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INTERVIEW

2020.04.28

ショートトリップのような1曲に――。安野希世乃 TVアニメ『アルテ』エンディング主題歌「晴れ模様」インタビュー

ショートトリップのような1曲に――。安野希世乃 TVアニメ『アルテ』エンディング主題歌「晴れ模様」インタビュー

昨年秋、ミニアルバム3部作をまとめあげた声優・アーティストの安野希世乃がシングルとしては約2年ぶりとなる「晴れ模様」をリリースした。TVアニメ『アルテ』のエンディング主題歌となっている本作は、作品の舞台にふさわしいアコースティックサウンドに乗せた彼女の優しい歌声が堪能できる表題曲と、リズミカルなカップリング曲「恋する私カラー」を収録。楽曲への向き合い方を彼女に聞いた。

――2ndシングル「晴れ模様」は『アルテ』のエンディング主題歌です。まず、この作品について安野さんはどのような印象を受けられましたか?

安野希世乃 原作コミックの『アルテ』は、絵の発する情報量がとても豊かです。この作品世界を漫画で表現するために、原作者の大久保圭先生がとても熱量をもって描きこまれているのを感じます。物語として惹かれるのはやはり、主人公アルテが逆境の中で「自分」という存在を見つめ、在り方を常に柔軟に模索しながらも、諦めずに何度も立ち向かっていくところ。お茶目ながらガッツが凄い、アルテの不屈の精神に学びたいです。

――安野さんはダーチャ役として出演されています。どのような人物と理解し、どのような点を大事にして演じていますか?

安野 ダーチャは、原作登場時はお針子仲間ともあまり群れず、内側に向上心の火を燃やしている子でした。ただ、努力をしながらも自分の限界を感じ始めていた時にアルテに出逢い、勇気を貰えたことが彼女の背中を押しました。アニメで描かれるのは、そんな一歩踏み出せた後のダーチャ。新しく拓けた世界に対する前向きさを大切に、好奇心や希望を胸に演じました。

――では「晴れ模様」の楽曲について伺わせてください。お聴きになって、どのようなところが『アルテ』という作品らしさを表していると感じましたか?

安野 歌詞の内容としても「絵を描くこと」を題材にしていますし、使用されているヨーロッパの民族楽器の質感とそのハーモニーも素朴でありながら華やかな響きで、とてもアルテの世界観にピッタリだと思いました。瞳に映る世界をどんな風に描こう、目の前に広がる景色から何を見つけようという、絵を描き出す前の、世界を真摯に見つめるまなざしの視点が印象的でした。彼女が絵を描くことで表現することを、私はこの音楽に乗り歌声で表現するんだ、と。表現方法は違っても、開かれた世界に向けて興味深くまなざしを向けることの大切さは同じだなと感じながら歌わせていただきました。

――楽曲についてはどのような印象を受けましたか?

安野 初めて山本さんの作曲されたデモを拝聴したときは、メロディラインがとても切なく、内省的だなと感じました。今ここにない、どこか遠くの場所や、誰かや、記憶に想いを馳せている夕暮れのような……。とても美しく、どこか儚く寂しげでした。そんなオリジナルのデモにも胸を打たれ、個人的にはとても好きなテイストでしたが、アレンジを経てまたイメージが大きく変わりましたね。泣きたくなるような感情をひとり抱きしめていたところから、自分から一歩踏み出して、世界と交わりハーモニーを奏でようとする能動的な雰囲気が出たように感じました。

――アコースティックな楽器の音色が特に印象的でした。こうした楽曲を歌うことについてどのような思いをお持ちですか?

安野 こうした演奏者の手触り、揺らぎが感じられる楽器の演奏に乗って歌うのは、本当に気持ちよかったです。ここまでアコースティックでまとめられた、それも異国情緒を感じる楽曲を歌わせて頂くことは、なかなか巡り合えない機会だと思います。ただ正直に、私は子供の頃からずっとこんな楽曲が好きで密かに憧れてきたので、この「晴れ模様」を歌わせていただけた経験は、人生の宝物になりました。

――ミュージックビデオの撮影のようすについて教えて下さい。これはフィルム撮影でしょうか?

安野 はい。なかなか珍しい、フィルム撮影も織り交ぜたMVとなっています。私が自転車を漕いでいるシーンなどは、隣を車で並走して貰いながらの撮影だったのですが、最初はデジタルカメラで撮影をして、同じ道を一度戻って同じことをやりながら今度は8ミリで撮って……ということもしていただきました。私も監督にお借りしたカメラで実際にカモメの写真を撮らせて貰ったりもしました。フィルムを巻き上げたりと、完全にアナログな操作は初めてだったので、一枚一枚シャッターを切るのに重みがあって凄く新鮮で楽しかったです。

――続いてカップリングの「恋する私カラー」ですが、戸嶋友祐さんの楽曲も初めてかと思います。楽曲からはどのような印象を受けましたか?

