30枚目の記念すべきシングルは「叫べ」!激しさと癒やしのハイコントラストな今作に込めた想いを聞いた、angelaリリースインタビュー

11月13日より劇場先行公開上映がスタートした『蒼穹のファフナー THE BEYOND』(第7~9話)の主題歌であり物語の後半を象徴する激しいスピードナンバーに加え、カップリングに前代未聞の“ハイブリッド癒し音楽”を収録した、angela記念すべき30枚目のシングル「叫べ」。年末に行われる「生特番」配信の話も含め、二人に聞いた。

『蒼穹のファフナー THE BEYOND』に「もっと激しい主題歌を」

――『蒼穹のファフナー THE BEYOND』の新OPテーマ、「叫べ」はどのようなアプローチで取り組んでいきましたか?

atsuko  第7話からの後半に向け、「もっと激しい主題歌を」というオファーをいただきました。物語が激しさを増していくなか、登場人物たちが与えられた運命を受け入れ、もがきながら、さらに周りのキャラクターたちとの関わりのなかで成長していくような姿を描いていけたらと思って、楽曲の制作に取り掛かり始めました。

KATSU  『蒼穹のファフナー THE BEYOND』のイメージソングとして書いた「Prologue -君の向こう側-」からずっと、僕の中では和楽を採り入れていきたいという思いがありました。「Prologue~」には民謡調が入っていますし、前半の主題歌の「THE BEYOND」は島唄で始まっています。そして、今回の「叫べ」では、琴、笛、尺八、三線といった和楽器をふんだんに使った激しい楽曲になっています。

――楽曲の激しさを感じさせる大きな要素に、このドラムの音があります。プレイされているのは、昨年末に逝去された山内“masshoi”優さんだったんですね。

KATSU  皆さんこのドラムの音に注目してくださって、それが自分でも驚きです。実はミックスのときに音を下げていたのですが、それでも彼のプレイにはこれだけの存在感があります。この曲のアレンジを作っているときも彼が叩くことを想定してフレーズを考えて、新たに一緒に新しい『ファフナー』の世界観を作っていけるなと思ってレコーディングした矢先の出来事だったので……。

――“Niemand vergisst die Verstorbenen.(死んだ者のことを誰も忘れない)”という歌詞の一節を二重の意味で捉えてしまいそうです。

atsuko  収録は2019年の6月頃だったんです。作っているときはもちろん『ファフナー』のことだけを考えていました。これは『ファフナー』の作中のセリフから採ったのですが、すごい言葉だなと思います。その意味で『ファフナー』のテーマって、自分の人生とリンクしている部分があるなと思って。でも、それが『ファフナー』なんですよね。先日まで、第1期を再放送していたのですが、そのなかには松来未祐さん(羽佐間翔子役)や、仲西 環さん(皆城乙姫役)もいて、こうして作品の中でまた会えるという思いがあり、またこれをきっかけに新たにご覧になった方には知っていただくこともできる。そう思うと、自分たちも含めて後に残る作品を世に送り出せる幸せな仕事だなと思います。

KATSU  彼に叩いてもらえたものが作品として一生残せる。これは僕にとっても大きな財産を残せたなという思いです。聴いていても「あいつ、まだ生きてるんだな」と、クスッとしてしまうことがありますね。

――今回の楽曲は物語の中の激しさを表現したものとのことですが、atsukoさんにとって重要と感じられた部分はどんなところでしたか?

atsuko  最初にメロディを作ったときに、サビの“叫べ 唸れ 響け蒼穹へ”と、三文字の命令形で韻を踏むことで、一度聴いたら忘れられないような強いインパクトを与えたいなという思いがありました。加えて、冒頭の“NO WHERE NOW HERE”のように、歌詞の中には過去に作った『ファフナー』にちなんだ歌詞を散りばめたりしています。これは、サウンドトラック&ドラマCDのタイトルなのですが、ファンの方はすぐに気づいてくれました。それだけ長く応援してくださっているわけですし、その意味でも『ファフナー』はずっと続いているんだなという感触があります。

――また、ドイツ語を歌詞に取り入れている点でも『ファフナー』との繋がりがあります。これはどのように思いつかれたのでしょうか?

atsuko  これはKATSUさんの思いつきです。ドイツに行った際に知り合った通訳の方にお願いしてドイツ語にしていただいて、その後レコーディングをして音源を送って発音のチェックをしてもらうというやり取りを繰り返しました。ここの部分はコードが変わらないので、メロディアスにはできないのですが、激しいサビ前にドイツ語の響きで耳を惹いてから引き立たせるという、これまでにない面白い聴かせ方をしています。

