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INTERVIEW

2019.11.27

TVアニメ『アサシンズプライド』EDテーマ担当!メリダ=アンジェル役 楠木ともりインタビュー

TVアニメ『アサシンズプライド』EDテーマ担当!メリダ=アンジェル役 楠木ともりインタビュー

TVアニメ『アサシンズプライド』のEDテーマ「異人たちの時間」がリリースされる。楽曲を歌うのはメリダ役の楠木ともり。アニメではあまり描かれていないメリダの内面を歌った楽曲だ。その美しい旋律とつぶやくように歌う歌声に注目して、ぜひフルサイズでも聴いてほしい。楽曲の魅力や収録時のエピソードを語ってもらった。

13歳の子が歌っているというニュアンスは、自分的にもすごく大事にしました

――『アサシンズプライド』のEDテーマを歌うと聞いたときは、どう思いました?

楠木ともり うれしかったです!そのときはどういう曲がくるのかも予想できなかったので、ただただ「歌えるんだ!やった!」っていう感じで、曲を待っていました。

――どういう曲を予想していました?

楠木 例えば4人で歌って、かわいい感じの曲になるのかな?とも最初思ったんですけど、ひとりということだったので、バラード系は予想していました。ですが、思っていたより重めのバラードで……(笑)。

――重かったですよね(笑)。

楠木 曲より先に歌詞を読んだんですけど、いい意味で歌詞っぽくないというか……。メリダがお母さんに対して書いた手紙とか、自分の日記を覗き見しているような歌詞で、“ねぇ ママってどんな恋をしたの”からもう、涙腺がやばかったです!(笑)。

――メリダには母親がいないですからね。いきなり「ママ」は、結構きました。

楠木 もう打撃が強かったです。そのあとに曲と合わせて聞いたとき、ピアノと声だけで始まっていて、これは涙腺への刺激が強い曲だなぁって思いました。

――アレンジももう出来ていたんですね。

楠木 ほぼほぼ出来ていて、あとは生楽器に差し替えればいいような状態だった気がするんですけど、空気感は出来ていて。でも、最初がピアノと声だけだったので、こんな入り方なんだ!とは思いました。しかもアニメサイズは歌始まりだったので、そのときはどうやってアニメのエンディングになるのかが想像ができなかったんです。でも、本編が終わって、そこにエンディングが付くというより、本編の流れに入っているような使い方をしていただいていて、おいしいところをもらえた感じでした(笑)。1話だと前奏のピアノが流れて、そのまま曲に入っていく感じだったので、楽曲が作品の一部にちゃんとなれている感じがしました。

――作曲の高橋邦幸さんは、この作品の劇伴も書かれていますから、伴奏もサントラっぽいんですよね。

楠木 だからますますBGMのような役割になっていて、それが作品の空気感を彩ってくれていましたし、涙を誘う感じがありました。

――そして、作詞が只野菜摘さんという、素晴らしい作詞家さんなんですけど……。

楠木 本当に素晴らしい歌詞でした。

――シンプルなのに深いですよね。

楠木 そうなんです! 難しい言葉とか凝った言葉を使っているわけではないのに、深くて、意味のある言葉がぎっしり入っている感じで、読んだだけでも伝わってくるんですよね。それを歌に乗せたら、絶対にダイレクトにくるだろうなって、最初に歌詞を読んでいるときから思っていました。

――しかも「異人」って、なかなかタイトルでは使わない言葉ですよ。

楠木 おそらくメリダの周りにいる、メリダを支えくれている人たち、刺激を与えてくれている人たちのことだと思うんですけど、メリダがクーファと同じ立場であれば、異人という言葉は使わないと思うんです。メリダがクーファを見上げている状態だからこそ、出てくるワードなのかなって思いました。

――それほど違って見えてたんでしょうね。1話ではマナ(※この世界の貴族だけが有する特別な能力のこと)を持っていないということで、周りから無能才女と蔑まれていたし。

楠木 でも、メリダはそれでも折れない強さがあって、アニメ本編では気高さや強さ、貴族としてのプライドを見せているんですけど、この歌では、お母さんに会いたい、最近憧れの人ができたひとりの女の子としてのメリダという感じがあるんです。メリダの二面性を本編ではなく歌で出してくるというのは、素敵な表現の仕方だなと思いました。

――ママへの思いみたいなのは、1話で敵に母親と同じ金髪を切られそうになったところでの叫び以外で、そんなに出してないですよね?

楠木 原作ではちょこっと出てくるんですけど、アニメではそこまで触れられていないので、それを歌で補っている感じですよね。

――歌詞の中で、「ママ」が3回出てくるんですけど、そこでのママへの問いかけが、すごく泣けます。

楠木 今、歌詞を見ているだけでも泣きそうですもん(笑)。レコーディングのときから泣きそうで、「ママ」のあとに続く質問って、普通はすぐにお母さんに聞けるようなことじゃないですか。それが聞けなかったっていうのがまずあって、聞けないままここまで来てしまったメリダの切なさを煽ってくるというか……。(ちょっと泣くのを堪えながら)いやぁ、泣いてしまう……。

――メリダのそういう背景を知っていると余計に泣けますよね。

楠木 私、最初と最後の関係性が好きで。最初が“どんな恋をしたの?”から始まって、最後が“恋しいとき どう伝えていたの?”で終わるっていう。

――それが聞けなかったんですよね……。でも2回目の“寂しいとき どうほほえんでいたの?”も、かなり切なくないですか?

