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INTERVIEW

2021.05.26

3年半ぶりとなる最新シングルはTVアニメ『さよなら私のクラマー』EDテーマ!「悔しいことは蹴っ飛ばせ」小松未可子インタビュー

3年半ぶりとなる最新シングルはTVアニメ『さよなら私のクラマー』EDテーマ!「悔しいことは蹴っ飛ばせ」小松未可子インタビュー

「みかこし」こと小松未可子が、アニメ『さよなら私のクラマー』のEDテーマである「悔しいことは蹴っ飛ばせ」と、カップリング曲となる「永遠と言ってみたい」の2曲を収録したシングルをリリース。どちらも当然、2016年から小松未可子をプロデュースするQ-MHzが作詞作曲を手がけている。配信シングルから数えれば2年半ぶり、CDシングルとしては3年半ぶりのリリースであり、Q-MHzと組んでから5年、CDデビューから数えると来年で10年というこの1枚には小松未可子の「新境地」が詰め込まれている。そんな2曲を出発点に、みかこしが描くアーティスト像について語る。

――「悔しいことは蹴っ飛ばせ」はどのような楽曲になったと感じていますか?

小松未可子 アニメの制作側とのすり合わせで、しっとりと余韻を感じさせるのではなく、次に繋がるような爽やかなエンディングに、というオーダーがあったらしくて、その通りにオープニングでも遜色ないくらい前を向いた楽曲になりました。久しぶりのリリースとなった、私自身にとっても新たなスタートダッシュにふさわしい楽曲だと思います。背中を太陽が応援するように照らしてくれるような、強い追い風を感じますね。

――Q-MHzの皆さんから楽曲に関して何か説明を受けましたか?

小松 それがこのご時世なので、レコーディングのときにようやくお会いできたくらいで。しかも、全員揃って、とはいかなかったので詳しいお話はお伺いできずじまいでした。ただ、制作の過程で、どういったメロディになるかとか、詞がつく前段階での曲をいただくとかはしていました。

――途中で楽曲をいただいたとき、どのように歌うイメージが浮かびましたか?

小松 いつも歌詞がついてから「どうニュアンスをつけていこうか」と考えるんですよ。やっぱり歌詞がつくとガラッとイメージが変わるので。曲に意味が出てくるというか魂が宿るというか。なので、アフレコでもそうなんですけれど、基本的にはあまり作らないようにしています。Q-MHzさんが聴く側として的確なニュアンスをつかんでくれるので、自分とQ-MHzさんの演出プランをいい塩梅で積み上げていくなかでも、「1文字目を立ててほしい」とか「ここはスパッと切っていこう」といった細かいところではお任せです。なので、自分のイメージといってもあくまで土台の部分で。ただ、背中を押す応援ソングですし、曲に勢いがあるので抜けの良い形にはしたいと思いました。それから、応援しながらも一緒に走り抜けるような、特に後半にかけては加速する感じが出せたら、ということはフワッと考えていました。あとは、EDテーマということはあまり考えすぎないように、ですね。まずは、世に出たときに成立する楽曲でなければいけないので。

――レコーディングを進めるなかでどのようにイメージが固まっていきましたか?

小松 実際に現場で歌ったあと、実はキーをちょっと下げたんです。元々のキーだと、より元気な感じは強かったんですけど、無理して元気を出しているようなニュアンスもあったので。どこか俯瞰の視点から応援しているような、熱すぎないテンション感に落ち着かせたかったので、無理のないキーに落としました。それから、『さよなら私のクラマー』はサッカーがテーマの作品ということで、蹴ったときの爽快感を出そうと思い、語尾を伸ばした音の揺れみたいなものはあまりつけなかったですね。そこは歌っていくうちに見つけた音のニュアンスで、ボールが空に抜けていくような感覚になれば、というところを意識しました。

――ここがポイントになる、と感じた箇所はありますか?

小松 “まっすぐに伸びた道などないから 迷いながらかっ飛ばそう”がポイントでしたね。人生を道に例えたとき、今いる場所には回りまわってきた、という内容はすごく腑に落ちました。回り道していいんだ、という気持ちにもなれました。『クラマー』も、キャラクターたちはそれぞれに夢や目標を持っていますけどストレートには進めない物語なので。サッカーでも、ゴールとゴールの間をまっすぐ攻め上がらず、色々な攻防戦があるという部分にも当てはまりますし。でも、自分がやりたいことってどこかに必ず辿りつくというか、ゴールはあると思うんです。パンチになっているし、個人的にグッときた歌詞でした。

――ほかにも『さよなら私のクラマー』らしさを感じた部分はありますか?

