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INTERVIEW

2021.10.02

【スペシャル対談】ついに放送開始!TVアニメ『海賊王女』監督・中澤一登と音楽担当・梶浦由記に作品の魅力を聞く

深みのある奥行きが描き出された美しい絵がそこに

――OP主題歌も梶浦さんが担当されていますが、こちらも中澤監督の希望でしたか?

中澤 はい、「主題歌もお願いしてください」と。もう全部お願いしてください、と(笑)。

――OPに関しては何かオーダーされましたか?

中澤 いや、何も。すべてこちら側が合わせることが正解だと思っていました。でも、それも初めてに近いですね。何しろ、基本的にOPの製作は時間がないので。

――どうしても、放映初回分の作業がほぼほぼ終わるようなタイミングでやっと、OP制作に入れることも多いと聞きます。

中澤 そうなんですよ。だから曲が上がってからじっくり考えてOPを作ることができたのは初めてかもしれないです。「むぅ……」って言いながらやってました(笑)。

――梶浦さんとしては、どのような楽曲をJUNNAさんに歌ってもらうイメージでしたか?

梶浦 最初に出した曲はもう少し暗かったんですよ。JUNNAさんが歌う曲をずっと聴かせていただいていて、マニアックであったり大人っぽかったりという曲が多かったので、「あまりハジけてはいけないのではないか」という思いが私の中にありました。それに『海賊王女』のストーリーも、明るいところもありますがそれだけではないので、ある意味、どの方向性にもOPを持っていけますよね。だから、インナーな曲を提出してみたんですが、そうしたらフライングドッグさん側から少し暗いんじゃないかという意見をいただいたので、それならということで迷わず「ワクワク路線でいきます」と宣言し、作らせてもらったのが今の曲です。勿論、JUNNAさんはお子様な感じではない女性なので、のびのびとしたワクワク感がある曲、というところですね。「『海賊王女』ってどんな作品だろう?」と思ってOPを見た方が、「私も海賊になって船で海を渡ってみたい」と思えないといけないので。

中澤 すごく景色の広い曲だと思いますね。音が「見渡す」という感じというか、境目がないようなイメージを持ちました。なので絵も回り込みをたくさん使っています。サビの部分は「海」というよりも海中のイメージが浮かんだんですが、でも絵的にただの海中だとつまらないのでメキシコのセノーテをモデルにしています。

――フェナが海中で回っているシーンですね。

中澤 本編ではそこには行かないんですが(笑)。あくまでイメージで。

梶浦 でも、この先で行くかもしれないですよね。

中澤 いや、その通りです。2ndシーズンがあれば。

梶浦 2ndシーズンのことは考えていなかったです(笑)。フェナたちの将来を想像しただけで。でも、このお話なら2ndシーズンも作れますよね。

中澤 いくらでも作れますね。しかも、アメリカでは好評をいただいているので可能性はあるかもしれないです。

――完成したばかりのOP映像を先ほど梶浦さんもご覧になりましたが、感想をいただけますか?

梶浦 いや、もう、「幸せだなぁ」と。あんな素晴らしい映像をつけていただけるとは、なんて幸せな曲だろうと思います。

中澤 見ているとき、僕は逃げ出したかったですけど。

梶浦 いや、本当に美しくて度肝を抜かれました。

――ちなみにEDについては、OPと何か関連付けて選ばれるなどはあったのでしょうか?

中澤 そこは全く。OPとEDで大きく差異をつけるつもりはなかったですし、あくまでもOPはOP、EDはEDということで曲を作ってもらい、その候補曲の中から一番いいと思うものを選ばせてもらいました。ただ、最初は3分全てを使って起承転結が作られている曲になっていたので、(TV用に)切り出すと静かな部分だけになってしまいます。なので、(90秒の)尺に合わせて起承転結をつけていただけるとすごく嬉しいですとは伝えました。あとは何よりもアウトロがすごく良かったので、「そこを全部拾ってもらえませんか」と佐々木さんに言いました。映像に関しては、もう一人の監督である高橋に全部任せています。でも、歌詞も含めて、OPもEDも世界観を完全に理解していただいたので、それだけでもう嬉しかったですね。だからそこでもやっぱり「負けたくない」とは思いました。

――最後に、お二人が作りながら感じた、『海賊王女』の魅力を教えていただけますか?