楠木 そうなんですよ!お母さんだったら、辛いとき寂しいときは笑わなくていいのよ、泣いていいんだよって言ってくれただろうに、それを聞けなかったがためにこの質問になってしまうという、その切なさがもう、むしゃくしゃします(笑)。感情が!

――すごくメロディに馴染んでいる歌詞だけど、一行ずつ読むと、ハッとするんですよね。

楠木 一つひとつのワードがグサグサ刺さってきます……。

――ほかに気になった歌詞はありましたか?

楠木 全部いいんですけど、1Aの“天使のような人たちは 最初から決まってる どうしてって思うと悲しいね 今までそうじゃなくて”のところは、こんなことをこんなかわいい少女に言わせてしまう環境が、本当に切なかったです。

――レコーディングでは、どんなディレクションがありましたか?

楠木 「歌うというよりは語りかける、話しているような感じで、あまりメロディを追わないでください」というディレクションだったんですけど、「歌なのにメロディを追わない!?」と驚きました。それと、だいたい暗い曲って、暗く始まるけど最後には希望があって、明るく、メジャーコードで終わりましょうってなるじゃないですか。そのつもりで歌っていたら、高橋さんが「最後は消えいるような感じで」とおっしゃって(笑)。「切なく儚く終わってください」ということだったので、最後まで方向性を変えないんだ!って思いました。なので切なさマックスなのは、最後のところなんです。でも、完パケの音源をもらったとき、あえて最後はそう歌って正解だったんだなと思いました。

――全体的に、自分が持っていったプランとも、だいぶ違っていたんですか?

楠木 そもそも原作は読み込んでいたので、メリダならどういう言い方になるだろうとか、どういう気持ちでここは話しているのかな?っていうのは自分なりに考えて収録に臨んだんですけど、私の持っていった歌はことごとく使わなくなりました(笑)。すごくオーバーな繊細さを大事にしたというか。サビとかCメロの盛り上がるところは、仮歌だと華やかに可憐に歌ってらっしゃって、ここはメリダの貴族としての強さを出すんだなと思って歌ったら、もっとつぶやく感じというか。特にBメロのサビは「Aメロよりは張るけど、全然出さなくていいです」ということだったんです。なので、この曲はメリダのモノローグとしてだったり、お母さんと一対一で向き合っているメリダの歌なんだなっていう解釈が、そこで初めて生まれました。

――だいぶプランも変わりましたね。

楠木 音程も低くはないので、あまり張り上げずにこの高さに持っていくんですけど、盛り上げ感を出し過ぎずにというバランスがすっごく難しかったです!『アサシンズプライド』って、作品自体もすごく繊細で、いろんな要素のどれかひとつが欠けていても『アサシンズプライド』にはならないと思うんですけど、その繊細さを楽曲にそのまま持ってきた感じでした。なので、レコーディングはすごく時間がかかりました。

――聴いてても、すごく息が多めというか、呼吸がものすごく聞こえるんですよね。

楠木 自分の息はすごく聞こえますね。ちょっとぷるっと震えたのも直さずに入っていたりして。たしかにアニメ本編のメリダを演じるときも、アニメっぽい演技というより生っぽくリアルに、そこにメリダがいるかのように、ナチュラルな演技を心がけようと思っていたので、そこからの歌となると、こうなるよなーって。

――メリダ感はありますね。

楠木 耳元で歌ってる、しゃべってる感じの楽曲になっていたらいいなぁって思います。

――いい音で、わりと大きめの音量で聴くと、空気感がより伝わってきましたよ。

楠木 じゃあ、ぜひボリューム大きめで、いい音響で聴いてくれたらうれしいです(笑)。

――楠木さんなら、歌も上手く歌うこともできたと思うんですけど、本当にナチュラルめというか、歌い過ぎてない。そこで歌ってる、語っているような生感はたしかにありました。

楠木 最初、そういうのも狙って、楽曲として良くする方向も考えていったんですけど、「ナチュラルでいいです」ということだったので。テイクもあえてナチュラルめなものを選んでくださっている感じでした。完成され過ぎず、不安定な感じの空気感がメリダらしさを出しているのかなと思いますし、13歳の子が歌っているというニュアンスは、自分的にもすごく大事にしました。

――個人的には2Aの“ふっと 気づく 友達の中で~”の、「ふっと」の歌い方が意外だったし、とても良かったです。

楠木 ここは仮歌でもしゅんと消え入る感じだったので、そこは汲んで歌ったんですけど、音が取れなくてすごく大変だったんですよ!(笑)。だから何度も録り直しました。若干フラットになってしまって、きれいに上に行かなかったんです。でも、それ以外にも、「単語のアタックをあまり強くしないでください」というディレクションもあって、全体的に繊細でなめらかな曲だから、言葉を強く歌うと角が立って浮いてしまうようで、つぶやいている感じ、はっきりしない感じをすごく出して歌った記憶があります。だから、いただいたディレクションはこれまで歌った中でもいちばん細かかったと思います。しかもワンブロックがとても長いので、「ここのニュアンスを出すために、ここから歌いましょう」と、かなり前から歌っていったので、それも大変でした。

――でも、またメリダで歌いたい?

