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INTERVIEW

2021.02.24

本作で逢田梨香子が表現した新たな世界観とはーー? 2nd EP「フィクション」リリースインタビュー!

本作で逢田梨香子が表現した新たな世界観とはーー? 2nd EP「フィクション」リリースインタビュー!

自身のアーティスト性を大きく広げた傑作1stアルバム『Curtain raise』からおよそ1年、アーティスト・逢田梨香子の新章を告げる2nd EP「フィクション」が発表された。本作のタイトル通り、彼女がデビュー以降1つのテーマとして挙げていた“演じること”をさらに拡大させ、世界観としてもサウンドとしても新たな一歩を踏み出した1枚となった。自身のソングライティングを含めて、逢田梨香子は本作で何を演じ、我々に何を投げかけようとしたのだろうか。

――昨年は4月に予定されていたツアー“逢田梨香子 1st LIVE TOUR 2020「Curtain raise」”が延期となり、12月に名古屋、東京公演が開催されました。3月の大阪公演が残っていますが、今回のライブへの手ごたえはいかがでしたか?

逢田梨香子 良い意味で思い描いていたものと違いましたね。4月のライブが延期になる前の3月ぐらいの段階では、色んな意味で不安などの感情が大きかったんですけど、そこから延期になってしまって、逆にその期間があったからこそステージに立てる喜びなどを改めて再確認することができたんだと思います。その時間がなかったら気づけていなかったことや、一人でライブをやりきる覚悟というものも今回ほど大きくなっていなかったと思えるぐらいで、12月に向けては「もうやるしかない」という強い気持ちがすごく大きくなりましたね。

――そうしたなかで迎えたツアーですが、東京公演を拝見しまして、「Curtain raise」から「Mirror Mirror」と繋がる冒頭の、まさに幕が開く瞬間のお気持ちはいかがでしたか?

逢田 緊張はマックスでした(笑)。アルバムの曲順を決めたりしている段階からライブは「Mirror Mirror」から始まりたいというイメージがあったので、それを具現化できたのは嬉しかったです。

――また、お客さんを前にしてライブをするのもおよそ1年ぶりでした。ファンの前に立った心境はどうでしたか?

逢田 1曲目は緊張感のある曲なので、グッとくるのを抑えつつ強い自分を演じるという気持ちで皆さんの前に立っていましたね。

――また、ライブでは逢田さんの表情もまた印象的で、曲によっては観客一人一人の目を見て歌っているようにも見えましたが……。

逢田 見ていましたね……見ちゃう。「Mirror Mirror」とか曲に没頭するタイプの曲は自分の世界に入る感じですけど、楽しめる曲やみんなに寄り添うような楽曲ではみんなの表情を見ながら歌っていました。みんなの表情を直接見て、そこで生まれてくる気持ちもあるので。みんな思い思いの表情をしてステージを観てくれていて、それを楽しんでいる姿を見ると、「ああ、頑張ってよかったなあ、ステージに立てる日が来てよかったなあ」って気持ちが込み上げてきました。

――また今回のツアーではバックバンドを迎えてのパフォーマンスとなりましたが、バンドサウンドで再現された楽曲を歌ってみていかがでしたか?

逢田 生音は本当に素晴らしいなと。それも初めての挑戦だったんですけど、生バンドによって曲が新たに生まれ変わる楽しさもあり、CDで聴いていたサウンドとはまた聴こえ方も違ったと思います。自分でも「こんなにかっこいい感じでアレンジされているんだ!」という色んな発見がありましたね。

――そんなツアーを経て、2nd EP「フィクション」がリリースされます。制作は主に2020年のうちに行われたのですか?

逢田 はい。なかでも「Dream hopper」はTVアニメ『装甲娘戦機』のOPテーマということもあって、早い段階から手元にありましたね。

――そんな「Dream hopper」をはじめ、4曲ながら多彩なアプローチが光る1枚となりましたが、制作前には逢田さんの中で本作のコンセプトはどう捉えていましたか?

