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INTERVIEW

2020.08.05

待望の2ndアルバム『Water Drop』が完成!石原夏織インタビュー

待望の2ndアルバム『Water Drop』が完成!石原夏織インタビュー

声優・アーティストとして活躍の場を広げる石原夏織が、約2年ぶりのニューアルバム『Water Drop』を完成させた。シングル表題曲「TEMPEST」「Face to Face」に加え、ポップでダンサブルなサマーチューン「SUMMER DROP」をはじめとした多彩なジャンルのナンバーを収録。太田雅友、渡辺 翔、kz(livetune)、やなぎなぎ、ArmySlick、クボナオキなどのクリエイターが参加し、11曲中8曲が新曲という、彼女の新しい一面をたっぷり味わえる1枚に仕上がっている。「自分らしさ」というこだわりが詰まった本作について、本人に話を聞いた。

――待望の2ndアルバム、リリース日は石原さんの誕生日(8月6日)の前日になりますね。

石原夏織 そうなんです。今までもこんなに誕生日に直近のリリースはなかったので、最初に聞いたときは「こんなことあるんだ!?」って。

――今回はどんなアルバムにしようと思って作り始めたのですか?

石原 2枚目のアルバムになるので、これまでの自分も残しつつ、やったことのない曲にも挑戦してみよう!と思いながら制作に入りました。シングル曲以外の新曲については、一つひとつ「どんな楽曲にしようか?」ということを、スタッフの皆さんと相談しながら決めていって。私はデビューのときから、いろんな楽曲を歌えるアーティストになることが目標だったので、今までになかった曲を歌ってみることプラス、1stライブとツアーをやってきたなかで足りないと思った部分を、今回のアルバムで埋めていこうと思ったんです。なので、必然的に前作とは違う雰囲気の楽曲も含まれるアルバムになりました。

――石原さんから「こういう曲が歌いたい!」とリクエストした曲はありますか?

石原 いろいろありますけど、今回MVも制作した「SUMMER DROP」は、私からお願いして作ってもらいました。このアルバムは季節を問わず聴けるものにしようと思って作っていたんですけど、せっかく私自身も大好きな夏のタイミングにリリースするので、「1曲ぐらいは夏の曲を入れてもいいですか?」とお願いしまして。夏の曲っていろんなジャンルがありますけど、私の持ち曲には、ポップで明るい感じのダンス曲はなかったので、大枠のコンセプトとしては「夏感のあるダンス曲」ということで、コンペを行いました。

――曲はコンペで集まった中から石原さんが選んだのでしょうか?

石原 実はすごく悩んだ曲で。いろんな曲調のものが上がってきて、最初のテーマに一番近かったのがこの「SUMMER DROP」なんですけど、ほかにも良いものがあったので、私、プロデューサー、事務所の人がそれぞれ違うものを選んで、その3つの候補の中から「さあ、どうしよう?」となったんです。ただ、この曲は私が個人的に以前からお願いしたいと思っていた、ArmySlickさんにアレンジをしていただくことが先に決定していて。プロデューサーさんが「この曲なら合いそう」という意見だったので、最終的にプロデューサーが推していた曲に決めました。

――ArmySlickさんのアレンジのどんなところに惹かれるのですか?

石原 私的には、ダンス曲ではあるけどバキバキまではいかない、ちょっと生っぽい塩梅のものがお洒落で好きだなと思っていて。「SUMMER DROP」もそこが耳に残っていいなあと思いますし、水がポチャッと落ちる音が入っていたり、2番では波の音がしたり、夏の季節感も言わずとも汲み取っていただいたので、いっぱい素敵なところがある曲になりました。「いつかタイミングが合えばArmySlickさんにお願いしたいです」という話をしていたので、今回の夏っぽい曲なら、素敵な曲にしていただけそうということでお願いしました。

――歌詞は、夏の開放的な気持ちを歌ったような内容ですが。

石原 そうですね。せっかく夏なんだから、思いっきり楽しいことに飛び込んじゃおう!みたいな、大胆さが込められた歌詞になっています。すごくスピードが速いわけではないけど、背中を押してくれそうで、自分も勢いよく行けそうな感じがする曲です。

――歌詞でお気に入りのフレーズを挙げるとすれば?