梶浦 ストーリーのワクワク感や前に進む感じは勿論ですが、やっぱり絵が綺麗なんですよね。フェナもですし、特に街はどこに行っても、奥行きのある綺麗な深みがあります。世界が綺麗だと、そこで誰かが一言を発するだけで物語が始まりますし、そういう説得感を持っている絵なんです。「そこに行きたい」「この夜景が見たい」って思わせてくれますね。第1話を見たとき、脚本を読んでいたので何が起こるかは勿論知っているんですが、力のある絵が後ろに付くだけで台詞の聴こえ方が全然変わるということをあらためて気づかされました。それはすごく衝撃でしたね。なので、この美しい世界がどんどんと前に進み、さまざまな物語が巻き起こっていく、その、美しさとめくるめく物語の両方を楽しんでいただきたいです。そこで音楽が上手くサポートできていると嬉しいですね。

中澤 そこは同じ気持ちかもしれないですね。背景がすごく綺麗で空間が抜けているという感覚はあります。取材写真を撮った場所の「奥」がどのように抜けていたかという記憶はすごく残っていて、コンテを僕が一人で全部やっているというのもあり、その記憶だけで書いたんです。それに3Dによるレイアウトといったものは一切使っていません。実にアナログなんです。その場所の空気みたいなものが感じられる絵が描けたら、という思いがあったんです。劇場アニメと違ってTVアニメはフレームが小さいのでどのように描き切るかかなり四苦八苦しましたが、大きなものは大きく、小さなものは小さく、空間やそのスケール感を描くことができたと思っています。だから、見れば旅行に行った気分にさせる自信はあります。

――3DCG全盛の時代にあえてアナログな手法で美しい景色を描いている作品なんですね。

中澤 昔ながらのアニメの作り方に近いと思います。だから正直、昔よくあったアニメという感じになっているので、全然尖がっていないんです。キャラクターも物語も。丸みを帯びた作品になっていると思います。

INTERVIEW & TEXT BY 清水耕司(セブンデイズウォー)


●作品情報
TVアニメ『海賊王女』

MBS 10月2日より毎週土曜26時38分〜 ※第1話は26時08分より放送
TOKYO MX 10月4日より毎週月曜24時30分~
BS朝日 10月8日より毎週金曜23時00分~
AT-X 10月3日より毎週日曜23時30分〜
※リピート放送 毎週木曜29時30分〜、毎週日曜8時30分〜

配信情報
FODにて独占配信

【スタッフ】
原作:中澤一登×Production I.G
監督:ToyGerPROJECT
中澤一登
髙橋哲也
藤井サキ
脚本:窪山阿佐子
キャラクター原案:中澤一登
メインキャラクターデザイン:高橋靖子
キャラクターデザイン:西村理恵
コンセプトアート:西田 稔
色彩設計:土井 和
美術:竹田悠介 楠元祐也 田中孝典
撮影監督:荒井栄児
編集:石井 知
音楽:梶浦由記
音楽制作:FlyingDog
音響監督:中澤一登
音響監督補佐:鐘江 徹
音響効果:倉橋裕宗
録音調整:星野賢爾
プロデューサー:黒木 類
制作:Production I.G

オープニングテーマ:「海と真珠」JUNNA
エンディングテーマ:「サイハテ」鈴木みのり

【キャスト】
フェナ・ハウトマン:瀬戸麻沙美
雪丸:鈴木崚汰
紫檀:櫻井孝宏
花梨:悠木 碧
槐:佐藤 元
楓:逢坂良太
椿:大須賀純
真樺:田中進太郎
サルマン:村治 学
オットー:平田広明
グレイス・オマリー:深見梨加
チン・シー:金田 愛
シャーロッテ・ベリー:薮内満里奈
メアリ・リード:七瀬彩夏
ハンナ・スネル:河野 ひより
アルテミシア:茉莉邑薫
アン・ボニー:森谷彩子
アルビダ:日野まり
アベル・ブルーフィールド:森川智之
コーディ:八重畑由希音
フランツ・ハウトマン:中谷一博

©Kazuto Nakazawa / Production I.G

関連リンク

TVアニメ『海賊王女』公式サイト
https://fena-pirate-princess.com/

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