KOTOKO 15th Anniversary SPECIAL SITE~FIFTEEN TALES~ #16

KOTOKO’s GAME SONG COMPLETE BOX 『The Bible』リリース記念スペシャルロングインタビュー前編

2019年4月からのメジャーデビュー15周年イヤーを精力的に活動していったKOTOKO。その締めくくりとなるのが、歌手デビューした2000年から現在まで約19年間のゲームソングを集めたヒストリカルなコンプリートCD BOX『The Bible』の発売だ。10枚組・130曲以上という膨大なこの楽曲集。KOTOKOという稀代のシンガーがいかにしてこの歴史を積み重ねてきたのかを多角的にインタビューした。前編ではデビューにまつわる思いや、その後のゲーム楽曲に対する真摯な向き合い方、そして「電波ソング」のムーブメントとあの歌唱スタイル生んだ意外なルーツなど、彼女のクリエイティビティを語ってもらった。

発売不可能と思われた10枚組134曲コンプリートCD BOXが実現できた理由とは?

――2019年4月からの15周年イヤーは、新作アルバム『tears cyclone -醒-』や、それに伴うライブツアー、多くのフェスへの出演、大晦日はカウントダウンライブまでありました。この1年間は短かったですか?

KOTOKO  あっという間の感はあるのですが、濃すぎて2年ぐらいだったような気がします(笑)。そのなかでも1月に出演させていただいた“リスアニ!LIVE 2019”は、15周年スタートに先立つタイミングでしたので、まさに15周年イヤーの起爆剤となり、本当に良いスタートが切れました。そこでは15周年にまつわるということで古い曲も披露したのですが、そうした曲に対してもたくさんの反響をいただいたことは大きな力になりました。15周年記念ライブ(札幌・東京)を開催するときにも、迷う部分はあったんですけど、「でもきっと大丈夫だ、受け止めてもらえる」って、安心して伝えることに特化して臨めたのは“リスアニ!LIVE”の存在が大きかったと思います。

――15周年はジェネオンエンタテインメントから「羽-hane-」でメジャーデビューしてからの時間になりますが、KOTOKOさんはそれ以前の3年間の活動についても、15周年ライブのなかでもその時代の曲を集めた「O ブロック」を作ったりと、大事にされていることがわかります。

KOTOKO  「Oブロック」の部分を作ったのも、あの年代は15周年の活動をするうえでは切り離せないものだと思ったからなんです。私がゲームソングで初めて歌手としてのお仕事をいただいてからメジャーデビューするまで、3年ほどかかりました。メジャーデビューのお話は実際にする1年前にはいただいていたのですが、事務所の皆さんと慎重に話し合いを重ねていて、私としては一刻も早くデビューをしたかったので、この1年という時間にとても焦りを感じていました。ただ、この時間があったからこそメジャーデビューに漕ぎ着けられたんだなと今では思っています。メジャーデビューの2004年の4月21日に私が「オギャー」と生まれたとすると、その前の3年は胎児でお腹にいて、そこで養分を蓄えたりとか、お腹の中で激しく動いたりしていた時間ですね(笑)。

――そのときのファンがお父さんでありお母さんであり。

KOTOKO  そうなんです(笑)。娘を心配する親のような思いの言葉で感謝をしてくださいました。あの頃に私の名前や声を知ってくださった方がものすごく多くて、その大部分の方が離れずいまだに応援してくださっていることは私にとって本当に宝物です。

――その方たちにとっても、この19年のゲームソングの音源をすべて手に入れるのは容易なことではありませんでしたが、今回の10枚組BOX『The Bible』の発売によって、手に入れやすくなったかと思います。この企画はどなた発でしたか?

KOTOKO  私から提案させていただきました。何年も前からBOXにしたいという話はしてたんですけど、やっぱり実現するところまで具体的な話は動かなくて。I’veさんにいたときはコンピレーションアルバムがあったのですが、独立してからはそういう括りがなくなって、関わっている作家さんだったりゲーム会社さんが本当に多岐にわたるので、私から動き出さないと実現しない状態だったんです。もし実現できていたとしても、コミケ限定とかだとまた手に入れづらいレアものになってしまうので、もっときちんと流通できる物にしたいな〜と思っていたら、まさかメジャーレーベルであるNBCユニバーサルさんが手を上げてくださって、こんなに大々的にリリースさせていただけることになりました。

――この10枚組BOXを届けるにあたり、どのようなペルソナを想定されましたか? リアルタイムで15年間追いかけてくれたファン、もしくは先程の“リスアニ!LIVE”で新しくKOTOKOさんに触れた方とか。

