自らをさらけ出して作りあげた3rdミニアルバム『約束の空』が完成!SCREEN mode インタビュー

TVアニメ『ぎんぎつね』の主題歌を歌うために出会った勇-YOU-と雅友のふたりによって結成されたSCREEN mode。そんな彼らがアニメソングではない、自分たちの歌を、とノンタイアップの楽曲だけで制作されたミニアルバム『SOUL』を世に届けたのが2017年2月のこと。あれから2年と少し。SCREEN modeが7月3日にリリースされたばかりのミニアルバム『約束の空』で、再び“自身の歌”を放つ。収録された楽曲たちは勇-YOU-と雅友に肉薄するような、剥き出しの存在感のある楽曲ばかり。シンプルな音の奥から体温のように届くメッセージが印象的な『約束の空』に向けた想いと願いを、ふたりに聞いた。

――SCREEN modeの3rdミニアルバム『約束の空』ですが、前作のミニアルバム『SOUL』ともまた違った世界観、そして普段の楽曲とも印象の違う楽曲が収録されていて、新たなSCREEN modeを感じさせます。

雅友 今まで、アニメソングをやらせていただくことが多かったんですけど、アニメソングというのはそのアニメ作品をある程度説明しないといけない。でも今回はランティスさんから「もう一回ノンタイアップのアルバムを出さないか」と言っていただいたことで制作に動き出しました。元々アニメを表現するだけじゃなくて、自分について歌う、説明をするような音楽をやりたいな、と思っていたんです。特に最近は。なので、今回はそういうものをやろうかな、というのは最初にあったんです。前回のミニアルバム『SOUL』は、単純に僕たちがブラックミュージックが好きだということで、まずはそういう音楽的な部分に焦点を当てて作ったんです。そのときにベースミュージックを自分たちの音で形にすることはやったので、今回は歌詞の方に重点を置きたい、と。それと、アニメミュージックは音数が多くて派手なものが多い傾向にあると思うんですね。たとえば声の途切れる瞬間の息づかいであったり、ビブラートの深さみたいな細かい部分はあまり聴き取れないとも思うんです。それに対して今回は後ろの伴奏をちょっと静かな、奥行きのある音にしておいて、勇-YOU-の歌を細部にわたるまで全部聴かせて、歌詞の内容を深いところまで届けるようなものにしたいな、というのが『約束の空』の制作のスタートになりましたね。

――とは言えSCREEN modeにとってのアニメソングというのは、アニメ作品がありつつもご自身たちを乗せる部分もありましたよね?

雅友 ありました。ただ、比率の問題ですよね。アニメソングに自分たちを乗せているとは言え、少なくとも今までのものは第一命題としてアニメ作品があって、そこに付随してのSCREEN modeみたいな発想でほぼ全曲描いてきた部分があると思うんです。僕らは作品を表現することを大切にしてきているので、自分を表現することを全面に押し出したことは結果として今まではやってこなかった、というのはあります。

――そういう意味でも『SOUL』はSCREEN modeの意外な面を感じさせた最初の1枚だったようにも感じます。

雅友 あれは結構、いろんなことが変わるきっかけになりましたね。気づきがあったり、変化していったりすることのスタ-トになりましたね。

勇-YOU- 『SOUL』のときは音楽的なルーツを重視して、自分が好きで、音楽に目覚めるきっかけになったブラックミュージックを出したいと思って作ったアルバムだったんですよね。今回もノンタイアップということで、何を出していけばいいのかと向き合ったときに、今の自分が思っていることの根っこや、生まれたときのルーツをたどってみるのもいいかな、と思って。そのときに父親のことが思い浮かんだんですよね。僕の父親は若くして認知症になってしまって。しかも進行が早くて、言葉も話せない状態になってしまったんです。そんなことになってしまうんだったらもっといろいろと話をしたかったな、という後悔を感じていて。みるみるうちに身体も小さくなっちゃって、背中も小さくなっちゃった。でもその背中を見たときに、マイナスの部分だけじゃなくて、僕自身に「後は頼んだぞ」みたいな、託すようなエールを飛ばしてくれたような瞬間があったんです。子供って親の背中を見て育つ、とも言いますし、小さいときには背中を見て育つのは当たり前なのかもしれないけど、こうして大人になって、30過ぎてからも背中を見せてくれて、成長させてくれているのかと思うんです。今でも背中で語ってくれているような気がして、改めて頑張っていかなきゃいけないなっていう想いをくれたように感じたんです。それを歌にできたらな、と思って。表題曲である「約束の空」は父のための曲にしようかなと思いましたし、僕にとってはそれが制作のきっかけになりましたね。

