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INTERVIEW

2021.03.02

配信シングル「DEAR JUNKS feat. 岸田教団&THE明星ロケッツ」にてコラボが実現!EXiNA×岸田(岸田教団&THE明星ロケッツ)スペシャル対談!

配信シングル「DEAR JUNKS feat. 岸田教団&THE明星ロケッツ」にてコラボが実現!EXiNA×岸田(岸田教団&THE明星ロケッツ)スペシャル対談!

EXiNA×岸田教団&THE明星ロケッツによるコラボレーションが実現!
「100%のEXiNA、100%の岸田教団がぶつかり合うコラボじゃないと意味がないと思っていました」(EXiNA)という強い思いから生まれた「DEAR JUNKS feat. 岸田教団&THE明星ロケッツ」は、強烈なロックサウンドと“愛するクズたちへ”をテーマにした歌が火花を散らす超アッパーチューンに仕上がっている。

リスアニ!WEBでは、EXiNAと岸田のスペシャル対談が実現!楽曲の制作プロセスはもちろん、アーティストとしてのスタンス、お互いの人間性を浮き彫りにするきわめて貴重な内容となった。

――EXiNAさんと岸田さんが初めて会ったのは?

岸田 ジャカルタのイベント(「C3 Anime Festival Asia Jakarta 2017」)じゃない?

EXiNA そうでしたね!そのときはじめてご挨拶させてもらって。懐かしいですね。

岸田 俺もそのとき初めて見たんですけど、「歌が上手いヤツがいるな」と思って(笑)。調べてみたら、『艦これ』の人だってわかって、「なるほど」と。

――西沢幸奏名義のデビュー曲「吹雪」(アニメ『艦隊これくしょん-艦これ-』EDテーマ)ですね。さらに2018年5月に開催された岸田教団&THE 明星ロケッツ主催イベント“ガチです(ФωФ)!”でも共演して。

EXiNA はい。バンドさんと共演するのは初めてだったので、リハーサルの段階から「バンドマンって、こういう感じなんだ」って思って。

岸田 申し訳ないけど、俺らはバンドマンではないんですよ(笑)。東京のバンドシーンに関わったこともないし、同人サークル出身なので。ichigoさんとドラムのみっちゃんは少し知り合いがいるみたいだけど、俺はぜんぜんいないしね。

EXiNA そうなんですね!あのときの岸田さんたち、めっちゃ楽しそうだったんですよ。そういう風景をあまり見たことがなかったので、すごく新鮮で。

岸田 たしかにあの日は楽しかったし。いつもそうかと言われたら、それもまた違うんだけど(笑)。

EXiNA (笑)。やわらかい感じがいいなと思ったんですよね。いいものを作るためには緊張感も大事だけど、こういう自然な空気のなかで音楽をやるのも素敵だなって。

――バンドに対する憧れがある?

EXiNA ありますね、それは。高校生のときはバンドでデビューするのが目標だったので。

岸田 あ、そうなの?

EXiNA はい。ずっとバンドは好きなんですけど、あるときからバンドではなく、ソロとしてデビューしようと思うようになって。幸運なことにロックな曲を歌わせてもらってるので、もともとやりたかったことも実現できてるんですけどね。ライブもバンドスタイルでやりたいし、できればメンバーも固定したくて。

――岸田さんもバンドというスタイルに思い入れがあるんでしょうか?

岸田 いや、欠片もないですね(笑)。個人的には作家やレコーディング・ミックスエンジニア志望だったんですけど、自分の得意なところを集めていった結果、ロックバンドに寄っていったというか。生き方として、なりたいものになろうとするか、なれるものになろうとする選択があると思うんですけど、俺は完全に後者で。「こういう人になりたい」ではなく、「自分になれるものはなんだろう?」と考えてきたんですよ。向いているものを伸ばしていくと、いつのまにかロックバンドになっていたっていう(笑)。なので、こだわりは全然ないです。

EXiNA 今の話はアーティストに限らず、たぶん誰もが考えることですよね。最初は「好きなことをやりたい」という理想から始まって、どこかのタイミングで「この方針でいいのかな」と葛藤するようになって。そのときに「できることをやる」という判断はすごく大切だと思います。それって「人から求められることをやる」ということにもなるのかなって。

岸田 そうそう。俺の恩師みたいな人に、「なりたいものとなれるものは違うから」ってずっと言われてたんですよ。「アーティストはみんな山に登ってるんだけど、登りやすいルートを通ったほうがいいに決まってるだろ」って。

――それが「やれることをやる」ということなんですね。

EXiNA 自分にやれることをやるって、すごくシンプルな考え方ですよね。勇気を持って、そこに向かっていくべきだなって思います。

岸田 勇気、大事ですよね。何をするにしても勇気は必要だし、思い切ってやって、失敗したら謝ればいいんだから(笑)。

――(笑)。ちなみにEXiNAというプロジェクトは、“なりたい自分になる”と“やれることをやる”では、どちらに比重がありますか?

