リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト

INTERVIEW

2020.10.07

今年12月に歌手デビュー20周年を迎える水樹奈々、記念すべき通算40枚目のニューシングル「FIRE SCREAM / No Rain, No Rainbow」リリースインタビュー

今年12月に歌手デビュー20周年を迎える水樹奈々が、記念すべき通算40枚目のニューシングル「FIRE SCREAM / No Rain, No Rainbow」をリリースした。スマホゲーム「戦姫絶唱シンフォギアXD UNLIMITED」の新主題歌、そしてTVアニメ『デュエル・マスターズ キング』のOPテーマという、2つの強力なタイアップ曲を収録した今回のダブルAサイドシングルは、大変な状況下にある今の世界に向けた、水樹からのエールを込めた作品でもある。デビューから20年、休むことなく走り続け、我々に希望や深い愛に満ちた歌を届け続けてくれる稀代のポップマスターが、今みんなに伝えたい想いとは?

タイマン、Twitter、YouTube――コロナ禍での新たな取り組み

――水樹さんは今年歌手デビュー20周年を迎えられるということで、本来であれば最新アルバム『CANNONBALL RUNNING』を引っ提げての全国ツアー“NANA MIZUKI LIVE RUNNER 2020”を予定していましたが、新型コロナウイルスの影響により、残念ながら全公演中止となってしまいました。大変悔しい思いをなさったと思いますが、改めて、どのように受け止めていますか?

水樹奈々 デビュー20周年の節目に行う自身最長のツアーということで、年始から気合いを入れて準備していたのですが、それがすべて中止になったことは本当に残念でなりませんでした。ただ、私と同じようにツアーを心待ちにしてくださっていたファンの皆様のために、何か少しでも前向きな気持ちになれるようなことがしたくて、いろんなことを企画させていただきました。私は去年、楽器や声とタイマン勝負するライブ(“NANA MUSIC LABORATORY 2019 ~ナナラボ~”)を開催したこともあり、SNSを通して幅広い皆さんとコラボが出来ればと思い、自宅で「愛の星」をアカペラで歌った動画をTwitterにアップして「私とタイマンしませんか?」と呼びかけさせていただいて(注:4月10日に「#水樹奈々とタイマン勝負」というハッシュタグと共に動画が投稿された)。ほかにも、ツアー初日だった愛媛公演の当日に、リハーサルスタジオで撮影した映像をYouTubeにアップしたり、過去のライブ映像をプレミア配信して、皆さんと一緒に実況Twitterで盛り上がったり、この状況だからこそ出来ることを常に探していました。

――ライブ映像のリアルタイム実況では、水樹さん自ら当時の裏話などもたくさんつぶやかれていましたね。

水樹 皆さんと同じ映像を観ながらツイートするのは、初めての試みだったのでドキドキしていたのですが、オーディオコメンタリーとはまた違った面白さがありました。でも、みんなのコメントが流れるのが速すぎて、私では追いつくことができなくて(笑)。元々1曲ずつ裏話をつぶやこうと思っていたので、私はマイペースに投稿しつつ、たまにみんなと一緒にコールを入れてみたりして、新鮮で楽しかったです。

――個人的には、ツアー初日にアップされたスタジオライブ映像で、最新アルバム収録の新曲「UPSETTER」に加えて、水樹さんがデビュー前に歌った演歌「つがざくら」を披露されていたのが嬉しかったです。

水樹 あの曲は地元の愛媛に行ったときにだけ歌う、ライブ会場限定の曲になっていたので、皆さんにも嬉しいサプライズだったと言っていただけました。元々は地元の観光協会の方が作られた曲なんです。

――ネットやSNSを用いたユーザーとの交流は、今までの水樹さんにはない試みだったので、きっとファンの方も喜ばれていたと思います。

水樹 私は皆さんがTwitterなどSNSでたくさん発信しているこの時代に珍しく、基本ブログしかやっていないアナログ人間なのですが(笑)、今の状況だからこそ、私もアップデートせねば!と、スタッフの方と相談しながら、公式のTwitterやYouTubeなどを活用させていただきました。もちろん本当は直接会えるのが最高ですけど、皆さんから「これで明日からまた頑張れます!」といった反響をたくさんいただけたので、トライして良かったです。

『シンフォギア』楽曲の血を継いだ新曲「FIRE SCREAM」

――そんな20周年に届けられる今回の新作は、水樹さんにとって通算40枚目のシングル作品になります。やはり特別な感慨はありますでしょうか?