――それを聞いて納得しました。今回の楽曲は無駄のない、おふたりの骨格を感じさせられるような印象があって。シンプルにおふたりが見える1枚だと感じますし、そぎ落とした音の潔さを感じさせます。

雅友 そうですね。(シンプルな音を作るという方向に)攻めてると思いますよ。1曲目の「ATTITUDE」みたいな、8ビートの速い曲なんて普通ならエレキギターでジャキジャキさせそうですが、アコギだけでやっていますし、ソロもそれほどガッツリとしていないですし。音を詰め過ぎず、100%じゃないという部分で聴いている人が自分の想像を重ねられる余地が生まれるんじゃないかなと思って。全ての要素を説明的に描くだけじゃない表現があるんじゃないかな、というのは今回のアルバムの、全体を通して思ったところでもあるんですね。「こういうギターソロが来て、最後は感動的なコーラスがあって終わります」という構成って説明的だなという印象があって。100%じゃない音作りによってもっと伝わる部分があるんじゃないかなと最近考えていたんです。

――引き算の美学、的な。

雅友 かっこよく言うとそうかも。

――そこに勇-YOU-さんのお話が加わると、よりおふたりが曝け出された感覚になりますね。

雅友 そうですね。まぁ、ノンタイアップのアルバムなので、そういう人間としての核の部分で共感をしてもらいたいな、というのはありますね。今回、歌詞に関して最初の方にがっつりと取り組んだのは「約束の空」なんです。勇-YOU-のお父さんの話もここに集約されているんです。この曲を中心に制作が進んでいきました。

――そんなミニアルバム『約束の空』ですが、おふたり自身の歌が並ぶ1枚の幕開けとなる「ATTITUDE」。どのようなお気持ちで作られたんでしょうか。

雅友 「ATTITUDE」は勇-YOU-とKino Seiさんで歌詞を書いて、僕らの共通の友人に向けて歌っているものです。

勇-YOU- わりとKino Seiさんのウェイトが強めな作詞になりましたが、「こういうことを歌いたい」とお伝えして書いていきました。

雅友 自分について歌うということだったり、ほかに「smile」もそうなんですけど、特定の誰かに向けて歌う曲というのは、今まではやってこなかったんです。特定の誰かではなく、みんなに歌う、という曲が多かったんですが、そこも今回の制作のテーマのひとつにしたんです。

――特定の誰かへ歌う、ということを。

雅友 そうです。やりたいことだったので、そういう意味でも「ATTITUDE」を1曲目にしました。この曲は応援ソングで。特定の友だちに向けて「もっと前にいこうぜ!」って想いをぶつけています。まさに勇-YOU-が普段から言っている、みんなの背中を押したい、という想いにも繋がりますし。

――ですが、「約束の空」は勇-YOU-さんのお父様への曲と言いつつも、作詞は勇-YOU-さんではなく松井五郎さんがされています。それはどうしてだったんですか?

勇-YOU- たしかに「約束の空」は父親に向けた曲です。でも自分で歌詞の言葉を書いてしまうと、それこそ独りよがりな曲になりすぎちゃうかなと思って。自分が今、父親に対して思っていること・悲しんでいることも全部包み隠さずに松井五郎さんにお伝えして、言葉にしてもらいました。結局、曲って歌ったあとには聴いてくれる人のものになると思っているので、僕が認知症のお父さんに向けて歌ったというだけでは意味合いが狭すぎるな、とも思ったんです。だからこそほかの方に書いてもらおうと。もちろん自分と同じ境遇の人にも刺さったらいいなと思うし、離れ離れになった恋人や大切な人、聴いてくれる人の気持ちにも寄り添って、いろんなドラマを描いて欲しいという想いもありました。

――なぜその楽曲を松井さんにお願いされたんですか?