安野 何故かは分からないし理由なんて無くても良いけれど、心の底では「明日は明るい」と信じられている……そんな根明で、良い意味で楽観的な印象を受けました。

――こちらはご自身で作詞をされましたが、どのような思いを乗せて書かれていきましたか?

安野 楽曲から受け取ったイメージを膨らませ、作曲家さんと根っこがズレないように、耳を澄ませて書いていきました。楽曲が持つパワーの流れを止めたくなかったので、弾みをつけながら、ぐんぐん前に転がりながら進んでいく言葉を繋げていきました。不安もないわけじゃないんだけれど、それでもえいやっと飛び越えていきたい!という気持ちの強さを常に根底に意識していました。

――歌う際にリズムを大事にされているようすを感じました。

安野 作詞の段階から、音楽に乗ってリズミカルに歌えるように、フックとなって勢いを増すような言葉を探し、口ずさみながら悩み抜いて歌詞にしたので、レコーディングに臨んだ時はもう歌うのが楽しくて仕方ありませんでした。作詞に際して楽曲に耳を傾けた時間も今まででいちばん長かったので、より曲と一体になれたように感じました。

――早くもお気に入りとのことで。

安野 はい。純粋に好きな曲調であったことも、とても大きいです。それゆえ歌詞をつけていく作業も、時間はかかりましたがとても楽しかったです。歌が歌っているのはもちろんのこと、楽器も歌い上げてくれているように感じ、まさしくセッション! という臨場感が乗っかっていて、何度聴いても楽しい1曲になったなと感じています。

――初回限定盤には、LIVE ツアー2019「○。」から、2019年12月21日に開催された舞浜アンフィシアター公演のBlu-rayが付属します。このライブを振りかえって印象深かったことは何でしたか?

安野 やっぱり、演奏陣のエイリアンボーイズの皆様の技術力の高さですね。おかげさまでライブ中、本当に気持ち良く音楽に没頭させていただきました。初めてご一緒する座組みだったので、リハを多く重ねさせて貰い、チームとしてどんどん進化して、凄いものになって本番を迎えられたんだなと感動です。

――このBlu-rayに収録される部分での見どころを教えて下さい。

安野 全部!!!と言いたいです、本当に。バンドさんたちのライブならではのアレンジや、演出、照明、どれを取っても楽曲世界を本当に新たに広げていただいたなと感謝しています。CDで聴く音楽とはまた違った、ライブならではのエッセンスが抽出された瞬間を切り取った、素敵な映像になっていると思います。敢えて言うならば、「Destino~恋は一秒の永遠~」のドラム&パーカスセッションのシーンを収めて貰えたところに、ガッツポーズですね。

――最後にファンの方へメッセージをお願いします。

安野 2ndシングル「晴れ模様」、どんなときに聴いても青空と情景が広がる、まるでショートトリップのような1曲になったと思います。気分転換に。仕切り直しに。寝る前に。朝一番に。あなたらしい瞬間に聴いてくだされば嬉しいです。元気を出したい! よっしゃいっちょ飛び込んでいくか! というときには、カップリングの「恋する私カラー」で気合いを入れるのもオススメです。どちらも心が元気になる2曲に仕上がったと信じています。ぜひたくさん聴きください!

Interview & Text By 日詰明嘉


●リリース情報
「晴れ模様」
4月29日発売

【初回限定盤(CD+Blu-ray)】

品番:VTZL-172
価格:¥3,600+税

【通常盤(CD)】

品番:VTCL-35314
価格:¥1,200+税

<CD>
1.晴れ模様
作詞:西 直紀・山本玲史/作曲:山本玲史/編曲:h-wonder
2.恋する私カラー
作詞:安野希世乃/作曲:戸嶋友祐/編曲:倉内達矢
※各楽曲の Instrumental も収録

<Blu-ray>
安野希世乃 2nd LIVE ツアー2019「○。」より
1. ○。〜prologue〜 (Instrumental)
2. I remember
3. MC1
4. 悲劇なんて大キライ
5. ぼくのヴィーナス
6. Wonder Shot
7. ロケットビート
8. Destino〜恋は一秒の永遠〜
9. エイリアンボーイ
10. MC2
11. 生きる
12. MC3
13. 晴れ模様
14. MC4
15. 逢いたくて
※2019年12月21日開催/舞浜アンフィシアターにて収録

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