逢田 まさにそれがこう狙いだったというか、「今までやったことのない楽曲をやりたい」というのを私から提案させていただいたんです。今回は4曲入りのEPで「Dream hopper」は出来上がっている、じゃあほかの3曲はどうしようと。今までは全体の統一性は気にしていたんですけど、今回はあえて4曲がバラバラな方向を向いているのも面白いんじゃないかなと。じゃあそのバラバラな4曲を1つにするテーマとして「フィクション」というタイトルにしたいです、と提案して出来上がった1枚です。

――たしかに今回の4曲はそれぞれアプローチが異なる、しかもそのいずれもが逢田さんの楽曲としては新鮮なものばかりでした。

逢田 別々の作品、別々の世界観、別々の登場人物、4つのストーリーというコンセプトで、それが“フィクション”だったら成立するんじゃないかなって。

――そんな「フィクション」の各楽曲についてお伺いします。まずは1曲目の「Dream hopper」ですが、最初に聴いたときの感想はいかがでしたか?

逢田 これが本当に1曲で繰り広げられている展開なのか、最初聴いたときは驚きましたね。私の曲としてはもちろんなんですけど、今まであまり触れてこなかったタイプの楽曲だったので、逢田梨香子としての作品でもこういう曲が歌える日が来たんだっていう驚きがありました。

――サビでガラッと世界観が変わる展開も印象的で、また非常にポップなサウンドも逢田さんの作品としては新鮮ですね。

逢田 本当にジェットコースターに乗ったような感じですね。サビでギュイーンと急降下してまた上がって、振り落とされないようにしがみつくのが必死ですね。きっと皆さんも最初に聴いたときは驚かれたと思います。ライブでやったら映えるんだろうなあって思いますね。ペンライトとかをみんなで振ったら楽しいだろうなっていうイメージはありました。

――ライブというと、この曲は逢田さんのバンドのバンマスである野間康介さんが作編曲を初めて担当されていますね。

逢田 そうなんですよ。今回のライブでピアノを弾いてくださったんですけど、そのリハーサルが3月頃からだったので、そこで初めてお会いしたあとにこの曲をいただいたんです。ライブきっかけでこうしてご一緒できるのもまた嬉しくて、野間さんも「せっかくだからバンドメンバーのみんなと頑張った」っておっしゃってくださって。それもあって特別な曲になりましたし、バンドの皆さんとライブで披露できたら感動しちゃいますね。バンドの皆さんにはライブでもたくさん支えていただいているので、本当にありがたいです。

――この曲のMVも、これまでの作品にはないポップな仕上がりとなりました。

逢田 個人的にも何回でも観直したくなるような、ポップでシュールで、かわいいけどどこか非日常で不可思議な面白いMVになったと思います。

――団地を舞台に逢田さんとダンサーがダンスを見せるのはキャッチーなんだけど、たしかにどこかシュールで。

逢田 団地っていう日常的な場所で、奇抜なファッションでみんなと駆け回ったり遊んだりする風景がシュールで、アンバランスな感じが面白いなと。ダンスも個性的な振り付けになっていて、自分でも今まであまり踊ったことのない振りだし、それが加わることで曲の見え方も変わってくると思いますね。今まであんなにカラフルな服をソロでは着ることがなかったので、こういう曲もやるんだよっていうのを皆さんに提示できたらいいなって思います。

――続いてはタイトルトラックの「フィクション」です。

逢田 EPのタイトルを「フィクション」にしたいですって提案したのと同時ぐらいに、こういったブラスが印象的なビックバンドの曲というか、かっこいい曲を歌ってみたいですってリクエストを出したんです。タイトルが「フィクション」ならどういう内容にしようと考えたときに、こうしたちょっと楽しい、でもダークな感じが合うんじゃないかなってリクエストしました。

――ジャジーなサウンドのなかで逢田さんのボーカルも大人っぽさというか、妖艶さも感じさせるもので。

逢田 そうですね。今までやったことのないジャンルで、大人っぽい曲は今までもあったけどボーカルも全然違うアプローチ。これもまた2曲目で流れたら聴いている人は驚くだろうなって。

――そうした雰囲気には、逢田さんの歌詞もまた大きな役割を担っています。これまでの逢田さんの楽曲にも感じられる物事の多面性というものが踏襲された、不思議な世界観でありワードチョイスだと思いますが、どんなイメージで作詞をされましたか?