――そして先程からの力強い命令形のサビのところへと展開していきます。ここはMVでもインパクトのある文字演出でした。

KATSU  今回のMVも『乙女のルートはひとつじゃない!』と同じ監督さん(「乙女のルートはひとつじゃない!」リリースインタビュー参照→https://www.lisani.jp/0000147124/)で、これも彼のアイデアなんです。angelaからリクエストすると、『ファフナー』に入り込み過ぎているがゆえに、例えば島を背景にしたドローンの空撮みたいな、いかにもな絵面になってしまうので、監督にお任せしました。すると「この曲は三文字のクセが強いから、一番効果的に演出するには、余計な情報を与えないこと」ということで、このような形の演出になりました。

前代未聞の「ハイブリッド癒し音楽」が誕生!?

――もう1曲の「おやすみ」は、528hzの高さの音に癒やしの効果があるというソルフェジオ周波数を用い楽曲を制作。YouTubeではその模様を公開されています。まず、この事象に注目されたきっかけは?

KATSU  「癒やしの周波数」があるらしいという、都市伝説というかスピリチュアルな話は10年くらい前にネットのどこかで見聞きして、それを使ってヒーリングミュージックを作られている方がいるということも知っていましたので、興味は以前からありました。これは「1/f」とか「アルファ波」といった脳波の話ではなく、単なる物理的な周波数で、それに癒やしを感じる人もいるという話で、「信じる、信じないはあなた次第」というやつなんですけど(笑)。それで、実験動画を作って、それを進めていけば曲作りにもなるなと思って、始めていきました。

atsuko  私は正直、「なんのこっちゃ」ぐらいのイメージで(笑)。我々が配信している動画でも、ソルフェジオ周波数をご存じない方の立場に立って、KATASUさんの熱弁に「へー、そうなんだー」ぐらいのリアクションをしています(笑)。

――また、流行りのASMRも採り入れて、ダミーヘッドを使ったバイノーラルレコーディングを行っています。

KATSU  YouTubeでソルフェジオ周波数や、ASMR動画を観ていたら、これに歌詞をつけて歌手が歌っているのがないことに気づいて、合わせたらどうなるんだろうと考え、だったらハイブリッド癒し音楽にしてしまおうと。

――動画ではまず「ラララ」で歌って、その後、歌詞を付けられていきますが、内容にはついてはどのように考えていったのでしょうか?

atsuko  “癒し”の音楽ということで、「メッセージは込めない」のが、この曲の歌詞の正解なんです。だから普段とは真逆に、「頭に残らない、流れていくような言葉」にする必要がありました。いつもだったら、「自分は何のために生きているんだろうか」とか、考え込んでしまうような内容なんですが(笑)。最後まで情景描写のように書いていきました。

KATSU  幸いにもatsukoさんは絶対音感ではなく相対音感の持ち主なんです。これはどちらが良いということではなく、ある高さの音を鳴らして、それを「ド」として、それに対してドレミファソラシドの音階が生まれるのが相対音感。つまり、絶対的な音の高さと関係なく音階を作っていけるんですね。なので、528hzの高さがずっと鳴り続けているこの曲であっても普通の歌のように歌っていました。

――レコーディングのときはバイノーラルレコーディングで行われたんですよね。

atsuko  はい。ダミーヘッドという、人の頭の形をしたものの耳の中にマイクが搭載されていて、右耳で3回、左耳で3回、背後に立って3回同じように歌って、さらにいろんな場所でハモリを重ねて重ねて、何回かわからないくらいの回数歌いました。

KATSU  YouTubeとかで流行っているASMRはだいたい1テイクしか録っていないのですが、これはずっとテイクが多くて、ヘッドホンで聴くと15人分のatsukoさんに囲まれている楽曲になっています。それでいて、ヘッドホンを外して聞いても楽曲として成立する形に調整しています。ASMRは一般的に重ねるものではないのですが、歌で重ねて厚みを出していくと、ダブリングという不思議な効果が生まれるんです。ぜひ密閉型のヘッドホンで聴いていただきたいですね。

――激しい表題曲と癒やしに特化したカップリング。コントラストの激しい1枚になりましたね。

KATSU  『ファフナー』という作品に対してピークを出した曲のカップリングに対して、単なるバラードを入れるのではなく、反対にある癒やしや静寂の曲をぶつけることで、この急勾配を作れたのが面白かったです。

atsuko  シングルで表題曲となると、特に激しい曲が多いのですが、『ファフナー』のエンディング曲やアルバム曲には、ゆったりとしたバラードもあったりするので、そうした曲でプレイリストを作っていただいている方にはぜひともこの曲を加えていただいて、優しい気分になりたい時や気持ちを落ち着かせたい時に聴いていただければと思います。

