リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト

INTERVIEW

2019.07.23

現代を生きる30代の女性をテーマにした5thアルバム『The LIFE』をリリース!楠田亜衣奈インタビュー

現代を生きる30代の女性をテーマにした5thアルバム『The LIFE』をリリース!楠田亜衣奈インタビュー

楠田亜衣奈の5枚目という節目のアルバム『The LIFE』は、ひとりの女性の”人生”を描くという、コンセプチュアルな一作になった。過去や現在、そして未来へと主人公が生きていくなかで、楠田自身は何を伝え、そしてどこに向かって歩を進めようとしたのか。自身の作詞を含めて多くのクリエイターとともに生まれたひとつの人生を1ページずつじっくり語ってもらった。

――ニューアルバム『The LIFE』は、あるひとりの女性の過去から現在、そして未来を描いたコンセプチュアルな一作となりました。このアイデアはどこから思い浮かんだんですか?

楠田亜衣奈 まずライブツアーが決まっていて、楽曲も増えてきたというのもあって今まで一回しか歌ってないような楽曲をまた歌いたいなというのがあったんです。そこでライブも昼と夜でセットリスト変えつつライブ自体にもテーマを持たせたいなと考えていくうちにこのコンセプトに行き着きました。

――そこで出てきたのがひとりの女性を描くというテーマであると。

楠田 主人公を、現代を生きる30代の女性という、私にいちばん近い存在であり、でも私でないという立ち位置にしました。フィクションとノンフィクションの境目というか、どっちにも取れるという感じを軸に決めて楽曲制作を詰めていきました。

――各楽曲で描かれる時代もそこで詰めていったわけですね。

楠田 ただあまり具体的には決めず、テーマがありつつもいろんな書き方ができるようにお願いしました。主軸となる女の子は今いくつでということは決めておいて、そのほかの細かい部分はそれぞれに任せられたらいいなっていうのもあって、30代女性で仕事をしていて今は独身ということだけお伝えしました。なのでいろいろな側面ができて面白かったです。

――そうやってそれぞれの時代を、こだまさおりさんやPA-NONさん、そして楠田さん自身がストーリーとなる歌詞を書いていったんですね。

楠田 そうですね。ひとつのテーマに絞ったコンセプトアルバムであるんですけど、人生っていろんなことがあるのでそこはひとつじゃないというか、アルバムとしても広がりを持たせたかったんです

――ではそんなアルバムの楽曲について順を追ってお伺いします。まず冒頭のタイトルトラック「The LIFE」ですが、いわゆるアルバムのプロローグのようなテイストの一曲ですよね。

楠田 この楽曲を作るときにお願いしたのは、「このアルバムの表紙になるような曲にしてほしい」ってことでした。私自身、歌いながら「あのときこうだったな、たしかに私も不器用だったな」って思いながら、「未来がこうなるといいな」って、なんの作り込みもせずに歌えた、私らしい楽曲だと思います。私が書いた歌詞でも曲でもないんですけど、すごく私らしい曲で、すんなりと気負うことなくありのままで歌えたと思います。

――そうした表紙をめくった最初の章となるのが、続く「きっとずっと」になります。

楠田 これは私のなかの小学校一年生の記憶ですね。これは本当にあった出来事で、モデルになった子もいるんですよ。入学式のときに初めて声をかけてきてくれた女の子がいたんですけど、その子のことを思いながら書きました。

――ご自身の実体験をもとに書かれた歌詞ですが、楠田さんにとっても思い出深いシーンになると。

楠田 小学校のときに何があったと言われたら、きっとこれがいちばんに出てくるんじゃないかなってぐらい私のなかで大切な思い出で。その子はそのあと転校してから一度も会ってないんですけど、そのときの記憶が鮮明だったので、アルバムを人生というテーマにするんだったらこのことは入れたいって最初に思い浮かんだのがこの曲です。ただ歌詞を書くうえで気をつけたのが、その当時の記憶を思い返しているようにしたくて、あまり子供っぽくしないようにしたいなと思って。