水樹 毎回どの作品も余力を残すことなく全力で制作に取り組んでいるのですが、やっぱり今回は40枚目ということで、自然と力が入ってしまいますね。特に今年はツアーもすべて中止になってしまい、皆さんに新しいものをお届けする機会も限られてしまったので、より気合いが入りました。もう「これでもか!」というほど、いろんなものをてんこ盛りにした、暑苦しいぐらいのシングルになりました。脂身たっぷりのサーロインステーキみたいです(笑)。

――1曲目の「FIRE SCREAM」は、スマホゲーム「戦姫絶唱シンフォギアXD UNLIMITED」の新主題歌。水樹さんが同ゲームに主題歌を提供するのは、「UNLIMITED BEAT」(2016年)以来となります。

水樹 歴代のTVシリーズの楽曲と「UNLIMITED BEAT」の意志を継ぎつつ、新しい曲にしたいということで、非常に難産でした……。『シンフォギア』シリーズの楽曲は毎回そうなります(笑)。『シンフォギア』は歌で戦うというコンセプトである以上、どうしてもテンポが速くて、鬼気迫るような雰囲気のあるマイナー調の曲が求められるなか、その振り幅の中で新しい個性を生み出すのはとても難しくて。ただ、今回はTVシリーズの集大成となった「METANOIA」(2019年)の進化系にしつつ、さらに「UNLIMITED BEAT」のようなハードロック調の要素も入れたいというのが基軸にありました。「UNLIMITED BEAT」にはみんなでコールできるパートが印象的に入っているので、ライブでものすごく盛り上がるんです。なので今回はその兄弟分になるような曲として、コール&レスポンスのパートは必須で入れていただきました。

――本楽曲を作曲したのは、『シンフォギア』シリーズの原作者にして、これまでの水樹さんの『シンフォギア』楽曲をすべて手がけてきたElements Gardenの上松範康さん。今回はどんなやり取りがありましたか?

水樹 上松さんには2回もほぼ1から曲を書き直していただきました。最初の曲が出来た時点で「うわーっ!暑苦しい!」と思うぐらい『シンフォギア』らしさがあったのですが(笑)、私の中ではまだそれ以上の何かがあるのではと思い、ガラッと違う曲を書き直していただいたんです。ですが、それも「サビをもっとインパクトが強く熱く……」と書き直していただいて。『シンフォギア』の楽曲はデジタル要素の強いロック調ではありますけど、私の中で『シンフォギア』は古き良きアニメーションの魂が流れている作品だと捉えているんです。原作の金子(彰史)さんも上松さんも昭和のロボットアニメが大好きなので、『シンフォギア』にもその要素が随所に感じられて。なので楽曲にも、わびさびと言いますか、もう少し歌謡調の要素が入っていてもよいのではと思い、そこでまたガラッと楽曲を作り直していただきました。

――それは相当の難産でしたね。

水樹 『シンフォギア』の楽曲は、2作目の「Vitalization」(2013年)から毎回こんな風に何度もディスカッションして調整を繰り返して完成させています。特に「Vitalization」は細かいフレーズやアレンジ面も含めると27回もリテイクしていただいたので…上松さんには感謝しかありません。これは同じシリーズの楽曲をたくさん作らせていただいているからこその贅沢な悩みで、前作を超えるものを作りたい、まだみんなが聴いたことのないようなゾクゾク感を曲に仕掛けたいという気持ちからなんです。毎回それを更新するにはすごく体力が必要ですが、人は追い込まれると何かが覚醒するもので(笑)、今回も上松さんが限界突破してくださり、これだ!という曲が完成しました。そうなると楽曲の難易度も必然的に上がるので、私もボーカリストとして限界を突破することになって(笑)。だんだんお互いをしごき合っているような感じになっているのですが(笑)、それが『シンフォギア』の絶唱感に繋がっているんだと思います。

