KOTOKO 15th Anniversary SPECIAL SITE~FIFTEEN TALES~ #12

「KOTOKO LIVE TOUR 2019 ”tears cyclone -醒-”」ファイナル公演レポート

2019年9月7日にKOTOKOのワンマンライブ「KOTOKO LIVE TOUR 2019 ”tears cyclone -醒-”」が東京・TSUTAYA O-EASTにて開催された。昨年より始まったメジャーデビュー15周年イヤーのなかでアルバム2部作の2作目にて、I’ve時代の盟友でもあるクリエイターの中沢伴行とタッグを組んだ1枚『tears cyclone -醒-』を伴うツアーということで、KOTOKO×中沢楽曲がセットリストのほぼ全曲を占めるという構成となった今回のツアー。ファイナルとなったこの東京公演では、そうした『tears cyclone -醒-』および中沢とのタッグを網羅し、さらには15年というキャリアを深みというものまで示した圧巻のステージとなった。

インダストリアルなSEからの「醒 -metallic tears-」のイントロが流れると、客席の大歓声に迎えられてKOTOKOが颯爽とステージに登場して、この日のライブはスタートした。とにかくステージに発せられるオーディエンスの歓声がすさまじいのだが、対するバンドのサウンドもそれ以上にラウド。ツアー前に、KOTOKO本人に話を聞いたときは、高瀬一矢サウンドを再現するべくデジタルサウンドが多く含まれた昨年の『tears cyclone -廻-』ツアーに対して、今回は中沢伴行サウンドによる『teaers cyclone -醒-』の楽曲がメインとなるだけに、バンドサウンドを中心に音を組み立てると語っていたが、たしかにギター、ベース、ドラムのバンド隊のサウンドが前面に押し出されたものとなっている。またこの曲においては、八木一美による冷徹なビートを土台としたマシーナリーなニュアンスが強い印象。そしてそれに乗るKOTOKOのボーカルは、のっけからクライマックスと言わんばかりのフルパワーで叩きつけてくる。こうしたクールなサウンドと熱のこもった歌唱で一気に観客の熱狂を生み出した。

直後に「KOTOKO×中沢伴行の音楽の世界をじっくりとお届けしたいと思います」とKOTOKOが宣言したあとは一転してメロディアスな「水無月の恋〜mimetic memory〜」へ。大島信彦の柔らかなギターカッティングとシンセのフレーズに乗せて聴かれる優しい歌唱がまた心地良い。そのあともではギターのクリーントーンと硬めなドラムに乗せながら、エモーショナルな歌唱を聴かせる「雨とギター」「scale〜変ホ短調のラブレター〜」とメロディアスな楽曲が続く。豊かなメロディを聴かせる中沢サウンドとKOTOKOのエモーショナルな歌唱に対して、硬質なビートを中心としたサウンドの融合、これこそが『tears cyclone -醒-』サウンドなのがわかる。そして観客も歓喜と驚きが混ざり合ったようなどよめきが聴かれるなかで鳴らされた「flow〜水の生まれた場所〜」は、今回のサウンドで再構築されたのもまた意義深い。KOTOKO自身もそうした15年のキャリアを経ての進化を見せるかのように、素晴らしいボーカルを聴かせていた。

「今回のアルバム2部作通して涙を大きなテーマになっています。最初はこのテーマでアルバム2枚作れるかなって心配だったんですけど、今回改めてその大きなテーマに向き合うことができよかったなって思います」というMCのあと、ヘビィな「ナミダノエノグ」へ。八木のドラムと田口智則のベースから成るボトムのどっしりしたサウンドにKOTOKOもスタンドマイクを前に、パワフルかつエモーショナルな歌唱を見せた。続いてエフェクトがかったボーカルとともにインダストリアルな「Bug」へ。原曲の超ヘビィなテイストにバンドのドライブ感が融合する、独特の熱気を加わった非常に熱い仕上がりになっているのが興味深い。続けざまに「あの焼けた雲に残る影追って…」というフレーズに客席がどよめくなか、KOTOKOがメジャーデビュー前に中沢と作った「HALLUCINO」へ。I’ve時代のフレーバーを感じさせながらも、こちらもバンドのドライブ感を存分に加えた仕上がりだ。アグレッシブな曲が続くなかKOTOKOのエンジンも全開で、「まだまだ盛り上がっていくよー!」とシャウトして「不機嫌な人魚」へ。彼女のエネルギーに応えるように観客も耳をつんざくほどの歓声を送る。