――なるほど。

楠田 過去を振り返っているということで、ちょっとたどたどしいこともありつつ、文章自体は大人の人のものにしたかったんですね。なので小学生として歌うわけでもないので、気負わずそのまま歌えました。あと悲しい記憶でもないので明るく、でもちょっと切なく、あの子もきっとどこかで元気で過ごしているんだろうなって思いながら、優しく歌えたかなって思います。

――続いてはちょっと切ないミディアムの「私の中の、わたしとキミ」です。

楠田 これは中学校高校ぐらいの、青春の思い出という感じでお願いしました。わりとざっくりですね(笑)。

――青春の甘酸っぱさも感じる一曲ですが、歌ってみていかがでしたか?

楠田 これも自然と歌えたかな? こだまさんの歌詞って歌っていて「ここどうしよう?」ってならないというか、私が書いた歌詞じゃないんですけど私の言葉にもなっていて、なんというか無理がないんですよ。こだまさんはエスパーなので(笑)、「こういうこと言いたかったんだよ!」っていうのを形にしてくださる方なので、いつもすんなり歌えますね。

――続いてキャッチーなロックチューン「Everlasting my story」。

楠田 20代でがむしゃらに仕事を頑張っている女性をテーマにしました。私自身もその頃は辛いこともあったしそれを乗り越えてきたので、そういうがむしゃらに頑張っているところを書いてほしいなって思って。

――それもあってか、ロッキンなサウンドに楠田さんの声にもがむしゃらなパワフルさがあるというか。

楠田 そうですね。私も当時を思い出しながら歌いました。「あのとき悔しい思いしたよな」「でもあのときがあったからこそ今があるよな」と思って歌っていえました。

――次はミディアムナンバーの「君へ。」です。

楠田 これは時間軸は”現在”で失恋をテーマにしました。過去未来現在で一曲ずつ恋愛の曲入れたいなと思っていて、等身大の私たちの世代の失恋をテーマに書いていただきました。

――そういったテーマのなかで非常に優しいサウンドになっていますね。

楠田 最終的に失恋なんですけど、前向きな感じにしていただきたいってお願いしました。楽曲も失恋で暗い感じというよりかは、明るい楽曲にしたくて。だからこそちょっと切ないところがあるなと思いますね。

――楠田さんの歌唱も失恋のつらさというよりも、そこから未来に進もうとする前向きさを感じます。

楠田 この曲はドラマのシーンをイメージするみたいにして歌いました。なので私の頭の中でMVがあります(笑)。歌うときに「MVを作るならこうだな」ってイメージして歌うことは多いんですけど、この曲はより具体的な映像のイメージを思い浮かべながら歌うとこができました。

――そこから続く「デートしよう!」は、いわゆる恋愛の曲かと思いきや……。

楠田 そうなんです。これ、タイトルだけ見てみんな騙されると思う(笑)。

――デートの一日のウキウキ感を描いたと思いきや、最後まで聞いてみると驚くというか。

楠田 しめしめ、騙されてると思って(笑)。テーマは”オフ”で、お休みの日の一日を描いてほしいって送ったので、最初は私もタイトル見て、「なんで『デートしよう!』なのかな、そんなテーマで送ってないのにって、こだまさんからの歌詞を読んでいたら「おお……なるほど~」って(笑)。こういう一日を書いてほしかったんだよな、それをこうやってまとめてくるのはさすがこだまさんだなって。私にはない発想なので、歌も楽しく歌いました。

――そして楠田さんが歌詞を書かれた「トラベルガール!」ですが、何をしているかというと「旅行に行きたい」と。

楠田 そうなんですよ(笑)。これはすぐ書けました。これは「旅行に行く歌詞」じゃなくて「旅行に行きたいっていう歌詞」なんですよ。

――そこは「デートしよう!」のエアデート感と繋がるものがありますね。

楠田 ただ「デートしよう!」はエアデートといいつつ、ネイル行って映画行ってショッピングしてっていう一日オフを詰め込んで満喫したものですけど、これはただ単に旅行に行きたいというだけの曲です。本当に行くわけじゃないんです。