石原 最初は1Aのところ(“まぶしい陽射し浴びて 高鳴る胸のコドウ 特別な夏が今 はじまりそうな予感”)がすごく好きだったんですけど、だんだんDメロの“きっと 待ち焦がれてたの”からのフレーズが好きになって。運命と思えるような瞬間をずっと待ち焦がれていた気持ちとか、“キンとつめたい キュンとあまい”っていう夏を連想させるような言葉が可愛くて、心情としてもわかる気がするから、いいなあと思います。

――歌からも、夏の太陽さながらの明るさが感じられました。

石原 とにかく元気に歌うようにしました!この曲は(アルバム用の新曲の中で)一番最初に録ったんですけど、2月のライブ以来歌っていなかったので、リハーサルのときに「ちょっと暗いかも」と言われちゃって。でも、そこからテンションを上げるように頑張ったら、結局、何の問題もなく歌えました(笑)。あと、この曲の歌詞は感覚的に伝わってくる、とてもわかりやすい歌詞なので、頭の中で想像しながら歌うことを大事にしました。

――MVは、ライブでお馴染みのダンサーの皆さんと一緒に、可愛らしいダンスを披露しているのが印象的です。撮影はいかがでしたか?

石原 今までのダンス曲はどちらかと言うとクールに決めることが大前提としてあったので、私も含めてあまり笑ってないものが多かったんですけど、今回はダンサーのみんなと可愛い振り付けを踊ったり、みんなでニコニコしながら楽しくやっているところをお届けすることができました。本来の私たちの裏側はいつもこんな感じなんですよ。他にもダンサーの皆さんと一緒に演技をしたり、今までにやったことのないことにもいっぱい挑戦して。きっとファンの皆さんもこれを観て、元気になって楽しんでもらえるんじゃないかなって思いながら撮影していました。

――個人的にいいなあと思ったのが、ダンサーの皆さんとビーチバレーを始めるも、石原さんがすぐに失敗してボールが繋がらないシーンで……。

石原 ああ、やっぱり!(笑)。いいですよねえ。あれは一発撮りでした。「とりあえずビーチバレーをやってみよう」となって、ボールを投げてやり始めたら、あんな結果になって。もうちょっとテイクを重ねるのかなと思ったら、すぐ「OK!」ってなったんです(笑)。私のライブを観てくださった方は、私がバレーボールは苦手ということは知っていると思うんですけど(※1stツアー東京公演の幕間ムービー「カオリンピック 2020」でバレーボールに挑戦していた)、偶然それと一致するものになったのが、個人的には嬉しかったですし、自分でも観ていて面白かったです。

――MVでは衣装も数パターンを着こなしていて、どれも可愛らしかったです。

石原 ありがとうございます!今回は3着も着させてもらいました。ダンスのときの黄色とピンクの衣装は、今までのMVでは着たことがないタイプの衣装だったので、すごく気に入っていますし、ビビッドな色味もこの曲のイメ―ジならではになりました。レインボーのオーバーオールみたいな衣装もすごく気に入ってますし、白いTシャツの衣装も夏っぽくて、今までのMVではお届けしていない衣装をいっぱい着ることができました。

――そのほかにも、今回のアルバムには8曲もの新曲が収録されているということで、収録順にお話を聞いていきます。2曲目の「フィービー・フィービー」は、明るくてポジティブな気持ちになれるポップチューン。

石原 この曲は「みんなで一つになれる曲」というテーマで作っていきました。サビで“Feelin’Good!”と決めるフレーズがあるんですけど、そこでみんなと一緒に何かしらキメポーズのようなものができればと考えていて。1曲目の「Face to Face」も明るいですけど、それよりもさらに明るく華やかな曲になったと思います。

