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INTERVIEW

2021.05.21

10thアルバム『Battle & Message』で内心をさらけ出したメッセージソング――。angelaリリースインタビュー

10thアルバム『Battle & Message』で内心をさらけ出したメッセージソング――。angelaリリースインタビュー

5月19日にリリースされるangelaの10thアルバム『Battle & Message』は時代感を色濃く映し出した作品だ。遠藤正明との念願のコラボを実現したタイトルトラックや、現在のangelaだからこそ内心をさらけ出して歌えた、これまでよりも一歩踏み出した「夢と希望に殺される」など、オリジナルソングの新曲から2人の現在地を聞いた。

angela 最後の“CD”アルバムになるか!?

――『Battle & Message』はangelaにとって10枚目のオリジナルアルバムです。この10という数字をどのように捉えていますか?

atsuko 活動を続けてきたら10枚になった、というのが正直なところなんです。2003年にキングレコードからデビューしたときは、「シングル1枚出せればいいや」「えっ、アルバムも出せるんですか!?」というところから、シングルが30枚、オリジナルアルバムが10枚。我々を見放さずこうして使っていただけるキングレコードさんへの感謝がありつつ、自分たちの成長を少しでも皆さんにお届けできることをありがたく思っています。

KATSU 2017年12月の『Beyond』から3年半ぶりなのですが、自分の中ではこのアルバムがCDという形態をとるのはもしかしたら最後かもしれないという覚悟があって臨んだアルバム作りでした。小学校の頃に初めてCDというメディアに触れて、こんな綺麗な音で音楽が作れたらと思ってから30年近く。僕にとってはデビューすることとCDを作ることは同じ目標でした。今はダウンロードやサブスクリプションでの聴かれ方が主流になってきているなか、次の“アルバム”のときにはCDという形態はなくなっていても不思議ではない。その意味で、今回の“アルバム”をCDとしてリリースすることには思い入れがありました。

――angelaはデビュー10周年の際に「宝箱と宝箱2が入ったブルーレイで聞くやつ」というBlu-rayディスクをリリースされたり、メディアにも敏感な印象があります。

KATSU ここ1~2年でサブスクの流れが大きく変わったと思います。それで次のアルバムがまた3年後だとして、そのときには必ずしもCDである必要がない世の中になっていても不思議じゃないんですよ。CDを出せるまでは出し続けたいとスタッフが言ってくれていることに本当にありがたいと思っていて、僕らとしてもそのつもりですが、次のときまでそういう時代かはわからない。CDというメディアが生まれたのは40年前です。家電に置き換えると、その頃の製品を使っているところなんてほとんどないわけで、それだけCDというものはすごい発明だったとも言えます。だから、今回、CDという商品を楽しんでもらえるよう、できる限りのアイデアを詰め込んでみました。その1つがこのジャケットなんですけど。

――まさに’80年代を彷彿とさせるファッションです。このアイデアはどのようにして生まれたのでしょうか。

atsuko デザイナーさんが多才な方で、いつも色んなアイデアを出してくださるのですが、今回のこの劇場というアイデアは、比較的下のほうの推しだったみたいなんです。でも、我々のなかで『Battle & Message』というアルバムタイトルと上手く合致したんですよね。映画や演目、伝えたいメッセージを伝える場所。自分たちが思い描いていたイメージと視覚的にリンクしたので劇場をモチーフにお願いしました。ここは横浜・伊勢佐木町の近くにあるジャック&ベティという映画館です。館内が’80年代のテイストを残した映画館なので、ファッションもスタイリストさんが当時のテイストのものを古着屋さんからかき集めてきました。私たちにとっては小中学生の頃に流行っていたファッションで、ちょっと気恥ずかしさもありつつ(笑)、着てみたら意外としっくりきたんですよ。この映画館のテイストにもすごく合うなと思って。飾っているけど、飾らない我々。どちらかというと普段に近い我々の表情を出しやすいファッションだなと感じました。

――『Battle & Message』というタイトルに込めた思いを改めて聞かせていただけますか。

atsuko コロナ禍を経て生まれたタイトルです。元々自分たちがバトル属性の楽曲を書くことが多いという意味でのバトルがあり、聴いてくださる方も学生さんだったり社会人だったりで、色んなものと戦って生きている。そしてコロナとのバトルがありつつ、ライブができないならSNSや動画配信を使って披露してやろうと、どんな状況でもメッセージを伝えようとしている人がいる。そういった着想から『Battle & Message』というタイトルが浮かんできました。

――『Battle & Message』はアルバムタイトルであり、遠藤正明さんとコラボされたリードトラックです。このアイデアはどのように?

