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INTERVIEW

2021.08.11

【スペシャル対談】『電音部 ベストアルバム -シーズン.0-』発売記念、各エリアインタビュー!【第二弾】アザブエリア:秋奈(黒鉄たま役)×ケンモチヒデフミ

【スペシャル対談】『電音部 ベストアルバム -シーズン.0-』発売記念、各エリアインタビュー!【第二弾】アザブエリア:秋奈(黒鉄たま役)×ケンモチヒデフミ

バンダイナムコエンターテインメントが送る音楽原作キャラクタープロジェクト『電音部』。このプロジェクトが1周年に際して、5月29日から40週連続リリース企画をスタート。また、6月30日には初のアルバム『電音部 ベストアルバム -シーズン.0-』がリリースされた。

リスアニ!WEBでは、「DJ」と「キャラクター」をテーマに、アキバ、ハラジュク、アザブ、シブヤの4エリアに分かれてトラックメイカー、声優陣、イラストレーター、エンジニア、動画クリエイターなどが集結するこのプロジェクトの魅力を紹介するべく、各エリアの担当クリエイター&声優陣の対談企画を実施。

今回は第二弾として、アザブエリアのセンター・黒鉄たま役の秋奈と、彼女のソロ曲「いただきバベル(Prod. ケンモチヒデフミ)」を手がけた水曜日のカンパネラのケンモチヒデフミに、このプロジェクトならではの魅力や楽曲制作時のエピソードを聞いた。

【第一弾】ハラジュクエリア:小坂井祐莉絵(桜乃美々兎役)×音楽ユニット・Neko Hacker
【第三弾】アキバエリア:天音みほ(東雲和音役)×TAKU INOUE
【第四弾】シブヤエリア:健屋花那(鳳凰火凛役)×Masayoshi Iimori

参加メンバーは全員主役。電音部は「みんなでつくるプロジェクト」

――ケンモチさんと秋奈さんは、電音部のプロジェクト発表時から参加者として名前が挙げられていた方々ですが、このプロジェクトの最初の印象はどんなものでしたか?

ケンモチヒデフミ 最初にお話をいただいた時点で、ほかの参加予定アーティストさんも伺ったんですが、そのなかには僕が以前から自分の趣味で聴いていたアーティストさんもたくさんいましたし、その人選がとにかく「本気だな」と思いました(笑)。なかにはこれまで必ずしもキャッチーな歌モノを書いていたわけではない方々もいたので、「この人が参加すると、どんな曲になるんだろう?」と、同じトラックメイカーとしてすごく楽しみになりましたし、そこに自分も混ぜていただけるということで、発表前からすごく楽しみな気持ちでした。

秋奈 私の場合、最初の段階ではまだ内容をざっくりとしか聞いていなかったんですけど、最初に思ったのは「とにかく楽しそう!」ということでした。いただいたお話から「自由で楽しそうだな」という印象を受けていましたし、DJをやったことはなかったので不安はありましたが、それよりも楽しさやワクワク感のほうが大きかったと思います。

秋奈

――でも、初心者からDJを始めるのは大変だったんじゃないですか?

秋奈 最初は「ええーっ!?」という感覚でした(笑)。でも、やっぱりワクワク感のほうが勝っていたので、とても楽しみにしていました。

ケンモチ 秋奈さんのDJは実際にイベントで観せていただきましたが、とても上手でした。セット全体の流れや曲を繋ぐタイミングの意外性、気持ち良さ、高揚感のバランスの取り方がすごく上手いな、と思いました。

秋奈 全然そんなことはないです……! でも、当日ケンモチさんに褒めていただいて、そのときは一人で小躍りしていました(笑)。電音部では、声優陣は DJ和さんにDJを教えていただいているんですけど、その練習の休憩中に和さんがすごく楽しそうに色んなエフェクトで遊んでいるのを見て、「DJって難しくて、大変そうだな。私にできるかな」という気持ちから、「楽しそう。私もやりたい!」という気持ちに変わったのを覚えています。それで、和さんに色々と聞きながら、色んな技を詰め込むようになったんです。

ケンモチ イベントでも特定のエフェクトをよく使っていましたよね。「きっとこのエフェクト、好きなんだなぁ」と思いながら観せていただきました。めちゃくちゃ良かったです。

――ほかにも、お二人が活動を続けるなかでこのプロジェクトに感じた魅力というと?