逢田 夢か現実かわからない、戻り方もわからない、目の前の快楽だけを追い求めてどこにも行けなくなってしまった、ステージの上で翻弄されてしまう主人公というイメージで、どこか映画「ブラック・スワン」の雰囲気でイメージしたりしつつ。

――まさにこれまでにも感じられた逢田さんが“演じる”というスタイルがピッタリなテーマだなと。

逢田 そういった世界観だったりワードが好きなのもありますし、そういうテーマにすることでアーティスト活動が自分の身近にあるように感じられるんですよね。それはデビューEPの「Principal」からアルバム『Curtain raise』、今回つけた「フィクション」も偶然にも演劇に関連するタイトルで、それもあって同じテーマで流れを作っちゃおうと思って。

――そして3曲目はカジヒデキさんが手がけた「退屈が大好き」です。カジさんらしいスウェディッシュポップ、渋谷系的なイメージもありますが、ここでのボーカルが本作の中でもまた異色というか。

逢田 歌い方に関しては最初は正解がわからなかった、という曲でした。もともとはかわいい曲でちょっと囁き声で歌うのがいいかなって楽曲のリクエストをさせていただいたんですけど、いざ収録してみると、かわいい曲だからかわいく歌うのもちょっと違うなって思ったんですよね。ここは結構試行錯誤して、あえてちょっと無気力な気だるい感じを取り入れつつレコーディングしました。

――元々キュートなポップスというのも新鮮ですし、このボーカルは逢田さんの表現の引き出しがまた増えた印象ですね。

逢田 今まですごくかわいいジャンルはなかったですし、私の中では、例えばやくしまるえつこさんの楽曲のようなキュートさとサウンドのカッコよさが共存した世界観、雰囲気がこの曲に入っていたら面白いんじゃないかな、バラエティ豊かになるんじゃないかなって歌いました。こうしたアプローチで歌うことは今後も頻繁にあるわけではないですが、色んな意味でびっくりしていただけるのかなって。

――まさに「フィクション」というコンセプトだからできる曲でもあると。

逢田 そうですね、ある意味この楽曲が一番演じるというテーマに沿っているのかも。本当にフィクション感が強い、一番現実味がない曲ですね。それぐらい幅が広いんですよね、このEPは。

――そして最後の曲は逢田さんの作詞になる壮大なバラード「花筵」です。

逢田 この曲で最初に書きたいなって思っていたものは、“抗えない大切な人との別れ”というか。例えば男女の別れだったら物理的には引き止めることもできると思うんですけど、どうしようもない別れって世の中にはあると思うんですよね。そういったものを大きなテーマとして書こうと思いました。

――そこで生まれたのが“花筵(はなむしろ)”というワードであると。

逢田 大切な人に何を送りたいか、色んな言葉を探していたなかで“花筵”という言葉が出てきて。調べていったら、桜の花が散ってできた道っていうすごい素敵な風景が浮かんだんです。咲いている花も素敵だけど、散った花も変わらないぐらい綺麗な風景になると思って、それに着目して書いてみようと。花も散ったその先で誰かの道を彩ることもできるんだって。

――また逢田さんの楽曲ではお馴染みの市川 淳さんのアレンジも素晴らしいですね。

逢田 このアレンジが加わる前の楽曲も相当良い曲だったんですよ。パッと聴いて明るくなるような楽曲で、私も「絶対これがいい!」って思ったんですけど、市川さんのアレンジが加わってより一層イメージが変わったというか、市川さんのアレンジがなかったら花筵というテーマになっていなかった、きっとテーマを変えていたと思います。