――「フィービー・フィービー(=Feel Beam、Feel Beat)」というフレーズも独特でユニークですね。

石原 私も最初は「何だろう?」と思ったんですけど、歌詞を見て「なるほど!」と思って。楽しいことも落ち込むこともあるのは当たり前で、気の合う人もそうでもない人もいるかもしれないけど、みんなで一緒に一つになればフィールグッドだぜ!みたいな感じだと思います(笑)。ちょっと落ち込んだとしても元気になれる歌詞だなあと思って、自分でもよく聴いてます。

――要は心の持ちようということですよね。石原さんは落ち込んだとき、どうやって心を上向きに持っていきますか?

石原 悩んだり落ち込んだとしてもしても、結局どっかのタイミングで上向きになるだろうって考えています。ここで悩んでいても解決できないから、とりあえずやるだけやろう、始まらない限り終わりは見えないから進むしかない、っていう感じですね。

――3曲目の「Water Front」は一転して、どこか影のあるロックナンバー。今までの石原さんの楽曲にはなかったテイストですね。

石原 これこそ一番挑戦した曲です。結ばれない関係だとわかっていても想ってしまう、胸が痛くなるような切ない歌詞の曲なので。この曲でも私からお願いしたことがあって、思わず心の声が漏れてしまうような表現にしたかったので、(作詞を担当した)しほりさんには語り口調の歌詞をお願いしました。そこも今までと違いますし、楽曲自体もローテンションな感じなので、自分的にも挑戦になりました。

――たしかに語り口調の歌詞ということで、A・Bメロの譜割りも言葉を畳みかけるような感じになっていますね。歌うときは、歌詞にある主人公の身を焦がすような想いをイメージして歌ったのでしょうか?

石原 そうですね。この曲の主人公の気持ちになったほうがいいなと思ったので、意識しようと思うこともなく、いつの間にかそうなっていました。この曲は演技をしてるみたいでしたね。

――声優のお仕事でキャラソンを歌うときとも違う感覚があった?

石原 キャラソンのときは、先に出来上がっているキャラの声を歌に乗せる感じなんですけど、この曲の場合、不思議なのが、曲の主人公の気持ちなんだけど声は自分なので、声を作る感じは全然なくて。そこはキャラソンと違っていて、曲と歌詞に寄り添ったら自然にそうなった感じです。本当に切なくて、こんな気持ちにはなりたくないです。自分はこんな経験をしたことはないけど、もしかしたら自分の中にもこんな部分があるのかもと考えたら面白いし、それをフィクションで体験できるのはすごく楽しいなあって。歌ったあとはすごく疲れましたけど(笑)、楽しかったです。

――続く「夜とワンダーランド」も、今までにあまりなかった雰囲気の疾走感あるロック曲。この曲はSILENT SIRENの楽曲プロデュースなどで知られるクボナオキさんの提供です。

石原 この曲は「ちょっとダークで疾走感のあるバンドサウンド」というテーマで、クボさんなら素敵な曲を書いていただけるんじゃないかなということでお願いしました。夜の雰囲気とちょっと煌びやかな感じがある、自分たちが想像していたよりも素敵な疾走感のある曲が出来上がったので、お願いして良かったです。

――「Water Front」は身を焦がすような切なさがありましたが、こちらは歌詞に力強さがありますね。

石原 そうですね。空想世界のような夜に飛び込んで、まだ自分が出会っていない新しい自分を見つける、という曲なので。悩んではいるけど、わりと前向きで、自分探しに行く意志のある子なので、さっきの曲よりは力強さがあると思います。でも「(歌詞は)抽象的な感じで作ってください」とお願いしたので、ぱっと聴きどういうことなんだろう?っていう曲になっていて。自分で考えられる感じが素敵な曲になりました。

