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INTERVIEW

2021.01.20

等身大の竹達彩奈を詰め込んで――初のデジタルシングル「Dear Dear」リリースインタビュー

等身大の竹達彩奈を詰め込んで――初のデジタルシングル「Dear Dear」リリースインタビュー

竹達彩奈が初のデジタルシングルを発表。収録されるのは、ミト(クラムボン)を作詞作曲に迎えた、大切な人たちへの曲「Dear Dear」。そしてカップリングは、このご時世だからこそ人の心に寄り添いたいという思いから生まれた「フラワームーン」だ。この2曲で彼女が見せてくれたのは「等身大の竹達彩奈」。無理をせず、だけど日々自分をアップデートすることも忘れない、真面目で優しい彼女の内面が、温かなメロディに乗り、聴く人の心を癒してくれる。これまであまり楽曲で見せてこなかった「素」を出したいと思ったのにはきっかけがあったのか? 音楽制作のエピソードとともに彼女に聞いてみた。

 

大事な人に向けて歌った「Dear Dear」

――初デジタルシングル発売おめでとうございます! 表題曲「Dear Dear」の作詞作曲をクラムボンのミトさんにお願いしたのは、どういう経緯があったのですか?

竹達彩奈 元々クラムボンさんの楽曲が大好きで、ライブに呼んでいただいたこともあるんです。クラムボンさんの楽曲は、どれもかっこよくて、説得力があるところが素敵ですよね。何事も常に真摯に受け止めてくださるミトさんの人柄も大好き。以前、ミトさんには「AWARENESS」(2016年に発売したアルバム『Lyrical Concerto』に収録)という楽曲を提供していただいたことがあって、またいつか一緒に音楽を作れたらいいな、ミトさんなら素敵な1曲にしてくださるんだろうなって思っていたんです。そして今回、デジタルシングルを作ることになり、「ミトさんにぜひお願いしたい!」と、ダメ元でお願いをしたところ、受けていただけて。本当に嬉しかったです。

――制作するにあたり、ミトさんとどんなお話を?

竹達 ミトさんには「今の竹達彩奈」「等身大」というテーマをお伝えさせていただきました。細かいことをお願いしすぎてしまうと、それが制作の枷になる可能性もあるので、ふんわりとしたものに留めたんです。

――タイトルの「DEAR DEAR」には、どんな意味を込められているんですか?

竹達 この楽曲を制作したのは2020年の11月で、この1年を振り返ると、コロナ禍で長い自粛期間があったり、自分のことや周りのことをじっくり考える時間が多かった。だからこそ今、自分の大事な人に向けた曲にしたいなと。そういう私の思いを汲んで、ミトさんが「DEAR DEAR」とつけてくださいました。

――素敵ですね。

竹達 実は最初「Dear Dear」というタイトルではなかったんですよ。偶然にもほかのアーティストさんに同じタイトルの曲があったので、変えようという話になり、タイトルに合わせて一緒に歌詞も変えたんです。元々夕暮れをテーマにしたものだったのですが、朝が開けていく雰囲気に書き直してくださって。

――そんな経緯があったんですね。お気に入りの歌詞はありますか?

竹達 “言葉にするのは大変で 呪いのように口に出せなくて”です。全体的にとても温かい雰囲気なのに、「呪い」というワードが出てきてドキッとさせられる。ミトさんから歌詞をいただいたときに、どうしてこういうワードチョイスなのかを、あえて聞かなかったんです。なので、歌詞に込めた真意は正確にはわからないのですが、私なりの解釈を持って歌っています。皆さんにも皆さんなりの解釈をしていただけると嬉しいです。

そっと心に寄り添う童謡のような曲

――そして、カップリング曲は「フラワームーン」。こちらの曲は、昨年の8月に行われたファンクラブ3周年記念生配信で披露したライブ音源になるんですね。

竹達 特別感を出そうと提案いただいて、ライブ音源を収録する流れになりました。この楽曲を制作したのは昨年の5月で、ちょうど世の中が自粛ムードの真っ最中。この世界に疲れちゃう人もたくさんいて……そんな、疲れちゃったり、現状に不安を感じている人に聴いてほしいという思いから制作した楽曲なんです。

――作曲は竹達バンドのバンマスも務める小林俊太郎さん、作詞は竹達さんの楽曲の作詞を多く手がけてきた加藤哉子さんですね。

竹達 いつも一緒に活動している方との制作は、安心感がありますよね。当初、俊太郎さんが作曲をしたものに、私が作詞をしてみてはどうかという話もあったんです。

――竹達さんが書かなかったのはどうして?

