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INTERVIEW

2019.12.16

アニソンカバーアルバム『没入time mixed by DJ和』をリリース!暁月凛インタビュー

アニソンカバーアルバム『没入time mixed by DJ和』をリリース!暁月凛インタビュー

日本のアニメが大好きでアニメシーンに飛び込んだだけに、作品の世界観に寄り添いながら生命力に溢れた力強い歌声を聴かせてきた暁月凛。2016年のデビュー以来、順調に活動を重ねてきた彼女が、2019年12月11日に初のアニソンカバーアルバムをリリースした。「没入time mixed by DJ和」と名付けられたこのアルバム。なんと20曲もの楽曲を歌い上げた暁月凛の、その歌声を日本が世界に誇るJ-POP DJであるDJ和がミックス!まるでひとつのアニソンカバーライブを見るような躍動感と強い想いが込められた歌声をこの1枚でノンストップに体感したい。そんなアルバムについて暁月本人を直撃した。彼女の本作に織り込んだ想いとは。

――アニソンカバーアルバム「没入time mixed by DJ和」を作ろうという話になったときにはどのようなお気持ちでしたか?

暁月凛 実はデビューする前から、いつかは自分が影響を受けたアニソンをカバーしたいと思っていたんです。でもまさか本当にそれが出来るなんて思っていなかったので、お話を最初に聞いたときには「やったー!」と素直に喜びました。

――いつかやりたいと思っていたカバーアルバム。ご自身の中で「この曲を」「こっちの曲も」と、いろいろとカバーしたい曲も構想してきていたんじゃないでしょうか。

暁月 カバーしたい、と想像しはじめたときから天野月子さん(現・天野月)の「蝶」は絶対に歌おうと思っていましたね。

――ゲーム「零」シリーズの楽曲の中でもむしろ「聲」が人気が高いような印象もあったり、実際にカバーされる方でも「聲」が多いようにも感じていたので、「蝶」は意外でした。

暁月 もちろん「聲」も好きですし、「ゼロの調律」も好きなんですけど、わたしが最初に聴いた天野さんの楽曲が「蝶」だったからだと思います。でも「零」シリーズが大好きな自分にとっては「蝶」がいちばん印象として強かったですし、天野さんを好きになったきっかけの1曲でもあるんです。それにわたしの精神世界を大きく左右した楽曲でもありますね。中学生の頃に日本のアニメ作品に夢中になっていて、その頃にKOTOKOさんや天野さんの楽曲がわたし自身を形作る主旋律になっていたんです。だから自分にとって「青春」というと「蝶」とか「Re-sublimity」が流れてくるような感覚があるんです。その当時に出会ったこともあって、わたしの人生の中でもかなり長い時間をおふたりの楽曲が支えてくれています。

――中学生の頃に出会ったというKOTOKOさんの「Re-sublimity」や天野月子さんの「蝶」が入っていますが、今回のラインナップを見るとほかにもRie fuさんの「ツキアカリ」やDo As Infinityの「深い森」など時間軸として少し前の作品が多いような印象も受けます。

暁月 言われてはじめて、昔の楽曲やあまり最近の曲ではないことに気づいたんです。実は自分が楽曲を聴くときにはあまり流行を追っているわけでもないんです。逆に言えば最新の曲だろうとそうでなかろうと、好きなものは聴いていますし、なんだったら「あまり最近の曲ではないですね」と言われたことで、青春時代の作品には味があるんだなぁ、ということに気がつきもしました。もちろん流行の曲も聴きますが。それと普通の人の青春の思い出ソングというと、明るいものだったり、恋愛に繋がるような曲が出てくるのかもしれないですが、自分はそうではない、ということもこのアニソンカバーアルバムで発信していきたいですし、わたしは昔のものを尊く感じるタイプでもあるので、自分自身を表現したラインナップにすると、今回のような楽曲の並びになるんだと思います。

――歌うことが大変だった曲はありましたか?

