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INTERVIEW

2021.07.28

「アニソンに力をもらって今ここにいる」―愛美、TVアニメ『現実主義勇者の王国再建記』EDテーマ「カザニア」リリースインタビュー

「アニソンに力をもらって今ここにいる」―愛美、TVアニメ『現実主義勇者の王国再建記』EDテーマ「カザニア」リリースインタビュー

この春、ソロアーティスト活動をリスタートさせた愛美が、早くも続くニューシングル「カザニア」を届けてくれた。TVアニメ『現実主義勇者の王国再建記』のEDテーマとなる表題曲は、ガザニアの花のように誇り高く、吹き抜ける風のように爽快なナンバー。自身が作詞したカップリングの2曲を含め、彼女のこだわりが詰まった作品に仕上がっている。そんなシングルについて、音楽ダウンロード・音楽配信サイト「mora」との連動企画でたっぷり話を聞いたので、ぜひ併せてチェックしてほしい。

★音楽ダウンロード・音楽配信サイト「mora」のインタビューページはこちら

アニメソングを歌うことへの想い、向き合い方の変化

――ニューシングルの表題曲「カザニア」は、TVアニメ『現実主義勇者の王国再建記』(以下、『現国』)のEDテーマ。愛美さんにとっては久々のアニメタイアップ曲になりますね。

愛美 そうなんです! 私は進路や色々なことで悩んでいた学生時代に、『マクロスF』に勇気をもらって、「アニソン歌手になりたい!」と思ったのがこの業界を目指したきっかけだったので、またアニソンを歌うことができてすごく嬉しいです。アニソンに力をもらって今ここにいるので。

――愛美さんがこれまでに歌ってきたアニメソングだと、個人的には『ベン・トー』のOPテーマだった「LIVE for LIFE ~狼たちの夜~」が思い出深いです。

愛美 わー、嬉しい! 『ベン・トー』の曲は、芸人の粗品さん(霜降り明星)もYouTubeで紹介してくださったみたいで。特に最近は「『ベン・トー』の曲って愛美が歌ってたんだ」みたいな反応をよく見かけます。作品のファンの方の熱量がずっと続いているのが嬉しいし、自分が頑張ってきた証が確かにそこにあるんだなって感じます。

――当時と今で、アニメのタイアップ曲を歌う際の心構えというか、気持ちに変化はありますか?

愛美 当時はアニソンを歌えるだけで幸せだったし、いただいた楽曲を表現することに精一杯でした。だけど、今こうしてアーティスト活動を再始動するとなったときに、この10年で伝えたいことや言葉にしたい想いが自分の中にたくさん溜まっていることに気づいて。だからこそ(前作「ReSTARTING!!」では)絶対に自分で作詞をしたいと思いましたし、今回は“アーティスト・愛美”としての基盤がありつつ、その愛美がいかにアニソンを歌うか?というのが以前とは明確に違うと思います。

――きっとこれまでの活動の中で、自分自身のこだわりたいところをより理解できるようになったんでしょうね。

愛美 やっぱり以前は歌うことだけで精一杯だったんですよね。だけど、そこから色んな活動をやって、この「カザニア」に辿り着いて。実は「カザニア」がアーティスト活動を再開するにあたって最初にレコーディングした曲で、改めて「ソロの愛美の歌声とは何か?」というところから始まったんです。そこで素直に曲を聴いて出たものが愛美の歌声というところに落ち着いて。色んなキャラクターを通して色んな表現の歌を歌ってきた結果、深く考えずに出せる愛美の歌声がいつの間にかできていました。

『現国』の世界観と母性をイメージして生まれた「カザニア」

――今回の新曲「カザニア」は、ボカロPやマニピュレーターとしても活躍するタルタノリキさんが作詞・作曲・編曲を担当。『現国』のタイアップありきで制作したと思うのですが、愛美さんは楽曲を決める段階から関わったのですか?

