CIVILIAN・コヤマヒデカズが語る、前作『eve』を経て歩んだバンドの4年間、そして新たな気づき――2ndフルアルバム『灯命』リリースインタビュー!

ボカロP“ナノウ”としても知られるコヤマヒデカズ率いるCIVILIANが、ニューアルバム「灯命」をリリースした。前作『eve』から4年ぶりとなる本作には、TVアニメ『魔王学院の不適合者』のOPテーマ「正解不正解」、TVアニメ『魔道祖師』前塵編のOPテーマ「千夜想歌」、『羨雲編』のOPテーマ「導」などを収録。先が見えない世界の中で、それでも希望とともに進んでいきたいという決意を描いた作品に仕上がっている。

バンドの4年間の軌跡が刻まれたニューアルバム『灯命』

――ニューアルバム『灯命』がリリースされました。前作『eve』から4年のインターバルがありますが、まずはコヤマさん自身の手ごたえを教えてもらえますか?

コヤマヒデカズ アルバムが出来て最初に思ったのは、「無事に完成して本当に良かった」ですね。世の中がこういう状況になって、ライブ活動もなかなかできなくなって。この1年、バンドの在り方、表現についても色々考えてきたし、新しいアルバムを出せることが素直に嬉しくて。前作以降の4年間でコツコツ作ってきた音源もあるし、アニメの主題歌として作らせてもらった曲、アルバムのために新たに書き下ろした曲もあって。この4年間の道のりが込められていると思います。

――アルバムの全体像については?

コヤマ 最初の段階では何もなくて。まずはメンバーと一緒にどの曲を入れたいか話し合って、収録する曲を決めて。最後の最後に、バンドとして今聴いてほしいアルバムになりました。今こういう状況だからこそ聴いてほしい曲もありますし、単純に自信がある曲、「これがかっこいい」と思う曲もありますね。

――「遥か先の君へ」はポエトリーリーディングによる楽曲。アルバムのリリース日である2021年6月2日の時点から未来の人々に向けたリリック、素晴らしいです。コロナ禍の現状がサイバーパンク的に描かれていて。

コヤマ ありがとうございます。今の世界に対して考えていることだったり、音楽的にやりたいことを含めて、色んなものが詰まっている曲ですね。詩の朗読は、2年くらい前からワンマンライブでもやっていて。歌うだけではない表現にも興味がありますし、今回のアルバムでも絶対にやりたいと思っていたんですよね。

――詩を読むことは、以前から興味があったんですか?

コヤマ 高校時代、部活で演劇をやっていて。当時は音楽の道に進むか、芝居をやるかで真剣に悩んでいたんです。バンドを始めてからは音楽1本だったのですが、2~3年前に「そういえば昔、演劇やってたんだよな……」と思い出して。歌だけではなく、色々な表現をしてみたいと自然に思うようになったんですよね。

――なるほど。リード曲「ぜんぶあんたのせい」は、ロックバンドとしてのCIVILIANの魅力が詰まった楽曲だなと。

コヤマ 以前からライブで演奏していて、自分たちもすごく気に入っています。大事な曲なので、リリースのタイミングを考えていたんですけど、「ここしかない」と思って今回のアルバムのリード曲にしました。曲自体のかっこよさもありますし、作ったときに「自分がやりたいことがベストな形で表現できた!」という手ごたえもあって。メンバーも「すごくいい」と言ってくれましたたし、スタッフやファンの皆さんも気に入ってくれていた曲なので、「やっぱり間違ってなかった」と思っています。

――死後の世界で、人生を審査される様子を描いた歌詞もすごいインパクトでした。

コヤマ 自分が感じていること、思っていることを世の中や他人に向けて発信するときに、そのまま書くと説教じみたものになるし、押しつけがましくなると思うんですよ。どうやって聴く人の壁を突破するか、どうすれば抜け出せるかをずっと考えてきましたけど、「ぜんぶあんたのせい」はそれが上手く表現できたのかなと。

――「懲役85年」も、コヤマさんらしい価値観が刻まれた曲だと思います。“人生=懲役85年”という……。

コヤマ いつも通りというと変ですけど、自分が普段思っていることを描いた曲ですね。曲の中でも“どれだけ目を背けたって/自分自身から逃げられない”と歌っていますが、どれだけ音楽歴や作曲歴を重ねても、根本的な人間性からは良くも悪くも逃れられないと思うんですよ。「自分のこういうところが大嫌い」と思う瞬間は何度もありますし、その檻からは出られないんだなと。

――アルバムには、TVアニメ『魔王学院の不適合者』のOPテーマ「正解不正解」、TVアニメ『魔道祖師』前塵編のOPテーマ「千夜想歌」、『羨雲編』のOPテーマ「導」も収められていて。アニメとのタイアップによって、音楽の幅が広がったことも、このアルバムの魅力に繋がっていると思います。

コヤマ アニメの主題歌などについては、初めて担当させたもらったときから思いは変わってないんです。アニメ作品自体にメッセージや世界観があるし、作品に関わった人たち、ストーリーやキャラクターを作った方々のクリエイティブを、曲を通して伝えたくて。もちろん自分たちがやりたいことも盛り込むのですが、それだけを押し付けるのではなくて、アニメのスタッフの皆さん、ファンの方々が喜んでくれて、みんなが幸せになるような結果を作りたいというか。実際に皆さんが喜んでくれたり、評価してくれると、「自分の思いがちゃんと伝わったんだな」と思いますね。もちろん、CIVILIANというバンドを知ってもらって、ほかの曲も聴いてもらえたら嬉しいですけどね。

――「導」は、アジア大陸的なサウンドを取り入れたバラード。当然ですが『魔道祖師』の世界観を意識して作ったからこそ、こういう音像になったわけですよね。

コヤマ そうですね。『魔道祖師』は元々中国でヒットしていて、アジア的な世界観が強い作品で。それをしっかり汲み取って作った曲だし、自分たちとしても新たなチャレンジになりました。

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