暁月 angelaさんの「Shangri-La」ですね。大好きな曲なんですけど、歌うのがすごく難しいんです。歌ってみて気づいたこともいろいろとあったんですが、とにかくウラ声と地声の切り替えが上手すぎるんです、Atsukoさんは! それをわたしがやろうとすると、ヨーデルみたいになっちゃうんです。サビなんて特に。本当に簡単には出来ない歌表現にすごく苦悩しましたし、激闘しました。

――それらの楽曲を歌ったことでどんなことを感じましたか?

暁月 初めてこの曲たちを聴いたときの場面を思い出しました。例えば「Shangri-La」を聴いていた頃は、家族とあまりうまくコミュニケーションが取れなかった時期で、よく放課後に街を歩きまわりながら時間をつぶしていたんですけど、そのときに見た景色が浮かんできたし、「蝶」では逆に家族と一緒にアニメを見ていたことが浮かびますし、タイナカサチさんの「最高の片想い」は小学生の頃に聴いていた曲なので、まだオタクとも呼べないような頃だったんですが、中国が舞台のアニメだよ、と友だちから教えてもらってアニメ『彩雲国物語』を見たときに「なんて素晴らしい楽曲なんだ」と衝撃を受けたときのことを思い出しますし、Suaraさんの「夢想歌」は中学の頃のことを思い出す。本当に、聴いていたときのことが思い浮かんでいました。

――「夢想歌」の場合、主題歌となったアニメ『うたわれるもの』の楽曲はほかに河井英里さんの「まどろみの輪廻」も今回カバーしています。『うたわれるもの』であったり「零」シリーズであったり、アニメ作品も思い入れ深いものが多いですか?

暁月 『うたわれるもの』は高校生の頃に観たんです。ほかの作品に比べれば、そこまでわたしの精神世界に深く関わっているわけではないんですが、本当にこの作品で流れた音楽が好きで。SauraさんはアニメだけでなくゲームやOVAなど『うたわれるもの』の曲が多いんです。最近でも「不安定な神様」とか、Sauraさんの曲が本当に好きで。ちなみにそのSauraさんのファンになるきっかけとなったのが「夢想歌」なんです。それもあって『うたわれるもの』の曲は2曲選んだところはあります。

――そしてもうひとつ、今回のラインナップで気づいたことに「闘うアニメ」の曲が多いな、ということです。『犬夜叉』や『シドニアの騎士』などもあって、どちらかというとのほほんとかほっこりとか、そういった世界観のアニメ作品からではないんだな、という印象を受けるのですが。

暁月 言われてみればそうかもしれないです。中国では日常系の作品はドラマとかでもたくさんあったんです。だからわたしの世代の子供たちにとっては日常の、のんびりしていたりほっこりするような作品についてはアニメとしてそれほど大きなニーズがなかったんじゃないかと思います。だからこそみんなが夢中になるのは、大切なものを守るために戦っている主人公の物語であったり、力強さや迫力を持って表現しているような作品だったんじゃないかと感じます。そのあたりが日本のアニメがわたしたちの世代に広がった要因なんじゃないかと思います。

――それで『蒼穹のファフナー』や『灼眼のシャナ』といったアニメも入っているんですね。

暁月 そうですね。そしてそれらの作品の主題歌を歌ってみると、どうして自分がアニメを好きなのか、その理由がわかりますね。戦いを通して人は葛藤したり、哀しみや迷いを抱くと思うんです。でもそれは日常系のアニメでは表現しきれない部分だと思うんです。もちろん日常を描くアニメ作品もすごく好きなんですが、やはりバトルアニメの方がドラマでは表現できない、3次元では生み出せないような価値観を受け取ることができると思っています。

――様々なアニメ作品の楽曲が並ぶ今回のアニソンカバーアルバムですが、ご自身に大きな影響を与えた楽曲を教えてください。

暁月 今回のアルバムは負の感情を表現している曲が多いんですけど、何曲かは明るい曲もあるんです。たとえば水樹奈々さんの「深愛」とか米倉千尋さんの「WILL」とか。でもいちばん自分にとって生の影響を与え続けてくれた曲は、「夢想歌」だと思います。これを聴いたのはまだ幼いときでしたし、夢見がちなわたしにとってはタイトルも歌詞もすごく自分を応援できるような感情になれる曲なんです。はじめてこの曲を聴いたときにあまりのインパクトに、母に「すごく素敵な曲に出会ったよ」なんて話をしたくらい。しかもそのときに味わったドキドキ感も憶えています。わたしに美しい世界を見せてくれる。「夢想歌」は力も与えてくれるんです。だからこそわたしにとってはとても重要なⅠ曲です。

