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INTERVIEW

2020.02.28

fhána 劇場版『SHIROBAKO』主題歌「星をあつめて」インタビュー

fhána 劇場版『SHIROBAKO』主題歌「星をあつめて」インタビュー

fhánaの2020年第1弾シングルとなる新曲「星をあつめて」は、劇場版『SHIROBAKO』の主題歌として書き下ろされた、クリエイターやモノ作りに情熱を注ぐすべての人々の心に寄り添うミディアムナンバー。メンバーも大ファンだという『SHIROBAKO』の作品テーマにリンクしつつ、fhána自身が近作で向き合ってきたテーマとも重なる部分が多くあり、水島努監督との縁を含め、ある種、必然的に生まれた名曲とも言えるだろう。彼らが本作に込めた想いについて、また、意外な人が制作に関わったカップリング曲について、メンバーに話を聞いた。

――皆さんは今回、劇場版『SHIROBAKO』の主題歌を担当することになりましたが、そもそも『SHIROBAKO』のTVシリーズをご覧になったことは?

towana TVで放送されていた当時から大好きでした。私たちも『ウィッチクラフトワークス』で関わらせていただいた水島(努)監督の作品ということで、絶対面白いだろうなと思いながら楽しんで観ていたんですけど、(登場キャラクターたちが)頑張ってる姿を見ていると、それだけで感動してしまうんですよね。なので、今回の劇場版のお話をいただいたときはすごく驚きましたし、それから(TV版を)もう一回観直した時、その後に起こることがわかっていることもあって、最初のほうでもう泣いてしまって(笑)。

kevin mitsunaga 僕はわりと最近に観ました。もちろんいい作品なんですけど、仕事とか労働の大変さがすごくリアルに描かれていて、めっちゃ胃が痛くなりましたね(笑)。制作の締め切りが迫っているときの、あの感じを思い出してしまうんです。でも、それは表現が優れているからこそだと思うんですよ。他のアニメではあまり感じないぐらいリアルな、かつクオリティも高くてすごい作品だと思います。

yuxuki waga 僕はちょうど今、観ているところなんですけど、kevinの感想と同じで、やっぱり生々しいですよね。キャラクターがかわいいとかの以前に、観ていて自分も「ああ……」とか「やっちゃった……」みたいな感じになっちゃって(笑)。ミスったときのあの感じがかなりクるので、1話観るたびに体力を使ってしまって、まとめ見ができないです(笑)。

佐藤純一 僕は以前から観ていて、すごく好きでしたね。“お仕事もの”というよりも“クリエイターもの”というところにすごく共感して。魂を削ってモノを作るというのはこういうことだよな、っていう部分で自分と重ね合わせられるところがあるので、今回の主題歌の歌詞もそういう内容になりました。

――fhánaと『SHIROBAKO』の組み合わせは少し意外だったのですが、よくよく考えてみると、先ほどtowanaさんがおっしゃったように、水島監督とは以前から縁があるんですよね。

佐藤 すごく光栄だし、うれしかったですね。他にも、『天体のメソッド』でご一緒した、アニメプロデューサーの永谷敬之さんがプロデューサーとして関わってらっしゃったり、制作がP.A.WORKSさんだったりで、いろんな縁が合わさっていて。本当にありがたいですね。

――今までの活動の繋がりが結んだ主題歌でもあると。今回の楽曲を制作するにあたって、監督や制作サイドとはどのような話をされたのですか?

佐藤 最初に僕が皆さんと打ち合わせをさせていただいたのですが、作品の最後に流れる曲なので、明るくてホッとするような曲がいい、というお話でしたね。先方としてはバラードっぽいものを求めている感じだったんですけど、その場で「fhánaの曲で言うと『いつかの、いくつかのきみとのせかい』ぐらいのテンポ感の曲はいかがですか?」とお話させていただいて、最終的には、ホッとしつつもドラマチックでシリアスな要素もある、ミドルテンポの楽曲に落ち着きました。

――歌詞の内容やテーマについて、監督から何かリクエストはありましたか?