KOTOKO  これはハッキリ言って、両方ですね。以前から支えてくださってる方にとってはご自分の歴史を振り返る意味でも、側に置いていただける記念碑的なものを出すには15周年というタイミングが最適だったと思いますし、後から出会ってくれた人に対してはライブで聴いても知らない・手に入れられない曲を入れやすくする媒体と状況を作りたかったんです。私はこの先もライブで古い曲も歌うし、ずっと一緒に楽しんで行きたいなという気持ちがあるので、そういう意味ではKOTOKOのライブをもう少し気軽に楽しんでいただける形にしたかったという目的があります。

――商品として発売するにあたって、音源管理の部分や権利処理など商品として制作するうえで大変なことも多かったと思います。

KOTOKO  権利処理についてはもちろんスタッフさんの大変なご苦労があったと思います。ただ、音源についてはそれぞれの音源の制作をして完パケしたものをいただいて、ほとんどすべて自分で管理していましたので、現在は存在しないメーカーさんのものも手元にありました。ただ、2曲ほど手元にないものはあったのでそこはメーカーさんに助けていただきました。

――音源は当時のまま?

KOTOKO  はい。今回ひと続きのアルバムにするにあたってマスタリングをし直して音圧と音質については揃えていますが、音源自体はそのままです。リミックスとかトラックダウンし直すということはしていません。歌い方も当時の拙いままです(笑)。初期の曲で「遮光~かげり~」という曲があるんですけど、リミックスはI’veのコンピレーションアルバムに入っていたので、この曲を聴いたことがある方の大半はそのバージョンなんです。これの原曲バージョンは当時ゲームを購入された方のみしか聴くことはできなくて、もう世に出ることはないのではと言われていたのですが、今回のBOXでは原曲バージョンを収録しています。リミックスバージョンも良いアレンジなんですけど、原曲での中沢伴行さんのアレンジが本当に素敵なんです。

――この両バージョンでボーカルの違いはありますか?

KOTOKO  はい。リミックスのときにボーカルも録り直したので、原曲を聴くと私の歌い方も違うんですよ。初期からいろんな声色で歌うということはやっていて、Outerというユニットでは口角を下げて歌うロックな歌い方もしていたのですが、「遮光~かげり~」はそれに近くて、KOTOKO名義としてそういう歌い方のはしりになった曲です。これが完成した時に恩師である島みやえい子さんに「これ、KOTOKOちゃんが歌ってたんだ~!誰だか分からなかった!」と言われたぐらい、それまで発表してた楽曲とは違う歌い方をしたという意味で貴重な音源なんです。今回その原曲バージョンで聴いていただけるのは嬉しいです。

――収録後にライブなどで歌い方のアプローチを意図的に変えることはありますか?

KOTOKO  私の場合レコーディング後に歌い方を大きく変えることはありませんね。レコーディングのときは、歌詞の世界観をいかに具現化するかということに徹するんです。やっぱり最初のイメージがすごく大事なので、そこから色褪せないように。そこから「慣れて、ライブなりの癖」になるのが嫌なので、歌い慣れた曲でもライブで歌うことになったら必ず聴き直して、当時の自分の「答え」になるべく寄せるようにしています。たしかにライブになるとバンドを背負って大音量に乗っかっていくという意味ではしっかり歌詞が届く様に声量を上げて勢いをつけて歌うことも大切なのですが、レコーディング時に表現した儚さや切なさといったものが抜けてしまわないよう、味付けしすぎないよう戻していくようにはしています。

――あくまで音源が原点にあるわけですね。10年前、15年前の音源を聴くと現在のKOTOKOさんにはどのように映るのでしょうか?

KOTOKO  「まだ下手だったなぁ」という感想がいちばんに来ちゃうんですけど(笑)。でも、それがちょっと良かったりするので、今回リリースするにあたって直すことはしませんでした。たしかに直すという選択肢もあったかもしれませんが、当時のままということに価値があると思うんです。そこはちょっと恥ずかしくはありますけど、嬉しいという思いもあります。ただ、今が完璧かと言ったらそうではないんです。毎回レコーディングが終わって完パケを聴かせてもらったときも、ああしたらよかったと思うこともやっぱりあって、「私、完璧!」と思ったことは一度もありません。やっぱり、満足してしまったら終わりなので、毎回毎回「まだまだだな」と思う部分を持てることは逆に嬉しいことです。満足したくないですね。これからもきっとずっとそういう感じで行くと思うし、初心を忘れるのがいちばんいけないと思っているので。キャリア的には「もう新人です」とは言えなくなったんですけど、気持ちのうえでは新人のような気持ちでいたいと思っています。

――KOTOKOさんの歴史を語るうえで「電波ソング」も重要なものだと思います。この言葉が定着したのは2000年代の半ば頃だったかと思いますが、このジャンルを作った人の一人として、あのムーブメントをどのように受け止めていましたか?