――エレクトロハウス系のダンス曲「リトルシング」は、前作収録の「Orange Note」に続き、kz(livetune)さんが書き下ろしています。

石原 この曲のテーマは「可愛い曲」ということで、「Orange Note」を作っていただいたkzさんなら合うかもと思ってお願いしました。可愛いけどキラキラしていて、お洒落カワイイ曲だけど、歌詞は「どの選択で自分の未来が変わっていくか?」っていう、結構リアルな内容になっていて、自分でもすごくわかるなあって思いました。

――特に2番以降の歌詞は、kzさんが石原さんのことをイメージして書かれたような歌詞なのかなと思いました。

石原 kzさんに直接聞きはしなかったんですけど、そうかもしれないですね。kzさんは「Orange Note」のときも今回もレコーディングに立ち会ってくださったんですけど、私自身のことをいつの間にかよくご存じだなあと思うことが多くて。自分の声にちょうどいいキーとか、逆に私が「へえ、そうなんだ」って気づかされるぐらいで(笑)。なので歌詞も、意外と私のことを知ったうえで書いてくださったのかもと思います。

――そのなかでも特に自分らしさを感じる歌詞は?

石原 どこかな?この歌詞、いいことをたくさん書いてくださってるんですよね。2Aの“たとえばキミが小さく呟いた その風が明日を色付ける”は、言葉にしたら夢が叶うということを感じてすごく好きですし、“恥ずかしくなるような失敗さえ 誰かの心を溶かしてるんだよ”という部分は、私もラジオとかイベントで恥ずかしいなあと思うことをしても、誰かが「あのシーン何回見ても笑える」とか「楽しかった」って言ってもらえることが多くて。その意味で「誰かの幸せに繋がってるのであればよかったな」と思うことがよくあるので、この部分は私の日々の活動とリンクしていて特に好きです。私も仕事とかアフレコで一生懸命頑張ったけどうまくいなくて、反省することもありますけど、それすらも誰かをいい方向に変えてるかもしれないし、自分も変わってるかもしれないし。そういうふうに捉えられるフレーズだと思います。

――それとこの曲、Bメロの“だけどたった一つ小さな”というフレーズの歌い方がすごく可愛らしいなあと思いました。

石原 ここはkzさんと二人でこだわったフレーズです。kzさんから「もうちょっと跳ねる感じで、(言葉を)スパスパ切ってください」と言われて、私はスパスパ切って歌うのがあまり上手ではないので「ヤバい!どうしよう!」と思ったんですけど、教えていただきながら頑張って歌って。曲自体も可愛いですけど、より可愛さを出すポイントとして頑張りました。声の出し方も変えたので、気づいてもらってうれしいです。

――本作唯一のバラード曲「キミしきる」は、石原さんが月白瞳美役で主演を務めたTVアニメ『色づく世界の明日から』などで繋がりのある、やなぎなぎさんが作詞を担当しています。

石原 そうなんです!やなぎさんとは、ほかにも『夏待ち(あの夏で待ってる)』や『凪あす(凪のあすから)』と、私にとって大切な作品でご一緒する機会が多くて。それで『色づく』のキャラソン(「ささやかな光」)を書いていただいたときに、いつかぜひお願いしたいなあと密かに思っていて。

――その気持ちはご本人に直接伝えなかったんですか?

石原 キャラソンのレコーディングのときに録っていただいたんですけど、恥ずかしくて伝えられなかったです(笑)。でも、今回のアルバムにバラードを入れることになって、曲を聴いたら「やなぎさんが書かれる歌詞に合いそう」と思ったので、お願いしたら引き受けてくださって。しかも、アレンジが出来上がる前の「こういう感じで歌詞がハマります」という仮歌はやなぎさんが歌ってくださって、その音源は私の中で宝物になりました。私だけが聴ける秘密のやなぎさんバージョンです(笑)。

――やなぎさんに歌詞を書いていただくにあたって、どんなふうにお願いしたのでしょうか?