――そんな今作に収録された楽曲はどれも歌うのにもすごく技術だったりテクニカルなものが必要な楽曲が多いように思います。Kalafinaさんもそうですが、独特な抑揚などをつけるアーティストが多い。その楽曲をどうご自身としてカバーしようと思われたのか。意識されたことを教えてください。

暁月 どの曲も難しいです。でもやはり「Shangri-La」、そして高橋洋子さんの「夜明け生まれ来る少女」とか「アンインストール」も難しかったです。どの曲も独特な世界観があり、しかも自分の好みとしてもそういった特徴的な曲が好きなんです。歌うときにもすごく悩んだんですが、原曲の歌い回しを再現するか、自分が気持ちのいい歌い方で自分なりの解釈を届けるか。歌ってみて気づいたんですけど、原曲の歌い回しはご本人にしかできない場合も多いし、自分は自分だからもうちょっと暁月凛にしか出せないものを、と意識しました。他人になる必要はあるかな?とすら思うようになって、最終的には自分なりの表現ができたと思うんですけど、自分の精神世界の上で表現できるものがあるんじゃないか、ということを感じながら歌いました。

――ご自身の歌のスタイルに影響を及ぼした曲はありますか?

暁月 たくさんありますよ、実は。ビブラートをかけるのが好きになったのは水樹奈々さんの影響ですし、声を張り上げる歌表現は天野さんの影響です。それにSauraさんの耽美的な世界観の歌い方もそうですし、Rie fuさんやDo As Infinityさんのように力を抜く表現だったり。考えていくと皆さんから深く影響を受けています。

――この1枚を聴くと、暁月凛を形作る世界を感じられる、そんなアルバムになりましたね。

暁月 自分自身をそのままで表現するのはなかなか難しいと思うんですが、カバーアルバムを通して自分の本質はどんなものか、表現できるいい機会だなと感じましたし、主題歌として作品の顔になっている曲を聴くと元のアニメやゲームがどんな雰囲気かもわかるようにも思うんです。だからより深くわたしのことを理解してもらえるアルバムになったなと思います。……本当は50曲くらい歌いたかったんですけどね(笑)。

――リード曲「蝶」はMVも制作されているということで、その映像も楽しみですが、暁月さんの今後のビジョンを教えてください。

暁月 せっかく作ったアルバムなので、ライブでもこの楽曲を歌いたいです。そして来る2020年は時の流れに身を任せるⅠ年にしたいと思っています。そもそも2019年のわたしも「時の流れに身を任せ」たんです。自分がなにかを行動していくということばかり考えていたんですが、起きることの全てが自分の行動の結果ではないですし、自分で決められることはほんの一部でしかないことに気づいたんです。2019年は自分が意識せずともいいことも悪いことも起きるものだ、と気づく年でもあったんですね。道教で「無為」という思想があるんです。流されるままに起きた事を受け入れる、というものなんですが、今まではそうではない価値観を持っていたんです。でも自分が全てではない、と思ったことで、2020年も大人になって、身を任せながら過ごしていきたいと思っています。

Interview & Text By えびさわなち


●リリース情報
暁月凛
『没入time mixed by DJ 和』
12月11日発売

価格:¥2,000+税

<収録曲>
1.oblivious
2.アンインストール
3.Re-sublimity
4.深愛
5.アイリス
6.WILL
7.夢想歌
8.まどろみの輪廻
9.掌 -show-
10.美しき残酷な世界
11.蝶
12.最高の片想い
13.ツキアカリ
14.深い森
15.いつか溶ける涙
16.夜明け生まれ来る少女
17 Shangri-La
18.Paradise Lost
19.Paradisus-Paradoxum
20コノ手デ

※収録楽曲は、フルサイズもしくは、ワンコーラスでの収録となります。
※すべて暁月凛によるカバー

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