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INTERVIEW

2019.08.30

“何もなかった”私が歌う意味――ReoNa、ニューシングル「Null」ロングインタビュー

「この歌はこんなにも寄り添ってくれていたんだ」

――そしてシングルの3曲目にはAqua Timez「決意の朝に」のカバーを収録。この曲もライブでよく歌われていますが、昔から好きな曲だったんですか?

ReoNa 『ブレイブ ストーリー』というアニメ映画の主題歌で、当時CMでもよく流れていたので印象には残っていたんですけど、しばらく記憶の引き出しの奥の方にしまわれていたんです。で、デビュー前のワンマンライブのときに何かアニソンをカバーしたいなと思って、いろんな曲を候補として挙げていたんですけど、ふと「決意の朝に」のことを思い出して。それで改めて歌詞を読んだら、すごく共感の詰まった歌詞だということに気づいたんです。自分の中ではもっと「頑張れ」って応援するようなイメージを勝手に持っていたんですけど、「この歌はこんなにも寄り添ってくれていたんだ」と思って、そこからライブでカバーするようになりました。

――ReoNaさん自身が歌いたいことに近かったと。

ReoNa そうですね。近しいというか、ReoNaとして歌ってきたものに重ねられると思いました。それとAqua Timezさんが解散してしまうというのを知ったときに(Aqua Timezは2018年に解散)、この歌の世界は終わってほしくないと思って。結果的にそういう形にできたという話なんですけど、私がデビュー前から歌わせてもらっているお歌ですし、今回の「Null」という作品にこのお歌を入れさせていただけることにも、物語の続きのページのような意味を感じます。

――「終わり」が苦手なReoNaさんらしい計らいですね。また、シングルの完全数量生産限定盤(CD+DVD+ブックレット)には、「怪物の詩」と同様にReoNaさんがデビュー前から歌ってきたオリジナル曲「トウシンダイ」の新規撮りおろしMVが収められています。こちらはReoNaさんが出演されている実写映像で、ロケ地は学校ですね。

ReoNa すごく久々に学校という場所に行きました(笑)。丸一日かけて撮影したんですけど、あんなに長い時間学校にいたのは初めてというぐらいで。撮影場所の学校は初めていった場所だったのに、学校というだけで懐かしい感覚になるのは不思議だなあと思いました。木の机とかパイプ椅子とか黒板の日直の文字とか、別に思い入れがあるわけじゃないですけど、見るだけで懐かしくなるじゃないですか。私の中で“懐かしい”というのは優しい感情だと思っていて、“懐かしい”気持ちがあれば、いい思い出でも悪い思い出でも人と共有できると思うんです。それは共感に限りなく近い感情だと思っていて、それがすごくたくさん散りばめられている学校という存在は、いろんな人と共有できるものなんだなって改めて思いました。私でも懐かしい気持ちになれるんだなって(笑)。

――誰もいない学校のいろんな場所にReoNaさんが現れる、どこか不思議な雰囲気の映像に仕上がっていますが、どんなコンセプトで撮られたのでしょうか?

ReoNa 学校というのは普通は制服で行く場所だから、真っ黒な衣装を着た私があの空間に存在するというのは異質なことで、あの映像には日常と非日常が隣り合わせになっているんです。雨が降るわけもないのに教室の中で傘をさしていたり、私から羽が降ってきたり。その非日常の部分に、このお歌の世界みたいなものをさらに深く感じてもらえたらと思います。

――ネタバレになるので詳細は伏せますが、特に最後のカットは「トウシンダイ」という楽曲らしい余韻を残すものになりました。

ReoNa あのシーンは“曲が終わった”というだけではない何かが残ればと思ったんです。なので最後のシーンに移るまでの間もすごく考えて、「あともう少しだけ間を伸ばせませんか?」といった相談をさせていただいて、あの秒数でパッと切り替わる形にしたんです。ご覧いただいた方にはゾッとしてもらえたら何よりです。

私が歌わせていただく意味を絶対にお歌に込めなくてはならない

――そのように、神崎エルザ starring ReoNa名義の「Prologue」とReoNa名義の「Null」という2作品で、ご自身のアーティストとしての原点を表現されたわけですが、今年の夏はそれとはまた別に、『ソードアート・オンライン』シリーズの原作小説刊行10周年テーマソングとなる新曲「Till the End」を発表して話題になりましたね。