小松 やっぱりサビの“今日もみんな元気に 声を出して笑って 悔しいことは蹴っ飛ばせ”ですね。『クラマー』は周りにいるみんなとの物語なので。「声を出して笑って」という部分も情景がパッとイメージできる詞です。自分が突き詰めている夢があるからこそ、お互いに切磋琢磨して、いい意味で殴り合って成長していくという作品とすごくリンクしていると思いました。しかも、聴いている自分自身に当てはめたとしても、きっと周りに誰かしら人はいる。友達じゃなくても仕事先でも家族でも。そう思わせてくれるダブルミーニングが効いている歌詞ですね。

――小松さんも作中で強豪校のキャプテン、財前奈々美役を演じています。

小松 出番は後半の方ですし、それほど登場シーンが多いわけではないんですけど、監督から「非常に責任感も精神力も強く、周りを見ながらキャプテンとしてよく取りまとめている子なので、そういう部分を出していただけると」という言葉をいただきました。感情を剥き出しにするキャラクターではなく、冷静に指示を出したり自分でプレイをしたり、臨機応変に振る舞えるキャラクターなんですけど、「そこまで器用すぎる子ではないのかな」とは思っています。秘めた情熱みたいなものを裏テーマとして掲げてアフレコしていました。

――オファーとしては役とエンディング担当は同時だったのでしょうか?

小松 楽曲が先ですね。EDテーマを担当させていただくことしか、最初は決まっていませんでした。

――では、あくまで主題歌アーティストとして歌うような気持ちで?

小松 そうですね。別々に担当させてもらったような感覚はあります。でも実は、Q-MHzさんにプロデュースしていただくようになってから、役も主題歌も、というケースは今回が初めてなんです。アフレコに参加できたことで、役者さん同士の掛け合いのテンション感や、どういうモチベーションで作品を録っているのか、といった部分を目の当たりにできましたので本当に良かったです。

――出演者の一人として、『さよなら私のクラマー』という作品に対してはどのような印象を持ちましたか?

小松 女子サッカーならではの葛藤を描いたり、女子サッカーに対する問題提起といった大きいテーマを掲げていたりしていますけど、何よりもキャラクターたちが非常に魅力的なんです。「信念のぶつけ合いってやっぱりかっこいいな」と単純に思える作品ですね。部活をやっていたとき、そういうことをむき出しにできる相手がいたことを思い出しました。そういったキャラクターのエネルギーの描かれ方が本当に素晴らしい作品です。

――部活をやっていたときの経験が生かせたわけですね。

小松 私は陸上部の短距離走者だったので、基本的には個人競技であったんですけど、リレーに参加したときは団体競技の側面を見ることができたんですよね。リレーは本当に一つとなって走りぬくので。大会の日に体調が悪いとか、バトンを落としてしまうとか。それってあるまじき失敗ですけど、でもそういったミスの積み重ねとフォローの積み重ねで団体競技はできていて、ただ走るだけのなかにこんなに物語があるのか、と思えます。大人になると、相手をたきつけたり誰かのために熱い想いをぶつけたり、「あなたのこういうところがダメだから」って言うことなんてもうないじゃないですか?(笑)。

――ないですね(笑)。お互いに距離をとって接しますよね。

小松 大人になってからだと精神的なダメージも大きいですよね(笑)。お互いの能力値を測って冷静に言い合う、というのは。でも、そうやって一つの目標に向かって高め合う部活だからこそ、勝った喜びや負けた悔しさも初めて芽生えるんだと思います。

――「悔しいことは蹴っ飛ばせ」でバンドでのMV出演を果たしたとき、小松さんはTwitterでバンドMVは憧れだったと書いていましたね。どういった点で憧れていたんですか?

小松 色々な方がやられているので、バンドMV自体に憧れもあったんですけど、ライブで何年もお世話になっているメンバーと一つ形に残せたらいいな、という思いがあったんです。今回、廃校になった学校をお借りして、教室や屋上、校庭、体育館で撮っていったんですけど、バンドの皆さんと校庭や屋上で一緒に歌わせてもらっていたら、ライブの感覚を少し思い出しました。ここしばらくは、バンドでのライブができていない状況だったので。楽器を持ってはいても機材には繋いでいないから、音が直で耳に来なくてリズムが合わせづらかったんですけど、「じゃあどうやって合わせよう?」「誰を合図にする?」というディスカッションが生まれていくのもすごく楽しかったです。お互いに感情をぶつけ合う、なんてことはなく(笑)、すごく爽やかに撮影できました。

――撮影外で何か印象に残っていることはありますか?

小松 ロケ地が少し遠かったので遠征みたいな感じだったんですよ。それに、私を撮影している間の休憩時間が長かったので、バンドの皆さんが近くの美味しいというご飯屋さんに行っていました。そうしたら撮影している私達にちゃんとお土産も買ってきてくれて。そこはなんだか部活っぽかったですね。

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