石原 大切な人に向けて「そのままの君でいて」ということを歌う歌詞にしてください、ということだけをお願いしたら、こんなにも素敵に膨らませた歌詞を書いてくださって感動しました。やなぎさんの世界観なんですけど、でもちゃんと私に合うように作ってくださったこともすごく感じたので、今回のアルバムの曲はもちろん全曲好きですけど、この曲もとっても大好きです。

――例えばどんな部分に、自分に合わせて書いてもらったと感じましたか?

石原 私は別に語彙が多いわけではないし、何かに例えたりするのがあまり得意ではなくて、本当に想ったことを素直に言葉にするタイプなんですよ。この曲の歌詞も、すごくわかりやすくてストレートなので、自分的にも考えながら歌うというよりかは、感じるまま歌えたんです。そこは自分と近いのかなと思いました。やなぎさんの書く歌詞はもっと比喩が入っているイメージがあったんですけど、そういう感じではなかったところが、「自分っぽく寄せてくれてるのかなあ」って勝手に思っていました。

――たしかに、この曲の裏表の無い感じは石原さんらしいなと感じました。歌う際には、どんなことにこだわりましたか?

石原 ここまでゆったりしたテンポの曲は歌ったことがなくて、表現や技術の差が明確にわかるので、難しいだろうなあと思いながら挑んだんですけど、歌詞と曲の雰囲気を自分の中で噛み砕かなくてもスッと感じられたので、あまり肩ひじ張らず、今の自分のままで思うままに歌ってみたら、今までとはちょっと違う歌い方になりました。この曲は特に、それぞれのパートを分けて録るのではなく、1番なら1番をまるまる気持ちのまま録ったので、本当に感情がうまく乗ったと思います。

――ちなみにタイトルの「キミしきる」には、どんな意味が?

石原 これは「降りしきる」と「キミ」を合わせた造語で、「そのままのキミでい続けて」という意味を込めていただいたみたいです。最初は違うタイトルだったんですけど、やなぎさんからもう一度考えさせてほしいということで、何個か候補を出していただいて。「キミしきる」は言葉のインパクトもあるし、曲の内容にもピッタリだったので、「これが一番いいと思います!」と言って決めてもらいました。

――8曲目の「Diorama-Drama」は少しディスコっぽさもあるファンキーな曲調で、今までのダンス曲にはないタイプの曲になりました。

石原 そうなんです。元々は「今までのダンス曲っぽいものを作ろう!」と言っていたんですけど、コンペで曲を集めたときに1曲だけ違う雰囲気の曲があったので、すごく興味が沸いて。以前から、いつか違うジャンルのダンス曲も歌いたいと思っていたので、これはいいタイミングかもと思って、私から「この曲がいいです」ってお願いしました。でも、今まで歌ったことのないテイストだったし、なにより英語がたくさん詰まっている歌詞だったので、難しかったです。「は~、どうしましょ?」ってなりましたけど、一生懸命覚えました(笑)。

――英語のパート、すごくかっこいいですけどね。

石原 嬉しい!この曲は凛とした女性の人生観を歌っているので、「かっこよくいなくてはいけない!」と思っていたんですけど、レコーディングにはびくびくしながら向かいました(笑)。でも、最終的には堂々と歌えるようになりました。自分にはなかなかないぐらい強い歌詞で、くよくよしない感じも素敵だなって思いましたし、自分的にも「こんな人になれたらいいなあ」っていう憧れも乗せつつ歌いましたね。

――で、シングル曲「TEMPEST」と先ほどお話いただいた「SUMMER DROP」を経て、アルバムのラストを飾るのは渡辺 翔さん提供の新曲「Page Flip」。石原さんはこの間のツアーの東京公演で、TVアニメ『推しが武道館いってくれたら死ぬ』のOPテーマ「Clover wish」をカバーしていましたが、その曲を書いたのも渡辺さんでした。

