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INTERVIEW

2021.04.06

悠木 碧が語る「異世界転生作品」の魅力とは?アニメ『スライム倒して300年』OPテーマ「ぐだふわエブリデー」インタビュー

悠木 碧が語る「異世界転生作品」の魅力とは?アニメ『スライム倒して300年』OPテーマ「ぐだふわエブリデー」インタビュー

「異世界転生作品の流行が創り手を増やした」理由とは?

――悠木さんは本作を含め、異世界ファンタジー作品に数多く出演されていますが、役者として意識することや念頭に置いていることを教えてください。

悠木 まずメインキャラクター、つまり現代から転生してきた側を演じる場合についてお話すると、世界観設定をモノローグで説明する役割を求められます。ただその説明文がどうしても長くなりがちになります。それは元々が小説なり文章であるからで、耳で聞く場合は鬱陶しくならないように気をつけています。具体的には、他を聞き流しても最低限この部分だけ聞けばお話が分かるようにという部分をピックアップして聞かせるように、たとえ心理的に無理が生じたとしても、そこは芝居をデザインして話すようにしています。一方、異世界側の住人のキャラクターの場合は全力で夢の世界の住人らしく演じます。やっぱり「異世界転生作品」はみんなの理想郷であり心が休まる場所なんですよね。それを堅守する気持ちで取り組んでいます。

――理想郷であるからこそ、10年近く流行が続いているんでしょうね。

悠木 もうジャンルとして確立していますよね。これはカップリング曲の「異世界管理局創造課」でも取り扱っているのですが、「異世界転生作品」って何も言わなくても、モンスターと言えばスライムやドラゴンという想定ができて、街並みといえば石畳の西洋建築でお城が真ん中にあって堀に囲まれているみたいな想像がつきます。これってスゴいことで、説明を全部すっ飛ばして作者が書きたいことを書けるわけです。つまり“テンプレ”を共有することで、創作の幅を広げたジャンルだと思います。

――ゲームで言うと「RPGツクール」のように、ガワは作られていて、その先の書きたいストーリーに集中できる。

悠木 そうですね。私は「異世界転生作品」の流行によって創り手が増えたのではないかと思っています。全部すっ飛ばして自分の作りたいところを作っても、みんなに説明がつくのが面白いところ。創作する者の端くれとしては、創り手側の作りたいものが詰まっているところがとても嬉しくて。モノづくりってとても楽しいので、その入門としてとても素敵なジャンルだと思います。

――お話の中で挙げられましたカップリング曲の「異世界管理局創造課」ですが、また振り切った楽曲になりましたね。このアイデアはどこから来たのでしょうか?

悠木 声優の仕事は決して早口で喋ることでもいろんな声を出すことでもないのですが、私の早口をコンテンツとして面白いと思ってくれる方が多いんだなとは感じていました。日本コロムビアの制作サイドからも、早口で叩き込める曲作りましょうというご提案はいただいていて、いつか悪ふざけみたいにチャレンジをしてみたいなとは思っていました。私の想定ではアルバムの中の1曲ぐらいかなと思っていたら、シングルのカップリング曲にどうかと言われて、驚きましたね(笑)。最初は歌詞先行でと言われたのですが、書くにしても文字量が多すぎて困ったので、私が早口で喋るのに合う曲の中から一番速そうな曲を選びました。仮歌も喋りに近い感じが入っていたのですが、それを聴いたときに、呼び出し放送の「ピンポンパンポーン」に似ている気がして、お知らせ放送感を出すところから考えていきました。

――その時点では異世界転生のパロディネタとは決まっていなかった?

悠木 歌詞を書き始める段階になってからですね。「異世界転生作品」が流行して以降、私を含めいろんな声優が異世界に飛ばされています(笑)。役者仲間の間でもよく話題に上りますし、みんなに「わかるわかる」と思ってもらえる内容になれば面白いかなと思って。これは強調しておきたいのですが、この歌詞の内容は断じて「異世界転生作品」をディスっているわけではありません。私はこのジャンルがとても好きで、あれは世間一般で言うところの、「全部仕事を投げ出してハワイに行きたい」という意味だと思っていて、それは悪いことではありませんよね。ある種の逃避みたいなもので、その先に受け入れてくれる機関があったらどんな形だろうという想定から書いていきました。

――こちらのレコーディングのようすはいかがでしょうか?

