キャラクターとリアルバンドがリンクする「BanG Dream!」。このガールズバンドプロジェクトから生まれたRoseliaとRAISE A SUILEN、2つのバンドが合同ライブ「Rausch und/and Craziness」を11月30日（土）・12月1日（日）に幕張メッセ国際展示場4～6ホールで行った。出番を入れ替え、セットリストも完全に異なるというこだわりの2公演の内、ここでは12月1日公演の模様をレポートする。

RoseliaとRAISE A SUILEN、それぞれのキャラクターを交互に紹介するムービーが流れたのち、先手としてステージに姿を現したのはRAISE A SUILEN。レイヤ役のRaychell（Ba.&Vo.）が「思いきり暴れていきな。いくよ」と客席に語りかけると5人は「Invincible Fighter」でライブを開始する。1曲目から紡木吏佐（DJ）がタオルを振り回しクラップを誘って観客のテンションを一気に高めていった。さらに「RAISE YOUR HANDS, NOW！」のコールアンドレスポンスから「A DECLARATION OF ×××」を畳み掛けると、紡木のMCでメンバー紹介へ。5人はそれぞれテクニカルなソロプレイで観客を魅了する。

RAISE A SUILENのライブ中盤はカバー中心に。「ヒトリノ夜」を「ロンリーロンリー」の大合唱が巻き起こるRAISE A SUILEN流のハードな楽曲に仕立てると、パレオ役の倉知玲鳳によるキーボードソロからの「激動」では幾度となくファンをジャンプさせる。また前日のハロー、ハッピーワールド！、Pastel＊Palettesに続いて、この日も「バンドリ！」プロジェクトのGlitter*GreenとAfterglowの楽曲を披露。「Don’t be afraid!」「Y.O.L.O！！！！！」の2曲でファンを楽しませた。

夏芽（Dr.）によるパワフルなビートにギターとスクラッチが絡み、長時間のインストプレイから繰り出されたのは2020年1月22日発売の4th Singleに収録される「HELL! or HELL?」。ヘッドバンギングや大量のコールを誘発するハードなナンバーで、小原莉子（Gt.）はステージに倒れ込んで弦をかき鳴らす。そして彼女たちのライブ最後の曲も新譜に収録される表題曲「DRIVE US CRAZY」。大量のスモークが焚かれる中、エネルギッシュなステージが展開し、最後はシャウトと共にフィニッシュ。ほぼMCなしで10曲を続けてRoseliaにバトンを渡す。

クラシックに乗せて時計や青い薔薇といったモチーフが配された映像が流れたのち、一瞬の静寂から「先導者となって渡れ世界」の鮮烈なフレーズとともにRoseliaが登場。紫のペンライトが振られる中、相羽あいな（Vo.）を中心に「Legendary」「ONENESS」と続けてライブをスタートさせる。次の「LOUDER」を始め、RoseliaのライブではディスプレイにアニメMVが表示され、MCでも演じているキャラクターらしいやり取りを交わして自身らの世界観を提示する。

そうしたキャラクターとキャストのリンクが最高潮に達したのが、中島由貴（Gt.）が「クリスマスに欲しい物」という話題を切り出してからのくだり。メンバーがそれぞれ欲しい物を語る中、相羽は「私は何もいらない。こうしてRoseliaとしてライブができるだけでいいもの」と語って5人の絆を感じさせる。そこからアニメ「BanG Dream! 2nd Season」のオープニングを飾った「BRAVE JEWEL」に突入すると、続いてディスプレイに映し出されたのは同アニメの#9。合同文化祭のステージで氷川紗夜が妹の日菜からギターを手渡され、湊友希那のRoseliaの一言からライブが始まるというワンシーンを経て始まったのは「Determination Symphony」。アニメの名シーンをそのまま再現すると、友希那役の相羽が「紗夜、今日はギターの音色が違う」と指摘。それに紗夜役の工藤は「この日のライブのためにギターを借りた」と応じて会場を湧かせた。

熱量溢れるステージはその後も続き、「PASSIONATE ANTHEM」や「熱色スターマイン」ではお立ち台に登った相羽が高らかに歌い友希那同様のカリスマ性を見せつける。ラストの「FIRE BIRD」ではアニメMVが流れ、幾度となく炎がステージ前面にあがる中、5人がそれらに負けないほどの熱演を見せる。するとファンも「Lala,lalala」のシンガロングで応えて本編のクライマックスを彩った。