KOTOKO  もう、ありがたかったです!やっと私の好きなものが世の中に認められたなというか、嬉しかったですね。

――KOTOKOさんの最初の電波ソングは「恋愛CHU!」 だったそうですが。

KOTOKO  はい。I’veのサウンドはそれまで硬派なものだったのですが、なぜか(「恋愛CHU! -彼女のヒミツはオトコのコ?- 」のメーカーの)SAGA PLANETS さんから「こんな感じの曲にしてください」と例に挙げられたプッチモニだったんですよ。それを受けてI’veさんとしては「俺らそういう曲書けないよ」って状態だったんですけど、中沢さんが渋々曲を書いて(笑)。それでも「?」が付いた状態のままの曲だったんです。でもそこで私は水を得た魚のように、「よし来た!」と、頼まれてもいないのに台詞とか合いの手とかキャッチーな要素をいっぱい入れたりして。SAGA PLANETS さんもきっとそこまで要求してはいなかったと思います(笑)。

――I’veやKOTOKOさんのイメージからして心配ではありませんでしたか?

KOTOKO  賛否両論は予想していました。「こんなのI’veじゃない!」って怒られるんじゃないかという心配半分、でもみんな度肝を抜かれるんじゃないかなみたいなワクワクが半分でした。

――そこは織り込み済みだったんですか。でもこの一石がムーブメントになるかもしれないという確信が。

KOTOKO  はい。これが世の中で受けるんじゃないかという期待もありました。実際に発売されたら案の定、賛否両論だったんですけど(笑)。作曲の中沢さんは「否」の意見のほうを受け止めてメッチャ凹んでいましたね(笑)。私は元来前向きに捉えるタイプで、「否」も受け止めるんですけど、思ったより否がなかったという印象でした。ネガティブな意見が多い掲示板でも賛同してくれる人いて、そこでの意見を読むと、「ここでも応援してくれる人がいる」ってパワーが湧いてくるんです。だから、次こそはもっとみんなを納得させるぞと思って見ていました。

――その路線をやっていこうという確信が持てた。

KOTOKO  はい。徐々にそういう曲を主題歌にしたいというメーカーさんがどんどん増えてきたんです。次の電波ソングが「Change my Style ~あなた好みの私に~」で、これは「コスって! My Honey」というゲームで、曲の中でコスプレをずっとやっていくというふざけたことをやっていて(笑)。この2作が続いたあたりから戯画さんも発注をくださって、「さくらんぼキッス!~爆発だも~ん~」が出来ました。このときはもう発注段階から「合いの手を入れて下さい」というリクエストがあり、電波ソングのムーブメントを感じていましたね。そこからしばらく電波ソングのオファーが続いて、「恋愛CHU!」で実験的にやったことが広まっていったことにしめしめという思いがありました(笑)。

――古いインタビューを拝見したところ、KOTOKOさんは昔JUDY AND MARYのコピーバンドをされていたという記述がありまして、YUKIのロリータパンクな歌い方が電波ソングのキュンキュンした歌い方に影響したということは考えられますか?

KOTOKO  ありますあります。もともとアニメ声だったというのがあるんですけど、YUKIちゃんの楽曲をコピーするときはちょっと可愛い系の声を作ってカバーして自分の中では声の幅も持っていたので、電波ソング歌う時の歌声はそっちに寄せていきました。だから、このキュンキュンした歌い方はこの仕事用に作ったということではないんです。元々自分の声の引き出しの中にあって、それが合致したという感じですね。

――YUKIの歌い方は日本の女性ロック史に大きな影響を与えましたが、間接的に電波ソングにも影響があったということなんですね。

KOTOKO  そうですね。バッキングがすごいハードなのにあの可愛い声で、ちょっとコケティッシュな感じで歌われていたのが、私もバンドサウンドに憧れていた世代なのでやっぱり衝撃的で、私もこういうロックバンドのボーカリストとしてデビューしたいなという憧れの存在としてずっとカバーをしていたんですよ。バンドのボーカリストとしという形ではなかったのですが、違う形で電波ソングの歌唱として生かすことができたので、本当に嬉しかったですね。 (後編に続く)

Interview & Text By 日詰明嘉

CD-BOXの発売を記念して4月21日より5日間、初回限定盤の特典映像より「Face of Fact」「Leaf ticket」「Imaginary affair」「jihad」「さくらんぼキッス ~爆発だも~ん~」の5曲のライブ動画がKOTOKO Official YouTube Channelにて期間限定公開中!