佐藤 そこについては詳しい話をしていなくて、まず映画の概要をお話いただいたうえで、最後に流れるとホッと安心するような曲にしてほしい、ということでした。で、今回は林(英樹)くんに歌詞を書いてもらったんですけど、彼は打ち合わせを行う前の時点で『SHIROBAKO』を観たことがなかったので、まずは「とりあえず『SHIROBAKO』観てくれ」とLINEで連絡を入れたんです。そしたらハマったみたいで、「感動しました」っていう返事が返ってきて。

――林さんもモノを作る側の人間ですから、共感できる部分があったんでしょうね。

佐藤 そうなんですよ。昨年末に「fhána“where you are Tour 2019”」というfhánaのツアーを開催したときに、そのツアーパンフレット用に僕と林くんで対談を行ったんですけど、そこで「アーティストとは?」とか「クリエイターとは?」っていう、モノを作ることや芸術の本質論みたいな話をしたんです。『SHIROBAKO』という作品は、そこで話したこととリンクしていると思ったので、林くんにはそこを膨らませて歌詞を書いてもらいました。作品を作るときというのは、音楽でも映像でも小説でも何でもそうなんですけど、いきなりパッとできるわけじゃなくて、なんかキラッとしたアイデアをつなぎ合わせて形にするところがあると思うんです。「星をあつめて」というのは、そういう内容の歌詞ですね。

――メンバーの皆さんは歌詞をご覧になって、どのような印象を抱きましたか?

yuxuki 『SHIROBAKO』の内容に合っているのはもちろんですけど、出だしの歌詞がすごくいいなと思って。普通、“魔法の靴を履きつぶす”なんて歌詞は書かないじゃないですか。でも、そのモノ作りする人を表すような言葉が、最初の1行にいきなり出てくるんですよね。個人的に映画の最後に流れる曲というのがすごく好きで、自分としては、映画を観た後に言葉がすっと入ってくるような感じの曲になればいいなと思っていたんですね。そういう意味では、すごく伝わる歌になったんじゃないかなと感じますね。

kevin 僕は歌詞の中の“その一瞬できらめく形写して 箱にしまった”という部分が好きなんですよ。佐藤さんもよく「写し取る」という言葉を使うんですけど、つまりこの歌詞は、それ自体を集めて箱にしまうわけではなくて、あくまで“写し取って”いるということなんですよね。『SHIROBAKO』で描かれるアニメーション制作もまさにそうで、それ自体をそのまま描くのではなく、写し取ったものをデフォルメして表現するわけじゃないですか。すごくピッタリの言葉だなと思って。あと、その次にある“トワの模様”の“トワ”がカタカナになっているのを見て、これって林さんがtowanaさんの名前に掛けたのかなあと思ったんですけど、どうなんですかね?

佐藤 そこは特に聞いてない(笑)。

――towanaさんもそう思ったりしました?

towana うーんと……そういう意味があるのかもしれないけど、全く関係なくても成り立つし、聴き手に委ねられているのかなと思います。

kevin 俺、聞いちゃった(笑)。

佐藤 ちなみに“写す”というのはちゃんと意味があって、fhánaの曲は海外で配信するときのために毎回英題をつけているんですけど、「星をあつめて」の英題は「Trace the Stars」なんですよ。そこは“集める”という意味の「Collect」ではなく、あえて「Trace」にしていて。曲を作るときも、キラッと光るきらめきがあって、それはそのままだと目に見えないし、すぐに逃げていってしまうものだから、作品というみんながわかる状態にしているので、それって写し取ってる感じなんですよね。曲にせよアニメにせよ小説にせよ、キラッと光る本質“そのもの”は向こう側にあって、それをここに持ってくるというか、形あるものとして写し取るという感覚。それが「Trace」というか。

――なるほど。towanaさんは歌詞をご覧になってどんな印象を受けましたか?

towana ここ1年ぐらい、林さんや佐藤さんが感じているムードというか、大切なものを失ったり、京アニさんの事件があったり、「僕を見つけて」という曲ができたりという流れの中にあることを感じつつ、それをよりポップに、みんなにもわかりやすく表現している曲だと感じました。そのうえで『SHIROBAKO』の世界とリンクしているので、『SHIROBAKO』が好きな人ほど共感できると思います。

――昨年末のツアーの東京公演2日目を拝見した際に、MCで佐藤さんが、Gothic×Luckに提供した「きみは帰る場所」という曲があったから、fhánaの「僕を見つけて」という曲が生まれて、その曲がさらにtowanaさん作詞のナンバー「where you are」に繋がっていったというお話をしていました。今回の「星をあつめて」も、まさにその連続性を感じさせる楽曲で、そもそも曲名からして「僕を見つけて」と語感が似てますよね。

towana みんな間違えまくってるからね、最近(笑)。

佐藤 曲名が混ざって「僕をあつめて」って言っちゃったりして(笑)。

――「僕を見つけて」は別れと再会の祈りを歌った曲という側面がありましたが、「星をあつめて」の歌詞にも“たとえまた僕ら遠く離れてしまっても”といったフレーズがあったりして、音楽や作品が残ることによって繋がっていくクリエイターの遺志のようなものを描いているように感じました。

