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INTERVIEW

2020.06.10

サントラライブが待望の音源化!「Yuki Kajiura LIVE vol.#15 “Soundtrack Special at the Amphitheater”」リリース記念 梶浦由記インタビュー

サントラライブが待望の音源化!「Yuki Kajiura LIVE vol.#15 “Soundtrack Special at the Amphitheater”」リリース記念 梶浦由記インタビュー

昨年開催した“Yuki Kajiura LIVE TOUR vol.#15”は、2014年に全国を回った「Vol.#11 “elemental”」以来となる全国ツアーであり、かつ海外公演(香港・上海・台湾)も内包した大規模なツアーであった。そのツアーの皮切りとなったのが、今回CD化される『~Soundtrack Special at the Amphitheater~』。サントラ曲を中心とするサウンドトラックスペシャルはこれまで何度か開催され、まさに梶浦サウンドを味わえるライブとしてファンからの注目も高いが、舞浜アンフィシアターでのサウンドトラックスペシャルはYK LIVEの主宰である梶浦由記から見ても特別なところがある。Vol.#1から12年を経た今、“Yuki Kajiura LIVE”はどのように変化してきたのか、1公演前の#14も振り返りながら、アンフィシアターでのサウンドトラックスペシャル、そして#15全体の真髄を探る。

――vol.#15の前でいえば、12日間で9公演というハードスケジュールだった「Vol.#12 “7 days & Orchard special」、『ソードアート・オンライン』楽曲縛りの「Vol.#13 “~featuring SWORD ART ONLINE~”」、そして初めて舞浜アンフィシアターのステージを使った「vol.#14 “25th Anniversary Special”」といった流れがありました。#14はどのようなツアーにしようという考えから始まったのでしょうか?

梶浦由記 #14は2年以上の間が空いてのライブだったんですよね。メンバーが変わるという部分もあったので態勢立て直しというか、どのくらい楽しんでいただけるのか探り探りなところがありました。“Yuki Kajiura LIVE”って、自分の中では強烈な変化は必要ないと思っていたんですよ。でも、変化せざるを得なかったのが#14でした。ただ、やってみたら、変化があってもお客さんが楽しんでくださっているという実感が得られましたし、こちらとしても、いろいろなことが正常に機能したうえで楽しいライブができたので、すごくホッとしたんですよ。それがあっての#15だったので、#15はすごくのびのびとやっていた気がしますね。ただ#15でいちばん冒険だったのは、“Yuki Kajiura LIVE”の中でも特殊なサウンドトラックスペシャルを二日連続でやったという点です。なにせ、“Yuki Kajiura LIVE”自体がマイナーなライブなのに、サウンドトラックスペシャルなんてさらにマイナーのマイナー、重箱の隅をつつくようなライブだと思っていたんですよ(笑)。でも、やるたびに思った以上にお客さんが喜んでくださるんですよね。それはやっぱり、(“Yuki Kajiura LIVE”を)面白いと思ってくださった方が口コミで広めてくださったからで、だからこそ今回思い切って二日公演ができたという感覚は強くありました。その意味で#15はとても特殊でしたね。

――2012年に『Vol.#9 “three days special”』の2日目で初めて「Sound Track Special」と銘打った際、開催前はお客さんが来るんだろうかという不安を口にされていましたね。

梶浦 申し訳ないんですが、ある意味、私がお客さんを信じてなかったということですよね。サウンドトラックスペシャルはすごく反省するきっかけになったライブでしたね。

――会場も回を重ねるごとに大きくなっていきました。

梶浦 “Yuki Kajiura Live” そのものが最初は500人規模(Shibuya O-WEST)でしたし、自分が2000人規模の箱でライブをやるとはまったく思っていませんでした。会場が大きくなるたび、びくびくしていましたね。「絶対無理。埋まらないから」って。プロデューサーの森さんに「いや、いける」と言ってもらいながらでしたね(笑)。私はライブを始めるまで、「ファン」という言葉があんまり好きではなかったんですよ。リスナーをファンとして捉えるのは作り手の驕りなんじゃないか、みたいな変な感覚があったので。でも、ファンと呼べる方々が支えてくれてるからこそ箱が大きくなっていくんだな、ということはすごく実感していました。

――会場が大きくなることで梶浦さんとしては気持ちの変化はあったのでしょうか?

