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INTERVIEW

2020.01.15

デビューアルバム『愛とか感情』に込めた想いを聞く!ニノミヤユイインタビュー

デビューアルバム『愛とか感情』に込めた想いを聞く!ニノミヤユイインタビュー

2017年開催の「次世代声優☆ミラクルオーディション」で特別賞を受賞し、TVアニメ『アイカツフレンズ!』の日向エマ役で声優デビュー、現在18歳の現役女子高生である二ノ宮ゆいが、「ニノミヤユイ」としてランティスよりアーティストデビューした。この度のデビューアルバム『愛とか感情』には、バグベア、佐藤純一(fhána)、カノエラナ、佐伯youthK、氏原ワタル(DOES)、新羅慎二(湘南乃風:若旦那)ら錚々たるクリエイターが参加。ニノミヤ本人も作詞などで楽曲制作に携わり、鬱屈した感情を抱えながらも前を向いて必死に進む自身の生き様を投影した、これまでの声優活動でのイメージを覆すエッジの効いた作品を完成させた。アーティスト活動では「素の自分」を出していきたいという彼女が、本作に込めた想いについて聞いた。

――このたびデビューアルバム『愛とか感情』でアーティストとしての活動を開始するニノミヤさんですが、最初にデビューのお話を聞いたときはどう思われましたか?

ニノミヤユイ 声優のお仕事を始めて1年ぐらいのタイミングでデビューのお話をいただいたので、正直驚きました。最初は「えっ!私でいいんですか?」という気持ちがあったので、不安やプレッシャーを感じていたんですけど、スタッフの皆さんが私のやりやすいように環境を整えてくださったので、今回のアルバム制作はすごく前向きに取り組むことができました。

――ニノミヤさんは以前からアーティスト活動に興味を持っていたのでしょうか?

ニノミヤ はい。今は声優さんが歌の活動をされることが多いですし、私もそれを含めて声優業への憧れがあったので。ただ、オーディション(2017年開催の「次世代声優☆ミラクルオーディション」)を受けたときは「絶対に合格する!」という気持ちで精一杯だったので、その先のことは全然考えていなくて。なので、まさかこんなに早くデビューが決まるなんて思ってもみませんでした(笑)。

――声優業は「二ノ宮ゆい」名義で活動されているなか、アーティスト名義を「ニノミヤユイ」とした理由は?

ニノミヤ 声優という職業にとらわれることなく、ひとりのアーティストとして勝負していきたいという覚悟を込める意味で、声優活動とは名前の表記を変えました。もちろん歌の活動は声優のお仕事にもプラスになることは多いと思いますけど、自分の中では別々のものとして考えているところがありまして。声優のときは自分が演じる役のことを中心に考えますが、アーティスト活動のときは、素の自分を前面に打ち出していければと思っています。

――「ニノミヤユイ」として表現していきたいこと、理想とするアーティスト像は?

ニノミヤ 私が聴いて衝撃を受けたのはさユりさんの音楽なんです。あの必死さ、ひたむきに今を生きているところが、自分の心に刺さって、すごく共感できるところがあったので。私もああいう一種の人間臭さみたいなものを表現できればと思います。

――あと、アーティスト活動の発表と前後して髪を短くされましたよね。

ニノミヤ 私は声優デビュー作の『アイカツフレンズ!』で、日向エマという髪の長いキャラクターを演じさせていただいていたので、そのキャラクターの見た目と寄せるために髪を伸ばしていたんですけど、元々はショートカットの時期のほうが長かったんです。実は髪をあそこまで伸ばしたのも初めてのことで。その『アイカツフレンズ!』の集大成的なライブ(“『アイカツフレンズ!』BEST FRIENDS! スペシャルLIVE ~Thanks⇄OK~”)が2019年の8月にありまして、アーティストデビューの発表が9月だったので、『アイカツフレンズ!』から次のステージに行くという意味でも、自分の中で何かけじめとをつけられたらいいなと思って。それと元の自分に戻る意味も含めて、髪をバサッと切ってみました。

――先ほどの「アーティスト活動では素の自分を打ち出す」というお話にも通じますね。周りの評判はいかがでしたか?

