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INTERVIEW

2020.10.14

TVアニメ『100万の命の上に俺は立っている』OPテーマ「Anti world」で待望のソロデビュー!高槻かなこインタビュー

AqoursやBlooDyeの活動で存在感を見せる声優・高槻かなこが待望のソロデビューを果たした。ずっと「絶対にソロアーティストになる」と強く誓っていた彼女が、「Anti world」というアグレッシブなデビューシングルで示したものとは。豊かな歌唱と作詞・作曲までこなすイマジネーション、そしてアニソンへの熱い想いを胸に秘め、カッコよく、そして不適に世界と対峙した彼女に話を聞いた。

――いよいよソロアーティストとしてのデビューを迎えたわけですが、今のお気持ちはいかがですか?

高槻かなこ 「やっときたか……」という感じですね。デビュー曲も去年から約1年ぐらいかけて作ってきたり、すべてをひとつひとつ着実に準備してきたので、すごく自信を持ってお届けできると思います。

――ではソロデビューのお話があったのは昨年あたりから?

高槻 それよりもっと前に、「いつをデビュー時期にしようか」という話し合いは事務所を含めて行なってきたんですけど、私自身は「焦らないでいいかな」と思っていました。私にはAqoursやBlooDyeの活動もあったのでそこでもうちょっと勉強して、自分の場を広げたいなと思っていて、それがちょっと落ち着いてきたちょうどいい時期にひとりで活動を始めてみようかと思っていました。

――ソロ活動というのは以前からやりたいと思っていた?

高槻 「したい」というよりかは「絶対する」と自分のなかで決めていました。だからやるとしたら自分がいちばんノビノビできる時期でやりたいと思っていたし、それが今なのかなって。素敵な作品と出会えたのも運命的だと思いますし。

――またソロ活動をするにあたって、本作のように作詞など自身がソングライティングに関わるということも考えていましたか?

高槻 そうですね。もともとアニソン歌手をめざしたのが17歳ぐらいだったんですけど、もうそのときから感じたことがあったら携帯にポエムのようなものをメモったりしていて、それをほぼ10年ぐらい続けていました。だからそのときからアーティストといったら「自分で歌詞を書くし曲を作るよな」って勝手に思っていて(笑)。そうしたビジョンは自分の中にあります、そのときから。

――そうしたビジョンというものが今回のソロ活動に大きな影響を与えているわけですね。

高槻 あとこの10年ですごい経験をいっぱいさせていただいてきたことも大きいです。ラブライブ!の活動は表舞台に立つうえで欠かせない、いろんなことを経験させていただいたんですけど、その前から仮歌のお仕事をさせていただいたり、そのときから歌詞を書くこともやらせていただいて、ひとつひとつちゃんと糧になることをしてきたので、今それがやっと形になっている感じです。

――そんなソロキャリアの第一歩となる「Anti world」ですが、こちらはTVアニメ『100万の命の上に俺は立っている』のOPテーマとなりました。最初の一曲はどのようにして決めていったのですか?

高槻 まずこの『100万の命の上に俺は立っている』のOPテーマになりますということで、先に曲から決めていきました。そのときは曲は数十曲の中から私が選ばせていただいたんですけど、私は20曲ぐらいを聴いたなかで「絶対これだ」と思って。スタッフさんも聴いていたんですけど、私が思っていたアニメの世界観プラス、私が歌いたいと思っていたものとちょうどマッチしていたのがこの曲だったんですよ。

――サウンド的にはエモやスクリーモといった、非常にヘヴィな作りですよね。

高槻 私はとにかくアニメありきで作りたくて、なんなら私の要素はなくてもいいぐらいと思っていたんですよ。アニメ自体が生きるか死ぬかのヘヴィな世界観でもあったので、そういう曲調がいいなと思っていました。あと自分がアニソン好きだからバランスを見て、「最近のアニソンは歌始まりが多いからそれは避けよう」とか(笑)。すると、なんとなくイントロの部分が、現実から異世界にワープする瞬間というイメージが湧いてきたんですね。

――ああ、たしかにこのイントロはアニメのオープニングらしい導入ですね。そこからヘヴィなバンドサウンドが入ってきて。

高槻 そこでタイトルがドーン!ときてほしいなと(笑)。そういうイメージが湧く楽曲でした。

――またこの曲ですでに高槻さんが歌詞を手がけていますが、これも最初から書く予定だったんですか?