――それぐらいアレンジが重要だったと。

逢田 最初から花筵というテーマで、このEPのエンドロールのポジションになる曲を書きたいと言ってはいたんですけど、そのなかでも小倉(しんこう)さんが書いてくださった楽曲がすごく良かったのもあって、じゃあ違うテーマで歌詞も練り直そうかなって考えていたんですけど、市川さんのアレンジが出来上がってグッと引き戻されたというか。花筵の情景が浮かんできて、これならあのテーマで書けると思ったんです。それぐらいアレンジって本当に大事というか、曲の雰囲気が大きく変わる作業なんだなって改めて思いました。

――非常に意欲的な作品となった「フィクション」ですが、同じEPである「Principal」でアーティストのキャリアをスタートさせたように、本作ではアーティスト・逢田梨香子の新しいフェーズに入ったと感じさせる仕上がりだと思います。

逢田 たしかに「Principal」と同じ立ち位置ではあるはずなんですけど、やっぱり1stと2ndでアプローチが全然違うのは面白いなって思いますね。またこのEPの曲が皆さんのもとに届いたら色んな反響もいいただけると思うので、そこで今後のアーティスト活動に向けての気持ちも色々変わっていくのかなって思います。

――そして本作のリリースのあとは、ツアーファイナルである大阪公演が待っています。

逢田 最初のソロライブであり、最初のライブツアーでもあるので、とにかく最後まで完走したいという強い思いがありますね。心残りがないようにしっかり。きっと、本当の意味で緊張や色んなものが溶けて、ファイナルらしいライブになるんじゃないかと思います。でも12月の東京公演から時間も経っているので、緊張度合いとしては初日感があるかも(笑)。

――それを経て、そして「フィクション」の影響を受けてまた逢田さんの今後の音楽制作に変化が生まれてくるのかなと。

逢田 そうですね。このEPから皆さんにも新たな可能性を感じていただきたいなと思っています。今回だけではなく、枠に囚われない面白い楽曲を皆さんに届けていきたいですね。次はどんな楽曲になるのか今はまだ想像つかないぐらい今回は結構モリモリにしてしまったので(笑)、今後そこから何が生まれるのか自分でも楽しみです。

INTERVIEW & TEXT BY 澄川龍一


●配信情報
「Dream hopper」
先行配信中
配信リンクはこちら

●リリース情報
2nd EP
「フィクション」
2月24日(水)発売

【初回限定盤(CD+DVD)】

価格:¥3,500+税
品番:AZZS-113
※32Pスペシャルフォトブック封入、三方背スリーブケース仕様

【通常盤(CD only)】

価格:¥1,800+税
品番:AZCS-1097
※トレーディングカード ランダム封入(5種類)
全5種の中から1種類がランダムで封入:初回プレス分のみ

<CD>
TVアニメ『装甲娘戦機』OPテーマ「Dream hopper」を含む、全4曲を収録

<DVD>
「Dream hopper」Music Video 他、メイキング映像を収録

初回プレス特典(初回限定盤・通常盤共通)
2nd EP『フィクション 』発売記念 スペシャルキャンペーン応募ハガキ封入
A賞:オンライン個別トーク会 参加権(50名様)
B賞:「フィクション」特製 ボイスキーホルダー(100名様)
受付締切:3月2日(火)必着

CD先着予約購入特典
・「Us」会員限定予約特典:「Us」限定 アクリルキーホルダー
・タワーレコード:タワーレコード限定 L版ブロマイド
・Amazon:Amazon 限定 L版ブロマイド
・アニメイト:<初回限定盤>アニメイト限定 缶バッチ(56mm)※L版ブロマイドと同絵柄になります。/<通常盤>アニメイト限定 L版ブロマイド
・ゲーマーズ:<初回限定盤>ゲーマーズ限定 缶バッチ(56mm)※L版ブロマイドと同絵柄になります。/<通常盤>ゲーマーズ限定 L版ブロマイド
・セブンネットショッピング:<初回限定盤>セブンネット限定 缶バッチ(57mm)※L版ブロマイドと同絵柄になります。/<通常盤>セブンネット限定 L版ブロマイド
・DMM 通販 & A!SMART:DMM 通販 & A!SMART 限定 L版ブロマイド
・一般店舗共通特典:オリジナルL版ブロマイド

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