――サウンド的には、先ほどお話いただいたように、「UNLIMITED BEAT」に通じるスピード感とメタル的な曲調、そして「METANOIA」で感じられたラウドロック的な質感という、両方のアグレッシブな要素が掛け合わさった、非常にパワフルな楽曲に感じました。

水樹 今回のゲームのシナリオは、アニメではひとまず一区切りを迎え、(『戦姫絶唱シンフォギアXV』までの)5期をかけて成長してきた装者たちが、また新たな事件に向き合うもの。なおかつゲームならではのパラレルワールド的な展開もあるので、それぞれの作品の血を継いでいる曲にしたかったんです。歌い終わったあとは、100メートル走を何本も走り終わったみたいに息切れしてしまうほど(笑)、集中力も体力も必要な曲になっています。

――作詞は水樹さんが自ら担当していますが、どのようなテーマで書きましたか?

水樹 今までの『シンフォギア』シリーズの歌詞と変わらず、「歌こそ愛!」というテーマを掲げさせていただきました。主人公の(立花)響とパートナーの(小日向)未来を表す“響”と“未来”という言葉は、シリーズの楽曲を通して必ず入れているので、今回も共通しています。また、ゲームのシナリオもプロット段階のものをラストまで読ませていただいたうえで書いたのですが、新しい展開がありつつも、今回は『シンフォギア』らしいベーシックな言葉で攻めたほうが、この曲のメロディにハマると思ったんです。特にこの曲は少し変わった構成で、Bメロが曲の頭にくるので、そこに一番強い言葉を持っていこうと思い、“絶唱”と書いて“愛の旋律”と読ませるフレーズを置きました。私の中では『シンフォギア』と言えば絶唱、そして絶唱は世界や仲間を命がけで救うために歌うもの、いわば“愛の歌”だと思っているので。

――水樹さんが書く歌詞と言えば独特のルビで知られていますが、さすがにこの読ませ方には驚きました。

水樹 また新たな“奈々語”が生まれました(笑)。このフレーズはとても気に入っています。いつも歌いながら作詞しているのですが、最初にこの曲のメロディを聴いたときに、この冒頭部分に一番言いたいことやキーになる言葉をハメたいと思ったんです。今は世界中が大変な状況で、皆さんになかなか会えないなか、そのもやもやした気持ちを歌でぶち破る!じゃないですが、少しでもエネルギーを届けられたらと思い、愛を込めた直球の言葉たちで構成しました。

――歌詞からは『シンフォギア』の装者たちにも通じる、どんな状況にも挫けることのない不屈の闘志のようなものを強く感じますが、それに加えて水樹さん自身の、ファンに“愛の旋律”を届けたいという気持ちも込められているように感じました。

水樹 そうですね。もちろんシナリオに沿いながらの言葉選びではあるのですが、そこに自分の今の想いを共存させています。今の私にできることは限られていますけど、主人公の響も「諦めない」がキーワードの子ですし、みんながこの曲を聴いて、諦めない気持ちで前に向かってくれればと思いながら書きました。

――その意味では、サビの“崩れかけた世界に咲いた胸の歌”というフレーズも象徴的ですね。

水樹 これはゲームのストーリーにも沿った言葉なのですが、実は今の現実の状況ともシンクロさせて書いたフレーズでもあります。“胸の歌”という言葉は『シンフォギア』シリーズでずっと使われているフレーズではありますけど、人は実際に窮地に陥ったときに本性が出るものだと思うので、今まで当たり前だったことがそうではなくなっているなか、果たして何を思うのか?ということをサビに込めたくて。『シンフォギア』のプロデューサーさんからも、「奈々さんだからこそ発信できるメッセージを歌詞に入れてほしい」というリクエストをいただいたので、一見すると『シンフォギア』の世界観で構成されていますが、裏テーマとして「コロナ禍の状況にどう立ち向かっていくのか?」というメッセージも込めています。

――そのサビを“繋いだ夢は”“君と重ねた笑顔の先にある”“誰も止められない”と、ポジティブな言葉で締め括るところに、水樹さんらしさを感じますし、聴いている側も勇気をもらえる楽曲だと思いました。

水樹 ありがとうございます! 私もそう感じていただけたことがすごく嬉しいです。

――先ほど歌うのも大変な曲とおっしゃっていましたが、レコーディングはいかがでしたか?

