リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト

INTERVIEW

2021.09.01

【インタビュー】新しいSARD UNDERGROUNDの姿を映し出したアルバム――ZARD・坂井泉水 最後の未公開詞による新曲が収録された『オレンジ色に乾杯』リリースインタビュー

【インタビュー】新しいSARD UNDERGROUNDの姿を映し出したアルバム――ZARD・坂井泉水 最後の未公開詞による新曲が収録された『オレンジ色に乾杯』リリースインタビュー

ZARDのトリビュートバンドとして活動をスタート。昨年2月には、TVアニメ『名探偵コナン』のEDテーマ「少しづつ 少しづつ」を発売。この曲の歌詞は、ZARD・坂井泉水が生前に執筆していた未公開の歌詞を使用。『名探偵コナン』とZARDも深い関係を持っていたことから、ZARDファン・『名探偵コナン』ファンの両方から高い支持を得ていた。そんなSARD UNDERGROUNDが、同曲も収録した1stアルバム『オレンジ色に乾杯』を9月1日に発売。ショートアニメ『スナとマヌ』のテーマ曲なども収録された今作の魅力をメンバー三人にじっくり語ってもらった。

――坂本(ひろ美)さんはショートアニメ『スナとマヌ』で声優に初挑戦しました。どんな役柄だったのか、実際に演じてみての気持ちも踏まえ、教えてください。

坂本ひろ美 演じたのは、三猫たちによるバンドサークルのメンバーの一人「からあげくん」という役柄でした。体調不良で脱退した赤坂さんの代役でもあるので、彼女を想いながら挑みました。映像を観ながらしゃべることは初めての経験で、実際に演じるまでドキドキしていましたが、始まったらあっと言う間。難しさもありますが、とても楽しい経験になりました。

神野友亜 ろみさん(坂本)の話を聞いていたら、私も挑戦したいと思いました。

杉岡泉美 私もです(笑)。

――SARD UNDERGROUNDは、『スナとマヌ』の第1期主題歌「ブラックコーヒー」、そして今流れている「イチゴジャム」の2曲を担当(取材時。現在第3期主題歌「擦り傷だらけの純情」がオンエア中)しています。「ブラックコーヒー」の歌詞では“恋する世界はストロベリーのように”と歌っていましたよね。「イチゴジャム」では、“温めると溶ける ふたりの恋みたい”とも表現。この2曲、続きの物語として書いたのでしょうか?

神野 『スナとマヌ』の主題歌をというお話を受け、最初に書いたのが「ブラックコーヒー」でした。かわいらしいスナやマヌを通して感じ取った印象や世界観を大切にしたうえで、当時の心境も重ね合わせて書きました。その後、第2期主題歌を制作し始める時にプロデューサーと話をしたのが、『前作が「ブラックコーヒー」だったから、今回も食べ物繋がりのタイトルにしようか』ということでした。そこから、私が言葉を書きためている作詞ノートに記した「“君に作ったイチゴジャム 甘さは控えめがいい”という言葉を使って歌にしよう」ということになり、「イチゴジャム」が生まれました。ただ、言われたような繋がりはまったく意識していなかったんです。私自身、「ブラックコーヒー」の歌詞に“ストロベリー”という言葉が出ていると言われ、「あっ、本当だ!」と改めて気づいたように、そこからの繋がりはありませんでした(笑)。

――そうだったんですね。SARD UNDERGROUNDといえば、TVアニメ『名探偵コナン』のEDテーマ「少しづつ 少しづつ」も担当していました。皆さんの身近には、どんな反響の声が返ってきましたか?

杉岡 身近な人たちの中には泣いて喜んでくれる人もいて。私たち自身も小さい頃から慣れ親しんできた作品なので、番組で歌が流れたときは夢を見ているような感覚でした。

神野 「少しづつ 少しづつ」は、ZARDの坂井泉水さんの未公開詞を歌った楽曲ということもあって、『名探偵コナン』のファンの方々はもちろん、ZARDさんのファンの方々からも喜んでくださる声がたくさん届いて。「少しづつ 少しづつ」をきっかけにSARD UNDERGROUNDのことを知ってくださる方が増えたのも、とても嬉しいことでした。

坂本 坂井さんの未公開詞を歌うというプレッシャーは、正直とても大きかったです。ですが、大切に想いを届けたいという気持ちで、イベントなども一生懸命みんなで頑張りました。その頃から、たくさんの温かいコメントをいただけたのは嬉しい自信になりました。

神野 ZARDさんのファンの方々が、「未公開の詞を、SARD UNDERGROUNDの歌として聞けたことが嬉しい」と言ってくださったんです。その言葉を聞けたのも嬉しかったですね。

――アルバム『オレンジ色に乾杯』には、同じく坂井さんの未公開詞を歌にした「夏の恋はいつもドラマティック」を収録しています。坂井さんの歌詞を受け継ぐのは、大きなプレッシャーでもありますか?

神野 もちろんプレッシャーはあります。でも、とても光栄なことなので、そのお話をいただくたび、1曲1曲大切に作り続けてきました。

――「夏の恋はいつもドラマティック」の歌詞を読んだときの感想も、それぞれ聞かせてください。

神野 「相手のことが好きなのに、相手のことを想うあまりにちょっと距離を置いてしまう」「相手のために強くありたいと願う女性の気持ち」など、相手想いの歌詞に坂井さん特有の世界観が出ているなという印象を覚えました。

杉岡 坂井さんの歌詞は、優しく寄り添ってくれることが多く、聞くたびに頭から離れられなくなる言葉が多いなと思っています。今回もその印象を受けて、坂井さんの詞(ことば)を想いながら形にしていきました。

坂本 「夏の恋はいつもドラマティック」を聴いていると、いつも優しく、温かい気持ちになれます。私も坂井さんの歌詞から、強い女性でありたい気持ちと、相手を想いやる気持ちの両方を感じていたので、その気持ちを大切に演奏しました。

――アルバム『オレンジ色に乾杯』、当初は『夏の終わりに…』というタイトルでもう少し早い時期にリリースする予定でした。そこが変更になった理由も聞かせてください。

神野 当時、結成のときから一緒に活動を続けてきたギターの赤坂美羽が、バンドを脱退することになったんです。最初はメンバーみんな驚きを隠せませんでしたし、すごく悲しかったです。ただ、この三人で顔を合わせた時、以前と変わらない笑顔と優しい空気がバンドの中にあったことで、三人とも「これからも、今までと変わらずに前を向いて頑張っていける」と思いました。タイトルは、これからも頑張っていくぞ!という前向きなタイトルにしようという話しになり、予定していた『夏の終わりに…』でなはく『オレンジ色に乾杯』と題名を変え、今回リリースする形にしました。

――目の前のあらゆることを、三人は前向きに受け止めたわけですね。

三人 そうです。

次ページ:『オレンジ色に乾杯』というタイトルに込めた想い

SHARE

RANKING
ランキング

もっと見る

PAGE TOP