高槻 作詞をする予定はなかったんですけど、作品を読んでいたら共感するところとかすごく多くて、私のなかで作品に対して言いたいことや私にしか代弁できないことがあるなと思ったので、「やっぱり自分で書きたい」ってお願いして書かせていただきました。

――そうしたご自身の作詞は曲調に合った、非常に力強いワードチョイスとなりました。

高槻 そうですね。でも一方で言葉はすごく出てきやすかったです。それも主人公の四谷友助くんはもともと田舎で過ごしていて、都会に転校して人が変わって心を閉しちゃった子なんですけど、私は逆に都会から急に田舎に引っ越して中学時代はずっと不登校だったんですね。何か心を閉してしまうきっかけが一緒で、その思春期の気持ちが人よりもわかるというか、これは自分から出てきた言葉で伝えたいと思ったんです。だから作詞もそこまで練って練って捻り出そう!とはならなかったです。

――なるほど、感情移入したなかで出た言葉だと。それだけに「ルールなんて関係ないぜ」とかの言い回しもどうに入っているというか。

高槻 「あのときなんか尖っていたな」っていう自分の気持ちを、ちょっと中二心を出しながら書きました(笑)。この作品は異世界ものだけど生きるか死ぬかという切羽詰まっている感じが面白いと感じていたので、だからこそ強めの言葉でクサいぐらいの言葉を入れても大丈夫かなと思って。

――そうした自分が選んだ曲で自分が書いた歌詞でのレコーディングはいかがでしたか?

高槻 レコーディングはシンプルに楽しかったです。レコーディングは大好きなので。ひとりで初めて、高槻かなことして歌わせていただけるといううれしさがいちばん強くて、そこは気合が入りましたね。

――また2コーラスめからラップが入ったりと複雑な曲調ですが、そこに難しさを感じたりは?

高槻 そうですね。でもやっぱり歌という部分で難しいなっていうのは感じなかったんです。多分、自分で選んだ楽曲というのもあると思うんですよね。選んだときに自分が歌っている姿っていうのがなんとなく思い浮かんでいたので、だから最初からこの曲難しいなっていうのは思わなかったです。

――こうしたヘヴィなロックサウンドで歌う高槻さんというのは新鮮だったのですが、ご自身にとってはすでにしっくりきていたわけですね。

高槻 私自身はロックが好きで、普段からずっとこういう曲を聴いていたので、みなさんに聴いていただいたときに、「えっ、こんなかっこいいの歌えるんだ!」ってびっくりされるんですけど、私はその反応にびっくりしました。「私ってそんなかわいいイメージだったんだ!」って(笑)。

――普段の自分を出せているというところからもいいパフォーマンスができている実感はあるわけですね。

高槻 ですね。飾りすぎてないというか。

――でもMVを観ているとかっこよさのなかにもちょっと笑みを浮かべる不適さはドキッとさせられますね。

高槻 ふふふ……ありがとうございます(笑)。ふとしたときに笑っちゃうんですよ。

――楽曲以外にもMVやアートワークで高槻さんらしさというのは出せていると感じますか?

高槻 かなりアーティスティックな感じになっていますけど、これを作ってくださるチームのみなさんも私の好みとかを研究してくださって、私のインスタでのファッションも見てくださって、私というイメージを崩さないまま、そこからもっと洗練されたものを作ろうといろいろやっていただいた結果ですね。

――そうしたチームのアイディアに高槻さんも乗っかっていけるというか。

高槻 全然不安なく、素敵なチームに作っていただけているなって思います。ジャケットを作ってくださったチームとMVを作ってくださったチームは別なんですけど、どちらもすごく愛があって、いいチームでやらせていただいていますね。

――続いてカップリングですが、まずR&Bテイストの「I wanna be a STAR」では作曲にも挑戦しています。

高槻 今回シングルで、作曲もチャレンジしてみますかとなって、そこでまずテーマを決めるところから始めました。で、私の今年の目標が”スターになる”ことだったので、それを書こうと。あと曲調もチルっぽいのがいいなと思ってまず作詞を初めて、自分が伝えたい言葉だったのでスラスラ出てきたんですよね。普段から作詞するときにはなんとなくメロディを思い浮かべながら歌詞を書くんですけど、ちょっと歌って送ってみたらそのまま作ってくださいました。

――書きたいイメージからメロディまで膨らませて生まれた曲ということで、高槻さんもトラックに合わせて自由に歌っている感じがしますね。

高槻 音遊びという感じで、気楽に聴いて欲しいなって思います。ただスターになりたいという気持ちを押しつけたくはなかったので、曲もポップな感じにしてもらって。でも、歌詞の内容はみんなにいつも思っていること伝えたいことであって、これを書くことで自分のなかで覚悟を決めるというか、「言っちゃった……!」っていう感じですね(笑)。

――続いてはポップなソウル調「アイシテルは♡グラム?」です。

高槻 これもまずアイディアから出して、「ポップでキャッチーで、ライブで盛り上がるようなキュン、みたいなかわいい曲がいいでーす」ってざっくり言って(笑)、そしたら宮崎(誠)さんが比の打ちどころがない、リクエスト通りのもの作ってくださったんですよ。その曲をいただく数日前のお風呂上がりに、「愛って質量を測っている人いるのかな?」って考えたことがあって。歌詞にあったような、恋しているときって痩せるし、でも付き合ったら幸せ太りするし、どの状態がいいんだろうかってふと思ったんですよ。で、「アイシテいるって何キロ」ってメモしていて、そのあと宮崎さんからの曲が送られてきて、「この前考えたことがハマるかも」って思って書きました。かなり楽しかったので一瞬で書けましたね。