ニノミヤ ファンの方には髪を切ったことを何も伝えないまま、9月のソロイベント(“二ノ宮ゆい バースデーイベント ~ハッピーバースデー・わたし~”)で初めてショート姿をお披露目したので、ステージに上がった瞬間「おーっ!」というどよめきの声が起こりました(笑)。でも、そのときに皆さん「似合ってるよ」と言ってくださったり、その後のお手紙でも「ショートすごく似合っています」というお言葉をたくさんいただいたので、ショートにしてよかったなと思います。

――プロフィール資料によると、趣味に「カラオケ」「歌詞の深読み」、特技に「楽器演奏(フルート)」とありますが、昔から音楽好きだったのでしょうか?

ニノミヤ 両親が吹奏楽をやっていたので、お休みの日には吹奏楽のCDがずっとかかっていたり、吹奏楽のコンサートにもよく連れて行ってもらったりしていたので、小さい頃から音楽に触れる機会は人より多かったと思います。なので、音楽は常に自分と一緒にあるもの、という感覚はありました。学校でも合唱はすごく頑張るタイプの人間だったので(笑)。フルートは中学で吹奏楽をやるようになってから始めたんですけど、それと並行して、小学生高学年から中学生にかけて、ボーカロイドやアニソンも聴くようになったんです。そこから、クラシック音楽やロックも含めて、自分の好きな音楽系統がだんだんわかってきて。今回のアルバムはピアノの音が立っている曲が多いんですけど、根底ではクラシック的な音楽が好きなのかな?と思います。

――ボカロも好きなんですね。

ニノミヤ 小学生の高学年のときにボカロ好きの子が周りにいて、その子に勧められて聴いたらものすごくハマってしまって。そこから自分で調べてたくさんの曲を聴いたので、私が初めて自主的に音楽を聴き始めたのがボカロだったと思います。

――ボカロ界隈でとりわけ好きなアーティストを挙げるとすれば?

ニノミヤ 好きな方はたくさんいますけど、私の中ではDECO*27さんとNeruさんのお二人が特別で、たぶん自分の考え方にも影響を受けたんじゃないかと思うぐらい、ルーツになっていると思います。そこが入り口だったので、自分の中ではロックが軸にありつつ、中学高校の頃には欅坂46さんとかの、女の子の抱えている葛藤みたいなものを表現されている方も好きになっていって。なのでアルバムでは本当に好きなことをやらせていただきました。

――ニノミヤさんのアルバム『愛とか感情』には、DECO*27さんが「安心to the 安全」にギターで参加していますし、欅坂46の楽曲「サイレントマジョリティー」「不協和音」を手がけたことで有名なバグベアさんも楽曲提供されていますものね。ちなみに「歌詞の深読み」という趣味も気になるのですが……。

ニノミヤ 私は楽曲やアニメのOPテーマ、キャラクターソングを聴きながら「この曲の主人公やキャラクターはきっとこういう風に思ってるんだろうなあ」とか考えるタイプの人間なんです。そこはただのオタクと言えばそうなんですけど(笑)。

――ボカロの楽曲も考察し甲斐のある歌詞の曲が多いですものね。

ニノミヤ そうですね、ボカロは比喩的な表現がすごく多いので。そこから「本当はこういうことを言っているんだろうな」というものを見つけられると音楽の聴こえ方が変わりますし、楽曲を二度楽しめるところがあると思うんですよ。なので歌詞は、音楽を好きになる要素として、自分の中ですごく大きいものですね。

――趣味が「カラオケ」ということは、歌うこと自体も好きだったんですよね?