――いわゆる一曲かけて願望を歌う曲ですよね(笑)。

楠田 ”妄想トラベル”というか、「妄想だったらどこにでも行けるよね」っていうのをテーマに書きたくて。それで曲を聴いていたらいろんな国名を入れたくなっちゃって。

――サビではさまざまな国や都市が登場しますね。

楠田 北京ベルリンみたいな(笑)。

――たしかに「アジアの純真」感はありますね(笑)。

楠田 曲を聴いてリズムに合わせていたら、「あれ、これ国名いっぱい入れたら楽しいってな」ってなって、リズムにはまりやすい国を入れて。「ここはヨーロッパでまとめよう、こっちはアメリカのほうにしておいて」とか、国名なのか都市名なのか、そこも統一していないんですよね。

――「リオに!カナダ!」ですからね(笑)。

楠田 雑な感じがいいんですよ。

――たしかにそのほうが妄想している感が出ますね。

楠田 あまり海外に知識がない人みたいな(笑)。あとはどこが人気の旅行地なのか調べて、そこでプーケットが出てきて「いいじゃん!」って。

――歌詞を書きながら、歌詞の内容と同じことをやっているという。

楠田 そうですそうです。「ここ行きたいな」っていろいろ調べて、あとはギャグ入れてみたり。シャワー浴びながら、「あ、”チャイナにヨッチャイナ”って入れられるなって(笑)。すごく自由に書いた曲です。

――そしてアルバムも終盤ですね。まずはジャジーな雰囲気の「Set me free」です。

楠田 ここから3曲のテーマは”未来”なんですけど、その未来のテーマを3つ分けたんです。当たり前ですけど未来ってまだわからないじゃないですか。なのでパラレルワールドじゃないですけど、どんな未来も可能性はあるということで、まず「Set me free」は30代以降の独身女性を描いてもらった曲で、「つつみこむ」は結婚して子供も出来てという未来を描いてもらった曲です。「Set me free」は”おひとりさま”を書いてくださいとお願いした曲です。

――歌ってみていかがでしたか?

楠田 これがいちばんフィクションというか、「おひとり様物語」という漫画があるんですけど、それをイメージしながら歌いました。おひとりさまでかっこいい、そういう強い女性に憧れもあるので、「こういう女性がいたらかっこいいな」っていうのを思い浮かべながら歌いました。

――そしてもうひとつの未来である、「つ つ み こ む」。

楠田 これは優しい楽曲にしたいなと思っていたので、それがすごく出ているかなって思います。ただこのテーマは私にとってはフィクションで私の中にないものなので、「こうだったらいいな」って想像しながらというのが強い楽曲ですね。

――楠田さんのなかのイメージづくりもある種ぼんやりしているというか。

楠田 そのぼんやりを具体的に曲と歌詞でしていただいた感じですね。イメージの映像はもちろん頭の中にあって、公園で子供と遊んでいて……とか、そういうのを思い浮かべました。

――そして力強いミディアムバラード「my own story」で『The LIFE』を終えます。

楠田 これは決意表明みたいな曲というか。未来に向かって歩いて行くぞという曲になっていて。

――まさにこれからの楠田さんを描くような歌詞ですが、ご自身で書いてみていかがでしたか?

楠田 難しかったです。今まで歌ったことのある曲とも違うし、壮大な曲でどうしようかなって思っていたんですけど、曲を聴きながら思い浮かべたのが砂漠にひとりで立っている映像が思い浮かんで、そこをヒントに書いていったらこうなりました。

――このアルバムでこれまで自身の人生を振り返りながら、そして前向いていくような言葉の強さを感じますね。

楠田 自分自身を見つめ直している曲に近いかもしれませんね。いろんなことがあったなかで、未来に進んでいくという楽曲にしたいなって思って。でも書くのは大変でした。英語がすごく苦手なので、英語のできる友達に聞いてもらったりしました。

――フィクションとノンフィクションの間を行く作風と言いましたが、この曲があることで楠田さん自身も振り返り、そして未来に希望を持つポジティブなアルバムになりました。