悠木 レコーディングというか、いかに早口で叩き込めるか、みたいなことになっていましたね(笑)。でも、段々できるようになると案外面白くないもので、そこからハードルを上げて、この音にこの歌詞が被ると聴き取りづらいから間を調節するなどして、台詞を立てるようなこだわりをして、それはそれで面白かったですし、聴いた方に伝わっていたら嬉しいです。ただ、この曲は「この人何やってんの!?」と笑って貰えれば。これまた真面目にふざけてみました(笑)。

――リリックビデオもさらに振り切った内容でしたね。

悠木 (笑)。最初のリリックビデオが「バナナチョモランマの乱(無修正版)」(アルバム『ボイスサンプル』収録)で、「声優さんっていろんなことさせられて大変だなって思ったら、本人の歌詞だった」と言われていたのですが、2本目がこれでそこだけ見た人に、悠木 碧の作詞はヤバいと思われたらどうしよう。いや、真面目な歌詞もちゃんと書いているんですけど?(笑)。実はこれ、半分ぐらい削っていて。

――これで!?

悠木 最初はもっと多かったんです。最初、仮で喋ってみたらとてもじゃないけど聴き取れないレベルでして、万が一これをライブで歌うとなったら成功率が厳しいなと思って削っています。それでもどうしても削りたくないワードがいっぱい出てきたので、体に無理をさせているところがあります(笑)。自分で作詞すると、そんなふうに私が無理をすればどうにかなるのが良いですね(笑)。自分でやったことの始末を自分でつけるから許される。他人にご提案する形だったら絶対に書けない歌詞だったと思います。

――このシングルの楽曲の魅力を改めてお伝え下さい。

悠木 やりたいときにやりたいことをやって、食べたいときに食べたい物を食べても、人は生きてるだけで偉いので、難しいことは一つも考えなくていいと思います!(笑)。『スライム倒して300年』の作品ともども、よろしくお願いいたします。皆さん、カラオケでぜひ「異世界管理局創造課」を歌ってみてください!

INTERVIEW & TEXT BY 日詰明嘉


●リリース情報
悠木碧ニューシングル
「ぐだふわエブリデー」
4月7日発売

【初回限定盤(CD+DVD)】

品番:COZC-1728~9
価格:¥1980(税込)

【通常盤(CD)】

品番:COCC-17860
価格:¥1320(税込)

<CD>
1.ぐだふわエブリデー
作詞 OSTER project 作曲・編曲 涼木シンジ
2. 異世界管理局創造課
作詞 悠木碧 作曲・編曲 フワリ
3.ぐだふわエブリデー(Instrumental)
4. 異世界管理局創造課(Instrumental)

<DVD>
ぐだふわエブリデー Music Video/悠木碧Comment Movie

●作品情報
TVアニメ『スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました』
TOKYO MX・BS11・AT-Xほかにて2021年4月10日(土)より放送開始!

AT-X 4月10日より毎週土曜21:00~
※リピート放送:毎週月曜28:30~/毎週土曜6:00~
TOKYO MX・BS11 :毎週土曜22:00~
サンテレビ:毎週土曜22:30~
KBS京都:毎週土曜23:00~
※放送時間は予告なく変更になる場合がございます。

【スタッフ】
原作:森田季節(GAノベル/SBクリエイティブ刊)
キャラクター原案:紅緒
監督:木村延景
シリーズ構成:髙橋龍也
キャラクターデザイン:後藤圭佑
サブキャラクターデザイン:本多恵美
美術監督:内藤 健
色彩設計:竹澤 聡
撮影監督:三上颯太
音響監督:本山 哲
音響制作:スタジオマウス
音楽:井内啓二
音楽制作:日本コロムビア
アニメ―ション制作:REVOROOT

【キャスト】
アズサ:悠木 碧
ライカ:本渡 楓
ファルファ:千本木彩花
シャルシャ:田中美海
ハルカラ:原田彩楓
ベルゼブブ:沼倉愛美
フラットルテ:和氣あず未
ロザリー:杉山里穂
ペコラ:田村ゆかり

©森田季節・SBクリエイティブ/高原の魔女の家

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