ニノミヤ はい。歌に関しては、自分の負けず嫌いな性格からきてるところもあって。友達に歌がすごく上手い子がいて、その子と一緒にカラオケに行くと悔しくて、「私ももっと上手く歌いたい!」という向上心が生まれたんです。それでいろいろ頑張っているうちに、歌うこと自体が楽しくなりました。

――そんなニノミヤさんのデビュー作『愛とか感情』ですが、制作はどのように進めましたか?

ニノミヤ デビューが決まった段階ではアーティストとしての方向性がまだ定まっていなかったので、スタッフの皆さんと何回も打ち合わせをして、私の好きな音楽やアーティストについてたくさんお話させていただくなかで、いろんな方向性を探っていただきました。その結果、デビューアルバムですけど、全曲を通して「ああ、これは私だなあ」と思える作品になったと思います。収録曲もそれぞれ曲調やジャンルは違えど、歌詞に私好みのフレーズが散りばめられていたり、私の心のパーソナルな部分を表現しているものが多いので、マインド的に歌いやすい曲が多かったです。

――アルバム収録曲の中で最初に制作した楽曲は?

ニノミヤ まずはリード曲の「愛とか感情」から始めました。リード曲をバグベアさんに作っていただけるということで、すごくビックリして(笑)。しかも今回、アルバムに参加していただいた全員のクリエイターさんと、曲を制作する前に直接お話をさせていただいたんです。そこで私のパーソナルな部分や自己紹介的なことを小1時間ぐらいお話して、そこから私の言葉を拾ってもらったり、私の想いを楽曲に反映してもらったりしていて。「愛とか感情」はアルバムのタイトルにもなっているぐらい印象の強い曲で、最初は「私にこの曲を歌えるのかな?」という気持ちもありましたけど、最初から難しい楽曲を歌わせてもらえることがうれしかったですし、「ニノミヤユイはこういう音楽をやります!」というのが伝わる曲になりました。

――サビの“愛は死んだ 今日死んだ あっさりと消えたんだ”というフレーズをはじめ、スピーディーな曲展開の中に強烈な言葉が次々と投げ込まれる楽曲ですが、ニノミヤさんはこの歌詞をどのように受け止めましたか?

ニノミヤ 最初は「これはどう解釈したらいいんだろう?」と悩んだところがありましたけど、最終的にこの歌詞にある「愛」とは「あの人が好き」という感情のことではなくて、「あたたかい場所」「安心できる場所」という捉え方をしてみたんです。2番の歌詞に“優しいだけの世界線なら 或いはそんな世界線なら 平和な夜更けが来るだけだ”とあるので、優しい場所に居るだけでは強さも勝利も掴めない、自分の中に強い意志を持たなくてはいけない、ということをこの曲では言ってるんじゃないかなと思って。

――歌入れの際も、そういった部分を意識して表現した?

ニノミヤ この曲では、優しさを捨てると言いますか、自分の中の尖っているところを前面に押し出そうという気持ちで歌いました。なので叫びみたいなところが出てると思いますね。

――尖った姿勢は、この曲だけでなくアルバム全体に感じられる部分でもあります。

ニノミヤ そうですね。自分でも曲名の並びを見ただけで「強っ!」と思っちゃったので(笑)。それぐらい1曲1曲、自分の強い部分や弱い部分をひっくるめて、私の感情の研ぎ澄ました部分を歌にしてもらいました。どの曲もリード曲にできるような曲ばかりですし、私の暗い感情や、逆に強いところがあるからこその弱みを表現した曲もあるので、アルバムを通して聴くと、私の考えていることが何となくわかるんじゃないかと思います。

――また、アルバム全体を通して「劣等感」や「自己評価の低さ」に対するもがきのようなものを感じるのですが、それも自分の中から出てきたものだったりするのですか?