水樹 いや~、スパルタでした(笑)。ちょうど梅雨のシーズンに録ったのですが、もう真夏のような暑さで、一回歌い終わるたびに水をがぶ飲みして、本当に体に鞭を打ちながら絶唱を何回も繰り返す感じでした(笑)。この曲は歌の起承転結が肝になっていて、サウンドも言葉も強くて全体的に熱のあるもので構成されているので、思わず強く歌いたくなるのですが、それだけだと本当に伝えたいことが伝わらなくなってしまうと思ったんです。なのでどうメリハリをつけていくか、どういうふうにストーリーを歌で構成していくかを考えながら、録っては聴く作業を繰り返しました。ただ、新たな敵に立ち向かうような初々しさだとか、これはジャケットのイメージと同じなのですが、荒廃した世界に舞い降りてきた女神が放つ第一声のような瞬発的なパワーが、この曲には必要だと思ったので、時間はあまりかけ過ぎず集中して録りましたね。短い時間でどれだけ集中してそこに持っていけるかが勝負でした。

――ご自身としては「METANOIA」を超えることができたと思いますか?

水樹 あの子はあの子で究極の形が出来たと思っているので、この子はまた違ったベクトルにいる気がします。「METANOIA」も「UNLIMITED BEAT」も、どちらかと言うと男性的な強さがある曲だと思うんです。重いパンチを繰り出して攻撃し続けるような、全面的にオラオラというイメージの曲なのですが(笑)、「FIRE SCREAM」はそこに女性性が存在していて、しなやかさのある曲なんです。時に抱きしめて、時に厳しく突き放す。艶っぽい優雅な音色もあれば、リズムに合わせてカカカカッとアクセントを強調するところもある、とにかく絶妙なバランスを探りながら作っていきました。

――男性性と女性性が同居しているというのは、今のお話を聞いて気づかされました。

水樹 超越した存在じゃないですけど、女神というイメージが最初にビビッときて。男性も女性から生まれるわけで、やっぱり母なる存在というか、「私はどちらの気持ちもわかっていますよ」という感じで、いろんな表情があると面白いかなと思ったんです。

――「FIRE SCREAM」のMUSIC CLIPも楽曲に負けず劣らずかっこいい映像に仕上がっていますね。スタジオのような場所で、水樹さんがバンドメンバーと輪になって向き合いながら歌う様子が収められていて。

水樹 今の状況を逆手に取ったアイデアのMUSIC CLIPを撮ろうと監督と相談して、リモートレコーディング風に撮影しました。バンドメンバーもそれぞれソーシャルディスタンスを守った距離で、メインのカメラもすごく遠くに置かれていて、私たちの周りには25台ものGoProが仕掛けられているので、一回歌うだけで26カット撮れるという効率の良さでした(笑)。レコーディングというコンセプトなので、私のMUSIC CLIPでは初めてカメラ目線のカットが一切なくて、リアルにレコーディングしている風景をたまたまカメラが撮っていた、というイメージのMUSIC CLIPになっています。

――映像の冒頭では水樹さんとメンバーがアップしている様子も収められていて、臨場感がありました。

水樹 ドキュメントタッチにしようということで、私たちがスタジオに入ってくるところから、足音や衣擦れの音が入っていたり、みんなが楽器のチューニングをしたり、私が発声練習をしているところもおさめられています。実際に私の前に置かれていたマイクで音声を録っていたので、歌い終わったあとの「はあはあ」という息切れもリアルな音です。実際のレコーディングでもああなっていました(笑)。MUSIC CLIPの撮影でしたが、リアルな画を撮るために毎テイク全力で歌っていました。

信頼する作家と共に作り上げた、もう一つの応援歌「No Rain, No Rainbow」

――もう一方の新曲「No Rain, No Rainbow」は、TVアニメ『デュエル・マスターズ キング』のOPテーマ。「FIRE SCREAM」とは逆に、明るく華やかな雰囲気のアップチューンになっていますが、作品サイドからはどのような要望がありましたか?

