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INTERVIEW

2021.07.23

【インタビュー】スフィアやTrySail、CHiCO with HoneyWorks、halcaらが所属するミュージックレインが「ミュージックレインオーディションプロジェクト2021」開催中!水島精二監督が語る、ミュージックレインの魅力とは――。

【インタビュー】スフィアやTrySail、CHiCO with HoneyWorks、halcaらが所属するミュージックレインが「ミュージックレインオーディションプロジェクト2021」開催中!水島精二監督が語る、ミュージックレインの魅力とは――。

人気声優アーティストやアニソンシンガーを擁するミュージックレインが3つのオーディションを同時開催し、次世代の表現者を募集している。1つ目はCHiCO with HoneyWorksのボーカル・CHiCOやhalca を輩出したボカロ曲&アニソン特化型オーディションの第3弾「ウタカツ!3」。2つ目はスフィアやTrySailに続くマルチに活躍できる声優アーティストを発掘する「スーパー声優オーディションα」。そして、今回新設された3つ目が、ボカロPやコンポーザー、イラストレーターや絵師などの表現者を広く募集する「クリエイターオープンコール」だ。アーティストマネージメントと音楽レーベルを併せ持つプロデュースカンパニーであるミュージックレインが、3つのオーディションを同時開催するのにはどんな意図があるのか。今回は、ミュージックレインと縁が深く、2012年には「スーパー声優オーディション」第1回(2005年)の合格者であるスフィアのメンバー四人を主役にしたTVアニメ『夏色キセキ』(2012年)で監督を務めたアニメーション監督の水島精二に、音楽評論家・冨田明宏、リスアニ!編集長・馬嶋 亮がミュージックレインの魅力を聞いた。

冨田明宏 水島監督は「スーパー声優オーディション」の第1回目が開催された頃のことを覚えていますか?

水島精二 僕がTVアニメ『鋼の錬金術師』(2003~2004年)の監督をしているときに募集していたのを覚えてますね。審査員にMBSのプロデューサーをやられていた竹田靑滋さんやボンズの南(雅彦)社長も入っていて。同じ頃、多数の女の子の役者に歌をうたわせるコンテンツが増えてきたんですね。だから、同じように新人声優オーディションがたくさんあったし、ソニーグループも勢いがあった「土6枠」を看板にして、同じようなオーディションを始めたという印象だったんです。でも、僕は当時、オーディションで集めた新人声優をすぐに現場で起用するっていうことに批判的だったんです。若い役者をタレント的に起用して使い捨てるみたいなやり方には反発があって。

冨田 なるほど。

水島 だから、「新人が送り込まれてきても使わねえ!」なんて話をしてたんですけど(笑)、このオーディションはほかとは違うんだなって思った出来事があって。

冨田 その出来事というのは?

水島 オーディションに合格したあと、全然デビューしなかったんですよ。ミュージックレインは、「しっかりと育ててから現場に出す」っていうことをしていたんですね。だから、のちにTVアニメ『ガンダムOO』(2007~2009年)で高垣彩陽さんを起用しましたけど、それはアニメのオーディションで「この子、面白いし、新人だけどちゃんとお芝居ができている」と思ったからで、「スーパー声優オーディション」の合格者だっていうことにはまったく気づいてなかったんです。そんな感じで、なし崩しでミュージックレインの役者を起用しちゃったわけですが、その後、アフレコ現場で高垣さんと話したら、レッスンをきちんと受けて、色んなワークショップに行って、会社が大丈夫という段階にならない限りは簡単に現場に出れなかったっていう話を聞いて。ちゃんとした声優を育てることが第一であるという取り組みがあったってことを知ったんですね。そこで、ほかとは違うんだって思いましたし、それ以降も、監督としては、“声優”とうたう限りは、お芝居を第一にして欲しいという希望はずっともっていますね。

冨田 実力主義、現場主義ということですよね。声優さんはまずお芝居があって、プラスアルファとして歌などがあるという。ただ、今回はゲーム実況者やマジシャンなど、マルチに活躍できる人も募集しています。

水島 こんな言葉を使うのは嫌だけど、時代の流れもありますよね。今の声優さんは、それこそ、「スーパー声優」と名乗っていいんじゃないかと思うくらい、色んなことを頑張って器用にやっている子が多い。ちゃんと声優を軸に置きながら、マルチにやることに対して能動的に動いて考えている子は素敵だなと思いますね。だから、僕も今は昔とは認識が変わっていて。自分が任されているのはアニメ作品であり、関わりはアフレコ現場なので、そこでどれだけキャラクターとリンクさせられるか、芝居のクオリティを高められるかっていうことを重点的にやるっていう考え方に変わってきました。それでも、ミュージックレインは、この約15年で「スーパー声優オーディション」を3回しか開催してないっていうのがすごいんですよ。

