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INTERVIEW

2021.06.19

神田沙也加、一青 窈、三森すずこら10名の女性アーティストを迎えた、様々な色の花と物語が咲き誇る初のソロアルバム『bouquet』――GARNiDELiA・tokuが語る本作のこだわりとは?

神田沙也加、一青 窈、三森すずこら10名の女性アーティストを迎えた、様々な色の花と物語が咲き誇る初のソロアルバム『bouquet』――GARNiDELiA・tokuが語る本作のこだわりとは?

GARNiDELiAのコンポーザーとして知られるtokuが、初のソロアルバム『bouquet』を完成。「花束」を意味するそのタイトル通り、atsuko (angela)、井口裕香、石原夏織、神田沙也加、鈴木このみ、竹達彩奈 、中島 愛、一青 窈、三森すずこ、やなぎなぎという10名の女性アーティストをゲストボーカリストに迎え、様々な色の花と物語が咲き誇る豪華な作品となった。tokuのクリエイターとしてのこだわりが詰まった本作について、話を聞いた。

10名の女性ボーカリストを花束として束ねた作品『bouquet』

――tokuさんは音楽家/クリエイターとして長く活動されていますが、個人名義でアルバムをリリースするのは今回が初になりますね。

toku 自分はGARNiDELiAで活動しているので、ソロ名義で作品を出すのであれば改めてきっかけが必要かなと思っていたのですが、今回メイリアとお互いソロアルバムを出させていただけることになって。クリエイターとして自分名義のアルバムを出すことは目標の1つでもあったんですけど、逆に「こんなに早くやってもいいのかな?」とも思いました(笑)。

――いやいや、むしろ待望だと思います。ソロアルバムを作るにあたり、ご自身としてはどんな構想がありましたか?

toku インストや劇伴など音楽の形態には色々なものがあるなかで、僕は歌ものをやりたくてずっと活動してきたので、今回のアルバムも各楽曲にゲストボーカルを迎える形で、僕の作ったメロディを色んな方に歌ってもらう作品を作りたいという想いがありました。

――アルバムタイトルの『bouquet』は“花束”という意味ですが、これは?

toku ちょっと前に引っ越したんですけど、近所に花屋が多い場所で、散歩のついでにお店に入ったりすると、店員さんがお客さんの注文に合わせてブーケを作っている姿がすごくかっこいいんですよ。今回のアルバムはそこにインスパイアされたところがあって。用途に応じて多種多様な花を花束にアレンジするみたいに、ユーザーが面白いと思う組み合わせの楽曲をアルバムにまとめるっていう。なので参加してもらった女性ボーカリスト10名を花束として束ねるイメージで『bouquet』というタイトルにしました。

――ゲストボーカルの人選はどのように決めたのですか?

toku 基本はガルニデの活動を通してお会いして仲良くなった方が起点になっていて、去年に自分が主催した“TTMC(Tasty Time at Music Crossing)”というイベントに参加してもらった、鈴木このみさん、やなぎなぎさん、atsukoさん、井口裕香さんには、そのときにお声がけさせていただいていました。あとは僕が個人的に一緒にやりたい方を挙げて、スタッフの方々に尽力していただいた形ですね。

――全員女性ボーカリストなのは、意図してのことだったのでしょうか?

toku 僕が個人的に女性のボーカリストが好きというのもあると思いますが、元々楽曲提供のお仕事も女性の方からお話をいただくことが多いんですよ。僕が作るメロディは女性向けのメロだなというのは自分でも感じるところで。女性に対してボーカルディレクションする機会も多くて、昔であればアンジェラ・アキさんの楽曲をアレンジさせていただいたり、植村花菜さんや遊佐未森さん、新垣結衣さんの作品にも参加させていただいて。今回、自分から挙げさせてもらった歌い手さんもすべて女性でした。

神田沙也加とサクラ、石原夏織とヒマワリ、盟友・渡辺 翔の参加

――ここからはアルバム収録の全10曲について、収録順にお話を聞いていきます。1曲目は、神田沙也加さんが作詞・歌唱で参加した「ずるいよ、桜」。ピアノとアコギを基調としたバラード曲です。

toku 今回は各アーティストさんにまず2~3曲の候補をお渡しして選んでいただくスタイルを取ったのですが、神田さんは2曲お渡ししたどちらにも歌詞をつけて戻してくれたんですよ。この「ずるいよ、桜」はコード進行がシンプルなので、神田さんの歌唱力や感情の表現が見えやすいと思ったのと、曲名がすごくキャッチーだったので、いただいた瞬間に「こちらでお願いします!」って返事しました(笑)。