atsuko 遠藤さんとはもう、ずっと一緒に歌いたいなと思っていたんです。「アニぱら音楽館」というTV番組にレギュラーで出演させていただいていた頃、遠藤さんとは番組の中で歌う機会が度々ありまして、毎回あのパワフルな声量に圧倒されつつ、自分の楽曲でできたらどんなに楽しいだろうと思っていました。デビューして18年、音楽を作っていると時々、何も出てこなくなったりどうしていいかわからずに辛くなる時期もあります。そんなときに楽しくなるのは、自分がやりたいと思ったことをやっているときで、やっぱり情熱のあるところに人は集まるし、その先の展望が見えてくるじゃないですか。今の私たちにとってのそれは、遠藤さんと曲を作ることだなと思って、そこで考えたのは曲を先に作ってしまうことだったんです。「キングさん。遠藤さんと歌いたいので曲を作りました。いいですよね?」。「遠藤さん。一緒に歌いたくて、実は曲も出来てます」って、外堀を埋めてから頼みに行ったんです(笑)。

――大人の戦い方ですね(笑)。それでいて、衝動を形にするところはインディーズっぽくもあり。

atsuko 「やってみたいです」と言葉だけで伝えることももちろん方法としてはありますが、行動を伴っているほうが信憑性が湧くと思うんですよ。歌詞もできてるし、曲もありますという状態の方が皆さんを説得する上で必要なんだろうなと。

KATSU 1つ言っておくと、決してこれを歌ってもらいたいがためにJAM Projectさんの曲(「HERE WE GO !」)を書いたわけではないですよ?(笑)。男性歌手とのデュエットをやりたいっていうのは、ずっと前から言っていて、本当に遠藤さんしか考えられなかったんですよ。みんなの遠藤さんイメージだと、JAM Projectのメンバーあるいはソロとして、熱いボーカリストとしての像があると思うのですが、「アニぱら音楽館」だったりスーパーロボットスピリッツの楽屋にいるときって、めちゃめちゃお茶目でキュートなんですよ。ステージ上では―当たり前ですけど―、隠しているそういう部分を出したいなと。

――具体的にはどのような楽曲にしようと考えましたか?

KATSU atsukoからは令和版の「3年目の浮気」とか「男と女のラブゲーム」みたいな曲にしたいという意見があり、なるほどと思いました。この2人のコラボと言うと、みんなはシャウトの掛け合いといったことを想像すると思うのですが、それを裏切るという意味でめちゃくちゃ面白いアイデアだなと。遠藤さんは女性のキーでも普通に歌えてしまうんですよ。過去に「明日へのbrilliant road」を、原曲キーでカバーされたこともありました。その意味ではいつも通りの感覚で曲作りを行ないました。「HERE WE GO !」のレコーディングのときはまだこの曲が実現するか決まってはいなかったのですが、遠藤さんのマイクの使い方とか距離感といったものはこっそり研究していました(笑)。

――レコーディングはどちらが先でしたか?

atsuko 同時に歌いました。別々に録るとやっぱりこの曲の面白さが伝わらないと思って、お互いが別の部屋にいつつも見える状態で歌える環境を作りました。遠藤さんが歌っている状態を直接聴きながら歌ったりハモったり、リアルな掛け合いができました。ディレクションはKATSUさんが行ったのですが、それとは別に遠藤さんはイエーイとかウォーとかシャウトとかをたくさん入れてくれて、「俺に頼んだってことは、こういう部分が欲しいのかい?」と示してくれているようで、そこにプロ根性を感じましたね。歌のセレクトについても何もおっしゃらず、「俺の持ってるものは全部出したから、煮るなり焼くなり好きなものを選んで使ってくれ」と。そこも潔くてかっこいい。

――そういう男性性が令和版「3年目の浮気」として、弱気な姿を見せてそれがギャップとして笑える。

atsuko そう。単に猛々しいだけじゃなくて、かわいらしさとちょっとした情けなさ。それに遠藤さんの色気がすごく出ていて、それが素晴らしいなと思いました。“愛してる”っていう歌詞をあえて遠藤さんに歌ってもらったり、“バレたみたい?”とか“わかってるさ”といった掛け合いの部分もあって、レコーディングしつつ私もじっくり感動して歌えたので、本当に良い経験でしたね。遠藤さんのテクニックを持ってすれば難しい歌い分けでもできたと思うのですが、あえてわかりやすい男女のデュエットにしたかったので、そこはあまり細かくはしないようにしました。今のタイミングではなかなか難しいかも知れませんが、ファンの方がカラオケで歌ったときにデュエットしたりユニゾンしたりして一緒に楽しめる曲を目指しました。両方ともファンの男女比が半々くらいなのでそこもバランスが良いんですよ。またカラオケに行ける時代になったらファン同士で歌ってもらえたら嬉しいですね。ただ、遠藤さんに合わせたので男性はキーが高めです(笑)。

次ページ:最後に「夢と希望は生きている」と締め括った理由

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