EXiNA そうですね……。どっちもあるんですけど、もともとは「もっと楽しくやりたい」がスタートだったんです。今もその姿勢は変わってないんですけど、コロナの期間に色々考えて。「どうやったら楽しくやれるか?」だけではなくて、人から求められたい、皆さんに喜んでもらいたいという気持ちも強くなってるし、どっちも切り離せないですね。

岸田 なるほど。

EXiNA 正直、まだ模索中なんですけどね。「吹雪」の頃からそうなんですけど、形がなかなか定まらないというか……。それは髪型に象徴されていると思いますけど(笑)。

岸田 すごい形と色だよね、今の髪型(笑)。ちょっと真面目に話すと、“形”って、自分ではないと思ってても意外とあるんですよ。人間には「ここは変えられない」という部分が必ずあって、その最たるものが身体なんですよね。ギタリストでいえば、「指がどれくらい早く動くか」という身体的な限界値が必ずある。「自分はここまで」というのがわかると、自ずとほかのことを探すようになるだろうし。さっき「できることを探したほうがいい」って言いましたけど、その裏には大量の「できないこと」があって。アーティストの個性って、できることを探すより、「できないことってなんだろう?」と考えることでも形作られると思うんですよね。岸田教団も「できないことどうカバーするか」と考えた結果だったりするので、得意・不得意がはっきりしてますからね、全員。それをどうやって補い合うかも大事で。

EXiNA 深いですね……。私も最近、理想の自分になるために頑張るよりも、元々持ってる良さをいかに引き立てるかが大事じゃないなかと思うようになって。

岸田 正しいですね、それは。理想の自分に向かって頑張っていて、あるとき「これ以上やってもダメかな」と思うとしますよね。そこで方向転換すると、それまでのリソースの半分くらいは消えてしまう。「それは別にいいや」と切り替えて、損切りできないほうがヤバイんですよ。ギャンブルの理屈と同じですよね。「この台にこれ以上ツッコんでも出ない」と見切れるかどうか、なので。

EXiNA 今のお話、偶然にも「DEAR JUNKS」の歌詞にも繋がっていて。タイトルは“愛しきダメ人間たちへ”という意味なんですが、裏テーマは“ギャンブル”なんです。人生を賭け事に例えると、小さい額をチマチマかけるより、思い切って、大きな勝負に出るのもいいんじゃない?っていう。歌詞の中で“Be a gambler”というフレーズも出てきます。

――EXiNAさんから岸田さんにオファーしたときは、どんな曲を求めていたんですか?

EXiNA すごくシンプルなんですけど、岸田さんらしい曲を作ってほしいなと思ってました。あと、作曲家の岸田さんが、歌い手の私にどんな曲を歌わせたいのかも知りたくて。

岸田 こちらとしてはまず、「忖度しない」と思ってましたね。歌い手にはそれぞれに得意・不得意があるし、「ここは苦手みたいだから、そこが見えないような曲にする」という考え方もあるけど、彼女の場合はそんなこと考えなくていいかなと(笑)。EXiNAとウチらのコラボを打ち出すのであれば、両方が感じられる曲がいいし、あえて混ぜなくてもいいと思ったんですよ。

EXiNA そうだったんですね!曲が送られてきたとき、すごくいい意味で期待通り!というか(笑)、岸田さんらしいかっこいい曲だったのが嬉しくて。歌うのが難しい曲ではあるんですけど、身体に馴染むと歌いやすいんですよ。私の得意分野の曲だなと思いました。

岸田 これまでの曲を聴いて、「これはよく歌えてるな」という曲を基準にしてメロディを作ったんですよ。メロディって、シンガーごとにオーダーメイドするべきだと思っていて。「そのシンガーが歌えば、よく聴こえる」というのが、いいメロディだし、そこは今回も一生懸命考えました。しっかりリサーチしてるんですよ、じつは(笑)。