ケンモチ 最初に曲を作り始めた頃は、まだ黒鉄たまというキャラクターがどんな性格で、どんな声なのかわかっていませんでした。なので、設定資料や設定画から「たまちゃんは多分こういう子なんじゃないか?」「こういう歌詞を歌うんじゃないか?」と予想して探り探り進めていったんですけど、どうやらキャラクターデザインを担当したMika Pikazoさんもそれは同じで、逆に僕の曲を聴いて「あっ、こういうキャラなんだ」と腑に落ちたことで、たまちゃんのキャラクターデザインを完成させたそうで。そのときに「こんなにお互いにキャッチボールができるプロジェクトなんだな」と感じたことは印象的でした。みんなでたまちゃんを作り上げていく過程がすごく楽しかったです。そのあと、4コママンガで「実はこういうキャラなんだ」「こんな性格だったんだ」と知るのも面白い経験でした。

ケンモチヒデフミ

――なるほど。アイデアのキャッチボールが起こりやすい雰囲気なんですね。

秋奈 あとは、電音部って、トラックメイカーさんや声優さん、イラストレーターさんたちが1つになって初めて、1つの曲になるプロジェクトだな、と思っています。こういうプロジェクトの場合、普段は歌を歌う声優さんにスポットが当たることが多いと思うんですけど、電音部はケンモチさんが作る曲も、私の声も、ほかのクリエイターさんも含めてみんなを主役にしてくれる感覚があって、何かに偏ることなく、全員で作り上げていく雰囲気がある気がします。私はそこがすごく好きです。

ケンモチ 恐らく、スタッフの皆さんが予定調和にならないようにしてくださっているとも思います。実は、電音部では最初に曲を作る際に「こんな曲を作ってください」「こんなふうにしてください」という細かい指定が一切なかったんです。普通歌モノの依頼だと、「こういうイメージで作ってください」「サビはもっと早めにくるようにしてください」など先方のリクエストがありますが、電音部はそれがほぼ何もなく、いただいた資料をもとに、自分で自由に考えていくような雰囲気でした。

――へええ。それはメディアミックス作品としてはすごく珍しいかもしれませんね。

ケンモチ そうなんですよ。

秋奈 だからなのか、エリアや曲ごとにそれぞれのトラックメイカーさんの魅力がすごく伝わってくるような気がします。電音部の楽曲は、皆さんが楽しそうに作っている姿が想像できるような雰囲気で素敵だと思いました。

アザブエリアのエースの魅力を表現。「いただきバベル」の制作秘話

――アキバ、ハラジュク、アザブ、シブヤの4エリアの中で、皆さんが担当しているアザブエリアに感じる魅力はどんなものだと思っていますか?

ケンモチ シブヤとハラジュクとアキバって、「こういう感じだよね」という音楽性やカルチャー感がイメージしやすいと思うんですが、最初に思ったのは、「アザブのイメージって、どういうものだろう?」ということでした。そもそもアザブって、シブヤやハラジュクと比べても、思い浮かべる地域が結構大きいと思うんですよ。しかも、キャラクターの設定画を見ると、ほかのエリアはある程度統一された雰囲気があるのに対して、アザブはちょっと違っていて。まずはそれがすごく面白いな、と思いました。

秋奈 (『電音部』の統括プロデューサーの一人である)石田さんが話していたんですけど、「アザブエリアは三人の距離感が近すぎず、遠すぎずいることを意識している」そうで。それが、「Where Is The Love (feat. Shogo&早川博隆)」のような楽曲にも雰囲気として込められているのかな、と思いました。

――そのなかでも秋奈さんが演じる黒鉄たまは、アザブエリアのエースであり、同じくアザブエリアのメンバー、白金煌の専属のメイドという役柄ですね。

秋奈 たまちゃんは、自分が働いていたバベルというお店が潰れてしまって、そのときに煌様に救ってもらった経緯があるんです。なので、たまちゃんは煌様には逆らえません(笑)。

