TVアニメ『モンスター娘のお医者さん』ED主題歌「やさしさの名前」をリリース!鈴木愛奈インタビュー

2020年1月にアルバム『ring A ring』でアーティストデビューした鈴木愛奈が1stシングルをリリースする。TVアニメ『モンスター娘のお医者さん』ED主題歌でもある表題曲は透き通るようなポップスだが、持ち味である民謡ベースの歌声で愛奈節を聴かせてもくれる。一方のカップリング曲は、自身と重ね合わせながら、あるいは、自身を応援してくれるファンに思いを馳せながら歌った曲。それぞれの形で、鈴木愛奈のナチュラルな魅力が詰め込まれた3曲だが、彼女は新人アーティストとしてどのように楽曲と自身をつなぎ合わせていったのか。

――すでにアルバムでデビューされているので、「1st」シングルというのが不思議な感覚ではありますが……。

鈴木愛奈 私も、「あれ? 次は1st? シングル? そっか」っていう不思議な感覚に陥って(笑)。

――タイアップの話とリリースの話はどちらが先というのはありましたか?

鈴木 1stシングルというお話は、「『モンスター娘のお医者さん』のエンディングに決まったよ」「それが1stシングルのタイアップになるよ」という感じで。

――同時に。

鈴木 だから、「ええええ?そ、そうなんですか、タイアップなんですか?」って感じで驚きました。

――楽曲をもらったときはどんな印象を持ちましたか?

鈴木 最初に聴かせていただいたとき、タイトルが「やさしさの名前」にもう決まっていて、本当に「タイトル通りの曲だな」というところはすごく感じました。個人的にはすごく歌いやすいというか、世界観を出していきやすい曲だとも思いました。自分がやっていた民謡を活かせるのはゆったりとしたテンポの曲かな、って感じているので。それで、仮歌さんの歌を聴きながら、やっぱり仮歌さんはあまり強弱をつけていらっしゃらないので、「どうすればこの曲がもっと光るんだろうな」みたいなところをフレーズごとに考え、試行錯誤しました。

――鈴木さんとしてはどういうアプローチを試みたんですか?

鈴木 まず、歌詞を読んだときに「こういう気持ちかな?」というところを自分で考えました。また『モンスター娘のお医者さん』というお話を知ってからは、そこを第一に考えつつ、いろいろと手探りであててみていった感じですね。グレン先生からの、モンスター娘たちに向き合って「治してあげたい」という優しい気持ちとか、グレン先生をそばでサポートしているモンスター娘たちの愛とか、そういうのを作品から感じ取ることができました。

――やさしさがポイントの作品と感じたわけですね。きわどい表現もありますが、あくまで医療行為ですからね。

鈴木 そこはちゃんと言わなきゃいけないですね。結構刺激は強めで、お子さんと観ていたら、「あ、あ、違うんだよ。そういうアニメじゃないから大丈夫なんだよ」ってなっちゃいますけど(笑)、でも、ちゃんとした医療行為という、グレン先生の純粋な気持ちが込められていますから。エッチすぎない感じですからね。

――サビはとても「鈴木愛奈」を感じる歌詞だと思いました。歌詞を書く前にヒアリングを受けたということはあったのでしょうか?

鈴木 いや、全然なかったです。「愛」というワードがいろいろなところに散りばめられているので、私も個人的に感じていたんですけど(笑)。でも、1stアルバムの『ring A ring』のテーマがそうだったんですけど、アーティストとして、愛を大切に、縁を大切に歌っていきたい、という私の願いを入れていただけたんだとしたら嬉しいな、と思いながら歌っていました。

――民謡という自身のバックボーンをどれくらい入れ込むか、という点ではどのように考えていましたか?

鈴木 自分のいいところとして出してみて、それでやり過ぎと言われたら抑えればいいとは思っていました。でも、いい塩梅を探すのは難しかったところですね。民謡の節回しって独特だと思うんですけど、強くなったり弱くなったりというところが多いので、より温かみが増すというか。一直線にバーンといくよりも、いい感じのスパイスになるのでこの曲をより引き立てることができるんじゃないか、とは思っていました。でもサビに関しては、「もっとのびのびと歌っていいよ」とプロデューサーさんから言ってもらっていて。あと、女神様が草原の中で手を広げながら歌っているように、という話でしたので、そのイメージを膨らませつつ歌わせていただきました。