佐藤 そうですね……。人が亡くなってしまっても、その人の魂みたいなものは、その人が作った作品の中に残っているから、作品の中でまた会えたりするし、その作品に影響を受けた別の新しいクリエイターが新しい作品を作ることで、その人の魂みたいなものが受け継がれていく、というイメージはありますね。別れや死のイメージは、一連の曲に色濃く宿っていると思います。

――ただ、その連続性のなかで別れの描かれ方や受け止め方も、少しずつ変化しているように感じます。

佐藤 この「星をあつめて」という曲は“喪失から再生”に向かっていってる流れでもあるんですよ。まさに“心に空いた穴は消えないけど歩けるさ”というフレーズについては
、林くんとすごく話し合って決めた部分で。元々は“心に空いた穴を乗り越えて僕は歩き出す”みたいな感じの、もう少し前向きな感じだったんですよ。でも、今の“心に空いた穴は消えないけど歩けるさ”という歌詞だと、この時点ではまだ歩き出していないんです。

――たしかに。

佐藤 それと「心に空いた穴は埋まるのか?」という問題があって。僕の見解としては、何かを失ってしまった心の穴は決して埋まらないと思うんですけど、時間が経つことで他の新しい何かが生まれたりして、そのうち穴のことはあまり気にならなくなって、歩けるようになるものだと思うんです。だからこの“心に空いた穴は消えないけど歩けるさ”というのは、ちょっとコミュニケーションを遮断している感じというか、誰かが慰めようとしても「いやいや、僕は全然歩けるんで大丈夫ですよ」って言ってるような微妙な状態のときで。そこからどんどん再生していける、という流れになっているのがこの曲なんです。

――再生の過程にある気持ちを描いていると。

佐藤  “心に空いた穴は消えないけど歩けるさ”という歌詞は、ニュアンスが伝わりにくいかなっていう話を林くんとしていたんですけど、そういえば歌を録っているときに、towanaに「この歌詞、伝わるのかな?」って聞いたら「伝わりますよ」って言ってたね。

towana 伝わりますよ。どちらかと言うとセンシティブな側の人により伝わりやすい感じはしますけど、でも、みんな傷ついたり喪失感を覚えた経験は絶対にあるだろうから、私もわかるし、みんなもわかってくれるんじゃないかなと思います。

――レコーディングの話が出たので流れで聞きますが、towanaさんは今回の歌を歌ってみていかがでしたか?

towana 今までで一番緊張しました。私は『SHIROBAKO』が大好きすぎるので、その作品の為の曲となると、やっぱりいい歌にしたいじゃないですか。でも、そういう気持ちがあると力んでしまって。私もレコーディング当日、スタジオに入ってからそうなってる自分に気付いて、「私、緊張してる!」と思って。そんなことはすごく珍しいし、というか初めてかもしれない。誰にも言わなかったですけど、実はめちゃくちゃ緊張してました。

――曲を聴く限りは、伸び伸びとした歌声で、緊張しているようには全然感じませんでした。

towana うん、まあ、緊張してる感じはそんなに出てないと思います(笑)。監督が映画の最後に流して(お客さんを)ホッとさせたいというお話は、佐藤さんから聞いていたので、私もそういう温かみのある歌にしなくちゃいけないというのがあって。私自身、観客として映画を観に行ったらそういう気持ちになりたいだろうし。だから、その責任の重大さと、劇場版『SHIROBAKO』の主題歌を歌えることに対する喜びやうれしさが入り混じりながら録りました。fhánaの曲にしては高いところを歌い続けるような部分がなくて、リラックスして歌えるような曲調だったので、しっかり表現できたかなって思います。

――サウンド的には管弦楽器がたっぷりと入った華やかなアレンジに仕上がっていますが、どんな部分にこだわりましたか? 個人的には、2番の終わりに入るスライドギターにジョージ・ハリスンっぽさを感じましたが。

yuxuki 全体のアレンジは佐藤さんなんですけど、あのギターに関しては、オールディーズというかビートルズっぽい感じでいこうという話を佐藤さんとしてて。なのでアンプも普段とは違うものを使って、往年感のある音に近づけて、普遍的な良さが出るような演奏を意識しましたね。特にスライドは今まで全然通ってなかったので、すげえ難しいとか言いながら録って(笑)。(スライドバーの)重さで音が変わるんですよね。軽いとタッチでいくらでも変わっちゃうので、音が安定しにくかったりして。これは深いなあみたいな(笑)。面白かったですね。

佐藤 ちょっとマーチっぽい要素もあって。イントロの部分はビートルズの「All You Need Is Love」のイメージで作ったんですよね。でも、曲が始まるとシャッフルのリズムになって。こういうシャッフルのリズムのポップスはJ-POPにあまりないので、そういう意味では個人的にチャンレンジした曲です。