こうしたライブの合間には、「おとぼけガールNo.1決定戦」と題したコメディテイスト全開の映像が上映された。内容はRoseliaとRAISE A SUILENの面々が生徒に扮し、戸山香澄役の愛美が行う授業を通じて成績を競うというもの。しかし最初の英語の授業から相羽が「magician」をマギシャンと和訳し、小原が遅刻してくる様子が観客の爆笑を誘い、その後も「白金“りんこ”役の志崎“かのん”です」の漢字をRoseliaメンバーの多くが間違え、RAISE A SUILENは解散の危機に瀕するなど珍場面が続出。最後の成績発表では3位の志崎樺音（Key.）、2位の倉知玲鳳（Key.）を抑えて、全教科でバランスよく好成績だった中島がトップとなる。一方で相羽とRaychellが最下位を争い、わずか6点差でRaychellが最下位に。ただしこれはあくまで「おとぼけガールNo.1決定戦」。授業全体を通じてボケを飛ばしまくった紡木が一番のおとぼけガールと認定された。

アンコールはRoseliaとRAISE A SUILENの10人によるセッション。「R･I･O･T」では相羽とRaychellの2人が肩を抱いて熱唱し、工藤と小原がギターソロを奏でるなどバンドを超えた絡みも多く見られ、会場はふたたび熱気を取り戻す。するとその後に公開された映像で香澄が「私達もRAISE A SUILENやRoseliaと一緒にやりたかった」「もっとキラキラドキドキすることを思いつきました」と語ってから今後のライブ情報を告知。メットライフドームでの「BanG Dream!」プロジェクト6バンド総出演ライブ、富士急ハイランド・コニファーフォレストでの夏の野外3DAYSと会場未定の秋のPoppin’Party単独公演を組み合わせた「BanG Dream! 8th☆LIVE」という新情報に、会場は大きな歓声をあげる。さらにステージには「みんな～ライブが決まったよ！」の声とともにサプライズゲストとして愛美が登場。RoseliaやRAISE A SUILENの面々と次のライブが決まったことの喜びを分かち合った。

そして「悔いのないよう、ラストの曲を楽しむわよ」という相羽の言葉から始まったラストナンバーはRoseliaとRAISE A SUILENによる「BLACK SHOUT」。相羽とRaychellが揃って4本指を順に折るポーズを決め、紡木によるスクラッチ音も入ってといつもと違う趣きのパフォーマンスが繰り広げられ、クライマックスには2日間のスペシャルな公演を祝うように銀テープが発射された。その後は2人のボーカリストが両バンドを代表して挨拶。Raychellは「今日という日を終えたくないけど、私達は先に進みます。進み続けます」と力強く語り、「『バンドリ！』プロジェクトはみんなの愛があって、スタッフの愛があって、キャストの愛があって本当に素晴らしいと思う。それを全国、全世界に届けたい」と宣言。相羽は「PASSIONATE ANTHEM」の「どんなステージだって微笑みをあげるわ」という歌詞を引用し、「私達、微笑みをあげられたかな？」と観客に問いかけてから「『Rausch und/and Craziness』が楽し過ぎて胸がいっぱい」と公演を振り返る。その上でこの日発表された2020年のライブに向けての思いを「ワクワクドキドキ」と率直な言葉で表現し、観客に「バンドリ！」へのさらなる応援を懇願した。

なおアンコールで発表された公演以外にも、RoseliaはRausch und/and Craziness単独追加公演「Rausch」を2020年2月1日に武蔵野の森総合スポーツプラザで、RAISE A SUILENはRausch und/and Craziness単独追加公演「Craziness」を2020年2月9日に静岡エコパアリーナで行う。両バンドに魅了されたファンはこれらのライブにもぜひ参戦してほしい。

Text by はるのおと

「Rausch und/and Craziness」セットリスト
2019年12月1日（日）幕張メッセ国際展示場4～6ホール

【RAISE A SUILEN】
01. Invincible Fighter
02. A DECLARATION OF ×××
03. ヒトリノ夜
04. EXPOSE ‘Burn out!!!’
05. Don’t be afraid!
06. Y.O.L.O！！！！！
07. HELL! or HELL?
08. 激動
09. UNSTOPPABLE
10. DRIVE US CRAZY

【Roselia】
11. Legendary
12. ONENESS
13. LOUDER
14. Ringing Bloom
15. R
16. BRAVE JEWEL
17. Determination Symphony
18. PASSIONATE ANTHEM
19. 熱色スターマイン
20. FIRE BIRD

【アンコール】
Roselia×RAISE A SUILEN
21. R･I･O･T
22. BLACK SHOUT

関連リンク

• 『BanG Dream!』公式サイト