――そもそも神田さんとはどんなご縁があったのですか?

toku 神田さんがTRUSTRICKで活動されていたときにイベントでご一緒したり、彼らのラジオ番組にゲスト出演させていただいたことがありまして。そのときからいつか一緒に何かできればと話をしていたので、今回お声がけしました。神田さんは楽曲をお渡しして中1日ぐらいで2曲の歌詞を返してくださったり、レコーディングでも色んなパターンの歌い方を提案してくださって。クリエイター同士の緊迫感みたいなものを感じながら、お互いが感動を垣間見れた楽曲になったと思います。だからこそ1曲目にしました。

――楽曲自体はシンプルな構成ですが、それをあまり意識させない神田さんの表現力の豊かさと、ドラマチックなアレンジが、メロディの美しさをより引き立てているように感じました。

toku 今まで作ってきた楽曲は、コードの中にメロディがたくさん乗っている楽曲が多かったんですけど、この曲は例えばサビでコードが3つ動く部分ではメロディも3つしかない。要はメロディに固まり感みたいなものがあるので、強い歌詞が欲しかったんです。そこに神田さんは“ずるいよ、桜”という言葉を当てはめてくれたので、「これはドンピシャじゃん!」と思って。神田さんもそこは意識してくれたみたいです。

――歌詞には春が去っていくような切ない雰囲気がありつつ、色んな意味に解釈できる奥ゆかしさがありますね。

toku そうなんですよ。キュンキュンな部分を言わずとも感じとれるし、「匂わせ」というか裏テーマがありそうな雰囲気もあって。現代の人は多分そういうのが好きだと思うし、今回の『bouquet』にはそういったテイストを割と散りばめているので、そのテーマにすごくマッチした歌詞を書いてくれた神田さんには感謝しています。

――2曲目の「或るヒマワリ」は石原夏織さんが歌う、明るく爽快なイメージのダンスポップ。

toku 石原さんは以前からライブを観させていただいていたのですが、声優としてはかわいい声のキャラクターを演じる印象がありますし、キャラとしての声と歌う声がそんなに遠くない方だなと思っていて。だからこそ、夏の情景を描いた恋愛ソングが合いそうだなと思い渡辺 翔くんに相談して、夏生まれの石原さんに合わせてヒマワリをテーマにしつつ、直接表現を使わずに恋愛感や夏っぽさが感じられる歌詞をお願いしました。楽曲のテイストとしても、夏の元気な女の子のイメージで、シンセのキラキラした感じを全面に出して、リズムはドラムンベースっぽくしてみました。

――石原さんの甘酸っぱい歌声とドラムンベースの組み合わせが、今までありそうでなかったラインで素晴らしいですね。

toku 今まで絵になっていないものをやってみたいなと思って。ただガチのドラムンベースをやってしまうとなかなか受け入れられない部分もあると思うので、例えばアニソンのクラブイベントとかでも流せるようなテイストにしています。

――夏感や快活さがありつつ、これはtokuさんの作家性なのかもしれませんが、やっぱりどこかに女性らしさ・切なさみたいなものがメロディから滲み出ているように感じました。

toku どちらかと言うとずっと同じコード進行でいく楽曲を作るのが好きなんですけど、やっぱり楽曲の中で1つストーリーを作らなくてはいけないと思うので。元気な女の子でも悩むことはあると思うし、今作では参加してくれているアーティストさんがストーリーテラーとして物語を展開していくところを見せたかったので、この曲は特に起承転結のある曲になったと思います。

――個人的には、LiSAさんの「oath sign」や「crossing field」で知られる、渡辺 翔さんとtokuさんのタッグが再び実現したことも熱くて。

toku ありがとうございます。その2曲は彼が詞曲を書いてますけど(tokuは編曲を担当)、彼の歌詞のはめ方はほかの作詞家さんにはない独特の部分があると思っていて。かつ、表現も結構もやもやさせられる部分があって、乙女チックな気持ちにさせられるんですよね(笑)。なので、彼なら僕が今回のアルバムでやりたいことを書けるだろうなと思って、LINEで気軽に「歌詞書いてくれない?」って聞いてみたら、「全然いいですよ」ってOKしてくれました。

次ページ:中島愛とアカシア、鈴木このみと青いバラ、atsukoとヒガンバナ

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