――続いての楽曲「おろかものがたり」は、草野華余子さんの書き下ろしによる激情感溢れるロックチューン。華余子さんとは以前から親交があったのでしょうか。
MARiA 意外と長い付き合いなんですよ。岸田教団&THE明星ロケッツのichigoさんも交えてみんなでご飯を食べに行くこともあって。初めて会ったのは結構前なんですけど、そのときから「ソロをやるんだったら曲を書きたい」って言ってくれていたので、今回、「何でもやるから、私に歌ってほしい曲を書いて」ってお願いしたら、はちゃめちゃに難しい楽曲がきて(笑)。華余子さんは「愛の挑戦状やから」「MARiAならできると思ってるから頑張って!」って言ってましたけど。
――あはは(笑)。かなり強めな曲調で、華余子さんらしいですよね。
MARiA 華余子さんは「おわりものがたり」という自分の楽曲の続編と言ってましたね。「勝手に続編にしちゃった、テヘ」って(笑)。歌詞の内容も結構きわどい関係性を描いていて。絶対に恋人同士じゃないですよね、これ。最初から「“遊び”と言い聞かせて」って言ってますし。「愚かだとわかっていても……」みたいな曲ですね。めちゃくちゃかっこいいんですけど、テンポがすごく速いし言葉数も多いので、息を吸う余裕がないんですよ。メロディもすごく難しいし。
――MARiAさんでも手こずるほどの高難度なんですね。
MARiA この難しさは歌わないとわからないかもしれないので、みんなにも一度歌ってみてほしい(笑)。この曲だけじゃなく、今回のアルバムは難しい曲ばかりなので、ハードルはすごく高かったんですけど、私は難しいほうが「やってやる!」って燃えるタイプなので、逆にすごく嬉しかったし楽しかったですね。
――5曲目「マチルダ」は、COILの岡本定義さんが作詞、山崎まさよしさんが作曲という豪華な1曲。淡々としたトーンが哀愁を感じさせる、どこかブルージーな雰囲気のナンバーです。
MARiA 仮歌は山崎さんがギターとラララで歌っていたんですけど、それを聴いた時点で、音の中での揺れ方や間の使い方、歌心みたいなものがすごく問われる曲だなと感じて。(歌の)リズムがピッタリ決まっているわけではないので、正解はなくてどう歌ってもいい、それこそジャズを歌うときの感覚に近い、ライブ感が大切な曲だと思うんです。レコーディングでは、何回かツルッと歌ったんですけど、毎回アプローチの仕方が変わるし、その自由を楽しむ、音楽や歌を楽しむ感覚で歌った曲です。
――その意味では表現のし甲斐がある曲なんでしょうね。
MARiA この歌は大人になった私じゃなかったら歌えなかったかも。十何年間ずっと歌を歌ってきて、力の抜き方もわかるようになった今だからできる表現の仕方があるなと思っていて。20代前半の私には、この曲は歌えたとしても納得できなかったと思う。今の私が歌うことの意味をすごく感じた曲ですね。本当の意味で音を感じて楽しむ、みたいな。山崎さんは仮歌のラララでも、とんでもなく遊んでいましたけどね。「渋い!」って感動しましたから。
――「キスをしてみようか」は元JUDY AND MARYのTAKUYAさん提供によるトリッキーなギターロック。これも新しい挑戦ですね。
MARiA TAKUYAさんらしい、ぶっ飛んじゃってる曲ですよね(笑)。TAKUYAさんからはデモを4曲ほどいただいたんですけど、周りのスタッフはほかの曲を推すなか、私は絶対にこの曲がいい!って譲らなくて(笑)。
――どこにそこまで惹かれたんですか?
MARiA 初めて聴いた瞬間に自分が歌っている姿が想像できたんです。この曲、エッジーなのにキュートなんですよね。それがすごくTAKUYAさん節だと思ったし、この言うことを聞かないじゃじゃ馬な女の子感は、私本人にもハマるなと思って(笑)。
――そうなんですね(笑)。メロディもトリッキーで歌うのは大変そうですが、いかがでしたか?
MARiA これは本当に大変でした。TAKUYAさん本人がレコーディングスタジオに来てくれて、TAKUYAさんのYouTubeチャンネルの動画を一緒に撮ったんですけど、そのときに「これ歌えた?」「俺、ややこしい曲作っちゃうから。よく歌えたね」って言われて(笑)。サビ前のフレーズとかも今まで歌ったことのないようなメロディだったので、自分でもよく歌えたなって思います(笑)。
――本間さんが作編曲、清水信之さんが共編曲で参加した「あー今日もまた」は、いわゆるナイアガラサウンド系のオールディーズ調のミディアムナンバー。MARiAさんとこの曲調は、今までにない組み合わせですね。
MARiA 私的にもすごく新しいと思うんですけど、この曲は自分の声に超ハマっていると感じていて。多分親の影響もあると思うんですけど、それこそ子供の頃は(松田)聖子さんの曲や、昭和歌謡なんかもよく聴いていたし、カラオケでも歌っていたので、こういうノスタルジックな感じも自分の中では馴染んでいるんでしょうね。本間さんも「ハマってるよねー」って言ってくださって。
――自分もこの曲、懐かしいけど新しい感じがして、すごく好きです。
MARiA いいですよね。癒されるというか、肩の力がフッと抜ける感じがして。曲調はオールディーズっぽい懐かしいサウンドだけど、歌詞は今っぽいし、そのアンバランスな感じがすごくよくて。今の自分の年齢感にも合う曲だなと思います。同世代の女の子たちに向けて、みたいな感じもありますし。
――そのノスタルジックな雰囲気から一転、nishi-kenさんが作編曲した「Brand new me」はキラキラしたシンセポップ。マイナー調の楽曲が多いこのアルバムの中では珍しく、明るい曲調ですね。
MARiA nishi-kenさんには少し具体的なオファーをして、「みんなで一緒に手を振って歌えるような曲」ってお願いしたんです。特にサビはその情景が浮かぶ感じにしていただいて。切ない曲が多いなかで、この曲は前向きで、聴いてくれる人の背中をポン!と押す系の曲になりましたね。GARNiDELiAでも前向きなことを歌ってはいますけど、こういうポップな感じはあまりないので、まさに「Brand new me」、新しい自分ですよね(笑)。
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