竹達 この曲は、聴いた人の心に寄り添うような、ほっとする雰囲気の曲にしたいと思っていて。自分の考えていることや思いはいっぱいあったけれど、それをそのまま歌詞にすると、主観的になりすぎると思ったんです。私は明るいタイプじゃないし、当時はずっと家にいるだけの毎日で、きっと暗い歌詞にもなってしまう。だから私の気持ちを代弁してほしいと思い、急遽加藤さんにお願いをさせていただいたんです。

――メロディと相まって、とても優しい雰囲気の楽曲ですね。

竹達 童謡のような雰囲気のある楽曲ですよね。難しい言葉を使っていないから、年代を問わず多くの人の心にストンと入っていくような歌詞になっていて、歌っていて心地がいいんです。

――夜に聴くのにもぴったりだなと感じました。

竹達 そうなんです。私もこの曲に、星空の下でポツンとお花が一輪咲いているようなイメージを持っていて。だから、夜に聴くといいと言っていただけると嬉しいです。ちなみに、フラワームーンは5月の満月の名前です。制作時期にも合わせて、素敵なタイトルをつけていただけました。

――ジャケット写真も、白を基調としたふんわりとしたかわいらしさがあって、収録曲2曲の温かな雰囲気に合っていますね。

竹達 ありがとうございます。カメラマンさんがスタジオにこういうセットを用意してくださったんです。衣装にだけ少し意見を出させていただいて。衣装は毎回意見を伝えるようにしているんですよ。意見というと、ちょっと違うのかな……。私、普通のお洋服のサイズが、なかなか合わないんです。

――小柄ですもんね。

竹達 ワンピースを着ることが多いのですが、既製品だとなんだか着せられている感じになっちゃったり、丈が長すぎたりすることが多くて(笑)。足のサイズが22cmなので、靴もなかなかサイズが合うものがなく……。サイズを探したり、私の体に合うよう直すのに時間がかかって、いつもスタイリストさんが大変になってしまうので、早めに自分の見せたい世界観をお伝えするようにしているんです。ちなみに2月に配信ライブがあるのですが、すでにこんな感じの衣装がいいなというのをお伝えしています。素敵な衣装になったらいいな。楽しみにしていてください。

――2月に行われるオンラインライブ「Good-bye winter Hello spring!」では、「Dear Dear」の披露も?

竹達 その予定です。ライブで曲を初披露するのは毎回とても緊張するんです。しかも、オンラインという形なので、なおさら……。

――竹達さんは昨年もオンラインライブを開催していましたが、いつもと違う形式だと気持ちは変わりますか?

竹達 目の前にファンの皆さんがいないって、こんなに寂しくて不安なんだって、身をもって知りました。私は人前に出ることがあまり得意ではないんです。だから、作品のイベントに出演するときは、とっても不安。でも自分のライブとなると、私のことを応援してくださる人がほとんどで、皆さんの作ってくれる温かな空気感がとても心地良くて、ありがたいものだった。そのことに改めて気づかされたのが、前回のオンラインライブでした。ただ、前回のライブは、画面の向こうから応援してくださる方がたくさんコメントを寄せてくれて、それが支えになりましたね。私の一言に、すかさず反応してくださったりして。ライブ後に寄せられたコメントをまとめて読んで、ほっこりしたのを覚えています。

――そのコメントがあることを知った今、次の配信ライブは不安になりすぎずにできそうですか?

竹達 はい! それに、今回は少しですが、お客さんを入れることができるんですよ。さらに心強さ倍増です。現段階ではまだセットリストが固まっていないのですが、ライブのタイトル「Good-bye winter Hello spring!」に合った空間を作れたらと思っています。

――楽しみですね。ちなみにこのオンラインライブは、「打ち上げ放送」なるものがあるんですね。こちらはどんな内容に?

竹達 まさに名前の通り、打ち上げの様子をお届けすることになると思います。密になりすぎないように気をつけつつ……。初めての経験なので、具体的に何をするのか掴めていなくて。何を話せばいいのかな(笑)。

――打ち上げ自体も久々になるのでは?

竹達 確かに! これまではライブの後にみんなでご飯に行ったりしていたのですが、今年はそういうこともできなかったので、お仕事も兼ねてできるのはうれしい。でも、公開説教とかになったらどうしましょう。「ここミスったよね?」とか指摘されてしょんぼりしちゃったりして(笑)。楽しい時間になるといいですね。

「作り込まれた可愛さ」から「等身大の可愛さ」へ

――楽曲の発表は1年以上ぶりとなりましたが、改めて音楽活動にどんな思いを抱きましたか?