水樹 メジャーコードで展開される明るく前向きな曲というリクエストをいただきましたが、それ以外はお任せいただいたので、私としては絶対に応援歌を作りたいと思いました。今回はダブルAサイドですし、「FIRE SCREAM」も実は強いメッセージを込めた応援歌なので、こちらもアプローチは対極ですが応援歌で合わせたかったんです。そして40枚目のシングルという節目もあり、「FIRE SCREAM」は長い間ご一緒してきた上松さんを筆頭とするElements Gardenチームに作っていただいたので、2曲目は私に新しいエッセンスをもたらしてくれた作家さんにお願いしたくて。そこでヨシダ(タクミ)さんにお願いしました。

――たしかにヨシダさんはsaji-サジ-(注:以前のバンド名はphatmans after school)としてバンド活動しているほか、近年は「絶対的幸福論」や「Rock Ride Riot」(共に2016年)、「カルペディエム」(2019年・作詞のみ)などの楽曲を提供して、水樹さんのサウンドに新しい風を吹き込んでいます。ヨシダさんの書く曲は、いい意味で人間臭いところがありますよね。

水樹 それがとても魅力的です。私の楽曲はタイアップ作品に寄り添うこともあり、壮大でファンタジーな世界観になることが多いのですが、ヨシダさんが書く曲は、日常のワンシーンを切り取っていて、人間のいいところも悪いところも包み隠さず表現されているところがすごく好きなんです。私は特に「STAND UP!」(2016年)という曲が好きで、「子供の頃抱いた夢を大人になっても追いかけられているのか?」というメッセージが込められているのですが、デモテープを聴いた瞬間ひと耳ぼれしてしまって。実はその曲に出会ったことがキッカケで、その後すぐにアルバム(2016年のアルバム『NEOGENE CREATION』)を作ろうということになったんです。今回はヨシダさんに、「STAND UP!」を超えるようなストレートな応援歌を書いてほしい、とお願いしました。

――そういえば水樹さんは、今年3月にフジテレビで放送された音楽番組「緊急生放送!FNS音楽特別番組 春は必ず来る」に出演された際、「STAND UP!」を歌われていましたね。

水樹 そうなんです! あのときは、私のライブにも何度も足を運んでくださっているフジテレビのプロデューサーさんから、ぜひ「STAND UP!」を歌ってほしいとリクエストがあって。この状況の中で皆さんに少しでも明るい気持ちになってもらえればと思い、歌わせていただきました。

――「No Rain, No Rainbow」の歌詞は、夢を追うことの希望や努力の大切さを、非常にストレートな言葉で描いたもので、たしかに「STAND UP!」に通じるものを感じます。

水樹 私は“容易く届くような 夢はきっと夢じゃない”というフレーズにすごく共感しました。これは実際に自分が20年以上走り続けてきたなかで痛感していることですし、だからこそ守りに入ることなく頑張っていられる気がしていて。この曲は『デュエル・マスターズ キング』の主題歌なので、子供たちが今聴いて感じることと、色々な経験を積んだ数年後に感じることは違うと思うんです。この曲を大人になって改めて聴いたときに、「小さいときに口ずさんでいた歌にこんなメッセージが込められていたんだ」と噛み締めてもらえたらいいなと思っていて。もちろん今、夢を追っている途中の方にとってもエネルギーが湧き上がるような曲になれば嬉しいです。