MCでは「みんなすごいじゃん、東京最高!」と叫んでアグレッシブなパートを終えたあとは、しっとりとしたパートへ。『tears cyclone』シリーズのエンディングテーマ的な位置づけとなる「オパール」では、アコースティックギターの心地良いサウンドのなか、まっすぐ伸びる歌唱を聴かせる感動的なシーンとなった。続くセルフカバー曲「明日への涙 -timeless mix-」ではダンサブルなビートに乗せて、センティメンタルなメロディを聴かせる。また現代的なサウンドで鳴らされているとはいえ、そこはかとなく鼻腔をくすぐる2000年代当初の懐かしい匂いがまたグッとくる。そしてMCではオリジナルの川田まみに対して「まみっちへの愛は一途です」と言い切ったあと、おもむろに観客に対して「自分が八方美人ですという人ー!」というアンケートを取りだした。そこから八方美人を題材にした「・HACHI・=Funky puppy ”Eight”」がスタート。レイドバックしたサウンドにキュートな声を聴かせつつ、曲中では最前列の観客に「ハチ、昨日はどこ行ってたの? 楽しかった?」とマイクを向けたり、「ずっと一途でいてほしいな〜!」と観客との交歓を楽しむ。そんなピースフルな展開で終わったかと思うと、おもむろに「CHU! CHU!」というコールが始まり、2001年の名曲「恋愛CHU!」へ。電波ソングの始祖とも呼べるまさかの楽曲に、会場を衝撃とキュンキュンなヴァイブスが入り混じったカオスな熱狂が包み込む。

さらにはMCを挟んで、「覚えてていいよ」という往年の名曲が続く。ライブの定番だけあって、サビでは全フレーズを観客が合唱するという感動的な光景が見られた。そんなアッパーなムードをキープしたまま「Princess Brave」と鉄板曲が続く。そしてKOTOKOの「もういっちょ行くぞー!」の声とともに「トビウオ」へ。ライブ終盤でファストな楽曲の連べ打ちに、どこまでもタフだと驚嘆したかと思えば、さらには「Thank you Birthday!!」とまだまだ続いていく。終盤に、これだけアグレッシブな曲を続けながらもKOTOKOの喉は疲れを見せる気配はない……というかさらにパワーアップしているとすら思えるほどだ。そのあとのMCでKOTOKOは、「こんなに幸せな15周年イヤーを過ごせるとは思っていませんでした」と感謝を述べつつ、「ここにいるみんなが幸せな明日を迎えられますように」と告げて、最後はメロディアスな「azure blue〜天空の架空線〜」で本編を終えた。

アンコールは印象的なシンセのフレーズから、KOTOKO×中沢の名曲「agony」からスタート。MCでは先日出演したNHK「アニソン!プレミアム!夏の生放送SP」の話題へ。そしてそこで披露した「Princess Bride!」「さくらんぼキッス〜爆発だも〜ん〜」と伝説的な電波ソング2曲を続けざまに歌い、祝祭的なムードが会場を包み込んだ。そのあと「育ててくれた両親に対する感謝の曲なんですけど、みんなへの感謝の気持ちを込めて歌いたいと思います」と語って「Gratitude〜大きな栗の木の下で〜」をしっとりと聴かせ、最後にはロッキンな名曲「bumpy-Jumpy!」で記念すべき15周年イヤーのツアーを締めくくった。

ほぼ全編中沢とのタッグで生まれた楽曲での構成ながら、そこにはやはり15年以上の彼女の生き様が刻まれたステージとなった今回のツアー。そうした最新にして未だエネルギッシュなKOTOKOの姿が見られたというのは、15周年というアニバーサリーと同等あるいはそれ以上の感動があった。15年という節目を経て、アーティスト/シンガーとして円熟を超えた存在へとさらなる進化を続けることを示すかのようなパフォーマンスを見て、やはり期待したくなるのはこの先彼女がどんな歌声を聴かせるかだ。そんな15年の高揚感と未来への期待感に包まれた、素晴らしい一夜だった。

Text By 澄川龍一

「KOTOKO LIVE TOUR 2019 tears cyclone -醒-」
2019年9月7日(土)TSUTAYA O-EAST

<セットリスト>
M01:醒-metallic tears-
~MC~
M02:水無月の恋〜mimetic memory〜
M03:雨とギター
M04:scale〜変ホ短調のラブレター〜
M05:flow〜水の生まれた場所〜
~MC~
M06:ナミダノエノグ
M07:Bug
M08:HALLUCINO(日替り)
M09:不機嫌な人魚
~MC~
M10:オパール
M11:明日への涙 – timeless tear mix –
~MC~
M12:・HACHI・=Flunky puppy “Eight”
M13:恋愛CHU! (日替り)
~MC~
M14:覚えてていいよ
M15:Princess Brave!
M16:トビウオ
M17:Thank you Birthday!!
~MC~
M18:azure blue〜天色の架空線〜
~ENCORE~
EN1:agony
~MC~
EN2:Princess Bride! (日替り)
EN3:さくらんぼキッス~爆発だも~ん~(日替り)
~MC~
EN4:Gratitude〜大きな栗の木の下で〜(日替り)
EN5:bumpy-jumpy!


●ライブ情報
2019-2020カウントダウンライブ
2019年12月31日パシフィコ横浜 会議センターメインホール
にて開催決定!

詳細は後日発表

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