冨田 2011年開催の第2回の合格者がTrySailの三人で、2017年開催の第3回目には五人の合格者が出てます。

水島 フレッシュな人をどんどん入れて使い捨てるのではなく、しっかりと下準備して出していくことを考えると、ミュージックレインに入ったら安泰ですよね。マネージメントとして、ちゃんと育てる意識があるのは、役者として向き合っているからだし。声優さんは本人の容姿に関わらず、味が出てくれば、役者としての仕事はずっとあるわけですよ。役者としてはもちろん、アーティストとしての成長までずっとサポートしてくれる。そんな会社、なかなかないですよ。スフィアの四人も、デビューから10年以上経って、求められるものが変わってきているけど、役者としても、タレントしても打ち返せるスキルを身につけている。TrySailの三人も色の濃い子たちになったし、きちっと役者をやりながら、それぞれがアーティストしても活動してるわけでしょ。だから、僕からすると、才能自体には信頼感をもっていますね。

馬嶋 亮 三期生はTVアニメ『IDOLY PRIDE -アイドリープライド-』や『ワンダーエッグ・プライオリティ』にも出演していますよね。

水島 一期生、二期生の名前はもちろん全員言えるけど、三期生はまだ認識してないんですよ、僕は。つまり、4年かけてじっくり育てたということでしょ?

馬嶋 一般的なオーディションは、定期的に開催してたくさんの合格者を毎年送り出している印象ですが、そんななかでミュージックレインは10年以上の歴史の中で、オーディションを開催したのがたったの3回なんですよね。

水島 だから、「ミュージックレインに所属しようとしている若い子に何か声をかけることがありますか?」と聞かれたら、「安心してついていきな!」とは言えますね。ここはね、少数精鋭だけどアーティストに向ける熱意や一体感に関していつもすごいものがあるなって思っていて。若い才能を変に焦ることなく、じっくりと育てていく。その中で自由に成長して、それぞれがとても個性を発揮しているなって感じるんですね。少なくとも僕は本当に信頼のおける会社だなって感じているし、生きているうちにスフィアの四人と一緒に『夏色キセキ』のその後の作品を作りたいと思っていて。きっと、このオーディションからも、TVアニメをやっている監督のお眼鏡に叶うような人がこれからも生み出されていくだろうと思っていますね。ちょっと褒めすぎかな(笑)。

冨田 あはははは。でも、水島監督がおっしゃる通りだと思います。

馬嶋 ちなみに、今回は新たに「クリエイターオープンコール」と名付けたクリエイター募集枠も新設されたんですよね。

水島 今は表現方法もプラットホームも1つじゃなくなってますからね。アマチュアの歌い手と絵師さんが組んで、SNSからヒットが生まれてくる時代じゃないですか。ミュージックレインはいわゆる「オタクカルチャー」にもきちんと目配せをしているから、元々あった声優と歌い手、それに映像を生み出すクリエイター、この3つを同時に募集するのは面白いなと思いましたね。「この組み合わせで何ができるか」というクリエイティブな希望に向いているのがわかるし、とてもエポックだと思いますね。

冨田 今回の「クリエイターオープンコール」では映像クリエイターだけではなく、ボカロPやイラストレーターなど幅広く様々なジャンルのクリエイターを募集しています。

水島 今の若い子は、YouTubeで音楽を聴くし、曲と絵が一緒になっているのも当たり前じゃないですか。だから、今、映像クリエイターやイラストレーターの募集をミュージックレインがやるのは、ほかのレーベルに先んじているし、主催者側が、今までの価値観とは違う育て方やアプローチができるという表れでもあると思う。個々の力でムーブメントして動いている子たちが暴れるフィールドを作ってやろうみたいな匂いも感じますし。

馬嶋 ネットミュージック界隈は、作詞、作曲、歌だけでなく動画制作まで一人で完結してる人も多いですからね。

水島 一人で全部できる子もいれば、できない子もいるじゃない? でも、このオーディションは例えばセルフプロデュースが苦手な人にもすごくチャンスがあるってことですよね。ミュージックレインがやっているのは、すでに結果を出してる人を集めるのではなく、イチから一緒に考えましょうっていう提案なんですよね。自分のやってきたことが、このオーディションに参加することでどう変わるかっていうことを想像するとワクワクすると思う。今、オーディションに応募しようかどうか悩んでる人がいたら、とりあえず応募してみたら!?って言いたい。狭き門だけど、選ばれたらラッキーだし、自分の感性を刺激してくれるいい機会にもなるんじゃないかなと思いますね。この3つのオーディションで選ばれた人たちが将来、どんなものを見せてくれるのか。僕は本当に、嘘偽りなく楽しみにしているし、4年後くらいに、そのときに一番新しいものとして出てきそうな予感がしますよね。

INTERVIEW BY 冨田明宏 TEXT BY リスアニ!編集部


●オーディション情報
「ミュージックレインオーディションプロジェクト2021」
「ウタカツ!3」「スーパー声優オーディションα」「クリエイターオープンコール」のオーディションを同時開催する合同プロジェクト。応募締切は7月31日17:00まで!
https://www.musicrayn-audition.com/

エントリーは下記の各サイトをチェック!

・ウタカツ!3
https://www.musicrayn-audition.com/utakatsu3/

・スーパー声優オーディションα
https://www.musicrayn-audition.com/ss-alpha/

・クリエイターオープンコール
https://www.musicrayn-audition.com/opencall/

関連リンク

「ミュージックレインオーディションプロジェクト2021」公式サイト
https://www.musicrayn-audition.com/

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