石原 そうなんです。この曲は「ライブの冒頭か終わりに合う曲」というテーマで考えていて、なおかつ曲調的には、バンドサウンドまではいかないまでもアップテンポでみんなが乗れる曲がいいなあと思っていたんです。それでどなたに頼むか悩んでいたときに、プロデューサーさんから「渡辺 翔さんなら合うかも」と言っていただいて。ちょうど少し前に『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』のキャラソンでもお会いしていましたし、ぜひと思ってお願いしてみたら、引き受けてくださって。みんなが盛り上がれる曲というテーマも汲んでくださいましたし、歌詞も「あれ?私のこと、ずっと見てたのかな?」って思うぐらい私の表現したいことが形になっていたので、すごくビックリしたし嬉しかったです。

――歌詞はどんなテーマを設けてオファーしたのですか?

石原 私はみんなとの思い出とか、そこからみんなで未来を描いていく、次への明るさや楽しさみたいなものがほしいなあ、みたいなことをスタッフの皆さんとしゃべっていたぐらいなんですけど、それがこんなに素敵な歌詞になっていたので、「ええ~!」と思って。本当に全部好きなんですけど、特に1サビの“真っ白だった未来の予定は キミと試行錯誤しよう”というところがすごく好きなんです。まだ白いページをみんなで一緒に考えて、楽しんで、悩んだりしながら埋めていくのは、自分の理想でもあるし、自分自身とファンの皆さんとの関係もこういうふうになったらいいなあと思っているので。自分一人でも、ファンのみんなだけでもなくて、一緒に進んでいけたらいいなって、ずっと思っていたんです。これが私の叶えたいものだなと思ったので、グッときました。

――たしかに“ストーリー1人じゃもったいない“グローリー1人じゃいらない”というフレーズもあって、一人ではなくみんなと一緒でいたいことが強調されているんですよね。

石原 そうなんです。2番もいいんですよね。“一緒に描き足せばまたいつの日か その話 開きながら笑おうよ”っていうのは、私がデビュー当時のお渡し会で話していたことに近いなあと思って。さすがに渡辺さんもそれは知らないと思うんですけど。レコーディングも面白かったです。渡辺さんと白戸(佑輔/編曲を担当)さんが来てくださったんですけど、白戸さんがすごく愉快な方で、しかもお二人がすごく仲良さそうなんです(笑)。それが伝わってくる中でのレコーディングだったので、とっても楽しく歌うことができました。

――お二人からのディレクションで印象的だったことはありますか?

石原 なにかなあ?お二人とも「おお、いいねえ~」とずっと言ってくれていたので……何かこだわりもあったはずなんですけど、ちょっと面白さのほうが勝ってしまって、記憶が無くなっちゃいました(笑)。でも、「最初のもよかったけど、こういうのもやってみない?」っていうふうにたくさん提案してくださって。みんなでいろんなことを実験しながら録っていったのが、ほかとは違って面白かったです。

――レコーディングでもある意味、みんなと一緒に新しいページを作り上げたわけですね。あと、歌詞の最後が“書き出しはいつも大切な言葉”というフレーズで終わるのも素敵だなと思いました。

石原 いいですよねー。すごく考えさせられるし、未来も感じさせるし。

――そのフレーズに絡めての質問ですが、石原さんが誰かに何かを伝えるときに、真っ先に思いつく「大切な言葉」ってありますか?

石原 う~ん、何だろう……?きっと「素直に」とか「自分らしく」なのかなって思います。それは自分的に大切にしていることで。どんな相手に宛ててなのかはわからないですけど、もし悩んでいる友達とかがいたら、そう伝えてあげたいですね。人間、そんなに複雑に考えなくても、意外と自分が素直に感じたままが一番だよって。

――その「素直」とか「自分らしさ」というのは、このアルバム全体の芯になっているものでもありますよね。ありのままの自分を肯定することが 多くの曲でテーマになっていて。

石原 たしかに。言われてみるとそうですね。自分自身もとっても大事にしていることなので、それが自分でも気づかないうちに集まっているのだとしたら、ちょっとビックリしますね。今、自分でもすごいなと思いました。もしかしてそうかも、と思って。

――きっと本作に参加したクリエイターの皆さんも、石原さんの人となりを見て曲を書かれたと思うので、自然とそういうアルバムになったのではないでしょうか。

石原 嬉しい~!ありがとうございます。

――ご自身としては、今回のアルバムはどんな作品になったと感じていますか?

