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INTERVIEW

2021.07.18

数々のアニメとコラボレーションしてきたシドが『天官賜福』との出会いで新たに描くサウンドとは?配信シングル「慈雨のくちづけ」リリースインタビュー

数々のアニメとコラボレーションしてきたシドが『天官賜福』との出会いで新たに描くサウンドとは?配信シングル「慈雨のくちづけ」リリースインタビュー

著者・墨香銅臭が描く中国で人気のWeb小説「天官賜福」(てんかんしふく)のアニメが昨年中国のbilibili動画にて配信され、満を持して日本での放送が開始に。架空の古代中国を舞台に、仙楽国の太子である謝憐(シエ・リェン:CV神谷浩史)が下界で謎の少年・三郎(サンラン:CV福山 潤)と出会ったことから始まる物語。古代中国という世界観と寓話のようでありながらも躍動感に満ちたストーリー、そして美麗なアニメーションで魅せる作品である。そんな『天官賜福」のOPテーマを歌うのはシド。『黒執事』や『鋼の錬金術師』をはじめ『BLEACH』や『七つの大罪』など数多くの人気アニメとコラボレーションしてきた彼らが、中国アニメとの出会いによって新たなサウンドを聴かせる!

――今年は5月に河口湖ステラシアターでのスペシャルライブ“SID LIVE 2021 -Star Forest-”を開催されましたが、自然の中でのライブはいかがでしたか?

マオ すごく良かったです。ファンとの距離も近いですし。ただ、「どういう景色が見えるのかな」と客席にも立ってみたんですが、一番上の方の子たちは怖くはなかったかな、と心配にはなりました。すり鉢状ですし。でもみんな盛り上がってくれて、とても楽しいライブになりました。

――そんなシドの皆さんは7月18日に配信シングル「慈雨のくちづけ」をリリース。今回は中国のアニメ『天官賜福』のOPテーマです。これまで様々なアニメとのコラボレーションを果たしていますが、世界観がどの作品とも違います。海外のアニメの楽曲を依頼されてどのようなことを感じられましたか?

マオ 中国アニメが日本にも進出していることや、注目が高まってきているという話は耳にしていたのですが、そんなタイミングでのオファー。逆に18年というキャリアのある俺たちがやってもいいのだろうか、という気持ちも湧きました。ですが、そのなかで新しいバンドの息吹ではなく、俺たちを選んでくださったことがすごく嬉しかったです。だからこそ必要なのは俺たちの新しさだなと思いました。自分たちにとっても今までやったことのないサウンドを目指そう、というコンセプトの元に制作をしていきました。

――サウンドメイクとして目指した新しさ。どのような部分でそれを出したのでしょうか。

明希 今回はアニメの世界観が完全に伝わってきたので、自ずと音楽についても『天官賜福』の世界観になっていくのだろうと思いましたし、そうした雰囲気のある楽器を使ってくれると嬉しいです、というオーダーもあったので、そこから色々な意思を汲み取りつつも、そのなかでも自分たちらしさを織り込んで作っていきました。

――今回、音色でも中国楽器のものがありますよね?

明希 中国の民族楽器に詳しいわけではなかったのですが、色々な音色を聴きながら、世界観をイメージできるものをバンドの音と融合させていきましたね。二胡や古箏を使ったのですが、それは半分はオーダーにあったものと、資料としていただいていた絵からのイメージが元でした。

――曲調や展開についての発注もあったのでしょうか。

明希 オーダーとしてはなかったです。今回は自分がアニメの資料から受け取った印象を繋ぎながら作っていきました。展開についてもあまり意識はせず、アニソンだからどうしようか、ということも考えずに。ただ、設定と絵や、以前放送されていた中国制作のアニメを見せていただいて、今の中国アニメの世界の雰囲気を冒頭のメロディで掴みたかったんです。そこからはメロディの中に和声音階の要素を散りばめたりしながら作っていきました。この和声音階、「ヨナ抜き音階」というんですが、そこに乗るバンドの音については自分たちらしく図太くしっかりした音にしていくという意識で臨んで、そこは昇華できたかなと思います。

――例えば『黒執事』ならタッグを組んできた回数や関わってきた時間の濃さもあって、世界観をイメージすることはすぐにできると思うのですが、今回はいかがでしたか?

明希 資料となる原作やいただいた設定などを読むんですが、ストーリーはもちろんながらビジュアルからインスパイアされることの方が多いんです。これまで作った曲も半分以上はメインビジュアルから曲を考えてきたことが多いです。だから今回もメインビジュアルから受けた印象が強いですね。

――だからこそのティザー映像と楽曲とのマッチ具合だったんですね。

明希 確かにシンクロ具合がすごかったですね。完成を見たときには嬉しかったです。クオリティもめちゃくちゃ高い作品だなぁ、と感じました。

――Shinjiさんはこの「慈雨のくちづけ」とどのように向き合われたのでしょうか。

Shinji 音色に気を付けました。ガンガンに歪んでいる音では合わないよね、という話もしていましたが、アレンジ的にもギターの勢いは欲しかったんです。普段だったらダブリングで両サイドに分けるようなギターを、今回は片方からシンプルに鳴らしてみたりもしました。この部分は一番意識しての音作りとなりましたね。意外とギターのフレーズについては、明希の言っていたヨナ抜き音階もそこまで明確ではないので、いつも通りの感じで弾けました。

――中国の民族楽器とのセッションについて、特別に意識したことはありましたか?

Shinji この曲に関してはギターよりも中国楽器の方がメインの音だと思っているので、邪魔をしない且つギターはかっこよく響いている、というアレンジに落ち着きたかったので、そこは意識しました。

――ドラムについてはいかがでしたか?

ゆうや Shinjiが言うように、歪みすぎているのは違う、という具体的な要望はまったくなかったので、シドの新曲としてドラムはドラムで中国の雰囲気とのセッションをしっかりと作ることができたと思っています。民族楽器の音については面白いな、と思いましたね。

――面白い?

ゆうや そんなに遠くないんですよね。日本の和楽器の要素にも近くて。音の繋がっていく様を感じながら臨むことができました。違和感なく向き合えましたし、最近の自分が「こういう音でやりたい」という想いも全面に出せたので、“今”が詰まっていると思います。

次ページ:歌詞はどのようなことをイメ-ジして作られたのでしょうか。

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