ReoNa お話をいただいたときは、「私にそんな大役を任せていただいていいんですか?」という気持ちがあって信じられなかったです。私の人生にお歌を歌う理由をくれたのが『GGO(ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン)』の神崎エルザでしたし、そこからReoNaとして歌った「forget-me-not」で『ソードアート・オンライン アリシゼーション』のエンディングを彩らせていただいたり、すごく大切なシーンで「虹の彼方に」(第19話の特殊エンディングテーマ)を使っていただいたり、『SAO』は私にとってもすごく大切な作品でもあるんです。デビュー前はただのいちファンだった私が、そうやって責任あるお歌を歌わせていただくということで、私が歌わせていただく意味を絶対にお歌に込めなくてはならないなと感じました。

――ピアノのみをバックにしたReoNaさんの凛々しい歌い出しから一転、クワイアとオーケストラが壮大さを加味するダイナミックな楽曲に仕上がっていて、まさに絵が浮かぶサウンドと言いますか。

ReoNa 最初に毛蟹さんからピアノメロの入ったデモをいただいた時点で、私がイメージする『SAO』サウンドの印象に近いものがあって、あの広大なフィールドの仮想現実の世界を想像することができたんです。キリトが剣を振るっている絵が浮かんで。なのでレコーディングのときも、「届けたい」という気持ちと「あの世界に重ねて聴いてほしい」という気持ちでお歌をうたいました。この「Till the End」を手に入れるためには、イベントで映像を観ていただくことが前提だったので(本楽曲は、8月4日~18日に東京・秋葉原UDXで開催されていた体験型展示イベント「ソードアート・オンライン -エクスクロニクル-」の巨大4面スクリーンで上映された特別映像にて使用。同会場で販売された10周年記念パンフレット「EX-CHRONICLE」にCDが同梱された)。

――歌詞は生きることの過酷さや非情さのなかで“君”という希望に出会えたことを歌った内容です。

ReoNa 私の中ではこの歌詞の“君”というのは、この楽曲を聴いてくださってる方それぞれの“君”を想像できるものになればと思っていて。例えばキリトから見たアスナや、逆にアスナから見たキリトのことを“君”と言っているようにも解釈できるし、ユージオに置き換えて聴いても楽しめると思いますし。皆さんにそれぞれの“君”とそれに対する“あなた”を考えてほしいなと思いながら歌いました。

――ReoNaさん自身は“君”をどのような解釈で捉えましたか?

ReoNa 私にとっての“君”は、基本的に『SAO』の世界を切り開いたキリトだと思っていて。私もデビュー前からずっと作品を観ていましたし、あの仮想現実の世界にものすごく憧れたりもして。キリトは《アインクラッド》編で救いきれなかった命に後悔している部分がありますけど、それでも逃げずに今でも仮想世界にフルダイブして誰かを助けているし、自分が強いことを押し付けたりもしないじゃないですか。そうやって、誰かに強制するわけでもなく、ただただ突き進んでいる彼自身の強さは、改めて考えると“背中を押さない強さ”なんだなと思って。そんな“君”と一緒に歩める物語の続きが、きっとこれからもたくさん待っていると思うんです。今回の10周年は今までを振り返るものでもありますけど、同時にこれから先を期待させるものでもあるので、私も“君”と見たい未来を一緒に描いていきたいし、まだ物語を追い続けていきたいという気持ちを重ねました。

今はまだ「私の色って何色だろう?」という段階

――ちなみに、12月18日にリリースされる『Fate』シリーズの主題歌を集めたコンピレーションアルバム『Fate song material』に、PS2版『Fate/stay night[Realta Nua]』のOPテーマ「黄金の輝き」の新規アレンジカバーを提供することも決まっていますね。

ReoNa はい。『Fate』シリーズに関わらせていただくのは初めてなのですが、本当に長く愛され続けている大きな作品ですし、その15周年という大きな節目に、すでにたくさんの方に愛されている楽曲を歌わせていただけることになって、楽しみであり、不安でもあり……。私も『Fate/Grand Order』はプレイしていますし、これから私自身も15年の軌跡を辿って歌わせていただければと思っています。

――そして、この秋には全国ツアー<ReoNa Live Tour 2019“Colorless”>が決まっていて、9月21日(土)の大阪・BIGCATを皮切りに6公演を開催。そして10月20日(日)にはZepp Tokyoでの初ワンマンライブ<ReoNa ONE-MAN Live“Birth 2019”>も決定しています。ツアーはどんなものになりそうですか?

ReoNa 今回、“ReoNa ZERO”プロジェクトとして自分のルーツや過去を改めて形にしたシングルをリリースして、そこから“Colorless”という、まだ“色がない”というタイトルを冠したツアーに出るので、そこに来てくださる皆さんとどんな色を描けるのかなと思っていて。なかには初めて訪れる場所や、女性限定公演もありますし、まだ未知数ではありますが、何か新しいものを持っていきたいなと思っています。

――ご自身としては、まだアーティストとして色がついていない意識なのでしょうか?