梶浦 小さな箱でやる小さなライブとは作り方が違いますよね。少人数でやるライブも楽しいですが、大きな箱じゃないと出せない効果はあるんですよ。特に私のサウンドトラックは、作品が大仰なことが多いので音的にも大仰な曲が多く、コンサートホールの雰囲気が合うといえば合いますね。もし、ライブハウスでスタンディングのライブを続けていたら、またまったく違ったライブの音の作りになっていたと思います。あと、箱が大きくなると、ずっと一緒に付き合ってくださってきたミュージシャンの方たちが喜んでくれるのも嬉しいですね。自分たちがやっている音楽を「いい」と言ってくれる人が増えてきているという感覚を味わえるわけですから。“Yuki Kajiura Live” はメンバー皆付き合いが長くサポートというよりは楽団みたいなところがあるので、みんなが楽しんで演奏してくれるという部分は大きいです。そういう意味でも、少しずつ大きい箱でやれるようになったことは嬉しいです。

――#15全体でみれば、海外公演もある大きなツアーでした。

梶浦 たしかに#15はいろいろなところに行ったので、ツアーをやった感がすごく強かったですね。海外は、行くとスタッフも皆さんすごく大変な思いをするんですが、でも演者さんがリフレッシュしてくれるところがあるので、そこがいいですね。

――また#15は、AimerさんやASCAさんといった初めての方も含め、ゲスト出演される歌姫が豪華でもありました。歌い手という点で#15はどのようなライブでしたか?

梶浦 やっぱり縛られていたようなところも以前はちょっとあったんですよね。レギュラーメンバーとしてずっと付き合ってきた人は大事にしたいので、どうしてもレギュラーメンバーが中心になりますし、それによって変化しづらい面があったと思うんです。でも、#14をやってみたら、想像していたよりも“Yuki Kajiura LIVE”って変わらなかったんですよ。10年以上やってきているので、ゲストさんを増やしても、ゲストさんがどんなふうに絡んでも、根本は変わらないというか。だから、むしろ付き合いの長いレギュラーメンバーも含め、いろいろな歌い手さんに、もっと自由に歌っていただくことでもっと面白いことができる、とは感じました。あまり恐れなくてもいいということを教わったライブだと思います。だから今は、いろいろな方とやっていきたいと思っています。素晴らしいプレイヤーさんも歌い手さんもたくさんいらっしゃるので。

――セットリストに関しては、プロデューサーである森さんが考えられているとお聞きしたことがあるので、#15でも同じだったかと思います。その中で梶浦さんからの提案としてはどんなものがありましたか?

梶浦 森さんからいただくリストにも新曲は入っているんですが、私側にもやりたい新曲というのはあって、それが入ってこなかった場合には提案します。やっぱり、作ったサウンドトラック曲の中でどれがライブに相応しいかという感覚は同じではないんですよね。でも難しいのは、きっとどのアーティストさんも同じでしょうが、定番曲と新曲の割合ですね。サウンドトラックライブで定番曲というのもすごい話ですが(笑)。ただ、皆さんからのリクエストが多い曲でもあまりやり過ぎると辟易してしまいますし。定番曲で盛り上がってほしい場所に何を置くか、新曲を何曲までに抑えるか、というのはいつも相談しながらですね。曲の繋がりもありますから。

――『~Soundtrack Special at the Amphitheater~』の公演でやりたいと思って入れた曲というのは?

