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REPORT

2021.04.12

新たな魅力・表情を引き出す装いの力。“THE IDOLM@STER SHINY COLORS 3rdLIVE TOUR PIECE ON PLANET / NAGOYA”DAY1レポート

ここからはソロ曲のコーナー。トップバッターは田中有紀の「星をめざして」で、衣装がストレイライトの旧ユニット衣装に戻っていることにまず驚く。当たり前だがストレイライトとしての彼女とは全く違った表現で、好奇心いっぱいで一瞬もとどまることがない素顔の中学生・芹沢あさひの歌をはじめて見たように感じる。状況と歌詞のマッチングが素晴らしく、後半は“笑顔に逢いに行くよ”のフレーズをトロッコの上で歌う。会場いっぱいの赤い光の中で歌う“キラキラと瞬く ヒカリのようにたくさんの誰かを 幸せにしたいなと思うから”は感動的ですらあった。そして最後に「毎度ありがとうございました!」。ゲームのGRAD編をプレイすれば、これがあさひが心からの感謝を込めた台詞であることが伝わるようになっているのが心にくい。

永井真里子の「過純性ブリーチ」。通常ユニット衣装をまとった永井は腕組みして登場すると、軽やかな前蹴りと共にはにかんだような笑みを見せる。常に元気で全力な彼女のパフォーマンスには、ステージに熱くてさわやかな風が吹くような爽快さがあった。落ちサビで想いをこめた拳を突き上げる永井に、最前列の観客が掲げた拳で応えるシルエットがとても印象的だった。

菅沼千紗の「誰ソ彼アイデンティティー」はジャジーで大人のムードの楽曲。ラメでデコレートされたコンデンサーマイクを、真っ黒な手袋で包みこむように歌う姿が完全に田中摩美々。曲頭のフレーズを歌い終えた菅沼がそっと瞳を閉じるタイミングで、ふっとカメラがけぶるようにアウトフォーカスになっていく間合いのセンスのよさにゾクッとする。間奏の蠱惑的なダンス、ワルツ調への変幻自在の渡り、そしてカメラの向こうを見透かすような深い眼差し。裏通りのバーで、クラブで歌う摩美々の姿を幻視した気がした。

ソロのトリは、田嶌紗蘭の「わたしの主人公はわたしだから!」。この曲に関しては、たい焼きの頭からしっぽまですべて福丸小糸である曲をライブで見る、ということを甘く見ていたかもしれない。それほどぴゃっとした歌唱にがつんとやられたし、「頑張ろー! せいいっぱい!」と歌われるとうっかり頑張ってしまいたくなる。まっすぐな頑張りとせいいっぱいの努力をそのままにぶつけるようなステージ。ただ、この曲で声を出せない会場は、さぞつらいだろうな……と思ってしまった。

ここでソロ曲を歌った4人によるショートMCが入ったのだが、新ユニット衣装と旧ユニット衣装が混在しているのがライブ感がある。田中は「みなさんが見守ってくださっていたし、仲間もいるし、頑張ろって思って出し切りました」。永井は“追い風”という歌詞は仲間やプロデューサー、ファンからの応援という解釈を語ると、「樹里からみんなへの応援歌でもある、という想いを大事に歌いました」。菅沼はスタンドマイクと仲良くなれるかが大問題だったと語ると、「レコーディングの時は小さいライブハウスでぽつんと歌っているイメージでしたが、今回は高ぶって大きい会場バージョンで歌いました。楽しかったです」。最後に田嶌が「みんなに元気を届けられたらと思っていたのに、私自身が勇気と元気をもらえちゃいました。ありがとうございますという気持ちでいっぱいです」と語ると、会場は暖かい拍手に包まれた。

ここで終わらないのが今回のライブのすごいところ。ユニット曲の“もう一周”で、ストレイライトは「Destined Rival」を披露。衣装は新ユニット衣装……ということは、ソロ曲トップバッターの組の田中はユニット新衣装→ソロ曲用に旧衣装→ラストブロックでユニット新衣装と着替えてきたことになる。楽曲に合わせた衣装にとことんこだわった構成だ。ユニットMCではストレイのこの衣装をどう使いこなすかの苦闘が熱く語られ、北原の「この衣装と仲良くなるには」という言葉がとても印象的。衣装を特別に借りたりしながら、新衣装ならではの見せ方を追求したようだ。

放課後クライマックスガールズは「学祭革命夜明け前」を披露。ヒーロー、ヒロイン、海賊、カウボーイという衣装が、学園祭のお祭り感というキーワードで改めて結ばれた感じだ。言葉遊びやコールが楽しい楽曲とAR演出の相性の良さを改めて感じることができた。ユニットMCでは衣装について語られ、涼本が帽子が小さめにアレンジされて踊りやすいことを紹介。永井は遠目には見えづらい、足回りのかっこいい装飾を見せると「こういうの樹里が着るっていいよね」と自画自賛? していた。河野が「参上!」と衣装の裾をマントのように翻すと、ステージ上から黄色い歓声が飛んだ。丸岡は、凛世モードで衣装を紹介しようとするが電池が切れて少年になってしまうコントをひとくさり、ふたくさり。放クラらしいわちゃわちゃと楽しいユニットMCだった。