――前作の「僕を見つけて」もビートルズっぽい雰囲気があったので、そういう繋がりもあるのかなと。

佐藤 たしかにビートルズづいてたかもしれないですね。ちょうど『イエスタデイ』という映画もあったので、その影響下にあったかもしれないです(笑)。でも、この曲のアレンジは大変でしたね。スケジュール的にも結構ギリギリで。

yuxuki 曲の制作が『SHIROBAKO』みたいになってましたもんね(笑)。

佐藤 管弦のアレンジはレコーディング当日のギリギリの時間に完成させましたから。数日間徹夜状態でレコーディングの30分前に譜面が完成して、スタジオに駆け付けた瞬間に録り始めました。

――fhánaにも『SHIROBAKO』のみゃーもりみたいに優秀な制作進行が必要かもしれませんね(笑)。ここからはシングルのカップリング曲についてのお話を。まず「Code “Genius”? (English Ver.)」は、佐藤さんが手がけたTVアニメ『ナカノヒトゲノム【実況中】』挿入歌の英語詞セルフカバーとなります。

佐藤 fhánaのライブの定番曲に「Relief」という英語詞のナンバーがあるんですけど、その曲みたいに、演奏していてテンションが上がる英語のエレクトロっぽい感じの曲が他にもあればいいなと思っていたんですよ。そんなときに『ナカノヒトゲノム』で「Code “Genius”?」が出来て、これはまさにそういう曲だな、と。じゃあこれを英語バージョンにして、fhánaのライブのセトリに入れて、次のシングルのカップリングにも入れようと。

――この曲、原曲となる日本語詞の作詞はUNISON SQUARE GARDENの田淵智也さんが手がけていますが、英訳詞のクレジットは齋藤光二さんとなっていて。これはもしかして、“Animelo Summer Live(アニサマ)”のプロデューサーの齋藤さんですか?

佐藤 はい、齋藤Pです。齋藤さんは元々キーボードプレイヤーで、自分で歌詞を書いたりとかもしていた方ですし、実は英語もペラペラなんです。僕は去年のアニサマでテーマソング(「CROSSING STORIES」)を作らせていただいたり、がっつりコラボレーションをさせていただいたので、その流れで英訳をお願いするのも面白いかなと思って、お願いしました。

――意外なお名前があったのでビックリしました。towanaさんは英語詞の曲を歌ってみて、いかがでしたか?

towana やっぱり発音が難しいですよね。だから「Relief」の歌詞を書いていただいたLynneさん(Lynne Hobday)という方に、今回は英訳の監修と発音のディレクションで入っていただきました。元々はツアー前にレコーディングする予定だったんですけど、私から「ライブ経験を経たほうがいい歌になると思います」とお願いして、ツアーが終わってからレコーディングしました。録ったのはつい最近のことなんですけど(笑)。

佐藤 レコーディングにはLynneさんと齋藤Pがいらっしゃって、僕と3人体制のディレクションで録りました(笑)。towanaは発音がすごくいいので、Lynneさんはイギリス人の方なんですけど、「すごくきれいな英語」と言ってくれました。ツアーでは写真撮影OK曲として演奏したこともあって、結構盛り上がりましたね。

yuxuki あと、ギターを録り直しましたね。元の曲は山本陽介さんがギターを弾いていて、スクエアなプレイでリズムにハメていく感じなんですけど、俺はガッと攻める感じで、音も荒いし、バンド感が強くなってるから、聴き比べるとだいぶ印象が違うと思います。仕上がりもミックスの感じが若干変わっているので、ぜひ聴き比べてほしいですね。

佐藤 たしかに挿入歌のほうはミックスではアナログの機材を使わずに、プラグインだけで完全にPro Toolsでミックスしてるんですけど、今回はせっかく作り直すということで、ミックスもアナログの機材をたくさん使って、ちょっと温かみを出す感じでパワーアップさせましたね。

――もう1曲のカップリング曲「世界を変える夢を見て」は、wagaさん作曲による爽快で美しいピアノロックナンバー。

yuxuki これはカップリング曲が必要という話になったときに、作りかけのいい曲があったので、それをぜひ形にしたいなと思って作った曲で。最初はリリース時期的に卒業ソングを作ろうかなと思っていたんですけど、結果的に学生の卒業というよりは社会人の卒業に近い感じになったかなと。幅広い年代に向けた曲というか、新しいところに行くときの門出の歌というか。歌詞も「次があるよ」っていう前向きな感じだけじゃないところが新しい視点だし、曲が自分でもすごくよくできたなと思っていて。

