“みんな”を感じながら、芯を持って13色に染まり完成させた1stアルバム! 小林愛香『Gradation Collection』リリースインタビュー

曲の力とファンの声が生んだ?想定外の展開とは

――逆に、去年のオンラインライブ後に制作された新曲もある?

小林 ありますあります。でもライブのときには結構進んでいたような……えっと、「Easy Fizzy」と「Night Camp」と……「Moonlight Balcony」。あと「AMBITIOUS GOAL」もだから……あ、結構ありましたね(笑)。

――その中だと、先ほどあった「朝から夜に向かっていく」というお話しの中では、夜にあたる曲も多いですね。たとえば「Night Camp」とか。

小林 そうですね。「Night Camp」はみんなで一緒に歌っているイメージ。輪になってみんな手を繋いでキャンプファイヤーを囲んで、ちょっと思い出に浸るじゃないけど……文化祭のあとみたいな(笑)、みんなで頑張って何かを成し遂げたあとに、満たされた気持ちでぼーっと炎を眺めているような気持ちの曲なんです。だからひとりで歌っているけど、歌うときの感覚は“ひとり”じゃなくて。みんなと一緒に歌っているようなイメージを持っていたし、そういう未来が来てほしいという願いも込めました。あと、2サビ後の間奏では「オーオー」とみんなで一緒に歌える部分もあるので、そこはいつかみんなで歌いたいし……歌えたら、感動で泣いちゃうかもしれないです(笑)。

――その他に夜を連想する曲だと、直前の「Moonlight Balcony」もですね。

小林 これは「NO LIFE CODE」のカップリング曲「ゆらゆらら」からお世話になっている佐伯youthKさんに作詞と編曲をしていただいた曲なんですけど、その「ゆらゆらら」が朝とか昼に聴きたい曲だとしたら、夕暮れ時に聴きたい曲が2ndシングルのカップリングでご一緒した「Sunset Bicycle」。で、この「Moonlight Balcony」が夜のイメージなので、佐伯さんの作詞・編曲楽曲だけでも1日が感じられるような流れが作れるんですよ。でもそれは最初からそうしようと決めていたわけじゃなくて、たまたまだったんですけどね。

――佐伯さんは歌詞の遊び方自体もとても独特で面白いですよね。歌詞に「0時」と表記されていても、「じゅうにじ」と歌われていたり。

小林 そうなんです。あと、佐伯さんの歌に関しては仮歌を佐伯さんが歌ってくださっていて。それを聴きながら歌を覚えていくんですけど……それはそれで音源化してほしいぐらいのかっこよさなんです(笑)。英語の発音でも「アメリカの人はこういう感じで歌うよ」みたいな本場のニュアンスを入れてきてくれることもあるので、私もそういう部分を見習って取り入れながら、曲の世界観を自分なりに表現していけるように、歌わせていただいています。

――その一方で、勢い全開の曲も散りばめられていますよね。たとえばM2「Heartache soldier」なんて、「NO LIFE CODE」からそのまま続くことにうれしささえ感じるぐらいで。

小林 そうですね。ぶち上がる感じで(笑)。今回のアルバムは、ライブがめっちゃ楽しみになる曲がすごくいっぱいあると思います。ただこの曲、実は最初のテーマは“ウィンク曲”だったんですよ。

――そうだったんですか!?

小林 はい。私が得意なウィンクをバチッと決められるようなタイミングを作る……みたいな曲で。サビ最後の「だから合図はきっと伝わる 秘密の合図 わかるよね わかるよね 君は すぐにわかってよ」という部分がウィンクをするポイント……という裏設定があるんです(笑)。でもこの曲でいちばん強いテーマは“青春”とか“仲間”で。今みたいな世の中になってから生まれた歌なので、仲間と一緒に戦うようなイメージがあるといいますか。どんどん仲間が増えていって一緒に冒険に出ていくような、駆け抜けていくようなイメージの曲なんですよね。

――そういったイメージをもちながら、歌声にもどんどんパワーを込めていった。

小林 そうですね。この曲は歌詞も、結構今の時代に合っている部分が多いので……毎日みんな大変な状況で、明日がどうなるのかもわからないような世界になってしまったけど、みんなひとりじゃなくて私も一緒に戦ってるよ!という気持ちが伝わればいいなと思いながら「君も私も Heartache soldier」と歌っています。

――勢いのある新曲で言うと、「Please! Please! Please!」もオンラインライブでアンコールの最後を飾っていたのがすごく似合っていたように感じました。

小林 あはは(笑)。この曲も最初デモを聴かせていただいたときには、冒険とかバトルモノのEDテーマみたいなイメージがあったんですよ。「きみの声が必要」みたいな言葉もすごいよくて、この曲はこれからも定番になっていく予感がするんですよね。それに今は、思わぬ方向にどんどん広がっていっている曲のようにも感じて。

――想定外の方向に?