楠田 振り返りつつも挑戦したアルバムですね。今回アルバム制作をして、「私ってこうだったんだな」って気づけた曲もあるし、発見が多かった制作でした。

――そして本作を引っさげてのツアーも控えていますから、これがどうライブで聴こえるのかも楽しみですね。

楠田 昼と夜でセットリストをガラッと変えたいと言いましたけど、この間セットリストを考えたら曲数がすごいことになって、これはやべえぞと(笑)。衝撃を受けています。

――そこから今回のアルバムが出発しているわけですが、改めてセットリストを組んでみると驚愕したと(笑)。

楠田 大変ですよ。なんでそうしたのか過去の自分を恨んでいます(笑)。でもあれもこれも歌いたいということで、逆に時間が足りないぐらいで、うれしい悲鳴ですね。頑張ります。

Interview & Text By 澄川龍一


●リリース情報
5thアルバム
『The LIFE』
発売中(7月17日発売)

【初回限定盤A(CD+Blu-ray)】

品番:VPCG-80699
価格:¥4,630+税

<Blu-ray>
「楠田亜衣奈 さんくっすんBIRTHDAY2019 ~The Little Witch~」
2019年2月2日 ヒューリックホール東京公演より
1.ウェルカム・フューチャー
2.Melty Valentine♡
3.アイ・アム
4.アイナンダ!
5.Smileプラス
6.まいにち誰かのハッピーデイ♡
7.舞台裏オフショット

【初回限定盤B(CD+Blu-ray)】

品番:VPCG-80700
価格:¥4,630+税

<Blu-ray>
1.”The Life” Music Video
2.ジャケット&アーティスト写真撮影 メイキング
3.ジャケット&アーティスト写真撮影時 コメント
4.”The LIFE” Music Video撮影 メイキング
5.”The LIFE” Music Video撮影時 コメント

【通常盤(CD)】

品番:VPCG-83538
価格:¥3,056+税

<CD>※全形態共通
1.The LIFE
作詞:こだまさおり 作曲:倉内達矢 編曲:倉内達矢
2.きっとずっと
作詞:楠田亜衣奈 作曲:新屋 豊 編曲:新屋 豊 / 平野義久
3.わたしの中の、わたしとキミ
作詞:こだまさおり 作曲:新屋 豊 編曲:新屋 豊
4.Everlasting my story
作詞:PA-NON 作曲:栁舘周平 編曲:栁舘周平
5.君へ。
作詞:PA-NON 作曲:ArmySlick 編曲:ArmySlick
6.デートしよう!
作詞:こだまさおり 作曲:栁舘周平 編曲:栁舘周平
7.トラベルガール!
作詞:楠田亜衣奈 作曲:熊木敏光 編曲:高尾奏之介
8.Set me free
作詞:PA-NON 作曲:奥井康介 編曲:奥井康介
9.つ つ み こ む
作詞:こだまさおり 作曲:熊木敏光 編曲:eba
10.my own story
作詞:楠田亜衣奈 作曲:新屋 豊 編曲:新屋 豊

●ライブ情報
楠田亜衣奈4th LIVE TOUR-The LIFE-
大阪公演
9月16日(月・祝)
大阪 BananaHALL
Yesterday:14:00開場/14:30開演
Tomorrow:17:30開場/18:00開演
お問い合わせ:キョードーインフォメーション 0570-200-888

名古屋公演
9月23日(月・祝)
名古屋 Electric Lady Land
Yesterday:14:00開場/14:30開演
Tomorrow:17:30開場/18:00開演
お問い合わせ:サンデーフォークプロモーション 052-320-9100

東京公演
9月29日(日)
東京 TSUTAYA O-WEST
Yesterday:14:00開場/14:30開演
Tomorrow:17:30開場/18:00開演
お問い合わせ:ディスクガレージ 050-5533-0888

チケット代:7,000円(スタンディング・別途ドリンク代)
チケット発売中

関連リンク

SHARE

RANKING
ランキング

もっと見る

PAGE TOP