ニノミヤ そうですね。劣等感というのは自分の中でずっと離れずあるものなんです。私は今まで何かで一番になったことがなくて、そこそこいいところまでいくけど結局一番にはなれないんです。そのたびに「なんで一番になれないんだろう」と思うし、やっぱり「一番」以外は「その他」になることが多いじゃないですか。私の中でそういう経験が積み重なっていくたびに「二番や三番じゃ意味がない」と思うようになってしまって、自分の中でいい結果を出しても、人に負けたという劣等感を抱くことが強くなってしまったので、そういうところから逃れられない自分がまだいるというか。それは私が元々負けず嫌いな性格だからかもしれないですけど、でも「どうしてあの人みたいにうまくできないんだろう」と考えている人はたくさんいると思うので、そういう人にも届くものとして、劣等感やどうにもならない葛藤は歌のなかに乗せています。

――そういう気持ちが歌詞に強く表れているのが、「愛とか感情」と同じくバグベアさんが楽曲提供、ニノミヤさんがバグベアさんと共同で作詞している「乱反射↘↑↗」なのかなと。この曲、“I wanna! 美少女属性が欲しい”とか超ユニークなフレーズが飛び出して面白いですね。

ニノミヤ この曲の歌詞は普段私が考えていることをぶわーっと書き出した原案を、バグベアさんが綺麗に整えてくださったもので、わりと私の言葉がそのまま使われていたりしていて。たしかその中に「もっとかわいく生まれたかった」とか「かわいくてカリスマ性があればもっと目立てたのに」みたいなことをだらだらと書いていたと思います(笑)。

――そういう劣等感を抱きながらも、歌詞の“決して誰にも聴かれなくても ここで歌いたい”という部分からは、前を向いて歩こうとする強い意志が感じられます。

ニノミヤ 私にも「ああなりたい!」「こうなりたい!」という想いはありますけど、でも自分の軸みたいなものがズレてしまったら、何かが違ってしまうような気持ちがあるので。やっぱり自分の決意や硬い意志みたいなものは忘れちゃいけないと思うんです。自分の中で「こういうことがしたい!」という強い意志を持っていよう、という覚悟はありますね。

――サビラストの“なりたい私 今日の私 ふたつの影が 水たまりで乱反射している”というフレーズもいいですよね。ニノミヤさんは今、「なりたい私」と「今日の私」の両方を抱えている?

ニノミヤ そうですね。こうなりたい自分という理想があって、でもそれに届いていない自分がいて。そういう葛藤や苦しさを抱えながら生きているので、それをそのまま歌に乗せて出すことができたら、きっといろんな人に届くんじゃないかなと思うんです。アーティスト活動では、そういう今を必死に生きている私を投影していきたいですね。

――fhánaの佐藤純一さんが作編曲、ニノミヤさんご自身が作詞した「私だけの、革命。」は、ニノミヤさんがアーティスト活動を始めるうえでの決意表明のような歌に感じました。

ニノミヤ この曲は自分ひとりで作詞したこともあって、自分がアーティスト活動をしている実感がすごく沸きましたし、曲作りに参加できたことがすごくうれしかったので、出来上がったときの達成感がすごかったです。「革命」という強い言葉を使ったのは、私は2年前にオーディションに受かるまで普通の高校生だったので、そういう人でも何かを変えることができるし、私自身聴いてくださった人の何かを変えられるような人になりたいという想いを込めていて。そういう意味では決意表明なのかもしれないですね。

――「普通」や「正しさ」といった価値観に捉われることなく「自分らしさ」を大切にしたいという強い意志が感じられて、すごくいい歌詞だと思いました。

ニノミヤ この曲では素の自分を歌詞にするために、自分と向き合っている時間がすごく長くて、改めて「自分って何だろう?」とか「自分のやりたいことは何だろう?」ということをすごく考えたんです。その中で「正しさ」や世間一般の「普通」に左右されがちな自分がいることに気づいて、もうちょっと意志を強く生きないとなと思ったんですね。私は自分の考えていることをちゃんと「自分はこう思う」と貫けるような人になりたいので、そういう自分の強い部分を打ち出そうとした曲でもあります。

――ご自身の中でとりわけお気に入りのフレーズはありますか?