――そういったメッセージを込めた楽曲のタイトルが「No Rain, No Rainbow」というのも素敵ですね。雨が降らないことには、虹はかからないという。

水樹 やっぱりいいことばかりなんてことはないわけで。本当の笑顔を手にするためには、苦しい思いや涙を流すこともありますし、でもそれを経験した先にあるからこそ、より目標に辿り着いた時それが輝いて見える。実は最初はヨシダさんが別のタイトルを付けてくださっていたんですが、許可をいただいて、このタイトルをつけさせていただきました。

――それとこの曲、バンドサウンドを中心にしつつ、吹奏楽のように分厚いブラスサウンドをフィーチャーしているところも印象的でした。

水樹 これはブリティッシュブラスバンドという、珍しい構成になっていて、28人構成のうち打楽器を除いた25管は全部生で録っています。アレンジャーの藤間(仁)さんもレコーディングエンジニアさんも初めての経験で、どういう形になるか実験的ではあったのですが、とても素敵な仕上がりになりました。ミュージシャンの皆さんも、この編成で録った経験はないとおっしゃっていて!学生時代の応援歌といえば、やはり吹奏楽部のイメージがあるので、まさにそのブラスが後ろで支えてくれて、「大丈夫だよ!行けーっ!」と力強く押してくれるような形になって、本当に贅沢な環境で歌わせていただきました。

――いつかライブでも生演奏で聴いてみたいですね。

水樹 はい!いつかまたオーケストラライブを開催するタイミングでやりたいです。あと、どこかの学校の吹奏楽部とコラボして歌えたら素敵だなって!

――そしてこの先の展開として、水樹さん初のオンラインライブ“NANA ACOUSTIC ONLINE”の開催が決定。本シングルの購入者限定でチケット購入可能とのことですが、どんなライブになりそうですか?

水樹 これまでも自宅でアカペラや弾き語り動画を撮ったり、「POP MASTER」をリモートセッションでお届けしたりしましたが、やはり1曲ずつではなく、ライブとしてたくさんの楽曲を皆さんに届けたいという思いがあって。いろいろ考えたのですが、私のライブといえば全員参加型なので、通常のスタイルのライブをオンラインでやるのは違うなと思ったんです。でもアコースティックなら、みなさんの好きな場所でゆったり楽しめるし、今の状況の中ではすごくいいのではないかなと思って。ただ、無観客ライブは初めてなので、今からとてもドキドキしています。みんなは画面の向こうにいるんだ!と頭の中でペンライトの光を思い浮かべながら、いつのものように楽しめたらいいなと思っています。

――最後に、今回のシングルはご自身にとってどんな作品になったと思いますか?。

水樹 今持てるエネルギー全てを注いだ情熱的な2曲になりました。今はまだまだ大変な状況が続いていますが、これを聴いて皆さんの免疫力が高まればいいなと思っています(笑)。「悪いものは寄せ付けない!」というお守り的な一枚になるぐらい魂を込めて作ったので、お側に置いていただけると嬉しいです!

INTERVIEW & TEXT BY 北野 創(リスアニ!)


●リリース情報
水樹奈々40th Singleシングル
「FIRE SCREAM / No Rain, No Rainbow」
 
10月7日発売

品番:KICM-2063
価格:¥900+税
初回製造盤:特製スリーブ仕様

01. FIRE SCREAM
作詞:水樹奈々 作曲:上松範康(Elements Garden) 編曲:菊田大介(Elements Garden)
02. No Rain, No Rainbow
作詞・作曲:ヨシダタクミ(saji) 編曲:藤間 仁(Elements Garden)

●イベント情報
「NANA ACOUSTIC ONLINE」
11月7日(土) OPEN / START:15:00 / 16:00
オンラインライブ視聴券:¥2,800(税込)
10月7日発売の40thシングルに「NANA ACOUSTIC ONLINE」チケット購入用シリアルナンバー封入されます。
シリアル受付期間:10月7日(水)12:00~11月14日(土)18:00

「S.C. NANA NET ファンクラブイベントⅧ」
2020年12月6日(日)
※無観客でのオンライン配信イベントとなります。
※詳細は後日ファンクラブINFORMATIONにて発表予定。

関連リンク

SHARE

RANKING
ランキング

もっと見る

PAGE TOP