ケンモチ アザブエリアの三人って、一見少し距離を置いているのかな、とも思いますけど、実は裏にそんなエモいエピソードが隠れていて。そういう話があとから出てくるところにグッときます。あと、たまちゃんのキャラクター性って、イラストと文字情報だけだと「どういうふうに二人と絡むんだろう?」と謎だったんですが、秋奈さんの声が入ったときに、「ああ、なるほど」とビジョンが見えた気がしました。こんな自然に三人が溶け込めるんだな、ということは、秋奈さんが演じる声を聞いて初めて理解できたと思います。

秋奈 アザブエリアの場合、アキバエリアと比べるとまだ世に出ている情報が少ないので、これからたくさんの魅力を発信していければと思います!

――ではここから、「いただきバベル (Prod. ケンモチヒデフミ)」の制作過程について聞かせてください。まず、ケンモチさんはどんなふうに作曲を進めていったのでしょう?

ケンモチ 最初に、僕以外のアザブエリアのトラックをつくるメンバーがtofubeatsさんやパソコン音楽クラブさんたちだと知り、「この方たちなら絶対にお洒落な曲を作ってくださるだろう」と思って。僕が担当するたまちゃんのソロ曲は、少し毛色の違う曲でも許されるんじゃないかと考え、BPMが早いわちゃわちゃとしたトラックにしていきました。また、「いただきバベル」では曲の中に銃声をたくさん入れていて……。

秋奈 あの銃声、すごく好きです!

ケンモチ ありがとうございます。そうすることで、ちょっと治安の悪さを出しているんです。たまちゃんっぽさをイメージして、ジャンルとしてはジャージークラブにしています。

――なるほど。ジャージークラブを取り入れることで、アザブエリアの中でも令嬢の二人とは違ってストリートっぽい魅力がある、たまちゃんらしさを表現しているんですね。

ケンモチ そうですね。あと、そもそも最初の設定資料の時点では、たまちゃんは今よりもっとやんちゃで、一匹狼風のイメージだったんです。それもあって、「いただきバベル」ではガーッと強めな歌詞を書いていきました。

――歌詞の面では、たまちゃんを成り上がり精神のあるラッパーとして捉えているような言葉が出てくるのがとても印象的でした。

ケンモチ たまちゃんはアザブのエースなので、強めのノリのいい曲にしました。そのうえで、一見ヒールっぽいですけど、一方で悪になりきれもしないので結局はかわいくなってしまう、という雰囲気も大切にしています。

秋奈 たまちゃんの曲は、ほかの二人とは雰囲気が本当に違いますよね。煌様や銀華ちゃんは、どちらかというと夜の静かなイメージというか、「都会の夜」という雰囲気で。

ケンモチ すごく大人っぽいんですよね。

秋奈 でも、そこにたまちゃんの曲が入ることでスパイスが加わって、アザブエリアの三人の関係性がより魅力的に感じられるようになっているのかな、と思いました。

ケンモチ 秋奈さんの歌声も、楽曲によくマッチさせてくださった気がします。秋奈さんはレコーディング中も色々とアイデアを出して、何テイクも提案してくださったんです。“跳ねろ”の部分も、「ここは巻き舌にした方がいいですか?」と何パターンもアイデアをくれたので、みんなで聴きながら「巻き舌のほうがいいですね」と決めていきました。

秋奈 「いただきバベル」は最初に聴いたときから、「めちゃめちゃかっこいい!」と思いました。デモではケンモチさんが仮歌を歌ってくれていたんですけど、それを母と一緒に聴きながら「楽しい曲」と言っていて。でも、同時に難しい曲だと思いましたし、「ここにたまちゃんっぽさを加えていくのが私の仕事だな」とも思ったので、元々はフラットに歌ってくださっていたケンモチさんの歌い方に、設定資料を見ながら、たまちゃんらしさを加えていきました。例えば“誰も聞いたことのない音鳴らす”の語尾を上げてみたり、小生意気な言い回しをしてみたり、そうやってたまちゃんらしさが伝わるように工夫していきました。

次ページ:「電音部はキャラクターたちにとってだけでなく、僕らにとっても部活動」

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