石原 1stアルバムと比べて、さらに自分で制作に関わった作品になりました。もちろん1stアルバムもすごく大事で、「こんなにも愛おしくなるんだ」と思いましたけど、今回はよりたくさんコンペの曲を聴いて選びましたし、全然違うコンセプトの曲が集まって「果たしてうまく形になるのか?」って一瞬不安になったりもしたんですけど、どこかで諦めたりせずに、「ここはこうしてほしい……!」という部分があればちゃんと頼みましたし、スタッフさんも嫌な顔せず聞き入れてくださって。そういうのも含めてすごく愛着が沸く2ndアルバムになりました。

――そして本作リリース後の9月には、東京でイベント“石原夏織 AUTUMN EVENT「ONE DROP」”の開催も決定しています。こちらは新曲お披露目会に加えて、声優の本渡 楓さんを迎えたトークコーナーもあるとのことですが、本渡さんとは作品でよくご一緒されてますね。

石原 楓ちゃんとは対になる役柄を演じることが多くて。『ここたま(かみさまみならい ヒミツのここたま)』とか『モンスト(モンスターストライク)』とか、『色づく』もそうですし、振り返ってみるとめっちゃペアを組んでるんですよ。イベントもたくさん一緒に出ていますし、普段から話すことも多いので、私のことをどう扱ったらいいのかをよく理解してくれてて……。

――ペットじゃないんですから(笑)。

石原 ホントに(笑)。でも、楓ちゃんにMCで入ってもらってイベントをやるのは今回が始めてなので、どんな感じになるのかがすごく楽しみで仕方ないです。楓ちゃんのほうが年下ですけど、私がくっついていこうと思ってます(笑)。

――では最後に、このアルバムのリリース翌日には誕生日を迎えられるということで、締めとして27歳の抱負をいただけますか?

石原 何かしら?う~ん、とりあえずは健康であることですね。なので、まずは体力をつけること。あとはもっと趣味を見つけられたらなあと密かに思っています。4月ぐらいのお休みが多かった時期に、新しくお花が好きになったりしたので、それも飽きずに続けていきたいですし、絵も下手なんですけど、初めて描いてみたいなあという気持ちになったんですよ。でも道具を集めるのが大変だし、汚れちゃったりするので、まずはiPadでやりたいなあと思っています。

INTERVIEW & TEXT BY 北野 創(リスアニ!)


●リリース情報
2nd アルバム
『Water Drop』
8月5日発売

【CD+BD盤】

品番:PCCG.01926
価格:¥3,800+税
※初回製造分のみ、ミニ写真集【A】封入・三方背ケース付き・AUTUMN EVENTチケット優先販売申込券封入

【CD+DVD盤】

品番:PCCG.01927
価格:¥3,600+税
※初回製造分のみ、ミニ写真集【B】封入・三方背ケース付き・AUTUMN EVENTチケット優先販売申込券封入

【通常盤】

品番:PCCG.01928
定価:¥2,800+税
※初回製造分のみ、AUTUMN EVENTチケット優先販売申込券封入

<CD>
01.Face to Face
作詞:松井五郎 作曲:俊龍 編曲:黒須克彦・長田直之
02.フィービー・フィービー
作詞:只野菜摘 作曲:大竹智之 編曲:太田雅友
03.Water Front
作詞:しほり 作曲:理沙・工藤政人 編曲:工藤政人
04.夜とワンダーランド
作詞・作曲・編曲:クボナオキ
05.リトルシング
作詞・作曲・編曲:kz(livetune)
06.Crispy love
作詞:知念 結 作曲・編曲:藤末 樹/齊藤湧太
07.キミしきる
作詞:やなぎなぎ 作曲:石川 慧 編曲:菊谷知樹
08.Diorama-Drama
作詞:藤林聖子 作曲:中村 歩・TETTA 編曲:APAZZI
09.TEMPEST *TVアニメ「魔王様、リトライ!」OP主題歌
作詞:こだまさおり 作曲:よる。 編曲:岩橋星実(Elements Garden)
10.SUMMER DROP *テレビ朝日系全国放送「musicるTV」 7月度オープニングテーマ
作詞:磯谷佳江 作曲:三村一輝 編曲:ArmySlick
11.Page Flip
作詞・作曲:渡辺 翔 編曲:白戸佑輔