――一方、Dメロの“何ができるだろう?”のところはかなり節回しを効かせていますね。

鈴木 ここがいちばんアプローチに悩んだところではありましたね。声に出しながら自分に対してぶつかっていく感じなのか、それとも、心の中で悩んで悶々とする方なのか、この“何ができるだろう”はどっちの形で悩んでいるんだろうと考えました。レコーディングのときも何パターンか録らせていただいたんですけれども、ただ、プロデューサーさんや作詞の森(由里子)さんとご相談した結果、「ぶつける方にしましょう」ということで今の形になりました。

――作詞の森さんもいらっしゃっていたんですね。

鈴木 そうなんです。その場で、例えば2番のサビはレコーディング前まで「うつればいいね」だったのが、歌ってみたあとで私に感想を聞いていただけて。それで「いいよね」にしてもらえたということもありました。

――1stアルバムで歌った曲とはまた違う曲に出会ったかと思いますが、完成した今、どのような歌になったと自分では感じていますか?

鈴木 個人的にはすごく懐かしさを感じていて。自分が小さい頃に見ていたアニメの主題歌みたいな、そんなぬくもりやあったかさを感じる曲でした。

――エンディングらしいエンディング曲という感じですか?

鈴木 そうですね。包容力をすごく感じる曲ですね。歌っていても優しい気持ちになれるというか。あなたの味方だよ、隣に寄り添っているよ、っていう自分でいられますね。

――2曲目の「月夜見Moonlight」はどんな曲ですか?

鈴木 一言で言うと、強い意志が見える曲、だと感じました。歌詞にも命令形の言葉が多くて、全体的にかっこいい曲なんですけど、最初に聴いたときから、自分の中の何かを破壊するというか、弱いものをブレイクしていく部分が感じ取れたんです。昔の自分と重なる部分も多かったですね。特に、高校生時代の夢に向かっていたときの自分に。

――それはどのあたりで強く感じましたか?

鈴木 1Aからずっとそうなんですよ。先の見えない目標だけど私ならできる、って自分を思い込んで、親とかに「大丈夫」って支えられながらも手探りで何もない道を歩きながら、こっちで合っているのかもわからないけど、それでつかみとったのが今の道……、という物語が描かれているんですよね。だんだんと「できる」から「できた!」になっていくような、意思が強くなっていくところを感じました。最後の、“いつの日かきっと 憧れも超えて 輝きの舞台へ”も、いろいろな意味に捉えていました。高校生のとき、いつかアニソンシンガーとしてデビューして、それでステージに立っていることを夢見た自分と重ねたり、デビューを果たした今、横浜アリーナに立ちたいと思っている自分と重ねたり。昔もがいていたときの自分をすごく重ねて歌えました。

――曲からも強いイメージを感じましたか?

鈴木 実は、デモでいただいたときとは使われている楽器や音が変わっているんですよ。最初に届いたときの「月夜見」はもっとダークな感じで、いばらの道を傷付きながら進んでいくイメージでした。でも、今の「月夜見」はわりと明るく光が見える感じになっています。

――じゃあ、ちょっと歌のプランを変えざるを得なかった?

鈴木 レコーディングする前、明るくなったほうが送られてきたときは「なるほど、こう来るか」と思って(笑)。だから、考えていたものを1回リセットして、考え直してみました。

――歌詞に登場するのは「僕」ですが、そこは「演じる」気持ちがありましたか?

鈴木 そうですね。あったと思います。でも、自分と重ねつつというか、心の奥底に眠っている強い意志が男の子と捉えて。「僕は弱くない」ってもがいて手を伸ばそうとしているような、暗い中でも明るい光の筋が一本見えているような。頭の中にイメージはあるんですけど、あらためて言葉に説明するのは難しいですね。

――3曲目はウェディングソングですね。

鈴木 私のファンの方同士でお付き合いして、結婚して……という報告を聞くことが多くて。なかなかそこにおめでとうという気持ちを伝えることはできないんですけど、「歌にすれば伝えられるんじゃないか」と思い、あるイベントの後で少しお話ししたら、ha-jさんと鈴木歌穂さんが、「じゃあもう来週スケジュール合わせて作っちゃう?」みたいにすぐ作ってくださったんですね。どういう形でお披露目になるかっていうのもそのときは全然決まってなかったです。だから、まさかの1stシングルのc/w曲がウェディングソングという(笑)。

――ha-jさんや鈴木歌穂さんには1stアルバムでお世話になったかと思うんですが、そういうことが言いやすい関係を築けているんですか?