楠木 歌ってみたいです!すごく歌いたいです!エリーゼと歌うとかもいいですよね。あとはクーファ?メリダというより、メリダと誰かで歌いたいなぁ。

――クーファは強力な歌(「lesson L」)がカップリングに入ってるんで……(笑)。アニメは後半戦に入っていくところですが、前半で好きなシーンはありますか?

楠木 4話でエリーゼに、私には「勝てない、でしょ?」と言われたあと、5話でエリーゼと戦って倒して、「私の方があなたより強い」って主張するシーンがすごく好きで。メリダが感情を出して、エリーゼに対して涙を見せるというのも、私自身、感情をすごく動かされたので、演じていて「やっと(エリーゼに気持ちを)言えてよかったね」って思いました。あとは1話の襲われたシーンで、「お母さまの形見なの! 死んだお母さまと同じ金色なの!」って叫ぶシーンがすごく好きです。

――かわいいシーンというよりは、感情が激しく動くシーンばかりですね。

楠木 こんなかわいい子が全力で叫ぶので、演じていてすごく楽しかったんです。熱量があって演じがいがあったというか。かわいいだけではなく、苦しむ表情にもすごく惹かれる部分が、オーディションのときからあったので、それを思った通りに演じられて良かったです。

――メリダは辛くても、健気に頑張っていく感じがいいですからね。

楠木 そうなんです、そこから成長していくところも魅力です!

――クーファが来たときの浮かれ具合もよかったですが。

楠木 そのギャップがいいんですよ。でも、1話でメリダが襲われたとき、クーファに助けられるんですけど、倒れているメリダにクーファが手を差し出してくれるんです。でも、メリダはそのときその手をとらないんですよ。その行動で、いかにメリダがこれまで自分の力で頑張ろうとしてきたかが伝わってくるんです!そこからクーファとの関係がどんどん近くなる感じもいいんですけど、最後まで見たとき、また1話に戻ると、最初は全然違ったんだなって思うと思います。

――最後に、アフレコを終えた感想も教えてください。

楠木 こんなにも繊細な作品って、あまりないと思うんです。音も最低限といった感じでしたし、BGMだけのときもあれば、何も音が鳴っていない時間もある。監督さんも、作品の空気感を守り抜くためにすごくこだわったとおっしゃっていましたけど、それにどうにかして応えたいという気持ちもありました。その空気感を壊す演技をしちゃいけないというのが、いい意味の緊張感につながっていたので、この作品のアフレコはすごく勉強になりましたし、何よりすごく楽しかったです。

Interview & Text By 塚越淳一


●リリース情報
ED主題歌
「異人たちの時間」
アーティスト:メリダ=アンジェル(CV.楠木ともり)
11月27日発売

品番:EYCA-12733
価格:¥1,200+税

<CD>
1.異人たちの時間
2.lesson L
3.異人たちの時間(Instrumental)
4.lesson L(Instrumental)

「異人たちの時間」
作詞 : 只野菜摘
作曲・編曲 : 高橋邦幸(MONACA)

※収録内容等は予告なく変更になる場合がございます。

●作品情報
『アサシンズプライド』放送中

TOKYO MX  毎週木曜24:00~
サンテレビ 毎週木曜24:30~
BS日テレ 毎週木曜25:00~
AT-X 毎週木曜23:30~ ※リピート放送あり

【スタッフ】
原作:天城ケイ (ファンタジア文庫)
原作イラスト:ニノモトニノ
監督:相浦和也
構成:赤尾でこ
キャラクターデザイン・総作画監督:吉川真帆
総作画監督:齊藤佳子
美術監督:松本実希子(スタジオ風雅)
色彩設計:小山知子(Fine Colors)
撮影監督:宮坂凌平(レアトリック)
CG監督:柴田 渉(EMT2)
編集:瀧川三智(リアル・ティ)
音響監督:本山 哲
音響制作:HALF H・P STUDIO
制作:EMTスクエアード

【キャスト】
クーファ=ヴァンピール 小野友樹
メリダ=アンジェル 楠木ともり
エリーゼ=アンジェル 石川由依
ロゼッティ=プリケット 薮内満里奈
ネルヴァ=マルティーリョ 佐倉綾音
ミュール=ラ・モール 内田真礼
サラシャ=シクザール 和氣あずみ

©2019 天城ケイ・ニノモト/株式会社 KADOKAWA/アサシンズプライド 製作委員会

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