竹達 やっぱり私はものづくりが好きなんだなと思いました。自分の楽曲となると、私自身が表現したいものを出すことができる。自分のアイデアや思いをストレートに音楽に乗せるのは、とっても楽しいなって。この1年、自分はどういう音楽をやりたいのかを改めて考える機会も多かったように感じています。

――やりたい音楽は見えましたか?

竹達 見えてきた気がしています。今回の楽曲も、自分の中にある「今の30代の竹達彩奈」を出しつつも、なりたい自分の姿を投影していきたいと思いながら制作に臨みました。これまでの私の楽曲は、特にシングルだと「作り込まれたかわいさ」があって、どちらかというとキャラクターソングに近い部分がありました。かわいさを作り込む作業はとても楽しいし、好きなのですが、30代は自然体のかわいさを出せるようになったらいいなって思っているんです。だからといって今までのものを捨てるのではなく、作り込んだかわいさは、スパイスとして必要なときにだけ出すようにしていきたい。そうすることで、私自身の表現の幅も広がるような気がしているんです。

――では、2021年からはこれまで見せてこなかった、「素の竹達彩奈」を楽曲をとして見ることができる?

竹達 その素の部分を、日々アップデートして、毎回皆さんを楽しませていきたいなって思っています。もっともっといいものを生み出したい。それは、音楽に限らず、お芝居でも、人としてもアップデートをしたいと思っています。

――アップデートに向けて努力していることはありますか?

竹達 いろんなことに挑戦、といってもこのご時世ですから簡単にできないことも多い。なので、心構えの部分でしかないのですが、「どんなときも、人に優しく」をいつも心に留めるようになりました。

――「人に優しく」ですか?

竹達 私、仕事のことになると厳しくなりがちなんです。信頼している人、とくにマネージャーさんにストレートに意見を言ってしまう節があって。マネージャーさんは私と運命共同体。ちゃんと「報・連・相」しようねって言っていて、それを忘れられると、1回目と2回目はいいんだけど、3回目になったときの雷がとても大きい(笑)。

――仕事に真面目ゆえの厳しさでもあるんですね。

竹達 はっきり言ってしまうから、人によっては傷ついてしまうこともあるかもしれないなって。自分でも厳しく言いすぎたなって反省して、後から謝ることも多いんです。これまでの活動で、マネージャーさんや周りのスタッフさんがなんだかんだ私の気持ちを汲んでくれて、その懐の大きさに助けられてきたし、感謝もしています。だから、私ももっと大らかに、懐深い女性になっていきたいんです。30歳の大人の女性らしくなりたいなって。

――アップデートしていく様を追うのが楽しみです。では最後に、リスアニ!WEBの読者にメッセージをお願いします。

竹達 1年以上ぶりの新曲で、先ほどお話もしましたが、「等身大の竹達彩奈」を詰め込んだシングルになっているので、今までにない雰囲気を楽しんでいただけると嬉しいです。ミトさんや俊太郎さん、加藤さんとあーだこーだ言いながら作る時間はとても幸せで、前向きなものでした。その前向きな幸せを楽曲にも込めたつもりです。曲調は元気いっぱいな楽曲ではありませんが、この曲を聞いた方に元気になってほしい。2021年も頑張ろうって思っていただけると嬉しいです。

INTERVIEW & TEXT BY 許士明香


●リリース情報
竹達彩奈デジタルシングル
「Dear Dear」
2021年1月20日配信開始
品番:PCSP-03258

<収録内容>
1.Dear Dear
作詞・作曲・編曲:ミト(クラムボン)
2.フラワームーン
(竹達彩奈スペシャルトーク&ライブ「flower moon」より【LIVE音源】)
作詞:加藤哉子 作曲・編曲:小林俊太郎

●ライブ情報
竹達彩奈ONLINE LIVE「Good-bye winter Hello spring!」
2021年2月28日(日)開催

1.昼の部【トーク+アコースティックミニライブ】 13:20配信開場/13:30開演
2.夜の部【アコースティックライブ】 16:50配信開場/17:00開演
3.打ち上げ放送 19:50配信開場/20:00開演

出演:竹達彩奈
バンドメンバー:小林俊太郎(key)、木暮晋也(Gt)、白根佳尚(Dr)

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