ニノミヤ この曲の歌詞はワンフレーズを考えるのに何時間も何日も費やしたので、どの部分にも自分の想いが本当に凝縮されているんですけど、やっぱり1サビは自分の考えていたことを詰め込めたと思います。誰しも経験のあることだと思うんですけど、学生は集団生活なので、その中でひとり目立ったりズレたりすると除け者扱いされることがあるじゃないですか。そういうときに「正しさとは何だろう?」と思いますし、「みんながこうしてるからそうしよう」という一般的な正しさみたいなものに捉われて、自分が言いたかったことも言えなくなったり、自分自身の正しさを貫けなくなることがすごくあるなと思って。そういう気持ちが1サビにはギュッと詰まっていると思います。

――でも、実際の学校生活の中で自分の意志を貫き通すのは、なかなか難しい部分がありますよね。

ニノミヤ そうですね。具体的な話になりますけど、例えば先生や指示する人によってやり方は違っていて、学校での評定も言ってしまえば先生の価値観で決まるものだし、テストもその先生が「ここをできればいい」と思っている範囲のものだったりするので、本当に正しいことなんて、わからないと言えばわからないじゃないですか。であれば自分の思っている正しさを貫きたいけど、貫き通せないところが多いのかなとも思うので、最後のサビ(“「正しさ」という見えない糸は解かれ 自由な私、何が描けるのかな”)では、「世間一般が思っている正しさから解放されることで自分に何ができるんだろう?」という未来への想いを込めました。そういう意味でも今の自分が詰まっているので、自分もこの先に何か迷うことがあったら聴く曲だと思います(笑)。

――18歳の今を真っ直ぐ生きている感じがして、すごくいいですね。

ニノミヤ ありがとうございます(照れ笑い)。

――他にも、DOESの氏原ワタルさんが作詞・作曲したギターロック「わたしを離さないで」や、佐伯youthKさん提供のファンキーなリリック詰め込み型ロック「安心to the 安全」など、バラエティ豊かな楽曲が並んでいますが、自分で歌詞を書いた曲以外で特に心に刺さった曲を挙げるとすると?

ニノミヤ カノエ(ラナ)さんが提供してくださった「ヤミノニヲイ」という曲は、歌詞をいただいたときに「カノエさんは私の心を見透かしているのかな?」と思ったぐらい、自分のことを言い当てられている気分になりました(笑)。特に2番の“安心安定なんて無い いつ殺されるか解らない”は本当によく思っていることで。私はわりと本気で「殺されるんじゃないか?」ということを考えちゃうんですよ。

――いやいや、殺されはしないと思いますけど(笑)。

ニノミヤ ふとした時にすごく不安になることがあるんです。例えば、電車に乗っているときに「この電車の中に爆弾を持っている人がいたらヤバい……」とか、「ここで売っている食べ物に毒が入っていたらどうしよう……」みたいな(笑)。そういう妄想がちな部分がそのまま出ているフレーズと言いますか。でもその後の“楽しいことは嫌いじゃない”も私そのままで、ふと怖くなったりするけど、やっぱり楽しいことは嫌いじゃないんですよね。いろんなことをやりたいし、でも自分を好きになれないのもそうですし、自分のチグハグ感というか矛盾を抱えている感じがそのまま出ているというか……いやあ、この曲の歌詞は本当に私そのままですね(笑)。

――ビッグバンド系のジャジーで大人っぽい曲調が洒脱ですし、「ヤミノニヲイ」という曲名が何となくニノミヤさんの名前をもじっている感じもいいですよね。

ニノミヤ 微妙にアナグラムになっていそうでそうじゃないっていう。でもそれが逆にいいんですよね。絶妙な感じがあって、曲調も含めてお洒落な曲だと思います。

――また、「私だけの、革命。」と同じくfhánaの佐藤さんが作編曲、ニノミヤさんが作詞したバラード調の「光なくても」は、今のニノミヤさんだからこそ書ける曲だと感じました。