梶浦 なんだったかなぁ。本編では『Fate/Zero』の「the battle is to the strong」なんですが、アンフィでやりたいと言った曲はあったかな。あ、でも、『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』のOPテーマ「starting the case: Rail Zeppelin」はやりたかった曲です。放映前だから無理かと思ったんですが、聞いてみたら「むしろぜひやってください」と言っていただけました。短い曲ですが、やっぱり新しい作品の曲って聴いてもらいたいんですよね。『花子とアン』といった昔の曲もすごく楽しいんですが。しかも放映に先立ってやらせていただくことができて、すごく嬉しかったですね。

――実際にやってみての感触はいかがでしたか? リハーサルから手ごたえがあったとか。

梶浦 リハを見たら皆さんビックリすると思いますよ。(終わるのが)あまりにも早くて。下手したら1回くらいしか合わせない曲もいっぱいありますからね。「ドSなリハ」と言われていますが(笑)、プレイヤーの方ってできていることを何度もやらせると飽きてくるんですよ。飽きて、表情が暗くなってきます。なので、さくっと終わらせた方がいいですね。そのほうが本番も良くなります。時間が短くても集中してやることが何より大事ですし。もしメンバーの経験値がまだ浅かったら、ライブのバンドアレンジはもっと苦労が多いと思うんです。“Yuki Kajiura LIVE”も初めの頃は、元々弦寄りの曲をバンドで演奏する難しさもあり、リハーサルのときにこうでもないああでもないという話し合いはすごくしていました。「それではちょっとドラムが多すぎる」とか「それじゃちょっとベースが強すぎる」とか。オーケストラ寄りのものに生のリズムを入れる際の塩梅ですよね。どのくらいやったらかっこいいのか、というところで試行錯誤していました。でも、回数を重ねていくごとに楽団の人たちが皆、「“Yuki Kajiura LIVE”の音」の全体感を飲み込んでくださり、ライブ音源の予習も復習も積極的にしたうえで、最初のリハーサルのときに「このときはこうだったから今回はこうしよう」という姿勢で臨んでくださるから早いんですね。それであっという間にまとまってしまいます。もちろん、何度も修正して作っていくことになる曲もありますが、それも慣れたものですし、レコーディングから参加してくださっている人となると、まさに梶浦サウンドの担い手ですから。そういう意味でも替えの効かない人達ですね。たとえ新曲でも「あ、はい、そうです。そのとおりです、ありがとうございます」って感じでまとまってしまうことが多い。ライブのバンドアレンジで苦労することはほぼないですね。

――アンフィシアターでのオープニング、佐藤芳明さんのアコーディオンソロからの始まりは非常に印象に残りました。楽曲も「street corner」(『MADLAX』)から「そこに生きる人たち」(『花子とアン』)という、新旧梶浦曲を組み合わせていて。

梶浦 あのとき、3、4曲目まででお客さんのつかみがすごく実感できたんですよ。最初に佐藤さんがアコーディオンを持って出ていったときから、舞台袖でメンバーと見ていたんですが、客席の皆さんがワクワクしてくださっているのがビリビリ伝わって来ました。“Yuki Kajiura LIVE”のサウンドトラックスペシャルはこうやって始まるんだというところから、中原(直生)さんのイーリアン・パイプスが響いて……。いや、あの音はずるいですよね(笑)。サウンドトラックスペシャルに来てくださった方にはもうお馴染みですが、あの強烈な音が会場に響いただけですべて持っていかれますから。その流れから、客席でもご存知の方が多い『魔法少女まどか☆マギカ』のメロディが始まったとき、「あ、客席がぐっと近くなった」というような感覚がすごくあったんですよ。サウンドトラックスペシャルライブはいい意味でお客さんとの距離感が多少あって、Barで「うんうんうん」って大人な感じで聴いてくれているような雰囲気だと思っていたんですが、#15の頭ではお客さんの集中みたいなものがウワーッて押し寄せてきました。それこそ魔法の瞬間みたいなものを感じましたね。

――1日目と2日目では、RemiさんとEriさんという歌パートでの違いが挙げられます。2日間でどのような差を出すかという点では何かテーマはありましたか?