――最後になりますが、12月27日に予定されていた“angelaのミュージック・ワンダー★大サーカス 2020”が、新型コロナウィルス感染拡大の影響により、開催中止となりました。無念の思いはお察ししますが、同日YouTube Liveにて「angelaのミュージック・ワンダー★生特番 ~パシフィコで会いたくて~」の無料配信を予定されているとのこと。この経緯を教えてください。

atsuko  入場されるお客さんの人数を半分にするとか、声を出さないといった形でライブ活動を再開さられている方もいらっしゃいますし、我々としてもその方向を模索しましたが、やっぱり“大サーカス”というのは1年の集大成のような形で表現してきたエンタテインメントなので、そこにはお客さんの声援とか一緒に歌うといった演出が必要不可欠なんです。年末ということで、風邪やインフルエンザも流行する可能性があり、コロナに繋がる不安要素がたくさんあるなか、ただただ楽しんでいただけるものをお届けするには難しいなと判断し、この決断に至りました。

KATSU  今までの“大サーカス”のように、お客さんと一緒に歌ったり、angelaがステージから降りたりするといった演出は、お客さんが心底、「新型コロナは収束したね」と言えるタイミングが来るまではできません。昨年末、LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で“大サーカス”2daysを復活させて、その際に1年後にさらに大きな場所で開催するということを発表したときの皆の悲鳴に近い喜びの声が、めちゃくちゃ嬉しかったんです。春頃の時点では年末には収まっているだろうと思っていたのですが、今また拡大状況になっているなかで無理に開催して、中途半端な“大サーカス”をやることは我々の“大サーカス”ではないなというのが結論ですね。

atsuko  キングレコードさんとも本当に何度もお話をして、ありがたいことにその日押さえていたパシフィコ横浜をバラさず、同じ場所で無料の配信の生特番を行うことにOKを出してくれたことにとても感謝をしています。番組名は「ミュージック・ワンダー★生特番」と、あえて“大サーカス”という名前は冠しませんでした。当日は大サーカスの秘話だったり、過去の映像だったり、歌のコーナーなどを設けようと考えています。

KATSU  笑いがあって感動があってサプライズもあるという、“大サーカス”と同じ3つのポイントがありつつ、“大サーカス”ではないものにする予定です。angelaの“大サーカス”は1回止まってしまいますが、angela自身は止まることなく、今もこうやって前に進んでいきます。

atsuko  今回、いらっしゃる予定を立てていてくださった方はもちろん、今までangelaのライブに来たことがなかった方にも「無料だし、観てみようかな」と、より多くの人に知ってもらえるきっかけになる番組にしようと思っておりますので、一人でも多くの方にご覧いただけると嬉しいです。

INTERVIEW & TEXT BY 日詰明嘉


●リリース情報
「叫べ」
11月18日発売

【期間限定盤(CD+Blu-ray)】

品番:KICM-92051
価格:¥1,800+税
仕様:クリアケース仕様

【アニメ盤(CD)】

品番:KICM-2051
価格:¥1,200+税
仕様:アニメイラストジャケット仕様/初回プレス分のみクリアケース仕様&『蒼穹のファフナー THE BEYOND』名シーンカード封入(全5種のうちランダム1枚)

<CD>
M1. 叫べ(「蒼穹のファフナー THE BEYOND」新オープニングテーマ)
M2. おやすみ
M3. 叫べ (off vocal version)
M4. おやすみ (off vocal version)

<Blu-ray>
「叫べ」Music Clip

●作品情報
「蒼穹のファフナー THE BEYOND」
2020年11月13日(金)より
「蒼穹のファフナー THE BEYOND」第七話「帰らぬ人となりて」、第八話「遺されしを伝え」、第九話「第二次L計画」が劇場先行上映開始!

【STAFF】
シリーズ構成:冲方 丁
キャラクターデザイン:平井 久司
メカニックデザイン:鷲尾 直広
音響監督:三間 雅文
アニメーション制作スタジオ:I.Gzwei
監督:能戸 隆

【CAST】
皆城 総士:喜安 浩平
真壁 一騎:石井 真
遠見 真矢:松本 まりか
日野 美羽:諸星 すみれ
マリス・エクセルシア:斉藤 壮馬
ほか

ⒸXEBEC・FAFNER BEYOND PROJECT

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