ニノミヤ 先に佐藤さんに書いていただいた「私だけの、革命。」では、私の強い部分や固い意志を打ち出したので、逆にこちらでは私の抱えている不安や弱みの部分を書けたらいいなと思って。私はいろんな人の背中を押したり手を引っ張るようなことはできないかもしれないけど、誰かに寄り添うぐらいのことはできるかなと思うんです。だから少しでも聴いてくれる人の助けになればいいなという想いを込めて歌いました。あと、この曲は私の中では卒業ソングというイメージもあるんです。特に2番からは、卒業に合わせた決意の歌になっていると思います。

――Dメロにある“光が強くなる程、影が濃くなっていくから”というフレーズは、それこそ2年前までは普通の女の子だったニノミヤさんが、オーディションに合格して、声優活動を始めて、今回アーティストデビューをされる、その状況とも照らし合わすことのできる歌詞なのかなと思いました。

ニノミヤ そうですね。やっぱりいろんな人に見てもらえて、お仕事をさせていただいて、そうやっていろいろ活動していく分、悩みも増えていくところがあって。でも、きっとそれはたぶんみんなそうなんだろうなと思うんですね。楽しいことをすればするほど、自分の中で抱えなくてはいけないこともどんどん大きくなっていく。この曲ではそういうことも表現できればと思いましたし、このフレーズは佐藤さんにも褒めていただいたところなので、素敵なDメロになったんじゃないかと思います(笑)。

――この曲で感動的にアルバムを締めくくるのかと思いきや、最後に湘南乃風の若旦那こと新羅慎二さん提供の妖艶な歌謡ロック「あどけなさも私の武器にする」があるのも攻めてますね。

ニノミヤ これは曲調的に昭和歌謡っぽくて、私と重なる部分もあり、すごく背伸びした部分もあり、私のいろんな部分が混じっている曲だと思います。でも、この曲も必死さが出ていると思うんですよ。アルバムには優しい部分や柔らかい部分もありますけど、やっぱり私のやりたいことは必死さを打ち出すことなので、曲順的にもその気持ちが表れた曲になりました。

――今回のデビューアルバムはご自身にとってどんな作品になりましたか?

ニノミヤ デビュー作から自分のやりたいことをたくさんやらせていただいて、「私ってこういう人です」という自己紹介にもなりますし、バラエティにも富んでいるので、10曲聴いても飽きのこない、色の濃いアルバムになりました。声優さんがアーティストデビューされる場合、ご本人のそれまでのイメージを映した曲を歌われる方が多いと思うんですけど、私は今まで見せてきた自分と180度方向転換した感じなので、ファンの方には「驚かせてしまってすみません」と思っているんですけど(笑)、「こういう自分もいるんだよ」と伝えることができてうれしいです

――3月と4月にはニノミヤユイとしての1st LIVE“愛とか死、或いは名もない感情からの逃避”を、東京と大阪で開催することが決定しています。インパクトの強いタイトルですけど、これは自分でつけたんですか?

ニノミヤ はい(笑)。今回は『愛とか感情』を引っ提げてのライブなので、その単語をちょっと散りばめられたらいいなと思って。それと私的には日本語の長いタイトルが好きなので、スタッフさんに「タイトルを考えてみて」と言われたときに、ダメ元でいくつかの候補を考えたんです。そしたら、自分でもいちばんダメだろうと思っていたものが採用されてしまって(笑)。自分でも強烈だなあと思いますけど、今回のアルバムには「愛」とか「死」といった、人間のどうにもならない部分を突いてる曲が多いので、そういう自分ではどうにもできなくて揺らいでしまう感情を打ち出す、エモーショナルなライブにできればと思っています。

――いよいよ本格デビューとなりますが、今後どんなアーティスト活動を行っていきたいですか? 将来的な大きな夢や願望を含め、お聞かせください。

ニノミヤ まず、アニメや声優さんのことを全然知らない人にも「この曲いいなあ」と普通に思ってもらえるような、声優という枠に捉われないアーティストになりたいです。私は声優とアーティストの両方をちゃんと本業としてやっていきたい想いがあるので。そのなかでもアーティストとしてやってみたいこととしては、いつか生バンドに入っていただいてライブをやれたらという願望があって。やっぱりひとりで歌っているのと複数人で活動するのでは違いますし、生演奏はいいなあと思うので、いつかはバンドと一緒に活動して、他のアーティストさんと対バンとかもできれば楽しそうだなあと空想しています(笑)。

――もしバンドで自分も楽器演奏するとしたら?