梶浦 そこはもう歌い手さんが違ったからですね。他の“Yuki Kajiura LIVE”とアンフィのサウンドトラックスペシャルで何が違うかというと歌い手さんがソロなんですよ。コーラスもハーモニーも一切ありません。だからサウンドトラックスペシャルというのは、逆に歌い手さんの個性がものすごく出るライブではあるんです。4、5人でせーので歌う曲で2、3人が変わっても曲の本質の部分は変わらないことが多いですが、ソロで歌い手さんが変わるともう別の音楽になりますよね。アンフィで何度かサウンドトラックスペシャルをやってみて、つくづくそう思いました。だから、「この方がいらっしゃるからこの曲を歌ってもらおう」という部分が大きくなるんです。むしろ“Yuki Kajiura LIVE”本編の方は、誰が歌うかよりもこの曲をやりたいから、という方向でセットリストを組んでいくことが多いかもしれません。そういった違いはありますね。やっぱりソロの歌い手さんというのはそれだけ強いというか、その場を支配しますよね。

――ステージを終える前はお二人に対してどのようなイメージを描いていましたか?

梶浦 Remiさんは#14にも出演していただきましたが、ソロとして出ていただくのは初めてだったんです。だから、すごく面白かったですね。4人の中の1人とか、ゲストとして準備の整ったところで新曲を1曲、というのと、ソロでライブの流れをどう支配してくださるかというのは全然別物なので。Eriさんはもうサウンドトラックスペシャルのソロ歌い手としてお馴染みですから、ソロでどういうことをしてくださるかは把握していましたが、今回はRemiさんのステージ支配を見られて面白かったですね。持っていき方が皆、全然違いますからね。

――ヨイクを用いた「heigen」を歌ったのは驚きでした。

梶浦 元々は女声合唱ともいえる曲ですが、ソロでも面白いかなとは思っていたんですよ。でも、やってみたらまた予想とは違いましたね。ステージ上で、「ああ、こういうふうになるんだ」と自分でも思っていました。やっぱり、元々ライブでやることを想定していない曲ばかりなので、ライブでやること自体が冒険なんですよね。だから、リハーサルでやってはみたものの全然ダメでお蔵入りになる曲も以前は結構ありましたし。今は森さんも私もライブの経験値がついてきましたし、プレイヤーのみんなも経験値が上がってきたというのもあって、ある程度の予測はできるようになりました。それでもやってみるまではわからなくて。

――梶浦さんは公演中や公演後のTwitterで、お客さんの感想(アンケート)を読んでいらっしゃるとよく話しています。#15の感想としてはどのようなものが印象に残りましたか?

梶浦 初めてサウンドトラックスペシャルに来ました、という方がすごく多かったですね。特に今回は2daysやりましたから。しかもありがたいことに、そういった方が面白かったと言ってくださるんですよ。世の中には、曲を予習してないと楽しめないから怖いという方もいらっしゃって。だから、予習したいんだけどどうしたらいいんだろうって言われるんですが、Yuki Kajiura LIVEって曲をすべて予習してくることはまず不可能なんですよね(笑)。だからあきらめて、それでも来たけれど、予習してなくても楽しめたことに驚いた、そういうことを仰って下さるんです。

――音楽の楽しさを感じとってもらえたようで、それは嬉しいですね。

梶浦 あとは、サウンドトラックスペシャルの場合で結構多いのが、フルートを吹いてみたくなりましたとか、バイオリンを弾いてみたくなりました、とか。きっと脳内では、手に取った途端にああやって弾けるような想像をしていらっしゃるんじゃないかと思うんですが。バイオリンを手にしたら俺は今野 均になれる、みたいな(笑)。でも、プレイヤーさんたちも張り切るんですよ。いつも「プレイヤーさんたちも主役ですよ」とは言っていますが、ほぼインストゥルメンタルのサウンドトラックスペシャルのときは本当に文字通り主役ですからね。全員がド目立ちしますから。パーカッションだってドラムだって注目のされ方がまったく違います。ミュージシャンなんて注目されたらすごく張り切りますし、腕の競い合いみたいなことだって起きます。それにお客さんもヒューヒュー言ってくれますからね。演奏者が盛り上がっているときにお客さんが反応してくれるのは嬉しいものですよ。

――サウンドトラックスペシャルにはそういった一面があるんですね。そうするとたしかに、アンフィシアターは非常に向いている会場だと納得できます。ステージが近く、円形なので誰もが主役になりやすいですね。

梶浦 そうなんですよ。変な方向からも見られますからね。スピーカー前になってしまうという難点はありますが。でもいい小屋ですね、アンフィは。アンフィでやっているからサウンドトラックスペシャルがいいというところも少しあるんですよね。

――今回、アンフィシアターでのサウンドトラックスペシャルがCD化されることになったのもそのあたりが理由でしょうか?