――このいい意味でノリで書いた感が、非常に曲に合っていますね。

高槻 そうでですね。ちょっとポップにしたくて、PIZZA×COKEとか入れたりして(笑)。

――「I wanna be a STAR」でも感じましたが、サウンドに対しての歌詞のハメ方や、そこで歌う高槻さんのレイドバック気味な乗り方は、すごくバンドサウンドとハマっているんですよね。そこは意識されているのかなと。

高槻 バンド感というのはなんとなく意識しているかもしれないですね。基本的に歌にグルーヴを出したいと思っています。

――結果3曲ともソングライティングに関わる、でもそれぞれが異なる個性を持ったデビューシングルとなりましちゃね。

高槻 いいバランスのシングルになりました。今回じっくり時間があったので、3曲とも私なりに挑戦させていただいたんですけど、今後はほかの方が書いてくださった曲も歌ってみたいし、ジャンル問わず何を歌っても高槻かなこになればって思っています。

――これからもそうした高槻さんのアイディアが込められた作品づくりは続いていきそうですね。

高槻 私、結構直感型なんですよ、破天荒というか(笑)。あと趣味が妄想でいつもいろんなパターンを思い描いていて、ソロデビューしたらこういうことがしたい、こういう曲が歌いたいっていう自己プロデュースも好きなので、そういうアイディアが沸く限りはどんどんやっていきたいですね。

――まだまだアイディアはあるぞと。

高槻 ありますね(笑)。それを自分の直感を信じてやっていきたいですね。

――こうしてソロキャリアの第一歩を踏んだあとは、いろんなことが待っていると思います。そのなかにもソロでのステージというのもあると思いますが……。

高槻 ライブしたいですねえ。

――自分ひとりでステージに立つ瞬間を思い浮かべると……。

高槻 興奮します(笑)。でもひとりだと緊張はしますね、普段よりは。

――それこそ最近テレビ番組でもソロでの歌唱を披露したこともありましたが、ソロライブとなるとまた独特な雰囲気になりそうですね。

高槻 ひとりでステージに立って歌っているときは、ここ最近でいちばん夢が叶っているなって思う瞬間ですね。でもこれからいろんな場数を踏んで、まずは小さいライブハウスからスタートしたいという気持ちがあります。

――段階を踏んでいきたいと。先ほど自分は直感型とおっしゃいましたが、一方でソロデビューまで時間をかけたりと地に足のついた活動をする、冷静な一面もあるのかなと。

高槻 うーん……うん、そうですね。結構客観的に見ちゃうタイプです。でもあまりそこは気にせずに、今だからこそみんながやっていない面白いことを発信できたらというのはいつも思っています。

――そうした活動のなかでスターになるという目標を達成していくと。

高槻 そうですね、スターにはなりたいですね。それは今年の目標で、まだなれていないんですけど(笑)。でもソロデビューしてその一歩は踏み出せたかなと。あと大きな目標として”アニソンといえば高槻かなこ”と言われるようになりたいですね。「Anti world」も高槻かなこが歌っているから聴いてくれるのもうれしいですけど、『俺100』のアニメが好きでそこから「Anti world」を好きになってくれて、「あ、高槻かなこって人が歌っているんだ」ってぐらいの、曲がひとり歩きしてもらったらいいなって。私もこれからいろんな作品で歌って、「自分が好きな作品、みんな高槻かなこが歌っている」ってというので繋がって、最終的に私も好きになってくれるのが理想ですね。

INTERVIEW & TEXT BY 澄川龍一
PHOTPGRAPHY BY 小島マサヒロ


●リリース情報
高槻かなこソロアーティストビューシングル!
TVアニメ『100万の命の上に俺は立っている』OPテーマ
「Anti world」
10月14日発売

【初回限定盤 (CD+BD)】

品番:LACM-34023
価格:¥3,300+税

【通常盤】

品番:LACM-24023
価格:¥1,300+税

【俺100盤】

品番:LACM-24024
価格:¥1,300+税
※描き下ろしイラストを使用したジャケット仕様

<CD>
1. Anti world
作詞:高槻かなこ 作曲・編曲:睦月周平
2. I wanna be a STAR
作詞:高槻かなこ 作曲:高槻かなこ・小林大将 (POLVORON+)・ロンゲスト 編曲:睦月周平
3. アイシテルは♡グラム?
作詞:高槻かなこ 作曲・編曲:宮崎 誠
4. Anti world (Off Vocal)
5. I wanna be a STAR (Off Vocal)
6. アイシテルは♡グラム? (Off Vocal)

<BD>
「Anti world」Music Video
「Anti world」Behind The Scenes (メイキング映像)

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