小林 はい。皆さんの前では歌っていないけど、オンラインだからこそこれを歌ってよかったなぁって。「みんなの声が必要だよ」と強く伝えられるような歌になったように思うんです。歌うたびに「みんなのことが必要!」みたいな気持ちになれるので、この曲は披露させていただいてからより意味が深まっていったような気がしていますし、きっとこれからもどんどんいろいろな意味を持っていっていろいろな広がりを見せてくれるんじゃないかなと感じました。あと、思ってもみなかった展開というと、実は「Can you sing along?」にもありまして。

――それは、どんな展開ですか?

小林 この曲は『映画 さよなら私のクラマー ファーストタッチ』の挿入歌になっているんですけど、起用されることが元々決まっていたわけではなかったんですよ。きっと皆さんが、音源化もされていないのに心の中で愛してくださっていた部分が大きいんだろうなと思っていて……いやぁ、すごい曲ですよね。曲自体のパワーが、みんなの心の奥底にも深く深く刻まれていったからなんだろうなと感じられて、うれしいです。これからもきっと、みんなといろいろなものを作っていくなかで、思わぬ展開がいっぱいあるんだろうなぁとわくわくしています。

――『さよなら私のクラマー』というと、他にも主題歌に起用された曲が2曲収録されています。まずTVアニメのOPテーマ「AMBITIOUS GOAL」は、またこれもとてもOPらしい曲で。

小林 すごく口ずさみたくなるような、熱くなれる曲ですよね。それでいて始まりを感じるというか、春らしくて桜の花が舞うような、一瞬のきらめきを感じました。

――曲順の面で「Border Rain」から続くというのも、さらにその始まり感を強くしているように感じます。

小林 うれしいです!「Border Rain」が上がって、あらたな1ページが始まる……という感じですね。

――歌う際にも、やはり全体的にはじまりといったものを強くイメージしながら歌っていった?

小林 はい。「青春って、なんでキラキラしてるんだろう?」と考えたら、一生懸命だからこそだなという結論に至りまして。一生懸命って本当かっこいいなと思うので、この曲では語尾を少し強めに出してみたりと、まっすぐさや一生懸命感が出るような歌い方を大事にしました。

――発売前に公開されたMVのショートバージョンにも始まり感がありましたし、ピンクがメインカラーなので、アルバム全体のカラーとも重なるようにも感じました。

小林 『さよなら私のクラマー』は女子サッカーのお話なんですけど、「女の子だからピンクを着ている」わけじゃなくて。「ピンクを着たいからピンクを着てる」という芯の強さみたいなものをMVで表現したかったんです。それで今回はふたつの衣装どっちもピンクにして……「ピンクでかっこいい歌をうたう」ということが新しいかっこよさにも繋がるのかな、と思います。あとは、桜にもちょっと通じるものもあるのかな、とも感じました。

――一方、同作の劇場版主題歌「空は誰かのものじゃない」ですが、ここまでのどバラードは御自身としては初になりますね。

小林 はい。ただ、声優という仕事を始める前までは、バラードだったりクールめの歌だったり、せつない声が出せるような歌のほうが自分の持ち味が出せるのではないかなと考えていたので、いつかバラードを自分でも歌いたいなと思っていました。映画の主題歌をうたうことも夢だったんですよ。

――いろいろな小林さんの夢が、詰まった存在になった。

小林 そうなんです。でもやっぱり、あまり感情を込めすぎちゃうと伝わらないというのも感じて。青春の輝きを聴いてくださる皆さんにより届けられるように、寂しいだけではなく未来に向かって進んでいく強さみたいなものも歌声に含ませたくて、この曲もとにかくまっすぐ歌いました。

――そういった意図もありつつ、この曲に関しては歌声から優しさも強く感じました。なので表現のさじ加減にも、かなり工夫されたのでは?

小林 そうですね。たとえばサビ前の「明日へ向かってく 涙も汗も一緒に」というフレーズは、1番では「明日」のところにちょっと寂しげなニュアンスを入れたんですけど、2サビ前の「明日はできるかも」ではプラスな「明日」にしたくてちょっと歌い方を変えているんです。こういうふうに同じキーワードでも汲み取れる感情が違うような歌い方を心がけて、1曲の中でちょっとずつ成長する姿を表現したくて。うしろを振り返ったり迷ったりすることもあるけれども、ちゃんと明日に向かっていく強さを表せるように歌っています。

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