愛美 はい! コンペで集められたたくさんの楽曲の中から、『現国』の世界観に合うもの、かつ、愛美が歌って素敵になりそうな曲ということで選ばせていただきました。色んな曲を聴いたんですけど、この曲が一番もう1回聴きたいと思ったんですよ。特にBメロと、サビの最後に出てくるメロディがすごく耳に残って。あとは歌から始まるところもいいなと思って、心を掴まれました。

――『現国』らしさを感じたポイントは?

愛美 『現国』は壮大な世界観ですけど、この曲は爽やかだし、使っている楽器も民族音楽というか少し異国感があるので、ファンタジー感が合いそうと思いました。特にスネアの音が個人的に気に入っていて、旅をしている感というか、一緒に物語を歩いているような情景が浮かぶのが素敵だと思います。あと、私が演じているカルラ(・バルガス)が、空軍に属している半竜人の女の子で、翼が生えていて空を飛べるんですけど、この曲も空を駆けているような感じがあるなと思っていて。

――たしかに。歌詞も“吹き抜ける風 世界を駆け抜け”から始まります。歌詞を受け取ったときの印象はいかがでしたか?

愛美 壮大なので、自分がどれだけ歌で具体性をもたせて、皆さんに情景を浮かばせることができるか、課題を感じました(笑)。私は『現国』のソーマ(・カズヤ)とリーシア(・エルフリーデン)の関係性、それにリーシアと自分が演じるカルラの関係性が印象的で。そばで見守ったり、支えたり、お互いを信じる心で繋がっているような人間関係が、『現国』では描かれているんです。その優しさ、大切な人のために何かをしたい心を歌声で表現したかったので、歌うときは母性のようなものを意識して。でも自立感もあって、芯があるんだけど、伸びやかで、爽やか。そういう歌い方を目指しました。

――この曲の愛美さんの歌声は地に足が着いた感じがしたのですが、今の母性というお話を聞いて、大地の女神感といいますか、自然の力を感じられる曲でもあるなと思いました。

愛美 たしかに。風や空のイメージが強いですけど、大地も感じますね。個人的に「カザニア」には、自分が発したメッセージ、歌詞、言葉、歌とかが、風のように広がっていったらというメッセージも込めていて。いつか遠くの誰かに届いて、その人のことを救えたり、癒しになったらいいなあっていう。そんな願いも込めました。

――あと、Dメロ前のブリッジの箇所に幻想的なコーラスが入っていますが、あそこも異国感があっていいですね。

愛美 あそこはまさに『現国』の異国感を表現したところです! 実はどこにもない言葉で歌っていて。元となる言葉があるんですけど、それをぼかして、どこの言葉でもない感じに聴かせるようにしました。元の言葉を当てられたら天才だと思います(笑)。

――逆に『現国』らしさではなく、自分の気持ちに重ねられた部分はありますか?

愛美  “ただ永遠を願ってしまう”っていうところです。なんか、猫とか見つめて、ご飯食べて、そんな時間がずっと続けばいいのになあって思います。

――……急にどうしたんですか?(笑)。

愛美 (笑)。幸せと思える瞬間を願ってしまうというか、これが永遠だったらいいのになって。生きてると、山あり谷ありじゃないですか。そうではなくて、幸せな時間が一生続けばいいし、もうずっとベッドの上でだらだらしていたいみたいな(笑)。

――今のお話を聞いて、愛美さんが佐々木未来さん、伊藤彩沙さんとやっている声優三姉妹【チームY】の動画で、朝なかなか起きない愛美さんを二人が一生懸命起こすのを思い出しました。

愛美 “絶対に起きない女vs絶対に起こしたい女”ですね(笑)。でも、あれは起きなきゃいけない時間まであと30分ぐらいあったので。

――であれば起きる必要がないと(笑)。

愛美 そう、起きなくていい(笑)。『現国』の世界観で言うと、ソーマは別の世界から召喚された勇者だから、いつ元の世界に戻されるかわからないと思うんですよ。だから主人公たちが一緒に過ごす時間が永遠に続けばいいっていう意味もありますし、皆さんもそれぞれ幸せな時間が永遠に続けばいいのにって思うんじゃないかなって。

次ページ:愛美流サマーソングと“現実逃避”ドライブソング

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