<BD・DVD>
・SUMMER DROP(MUSIC VIDEO)
・TEMPEST (MUSIC VIDEO)
・Face to Face (MUSIC VIDEO)
・SUMMER DROP(Dance ver.)
・TEMPEST(Dance ver.)
・Face to Face(Dance Movie)
・Face to Face(Only you ver.)
・SUMMER DROP (MAKING)

初回製造分 共通特典
石原夏織 AUTUMN EVENT「ONE DROP」チケット優先販売申込券 封入!
※応募者多数の場合は抽選となります。
※応募〆切は、2020年8月18日(火)23:59となります。

●イベント情報
2nd AL 発売記念オンラインイベント「CARRY COMMUNICATION -Water Drop-」
イベント内容:オンライントーク&特典会
※当選者限定のオンライン生配信イベントとなります。

9月5日(土)
1回目:13:00(12:30開場)
オンライントーク&特典会(抽選特典:生電話 )+当選者全員特典:「Water Drop」アナザージャケット「A」※配布対象:きゃにめ
2回目:16:00(15:30開場)
オンライントーク&特典会(抽選特典:キャリーメッセージ )+当選者全員特典:「Water Drop」アナザージャケット「B」※配布対象:ゲーマーズ

9月12日(土)
1回目:17:00(16:30開場)
オンライントーク&特典会(抽選特典:生電話 )+当選者全員特典:「Water Drop」アナザージャケット「C」※配布対象:アニメイト
2回目:20:00(19:30開場)
オンライントーク&特典会(抽選特典:キャリーメッセージ )+当選者全員特典:「Water Drop」アナザージャケット「D」※配布対象:きゃにめ・とらのあな

※「オンライントーク」は、当選者の皆様から事前にいただく「質問/メッセージ/トークテーマ」に伴ったトークとなります。
※「『Water Drop』アナザージャケット」は、イベント当日までに当選者の皆様へ郵送させていただきます。(イベント応募時の住所に郵送させていただきます。なお、郵送先の住所変更を希望されるお客様は、8月9日(日)までに、ポニーキャニオンカスタマーセンターへご連絡ください。)
※「生電話」は、イベント内にて抽選実施。お時間内で許す限りの当選者様へお電話させていただきます。
※「キャリーメッセージ」は、当選者の皆様から事前に「石原夏織からあなたに言って欲しいメッセージ(セリフ)」をいただき、イベント内にて抽選実施。お時間内で許す限りの当選者様への「キャリーメッセージ」をお届けさせていただきます。

イベント詳細はこちら

AUTUMN EVENT「ONE DROP」
東京公演
9月27日(日)東京・ヒューリックホール東京
出演:石原夏織・本渡 楓(MC)
内容:トーク(ゲーム)&新曲お披露目会
チケット:全席指定 4,600円(税込)

1回目 開場 11:00/開演:12:00
2回目 開場 15:15/開演:16:15
3回目 開場 19:30/開演:20:30
※イベント本編は70分程度を予定しております。

イベント詳細はこちら

※両イベントにつきまして、現段階では実施の方向で準備を行っておりますが、新型コロナウイルス感染症の状況を注視しながら対応を進めて参ります。今後の状況によっては、延期または中止、またイベント内容の変更をさせていただく可能性がございます。最新情報は、HP及びSNS等で発表させていただきます。

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