――そう、この曲はシンプルにすごくいい曲だなって思いました。前作のシングル「僕を見つけて」のカップリング曲だった「真っ白」も、wagaさん作曲のストレートなロックチューンでしたが、wagaさん的にはシンプルで良い曲を追求しているモードだったりするのでしょうか?

yuxuki そうですね。(曲が)聴いた人に素直に入ってくれたらいいな、というのが最近の方針ですね。パッと聴きでいい曲だし、しかもすぐには抜けていかないような曲を作りたいなと思っていて。「真っ白」は言ってみたら自分ひとりで作った曲なので、今回はみんなでやろうということで、3人のが存分に入ってるし、towanaもめちゃくちゃたくさんコーラスを歌ってます。

kevin 僕の音も結構入ってます。これまでもそうなんですけど、普段の制作では、いろんなことを試してみたくて、音を多めに作るんですよ。その中から使う音を選ぶんです。個人的に最近、電子音を作ったりとかサンプリングしたりする上でハマっている音があって、この曲はそれを結構使ってますね。

――その個人的な流行りの音というのは?

kevin  Bメロで使われている声のサンプリングとかですね。男性か女性かわからない、中性的で低めの声のサンプリングをするのが好きで。でも、fhánaにはtowanaさんという、ちゃんとしたボーカルがいるじゃないですか。だから人の声などのサンプリングはあまり主張しないほうがいいんですけど、質感的にはすごく好きなんですよ。なので、towanaさんの歌声をうまいこと邪魔しないぐらいの声ネタを、バランスを考えながら入れてみて「どうかな?」って提案して。っていうか、この曲、歌詞がめっちゃいいですよね。“矛盾を抱え僕ら走るよ 焦燥と肯定の果て”って、ここ、エモすぎないですか? 焦燥と肯定の果てでしかないですよね、僕らの人生。

yuxuki いきなり何を言ってるんだ(笑)。

kevin 学生の頃って、焦って自分はこれでいいのか?って思いつつ、いやこれでいいんだって自分で自分を肯定するしかないじゃないですか。そういうことを思い出しましたね。めっちゃいい歌詞ですよ。

――さて、これら3曲を収めたシングルでfhánaの2020年がスタートしますが、バンドとしては今年、どんな活動をしていきたいですか? 昨年末のライブでは、佐藤さんがMCで突然ニューアルバムを作りたいと語って、他のメンバーはびっくりしたような表情を浮かべていましたが。

yuxukikevin あれはマジで聞いてなかった(笑)。

佐藤 まあ、作りたいし、たぶん作るだろうなっていう感じですね。ただ、これは今年に限った話じゃないんですけど、fhánaがアーティストとしてきちんと活動していける地盤を固めたり、活動の仕方をもっと探って確立していったりしなければと思っていて。何かアニメのタイアップがあって、リリースがあって、それに紐づいたライブがあって、というサイクルだけでは、だんだん行き詰まっていくというか。タイアップというのは自分たちの力だけでどうにかなるものではないので、もちろんアニメのことは大事にしながらも、ちゃんとアーティストとしてfhána自体のファンになってもらいたいですし、ファンになってくれる人たちを大事にしていきたいと思っています。それが2020年というか、これからのテーマですね。

Interview & Text By 北野 創(リスアニ!)


●リリース情報
ニューシングル
「星をあつめて」
2月26日発売

品番:LACM-14974
価格:¥1,500+税

初回生産限定特典:描き下ろしイラストスリーブケース仕様

<CD>
1.星をあつめて
作詞:林 英樹 作曲・編曲:佐藤純一
2.Code “Genius” ? (English Ver.)
作詞:田淵智也 英訳詞:齋藤光二 英訳監修:Lynne Hobday 作曲・編曲:佐藤純一
3.世界を変える夢を見て
作詞:林 英樹 作曲:yuxuki waga 編曲:fhána
4.星をあつめて -Instrumental-
5.Code “Genius” ? (English Ver.) -Instrumental-
6.世界を変える夢を見て -Instrumental-

●作品情報
劇場版『SHIROBAKO』
2月29日(土)全国ロードショー!

私たちは諦めない! 約束を果たすその日まで…
清濁あわせのむアニメーション業界の日常、実情、実態を時に柔らかく時に厳しく、赤裸々に描いたテレビアニメーション作品『SHIROBAKO』。
続編を望む多くの声に応え舞台をスクリーンに移して、 待望の新作・劇場版『SHIROBAKO』の幕があがる!

©2020 劇場版「SHIROBAKO」製作委員会

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