KOTOKO Official YouTube Channelはこちら


●リリース情報
KOTOKO’s GAME SONG COMPLETE BOX
「The Bible」
4月21日発売

【初回限定盤(10CD+Blu-ray)】
品番:GNCA-1568
価格:¥17,000+税

<Blu-ray>
・KOTOKO Major Debut 15th Anniversary Tour ”FifteenTales” IN TAIPEI  2020.1.4(sat) 花漾Hana展演空間[GAME SONG PART]
・KOTOKO SPECIAL INTERVIW

【通常盤(10CD)】
品番:GNCA-1569
価格:¥15,000+税

※BOX&ブックレットには、うみこ先生、菊池政治先生、恋泉天音先生がKOTOKOをイメージして描いた描き下ろし版権を使用

<DISC 01>
M01 Close to me…
M02 涙の誓い
M03 sensitive
M04 想い出は風の中で・・・
M05 Time heals all sorrows
M06 flow ~水の生まれた場所~
M07 YA・KU・SO・KU
M08 Magical Sweetie
M09 Mirabilis
M10 I pray to stop my cry
M11 君よ、優しい風になれ
M12 Feel in tears
M13 Heart of Hearts

<DISC 02>
M01 resolution of soul
M02 遮光~かげり~
M03 同じ空の下で
M04 CAVE
M05 Now and heaven -KOTOKO ver.-
M06 Change my Style~あなた好みの私に~
M07 あちちな夏の物語り
M08 went away
M09 Bright wings -solo ver.-
M10 Wing my Way
M11 Crossed Destiny
M12 Time rolls on…

<DISC 03>
M01 Face of Fact
M02 I-DOLL~Song for eternity~
M03 amethyst
M04 Just as time is running out
M05 unsymmetry
M06 Undying Love
M07 ずっとそばに…
M08 さくらんぼキッス ~爆発だも~ん~
M09 Cream+Mint
M10 HALLUCINO
M11 rime
M12 Do you feel Loved?
M13 Lupe

<DISC 04>
M01 はじめまして、恋。
M02 きゅるるんKissでジャンボ♪♪
M03 Jumping Note
M04 Absurd
M05 Boundary Line
M06 Abyss
M07 We Survive
M08 oblivion
M09 Princess Bride!
M10 ねぇ、…しようよ!
M11 らずべりー
M12 cross up
M13 Sledgehammer Romance
M14 Imaginary affair

<DISC 05>
M01 allegretto~そらときみ~
M02 お*ま*ま*ご*と
M03 Fusion Star
M04 Mighty Heart~ある日のケンカ、いつもの恋心~
M05 wind of memory~記憶の風~
M06 Fatally
M07 Leaf ticket
M08 loose
M09 原罪のレクイエム
M10 a piacere
M11 Lilies line
M12 Princess Brave!
M13 ↑青春ロケット↑

<DISC 06>
M01 常識!バトラー行進曲
M02 I need magic~解けないマジ☆キュン♪~
M03 Swift Love~健全男子にモノ申す~
M04 決断のentrance
M05 Ideal Forest
M06 蒼-iconoclast
M07 茜空~それが僕らの世界だった~
M08 U make 愛 dream
M09 ユメミボシ★boom!boom!
M10 Stars Biscuit
M11 Restoration~沈黙の空~
M12 room
M13 fickle
M14 bumpy-Jumpy!

<DISC 07>
M01 thyme
M02 未来自画像
M03 幻想の宝石
M04 みらくる☆みるきーうぇい
M05 Mimosa
M06 碧羅の天へ誘えど
M07 blossomdays
M08 jihad
M09 Pray’s Color -Link-
M10 Pray’s Color -Lost-
M11 *bloom*
M12 Crystal moment
M13 Presto

<DISC 08>
M01 Unite+reactioN
M02 Flower!!
M03 桜舞う坂を、君と歩く
M04 Love mission!!~なんだ。ただの恋かw~
M05 Floating up
M06 あさがお
M07 U
M08 Teller of World
M09 soupir d’ange
M10 monochrome
M11 Largo
M12 リスタート
M13 WING OF ZERO

<DISC 09>
M01 Blooming!!
M02 Art as ♡
M03 恋ひ恋ふ縁
M04 Fancy Game!?
M05 ゆらふわ Sunny day
M06 ruin
M07 恋する森のfairy tale
M08 きらめく乙女
M09 そのハート、危険物につき取り扱いChu♡意!!
M10 Reboot oN/↓0
M11 affection
M12 Sign of Suspicion
M13 TRUE-BLUE
M14 Adolescence Locator
M15 Bum-out!!

<DISC 10>
M01 die or dice?
M02 XXX-revolt
M03 桜ひとひら恋もよう
M04 One Small Step
M05 エリカ
M06 月下流進
M07 Instincts Answer
M08 REFOCUS
M09 新緑のユートピア
M10 UNDERWORLD HOLOGRAPHY
M11 All right!!
M12 real-Reality
M13 アオナツライン
M14 言弾-KOTODAMA-
※一部の楽曲において、タイトルの表記が既に公表されているものと異なるものがございますが作家の意思によるものです。

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