梶浦 そこは単純に、そろそろ出してもいいんじゃないかと思いました(笑)。元々バンド曲ではないものをバンド曲にしているので、サウンドトラックスペシャルで聴いて、元の音源を聴きたいと思って苦労して探してくださったのに「全然違う!」ということになるんですよね。しかも、半分くらい廃盤になっていますし。だから、相変わらず小心者なのでどれくらい売れるのかドキドキではあるんですが、来てくださる方たちのおかげでここまで大きいライブができるようになりましたし、その方たちが会場で聴いた音をCDでも聴いてもらえるように、というところですね。だから今回、マイナーの中のマイナーをCDとして出せたというのがすごくありがたいです。

――でも、ぜひアンフィシアターでのサウンドトラックスペシャルを体験してほしいですね。

梶浦 そうですね。2000キャパのホールってもう少し堅苦しくなるんですよ。MCとかプレイヤーさんとかが。やっぱり箱によって、お客さんとの礼儀正しい距離感って変わるじゃないですか。ライブハウスならホーム感を出せますが、ホールでそれをやるとおかしくなるとか、場所によってお客さんとの距離感を変えていかないと空回りしてしまうんです。でもアンフィは2000キャパなのにライブハウスくらいの感覚でできるんですよね。元々サーカス小屋だったところから始まっているので円形でお客さんが近くて、1000くらいの小劇場な感じなんですよ。アンフィで最初にやったとき、キャパが2000人と言われて、「え?そんなに?」って驚きました。でも、来てくださる方も小屋感覚がすごくあると思います。なんていうか、音楽の魔法的な効果がかかりやすい気がするんですよ。ちょっとしたスペシャル感というか、秘密めいた雰囲気というか、すごくそういうところを感じる小屋なんですね。だから、“Yuki Kajiura LIVE”のサウンドトラックスペシャルという、ちょっとマイナー感のあるライブをやるには舞台設定がちょうどいいんです。あのアンフィの近さはすごくありがたくて、癖になります。

――#16はコロナ禍の影響で来年2月に延期となりましたが、アンフィシアターでのサウンドトラックスペシャルが非常に楽しみですね。#16も含めて、今後のYuki Kajiura LIVEについてはどのようなライブをしたいという意識はありますか?

梶浦 そうですね……、でも続けていきたいですね。去年から「あと10回」とは言っているんですよね。そんなに長くライブをできないとは思っているので。そうなると“Yuki Kajiura LIVE”って、どの曲を誰にやってもらおうか、やりたい曲は全部やっておきたい、になるんですよね。

――「あと10回」と思った理由は何かあるんですか?

梶浦 なんとなくです。多分再来年になっても「あと10回」と言っているとは思います(笑)。でも、「あと10回」と思うと自分も焦るというか、出し惜しみしたくないじゃないですか。なんとなく続くと思ってしまうと惰性で流れてしまいそうなんですよね。 

――今考える、ライブでやりたい曲というのはありますか?

梶浦 それは、好きな曲ということではなくて、単純にライブでやりたい曲はどんどんやっていっちゃおうかな、という意味ですね。これはアンフィに限った話ではないですが、#15のAimerさんやASCAさんのようにオリジナルの方をお呼びできる曲はいいんですが、それが無理だったときに「カバーでもどんどんやっちゃおう」とかそういうことです。例えば、Kalafinaの曲もそうです。あとは、インストゥルメンタルにしても、なかなかこの楽器は呼べないという曲があるんですよ。去年はありがたいことにいろいろなイベントの機会があって、初めてお呼びした楽器の方もいて、そうなるとやっぱり「次回やるときには!」という気持ちになりますね。レコーディングではお呼びしたのにライブではまだ、という方もいらっしゃいますし。特にアンフィのサウンドトラックスペシャルにはそういう方をどんどんお呼びしたいですね。ただ、あまり人数を増やしすぎると各所から悲鳴が上がりますので、そこはちょっと考慮しつつ(笑)。