EXiNA ありがとうございます!たしかに同じメロディでも、歌い手によってぜんぜん聴こえ方が違いますよね。

岸田 そうなんだよね。幸奏ちゃんは技術が高いし、メロディのカーブが急でもしっかり歌いこなせて。そこはかなり活かせたと思います。

EXiNA いいところを引き出してもらってたんですね。あと、曲を作る前に「どんなアーティストが好きか」みたいな話もさせてもらって。私、フー・ファイターズが大好きなんですけど、それを踏まえて音作りしてくれたのかなって。

岸田 ややオールドスクールな音作りになってますね。メタルが好きって言われたらもっと重心を下げたんだけど、フー・ファイターズってことはストレートなロックに近づけたほうがいいなと。“演奏はハード、メロディはポップ”というバランスも意識してました。

――岸田さんのギタープレイもめちゃくちゃ派手で。

岸田 音がデカいですよね(笑)。この案件のためにアンプを買ったんですよ。

EXiNA え、そうなんですか?

岸田 はい(笑)。ふだん使ってるアンプは尖りめのサウンドで。ichigoさんにはすごく合うんだけど、幸奏ちゃんの声はもうちょっと高めなので、ギターの音も変えたほうがいいなと思って。

EXiNA 嬉しいです!ありがとうございます。

岸田 これは個人的なことだけど、ミックスも今までいちばんのクオリティだと思ってて。たぶん気づかないと思うけど(笑)、自分的にはかなりの変化があったので、そこも良かったですね。

――ichigoさんのコーラスも聴きどころですよね。

EXiNA そうなんですよ。ichigoさんは妊娠されているから、「もしよかったら」というソフトなお願いだったんですけど……。

岸田 やってくれましたね(笑)。ミックスしてても、「ichigoさんの声、めっちゃ聴こえるな」って。コーラスでも存在感があるんですよね、やっぱり。

EXiNA さすがです!

――歌詞についても聞かせてください。“愛しきクズたちへ”というテーマにしたのは、どういう理由だったんですか?

EXiNA それはもう、音と曲調ですね。岸田さんのデモを聴かせてもらって、「テーマはこれしかない!」って。岸田さんたちと一緒にやるんだったら、前向きな歌詞であるべきだし、泥臭くてもいいのかなと。岸田さんの書く歌詞の影響もあると思います。言葉から人間性が見えてくるというか……。

岸田 あ、ホントですか。若いときはもっと雑というか、適当だったんですけどね。

EXiNA そうなんですか?

岸田 うん。さっきも話した恩師みたいな人が、「ミュージシャンはディスコグラフィーではなく、バイオグラフィーを売ってるんだから、歌詞から人が見えたほうがいい」と言われたんですよ。そのときに作ったのが「hack/SLASH」(2014年)という曲で。そこからは自分たちのキャラを歌詞のなかに出すようにしてるので、「人が見える」と言われるのは嬉しいですね。そういう歌詞がちゃんと書けてたんだなと。

――EXiNAさんも「自分はクズだな」と思ったりするんですか?

EXiNA めちゃくちゃありますね!というか、そればっかりかも(笑)。自分のことをちゃんとした人間だと思ったことはあんまりないので。

岸田 そうなんだ(笑)。まあ、俺は完全にダメ人間だけど(笑)。

EXiNA (笑)。めんどくさがりなんですよ、元々。「お風呂入るのめんどくさい」「布団から出るのめんどくさい」ってこともよくあるし(笑)。そんな自分がイヤで、喝を入れてるところもありますね、この曲は。

岸田 自分よりだいぶ若いヤツにそんなにしっかりしたこと言われると、戦慄を覚えますね。俺は自分がダメだとわかってて、しかも直す気もないから(笑)。

――(笑)。EXiNAさん、岸田さんの個性と才能がぶつかり合ったコラボになりましたね。

EXiNA 間違いないですね。お互いに100%でぶつからないとコラボの意味がないと思っていたので。ほかのアーティストの方とここまでガッチリ組ませてもらえるのは初めてだったし、何もかもが刺激的でした。音楽の自由さを改めて感じさせてもらえた、すごく楽しい時間でしたね。ここまで生々しいバンドサウンドに振り切ったのも初めてだし、今後に繋がるコラボになりました。

岸田 こっちも好きなようにやらせてもらって、よかったです。さっきも言いましたけど、いいミックスになったのも良かったなと。配信されたらウチらのファンが「いままでの音と違う」と気付くかどうか、チェックしようと思います(笑)。

INTERVIEW & TEXT BY 森 朋之


●リリース情報
EXiNA
「DEAR JUNKS feat. 岸田教団&THE明星ロケッツ」
主要サイトにて配信中

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