鈴木 そんな「作ってくださいよー」みたいな関係ではないんですけど。でも、アルバムでいいところを全部引き出しくださったり、レコーディングに毎回来てくださって「もうちょっとこうしてみよう」とか「ここめっちゃいいよ」とか言っていただけたり、一緒に楽しく曲を作ってくださったんですよね。特に歌穂さんとは好きなアニメがすごく近くて(笑)。オタク話に花を咲かせたこともあるんです。そういう中で、「ウェディングソングみたいなものをプレゼントしたいと思っていて、いつか作れたらいいんですよね」って言葉にしたら、すぐに合わせてくださったんです。私としては、「え?お、お忙しいのに、い、いいんですか?」って感じだったんですけど。歌穂さんと一緒に歌詞を書いてくださったPA-NONさんも『ring A ring』でお世話になっているので、一緒にやれて嬉しかったですね。

――歌詞を聴いたとき、愛奈さんの近しい友人が結婚したのかと想像していました。

鈴木 全然違います。私の身の回りの友達は誰も結婚していないです(笑)。でもファンの方には多くて。

――恋の橋渡し役としての気持ちを込めたんですね。

鈴木 「恋のキューピッドやん!」っていうのを自分で感じながら(笑)、何か伝えられる気持ちがあればと思って歌いました。

――どういうイメージを持って歌いましたか?

鈴木 そうですね。私の頭の中に結婚式に関する資料がまったくなかったもので……。

――結婚式に出席されたことは?

鈴木 ないです、1回も。友達とか親戚とかの結婚式に行ったことがないんです。だから、頭の中の資料的には、ご飯が出てきて……。

――そこがいちばんですか?(笑)。

鈴木 お色直しして、とか。「それぐらいの知識しかないのにこれ歌ったの?」って思われるかもしれないんですけど(笑)。でも調べてみて、友人から祝福の言葉を述べるところがあるというので、そこで歌える曲になったと思います。あと、私からの気持ちが伝わる歌にも。歌うときは、最初から最後までずっと笑顔で、口角をグッと上げっぱなしでした。最初は、わりと綺麗な感じで歌っていたんですけど、「音程も取れていて綺麗だから、お祝いするような『ハッピーウェディング!』みたいな感じをもっと出してください」と言われたので、そこを意識しながら歌ったというのはありました。プロデューサーさんには、「酸いも甘いも、めっちゃいろいろと経験してきた人が歌っている感じ」って言われました(笑)。

――民謡歌手っぽさが出たのかもしれないですね。

鈴木 ですかね。だから、「もっとハッピーに」とか「可愛らしく」、「フレッシュフレッシュ」って言われていました。でもそうすると、音程がずれたり、自分が思っていたようには歌えなかったりして、なかなか難しいところではあったんですけど。

――でも、こういう歌なら声に感情を乗せることが大事だとは思います。では、お祝いする気持ちで?

鈴木 そうですね。ha-jさんとも言ってたんですけど、「幸せになっちゃえ」みたいな。

――「みんな爆発しろ」みたいな。

鈴木 「末永く爆発しろ」って感じですね(笑)。

――となると、自然と民謡っぽさは抑えめに?

鈴木 そうですね。私のやりやすいように歌ってしまったかな。どうしても教会のイメージが強くて。リーンゴーンって鐘が鳴って、2人が並んで、「誓いのキスを……」みたいな。実際は違うかもしれないんですけど、私の中にある結婚式像を想像して、明るく明るく、という方向に意識を置いて歌いました。

――ライブで直接ファンの方に届けられる日が楽しみですね。

鈴木 そうなんですよ。この曲なら演出もいろいろとできそうじゃないですか。

――3曲入ったシングルCDとなりましたが、ご自身としてはどんな1枚ができたイメージですか?

鈴木 今回に関しては、本当に「素だな」と思っています。1stアルバムではいろいろな鈴木愛奈を見せられればと思っていたので飾る部分も多かったんですけど、今回は全部私なんだよっていうものを出せた気がしますね。

――今回のシングルでもそうですが、1stアルバムから、本来ならば行われていただろうソロライブやリリースイベントが自粛となっています。あとは例えば、7月に迎えた誕生日関連のイベントとか。きっと地元北海道の札幌ドームでやっていたんじゃないかと思いますが。

鈴木 あー、札幌ドームいいですね(笑)。

――そういった中、鈴木愛奈さんとしては、コロナ後に向けてどのように過ごしているかを教えてもらえますか?