――石川智晶さんをゲストに迎えたのも、やりたいことをやった1つに思えます。

梶浦 そうですね。でも、あれは本当に巡りあわせとしか言いようがないですね。フライングドッグの“犬フェス!”に呼んでいただいたから。それに尽きますね。その延長での、「できるならやっちゃおう」が“Yuki Kajiura LIVE”でのゲストであり、See-Sawのライブでした。あのタイミングでなければできなかったと思います。レコーディングとかなら、もう少し気楽にいろいろなことができるんですが。ライブって本当に、人と、人と、人と、人が、一緒にならないとできないことですよね。替わりのいない人もたくさんいますから、巡りあわせがまとまらないとできないんですよ。当然やっていたはずのライブができなくなったこの時期、いかにそれがありがたいことだったのかということをますます感じてしまいますね。

INTERVIEW & TEXT BY 清水耕司(セブンデイズウォー)


●リリース情報
「Yuki Kajiura LIVE vol.#15 “Soundtrack Special at the Amphitheater”」
6月10日発売

品番:VTCL-60527~28
価格:¥3,300+税

<DISC1>
01. street corner~そこに生きる人たち (MADLAX-花子とアンより)
02. 希望の光 (花子とアンより)
03. prelude to Act1(魔法少女まどか☆マギカより)
04. Numquam vincar (魔法少女まどか☆マギカより)
05. first love (東京兄妹より)
06. sweet memories (.hack//Liminalityより)
07. blue clouds (ツバサ・クロニクルより)
08. when the fairytale ends (空の境界より)
09. Mather Land Nostalgia (花子とアンより)
10. My Story (花子とアンより)
11. 曲がり角の先 (花子とアンより)
12. にぎやかな日々 (花子とアンより)
13. 穏やかな時間 (花子とアンより)
14. コトダマ (花子とアンより)
15. 今を生きる (花子とアンより)
16. shadows and fog (プリンセス・プリンシパルより) Vocal:Remi
17. Rainbow~Main Theme~ (Rainbowより) Vocal:Remi
18. petals and butterfly (Fate/stay night [Heaven’s Feel] Ⅱ. lost butterflyより) Vocal:Remi
19. moon and shadow (ソードアート・オンラインより) Vocal:Remi
20. heigen (FICTIONⅡより) Vocal:Remi
21. a farewell song (NOIRより)Vocal:Remi

<DISC2>
01. starting the case:Rail Zeppelin (ロード・エルメロイⅡ世の事件簿より)
02. a fighter-girl from east (プリンセス・プリンシパルより)
03. carnaval in blue (エル・カザドより)
04. We’re Gonna Groove (MADLAXより)
05. hit it and run! (エル・カザドより)
06. el cazador (エル・カザドより) Vocal:Eri
07. voices silently sing (ツバサ・クロニクルより) Vocal:Eri
08. moonflower (コゼットの肖像より) Vocal:Eri
09. hepatica (XenosagaⅢより) Vocal:Eri
10. I talk to the rain (ツバサ・クロニクルより) Vocal:Eri
11. Credens justitiam (魔法少女まどか☆マギカより) Vocal:Eri
12. Crush (PandoraHeartsより)
13. aerial fight (ソードアート・オンラインより)
14. red rose (FICTIONより) Vocal:Eri
15. ring your song (ツバサ・クロニクルより) Vocal:Eri

●イベント情報
Yuki Kajiura LIVE vol.#15 “Soundtrack Special at the Amphitheater” 発売記念企画
~CD聴きながらYouTubeで公開座談会~
6月13日(土) 18:00~
出演:梶浦由記 , 是永巧一(Guitar) , 佐藤強一(Drums) , 高橋“Jr.”知治(Bass) , 今野 均(Violin) ,
Remi(Vocal) , 伊東えり(Vocal) , 森 康哲(Producer)
詳細はこちら

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