この曲はTVアニメ『異世界食堂2』のオープニング主題歌で、幸せな食事のようすを膨らませて歌ったという。また本作には自身も出演中。カップリングに収録された声優活動10周年記念の楽曲「Act 10 ~Dear My Characters~」と合わせ、彼女の声優としての演じるスタイルを存分に語ってもらった。

誰かと一緒に食事する幸せを改めて感じて……

――ニューシングル「おんなじキモチ。」の初回限定盤には4月4日のアコースティックライブの映像ディスクが付属しています。まずはこちらの公演の感触をお聞かせください。

安野希世乃 昭和女子大学・人見記念講堂という由緒正しき場所で行われたライブで、やはり音の響きが素敵で、この会場とアコースティックライブとは相性がとてもピッタリだったなと感じました。このライブでは石成正人さんが、3rdシングルのカップリングの「夏色花火」と「生きる」のアコースティックバージョンに引き続いて編曲を担当してくださって、どの楽曲も生まれ変わった印象がありました。今回はピアノの松本圭司さんがアコーディオンも弾いてくださったり、パーカッションの福長雅夫さんも本当にたくさんの楽しい楽器をご持参いただき、あやのさんは原曲にないチェロのラインを本当に素敵にアレンジしてくださったりと、アコースティックでも音色(おんしょく)がたくさん聴こえてくるカラフルなライブになりました。

――今年4月の状況では公演に行ける人も限られていましたので、それをこうして音源としてファンの皆さんにお届けできるのはとても良いことだと思います。

安野 本当にそう思います。一部のパートを除きアコースティックフル収録で約76分もの大ボリュームなBlu-rayになっています。もう、オマケじゃなくて、おかずです(笑)。今回の「おんなじキモチ。」をきっかけに安野希世乃を知ってくれた皆さんにとって、楽曲の良さも含めすべてが伝わる特典になっていると思いますので、入り口としてぜひ初回限定盤をお手に取っていただきたいですね。

――ではその表題曲「おんなじキモチ。」について伺います。これはアニメ『異世界食堂2』のOPテーマとなっています。前作『異世界食堂』ではEDテーマ「ちいさなひとつぶ」を歌われていましたが、改めて主題歌を担当することについてはどんな思いでしょうか?

安野 もう、嬉しいポイントがたくさんあります!あれはちょうどデビューミニアルバム『涙。』のタイミングでした。4年ぶりに続編が作られるだけでも十分嬉しいのに、また主題歌として関われること、そしてこれまでのキャラクターたちも活躍して自分がまた役者として関われること。本当に嬉しい祭ですね!

――改めて、この作品の魅力はどんなところに感じられますか。

安野 一晩中、語れる自信があります(笑)。やっぱりこの作品の魅力は、「ご飯って、誰かと一緒に食べるとおいしいんだよね」ということを、心温まる登場人物たちのエピソードとともに、視覚的にも聴覚的にも伝えてくれるところだと思います。私たち役者の芝居はもちろん、パクッ、サクッという効果音や料理の絵を描くアニメーターさん、色をつける色彩設計さん、湯気を立てる撮影さんといった、どのセクションの方々も、いかにおいしく見せるかを、実際の料理を作るのと同じぐらい愛情を込めて一つの映像として仕上げてくださっています。それが伝わってくるまさに総合芸術なんですよ。料理は愛情と言いますが、本当にその通りのアニメーションに仕上がっているので、視聴者さんにも感じていただけると思います。

――そして今回の「おんなじキモチ。」ですが、作詞・作曲・編曲ともフワリさんです。楽曲のなかで安野さんの心に響いた部分を教えて下さい。

安野 とても温かみのある楽曲に仕上がっているなと感じました。『異世界食堂』の舞台である「洋食のねこや」は、魔族やドラゴン、トカゲ族といった様々な種族が分け隔てなくやってくる、広く開かれたお店なんですよね。そうした温かい空間を表現するのにぴったりで、誰にでも伝わる優しい言葉と温かい心で書かれた曲と歌詞だなと思いました。この作品は海外でも人気で、この曲の多幸感あふれる雰囲気は、日本語が分からない国の方が聴いたとしても絶対に伝わると思います。「パクッパクッ」、「咲くッ咲くッ」といった擬音の繰り返しも、簡単だからこそ日本語話者ではない方にも一緒に歌っていただけそうだなと思いました。

――ボーカルを収録するときにはどんな気持ちを伝えていきましたか?

安野 「ご飯おいしいよね」というメッセージも明快で、その気持ちで心を満たして歌おうと思いました。こんなに気持ちよく「パクッパクッ」って歌わせてもらえる機会なんて人生一度きりかも(笑)。私も食べるのが大好きなので、おいしいものを食べたときの幸せや誰かと食卓を囲むという幸せを膨らませて歌に落とし込みました。

――特にこの1年間は皆と一緒に食事する機会がこんなに貴重な時間だったのかと改めて思い知らされました。

安野 私も改めてこの尊さを噛み締めましたし、聴いてくれる皆さんも「人と一緒に食べるご飯って幸せだよね」って、ホロッと来ちゃうんじゃないかな。

――シンプルに幸せを表現していく歌に対して、逆にシンプルさに悩むようなことはありませんでしたか?

安野 今回に関しては悩まなかったですね。やっぱり、いちばん大事なのはこの曲の伝えている感情の部分だと思ったので、なるべく歌詞の情景に共感して、自分の中にある風景から引き出して、その気持ちを大きくすることに終始していきました。自分の知っている気持ちということもあり、この歌い手が誰なのかバックボーンを考えなくても手に取るようにわかりました。だからこそ、気持ちよく幸せに歌えたのかなと思います。

――そして、作品にはサラ役として出演もされています。

安野 1期のときも毎週の収録が楽しみでしたね。私が演じてきたキャラの中でもレアな性格をしていて、自分とはけっこう遠い人間性を持つ人物だからこそ、強く印象に残っています。彼女は商家の娘ですが、曾祖父の背中を追って自分もトレジャーハンターの道を進むっていうワイルドな強さを持つ女性なんです。サラらしさというものは頭の中に明確にありましたが、4年ぶりでちょっと声の調整は必要で、音響監督さんから「サラって、そんなしっとりしてたっけ?」と言われました(笑)。

――それは安野さんが4年間で大人になったから?

安野 ちょっとしっとりしちゃったのかもしれないです(笑)。

――自分から遠い役を演じることに対して安野さんは役者としてどんな思いですか?

安野 自分と明確に違うからこそ、そこを大きくしていける人物で、目指す方向がぼやけず、ある意味で演じやすいと思います。それにサラの場合は彼女が竹を割ったような気持ちの良い性格で、あまり深読みしなくてもよかったので、彼女を捉えやすかったこともあります。そうした彼女らしさをくっきりと視聴者さんに伝えていこうと思いました。

次ページ:「どこまでも私はあなたについていくからね」と想いを込めて

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