イルミネーションスターズは「Happy Funny Lucky」を披露。ステージ上がショーアップされた劇場のような空気に包まれる。灯織、そして近藤というピースがイルミネにとってどれほど大切かを感傷の中ではなく、楽しくハッピーなショータイムの中で感じられたことが嬉しい。ユニットMCでは「Twinkle way」を3人一緒に歌えた喜びが語られ、関根は「れいれいの声が聞こえると安心する」。歌う前も歌っている間も、3人とも涙をこらえながらの歌唱だったようだ。衣装のポイントや一緒に歌えた喜びを改めて3人でわいわい語りながらも、まとめるべきところではしっかり仕切る関根に頼もしさを感じた。

本編のラストは、各ユニットがそれぞれの新衣装に身を包んでの「Multicolored Sky」。今回のツアーは、20人以上のキャストの多くが3会場6公演のツアーに帯同するという「アイドルマスター」全体でもあまり例のない大規模ツアーだ。その中で演者の負担を抑え、集まったファン(プロデューサー)にどう新鮮に楽しんでもらうかを考えた時、楽曲やアイドルの内面まで理解した上で作りこんだ“衣装”というものがとても強い力になるということを今回の公演は教えてくれた気がする。素敵な衣装は外見を変えるだけでなく、着るものの新しい表現や表情すらも引き出してくれるのだ。

アンコールでアイドルたちは、全員が3周年を記念した新衣装・ユナイトバースプラネタリを身にまとって登場し、「Resonance+」「Ambitious Eve」「シャイノグラフィ」の3曲を披露した。腰回りに惑星の輪っかを吊るす挑戦的なデザインや、虹の翼を象った髪留めが印象的だ。新曲「Resonance+」を歌う22人を、色とりどりの音符が舞い上がって照らし出した。Resonanceとは共鳴、共振を示す。ユニットが6色から7色となり、響き合うアイドルたちがこの道の果てにどんな音を奏でるのか。その答はツアーを駆け抜けた先にあるはずだ。

TEXT BY 中里キリ

THE IDOLM@STER SHINY COLORS 3rdLIVE TOUR PIECE ON PLANET / NAGOYA DAY1
4月3日(土)日本ガイシホール
<セットリスト>
M01:プラニスフィア ~planisphere~(Team.Stella/関根瞳、礒部花凜、河野ひより、黒木ほの香、田中有紀、土屋李央)
M02:SOLAR WAY(Team.Sol/峯田茉優、八巻アンナ、永井真里子、涼本あきほ、芝崎典子、幸村恵理、和久井優、岡咲美保)
M03:リフレクトサイン(Team.Luna/近藤玲奈、菅沼千紗、成海瑠奈、結名美月、丸岡和佳奈、前川涼子、北原沙弥香、田嶌紗蘭)
M04:Spread the Wings!!(シャイニ―カラーズ)
M05:Twinkle way(イルミネーションスターズ/関根瞳、近藤玲奈、峯田茉優)
M06:ダブル・イフェクト(アルストロメリア/黒木ほの香、前川涼子、芝崎典子)
M07:五ツ座流星群(放課後クライマックスガールズ(河野ひより、永井真里子、丸岡和佳奈、涼本あきほ)
M08:Black Reverie(アンティ―カ/礒部花凜、菅沼千紗、八巻アンナ、成海瑠奈、結名美月)
M09:Hide & Attack(ストレイライト/田中有紀、幸村恵理、北原沙弥香)
M10:いつだって僕らは(ノクチル/和久井優、土屋李央、田嶌紗蘭、岡咲美保)
M11:純白トロイメライ(アンティ―カ/礒部花凜、菅沼千紗、八巻アンナ、成海瑠奈、結名美月)
M12:Anniversary(アルストロメリア/黒木ほの香、前川涼子、芝崎典子)
M13:あの花のように(ノクチル/和久井優、土屋李央、田嶌紗蘭、岡咲美保)
M14:星をめざして(田中有紀)
M15:過純性ブリーチ(永井真里子)
M16:誰ソ彼アイデンティティー(菅沼千紗)
M17:わたしの主人公はわたしだから!(田嶌紗蘭)
M18:Destined Rival(ストレイライト/田中有紀、幸村恵理、北原沙弥香)
M19:学祭革命夜明け前(放課後クライマックスガールズ(河野ひより、永井真里子、丸岡和佳奈、涼本あきほ)
M20:Happy Funny Lucky(イルミネーションスターズ/関根瞳、近藤玲奈、峯田茉優)
M21:Multicolored Sky(シャイニ―カラーズ)
-ENCORE-
EN1:Resonance+(シャイニ―カラーズ)
EN2:Ambitious Eve(シャイニ―カラーズ)
EN3:シャイノグラフィ(シャイニ―カラーズ)

(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

関連リンク

「アイドルマスター シャイニーカラーズ」公式サイト
https://shinycolors.idolmaster.jp/

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