鈴木 そうですね。デビューした年にこういうことになってしまったので、本来であればワンマンとか。それこそ(鈴木も出演予定だった)“リスアニ!LIVE SPECIAL EDITION ハルヤスミ at 北海道”あたりからでしたね、いろいろと難しくなってきたのは。だから、今までずっとファンの方とは1ヶ月に1回くらい、お渡し回みたいなイベントを通じて会える時間があったんですけどそれもなくなって。やっぱりすごく寂しくて、「みんな元気かな?」「大丈夫かな?」みたいな気持ちはあります。だけど、今のこの時期はアーティストとして自分の肥やしにできるものがあるとも思っていて。今の私にあるのはまず声優の活動なので、映画とか他のアニメを見て、自分の演技の引き出しを増やすとか。歌手としても、とにかくいろんな方の歌をあさりまくって、それを自分で歌ってみるとかやっています。洋楽の発声って全然違っていて、とにかく「強い」。オペラの発声とかも裏なのに強いんですよ。それをJ-Popに変えて歌うにはどうしたらいいのかな、って考えたりもしてます。考えるのも楽しいんですよね。それに習得できたらもっと歌えるようになると思ったので。

――そうやっていろいろと研究していると、本場で聴きたくなってきますね。それもコロナ禍では難しいですが。

鈴木 そうなんですよね。本当は本場で仕込めたらいいのかもしれないんですけど、でも留学しても、私はなんにもしゃべれないので(笑)。あとは、おうち時間の中でも、近所迷惑とか考慮しながら声を出す時間を決めて歌っています。あとダンスもやってますね。

――あらためてですが、そういった中でリリースする今回のCDについてはどういった思いがありますか?

鈴木 今回のCDは、さっきもちょっと言ったんですけど、ナチュラルな感じになっていて、素の私が出ていると思うんですね。特に「やさしさの名前」という曲は、そのすべてがやさしさそのものでできていて、何も否定のない曲になっているんです。あなたを全部ひっくるめて「好きだよ」「寄り添うよ」って曲なんです。こういうご時世だから聴いてほしいし、ま、こういう時期じゃなくても聴いていただきたいんですけど(笑)、でも、より刺さるところがあるとも思いますね。だから、いっぱい聴いていただいて、自分の周りの大切な人にちっちゃい愛を届けたい気持ちになってほしいな、とは思います。自分も責めないで。自分の近くにいる人に、「大事に思っているよ」って言葉をかけてあげるとか。そういう気持ちになってもらえたら嬉しいですね。

INTERVIEW & TEXT BY 清水耕司(セブンデイズウォー)


●リリース情報
鈴木愛奈 1st シングル
TVアニメ『モンスター娘のお医者さん』ED主題歌
「やさしさの名前」
9月16日発売

【初回限定盤(CD+BD)】

品番:LACM-34021
価格:¥2,000+税

<CD>
01.やさしさの名前
作詞:森由里子 作曲:戸田一義 編曲:IKW
02.月夜見 Moonlight
作詞・作曲:永塚健登 編曲:久下真音
03.繋がる縁 -ring-
作詞:鈴木歌穂、PA-NON 作曲・編曲:ha-j、鈴木歌穂

<BD>
「やさしさの名前」MV+メイキング映像を収録

【通常盤(CD)】

品番:LACM-34021
価格:¥1,300+税

<CD>
01.やさしさの名前
02.月夜見 Moonlight
03.繋がる縁 -ring-

【アニメ盤(CD)】

品番:LACM-24022
価格:¥1,200+税

<CD>
01.やさしさの名前
02.⽉夜⾒ Moonlight

<鈴木愛奈 プロフィール>
7月23日生まれの北海道出身、IAM エージェンシー所属。2014年に声優デビュー。2015年には『ラブライブ!サンシャイン!!』小原鞠莉役に決定し、スクールアイドルグループ・Aqoursとして2018年には東京ドーム2Daysで国内外ライブビューイング含め約15万人を動員、同年末の第69回NHK紅白歌合戦に出演を果たした。過去には第七回 全日本アニソングランプリ全国決勝大会にてベスト3入りを果たし、数多くの民謡全国大会にて優勝の実績を持つ。2020年1月22日デビューアルバム「ring A ring」をリリースし、同年9月16日に1stシングル「やさしさの名前」をリリース。そして、11月18日には2ndシングル「もっと高く」のリリースも決定している

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