ReoNa そうですね。今はまだ「私の色って何色だろう?」という段階で。もしアニソンというものが色なのだとすれば、私は“アニソン”や“絶望系アニソンシンガー”というカラーなのかもしれないですけど。でも、「Null」は“何者でもない”ということなので、その「Null」を持って“色がない”というツアーに繋げていく意味は、お歌で届けられたらと思います。

INTERVIEW & TEXT BY 北野 創(リスアニ!)


●リリース情報
「Null」
発売中

【完全数量生産限定盤(CD+DVD+ブックレット)】

品番:VVCL-1485-1486
価格:¥1,600+税
※DVDトールケースサイズ三方背ケース仕様
※DVDトールケースサイズ48ページ撮りおろしフォトブックレット付
<DVD>
「トウシンダイ」ミュージックビデオ、「トウシンダイ」ミュージックビデオメイキング

【初回生産限定盤(CD+DVD)】

品番:VVCL-1487-1488
価格:¥1,600+税
※撮りおろし16Pブックレット
<DVD>
「怪物の詩」ミュージックビデオ

【通常盤(CD)】

品番:VVCL-1489
価格:¥1,200+税

<CD>
M1. 怪物の詩
作詞:毛蟹(LIVE LAB.) 作曲:毛蟹(LIVE LAB.) 編曲:毛蟹(LIVE LAB.)
M2. Lotus
作詞:ハヤシケイ(LIVE LAB.) 作曲:ハヤシケイ(LIVE LAB.) 編曲:PRIMAGIC
M3. 決意の朝に ※Aqua Timezカバー
作詞:太志 作曲:太志 編曲:二村 学

『Fate song material』
12月18日発売

【完全生産限定盤(2CD+BD)】
※武内崇描き下ろしジャケット三方背BOX付
品番:SVWC-70449~70451
価格:¥4,500+税

<CD>
2枚組(全26曲)

<Blu-ray>
ノンクレジットOPED映像(全14曲)

【通常盤】
※武内崇描き下ろしジャケット
品番:SVWC-70452~70453
価格:¥3,600+税

【収録内容】
「Fate/Zero」「Fate/stay night [Unlimited Blade Works]」「Fate/Apocrypha」「Fate/EXTRA Last Encore」といったアニメシリーズOP/ED主題歌・挿入歌やゲームの主題歌など珠玉の楽曲を収録。過去OP曲のリアレンジ楽曲などを収録。ReoNaが歌う「黄金の輝き」も新規アレンジにて収録予定

●ライブ情報
ReoNa Live Tour 2019“Colorless”
9月21日(土)BIGCAT(大阪府)
OPEN 17:00 / START 18:00
9月29日(日)HEAVEN’S ROCK さいたま新都心VJ-3(埼玉県)※女性限定ライブ
OPEN 17:30 / START 18:00
10月5日(土)DRUM LOGOS(福岡県)
OPEN 17:00 / START 18:00
10月10日(木)仙台Rensa(宮城県)
OPEN 18:00 / START 19:00
10月12日(土)THE BOTTOM LINE(愛知県)
OPEN 17:00 / START 18:00
10月18日(金)cube garden(北海道)
OPEN 18:30 / START 19:00

チケット:自由¥5,000(整理番号付 tax in / drink代別)
※4歳以上チケット必要

ReoNa ONE-MAN Live “Birth 2019”
10月20日(日)Zepp Tokyo(東京都)
OPEN 17:00 / START 18:00
チケット:自由 ¥5,500(整理番号付 tax in / drink代別)
※4歳以上チケット必要

(C)TYPE-MOON
(C)Nitroplus/TYPE-MOON・ufotable・FZPC
(C)TYPE-MOON・ufotable・FSNPC
(C)東出祐一郎・TYPE-MOON / FAPC
(C)TYPE-MOON/Marvelous,Aniplex,Notes,SHAFT
(C)TYPE-MOON / KADOKAWA SHOTEN
(C)TYPE-MOON / KADOKAWA
(C)TYPE-MOON (C)2016 Marvelous Inc.
(C)TYPE-MOON (C)2017 Marvelous Inc.
Published outside Japan by XSEED Games/Marvelous USA, Inc. and Marvelous Europe Ltd.
(C)TYPE-MOON (C)2018 Marvelous Inc.
(C)TYPE-MOON (C)2019 Marvelous Inc.

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