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REPORT

2021.06.27

楽曲とともに鮮やかに変化する、彼女の歌声の“色”。「小林愛香 LIVE TOUR 2021 “KICKOFF!”」東京追加公演レポート

歌手・声優の小林愛香が、「小林愛香 LIVE TOUR 2021 “KICKOFF!”」の東京公演をZepp Hanedaにて開催。自身初となる待望のツアーの追加公演にあたるこの日のライブで小林は、楽曲ごとの特徴と彼女らしさがうまく溶け合った歌声やステージングを披露。中身のギュッと詰まったライブをみせてくれた。
本稿では公演の中から、特に印象深かった楽曲をピックアップしお届けする。

ファンとの一体感で、アツいライブを見事に形に!

まず最初にご紹介したいのは、やはりメジャーデビュー後にリリースしたシングル2枚の各表題曲。そのうち「NO LIFE CODE」は、楽曲のテーマに沿うかのように観客のペンライトのカラーが統一されずに色とりどりだった点がまず印象的。それを目にしながら小林は、観客と視線を合わせつつCD音源よりもちょっとかわいげの出た歌声で歌唱。ところどころおてんばキュートなポーズも交えたりと、ただ音をなぞるだけにとどまらないパフォーマンスをみせる。その一方で、2サビの「道はいくつだってあって」のフレーズ中にさっと指でフロアをさらってみせた姿は、今のままならない状況の中にいる人たちへのエールでありメッセージとなる重要な1シーンに。そんな場面も交えつつも小林は、この曲を間違いなく楽しみ尽くしていたように見えた。
またもうひとつのシングル表題曲「Tough Heart」も、のっけからアクセル全開で力強い歌声に。それでいて安定感は抜群で、地力の強さを改めて感じさせてくれる。その歌声に応えるかのように、観客は声出しNGというレギュレーションのなか、心の声を届けるかのように拳を突き上げる。そんなエールの交換のような光景もまた、ぐっとくるものだ。また、2-Bメロには歌詞に連動したパフォーマンスも織り交ぜたりと視覚的な面からも魅せつつ、終始力強い歌声を通じてファンへとエネルギーを届けていった。

加えて今回は、シングル収録のカップリング曲もセットリストに。MCではリリースイベントが開催できずに歌えなかった分、バンドを背負って歌えたことへのうれしさも語っていた。
その中で特に強い印象を残したのが、「Tough Heart」のカップリング曲「Lorem Ipsum」。自身も作詞に携わった言葉遊びをふんだんに詰め込んだこの曲では、ライトがあらゆる色へと次々グラデーションのように変化。この日随一の“自由さ”を、視覚的な面からも表現していく。そんななかで小林の歌声は、意識的にキュートに振るわけでもなく、かといって力強さを打ち出すわけでもない。飄々としていながらも、背負った生バンドの音には決して負けない、彼女だからこそ成立させられる絶妙で不思議なバランスをもっていた。それが前述した自由さMAXの照明演出と組み合わさることで、この曲がとんでもない曲であることを改めて痛感。これは間違いなく演出も含めて、ライブの場で触れることができたからこその感覚だろう。

また、MCでは「みんなに会えてうれしい!」と喜びながら手を振ったり、直接会えることの大事さを言葉にしたりと想いを伝える場面もありつつ、楽曲同様に一体感や盛り上がりを生み出す場面も。横浜公演でも行なったMC中のファンとのコミュニケーションは、この日は小林の動きに合わせてのウェーブに。これが練習1回目からバッチリの揃い具合で、本番でも観客同士も小林とも息はピッタリ。その光景に楽しくなってしまったのか、なんと小林がそのまま2往復目に突入。結果としてステージ上を2往復ダッシュしたあと、「今日のは私も疲れたけど、やった甲斐あった!」と非常に満足そうな表情をのぞかせていた。

こういった盛り上がるポイントも多数散りばめられた一方で、それらとは異なるアプローチの歌声も次々みせていった小林。その中でも特筆すべきは、1stアルバム『Gradation Collection』収録の新曲「Secret Feeling」だろう。楽曲自体が醸し出す艶っぽさやセクシーさを、歌唱やステージングでさらに増幅。楽曲中盤のニヤリとした表情も非常に不敵で、楽曲と相まって観るものをドキッとさせていく。加えて、特に2番以降の起伏の激しさも要注目なポイント。Aメロでは寂しげに入り、一瞬サウンドが消える部分では極限まで引いてぽつりと歌声をこぼしてみたかと思えば、そこからは徐々に再び自分を取り戻したかのような力強い歌声に。同じく音が一瞬静かになる大サビでも歌声に感情を詰め込んだりと、曲中の想いの流れを歌声で表現しきっていた。アルバムリリース後この曲がファンにどう受け止められ、次のライブでどんな歌声に変化するかも楽しみなところだ。

次ページ:バラードもアッパーチューンも、生ならではの“最高”がそこに

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