ニノミヤ 実はバースデーイベントのときにランティスさんからキーボードをいただいたので、それを頑張ろうという意志はあるんですけど……(笑)。フルートはやっていましたけど、ピアノは全然弾いたことがないド初心者なので、一向に上手くならないんです。いつかはキーボードを弾ければと思いますけど、今はいつになるのかなあ……っていう感じです(笑)。

Interview & Text By 北野 創(リスアニ!)


●リリース情報
ニノミヤユイ デビューアルバム
『愛とか感情』
1月15日発売

品番:LACA−15805
価格:¥2,700+税

<INDEX>
01:愛とか感情
作詞・作曲・編曲:バグベア
02:ヤミノニヲイ
作詞・作曲:カノエラナ 編曲:坂東邑真
03:Lemon Gelato
作詞:ミズノゲンキ, eNu 作曲・編曲:睦月周平
04:乱反射↘↑↗
作詞:ニノミヤユイ, バグベア 作曲・編曲:バグベア
05:私だけの、革命。
作詞:ニノミヤユイ 作曲・編曲:佐藤純一(fhána)
06:呪いを背負って生きたいよ。
作詞:ケンカイヨシ, 國土佳音 作曲・編曲:ケンカイヨシ
07:わたしを離さないで
作詞・作曲:氏原ワタル 編曲:馬渕直純
08:安心 to the 安全
作詞・作曲・編曲:佐伯youthK
09:光なくても
作詞:ニノミヤユイ  作曲・編曲:佐藤純一(fhána)
10:あどけなさも私の武器にする
作詞・作曲:新羅慎二 編曲:川口大輔

※透明二方背スリーブ付き

●ライブ情報
ニノミヤユイ1st LIVE
「愛とか死、或いは名もない感情からの逃避」

東京公演 ※完売御礼!
3月28日(土) 東京・下北沢GARDEN
料金:¥4,000+税(別途ドリンク代600円必要)
主催:ホリプロインターナショナル / バンダイナムコアーツ

大阪公演
4月11日(土)大阪・梅田Zeela
料金:¥4,000+税(別途ドリンク代600円必要)
主催:ホリプロインターナショナル / バンダイナムコアーツ
チケットは現在、一般先行抽選販売を受付中。
お申し込みは2月17日(月)23:59までとなります。

応募はこちらから

<PROFILE>
ニノミヤユイ(アーティスト) / 二ノ宮ゆい(声優)
2001年9月6日生まれ・神奈川県出身のA型。ホリプロインターナショナル所属。
2017年に開催された「次世代声優☆ミラクルオーディション」で特別賞を受賞すると、2018年4月より放送が開始されたTVアニメ『アイカツフレンズ!』の日向エマ役で声優デビューを果たした。同作品では歌唱も担当している。
声優時は「二ノ宮ゆい」、アーティスト時には「ニノミヤユイ」として表記を変えて活動。
2020年1月15日に、デビューアルバム「愛とか感情」でランティスレーベルよりアーティストデビュー。
3月28日(土)に東京・下北沢GARDEN、4月11日(土)に大阪・梅田Zeelaにて、1st LIVE「愛とか死、或いは名もない感情からの逃避」を開催。
趣味はカラオケ・本屋巡り・リズムゲーム・朗読・歌詞の深読み。
特技は楽器演奏(フルート)・書道(毛筆初段/硬筆3段)・立ち幅跳び・50m走(7.2秒)。
座右の銘は「思っているより人間は強い」。

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