勇-YOU- 松井さんの言葉って、すごくシンプルだけど、そのシンプルさの中に奥深さがあるんですよね。ひとフレーズひとフレーズに優しさや悲しさが出てきて、本当に言葉によっていろいろな世界観があるとも感じられて。考えさせられる余地がたくさんあるので、いろんな人に刺さるんじゃないかと思って、松井さんにお願いしました。

――あがってきた歌詞をご覧になってどのような感想がありましたか?

勇-YOU- すごく素朴だけど壮大な感じもあるし、正直このとても素敵な歌詞をもらったときに感動した半面、歌うことが怖くなってしまうと感じたり。いろんな感情が湧きました。どうやって歌っていこうか。ハードルをいつもよりすごく高めに設定してしまう自分がいたりもして。そんな印象でした。

雅友 これは勇-YOU-と一緒にスタジオに入って作ったんです。通常は僕が家で考えてきて、デモを作って、それを仮で勇-YOU-に歌ってもらうというのが流れだったんですけど、今回は一緒に作りました。過去の曲でも「MYSTERIUM」や「GIFTED」あたりからそうなんですが、高い音を少しずつ出すようにしてきているんです。それもあって勇-YOU-自身、結構、高いところまで出せるようになっていて、選択肢が広がってきているんです。それで勇-YOU-がいちばんいい感じで高い音が出せるメロディにしたい、というのがあってスタジオで作りました。だいたい大まかな部分は僕が作ってきて、そこから「ここはこういうふうにメロディを動かしたい」とか勇-YOU-に弾き語りで説明をして、それを勇-YOU-が脳内変換して高い音を出して応えてくれる、というやりとりの中で完成した曲なんです。この曲は音域が2オクターブくらいあって、かなり広いんです。だからこそ結構独特な、ある意味SCREEN modeにしか出来ない曲になったし、勇-YOU-にとっても技術的に限界に挑むことになった曲です。そういう話も松井五郎さんにしながら歌詞にしてもらいました。ミニアルバムの表題曲なので、いろんな人に刺さるように書いて欲しい、というのは希望として伝えたんですが、恋愛の曲にも捉えられるけど、ほぼほぼ勇-YOU-のお父さんの曲だなと感じましたし、松井さんってすごいな、と思いました。松井さんは以前から勇-YOU-の歌詞を書きたい、とお伝えくださっていたのでお願いしました。今回、表題曲というところで松井さんも気合を入れて作ってくださったんだな、ということが伝わりました。

――それほどの想いを込めた楽曲が完成したときにはどのような想いがありましたか?

勇-YOU- 言葉の一つひとつ、ワンフレーズワンフレーズに対してどう歌っていったらいいのかとこだわることができた曲なので、そのぶん気持ちの込もった1曲に仕上がったなと感じます。もちろん、CDとしてパッケージにする上で今ある最大限の力を込められた実感はありますが、僕としても父とのやりとりは今後も続いていきますし、これからライブで歌っていく中でいろんなビジョンが見えて来る曲になると思うんです。だからこそ完成した今がゴールではなくて、その時その時の気持ちで表現していくべき歌だと思うので、今後も違った世界観が見えてくる歌なんじゃないかなと感じます。

――そんな1曲が起点となって完成したミニアルバム『約束の空』ですが、バンドにとってこの先の未来を見ても、ひとつのターニングポイントになる作品になりそうですね。

雅友 そうなんですよね。まず『SOUL』がその最初だったんです。「何をやろう」という話を初めてしたんです。そこからの『約束の空』。いろんなことを考えるきっかけになりました。意外とノンタイアップの音作りというのは考えますし、成長するなと思います。アニメ作品という寄り添うものもないので、誰のOKも取れないんですよね。自分がOKを出す立場。だから今回の「約束の空」も4回録り直しをしたんです。歌は弾き語りで歌っている時点で世の中にあるものだけれど、吹き込むことによって初めて存在が「固定」されるものなんです。そんな中で「約束の空」を、もう一度録ったらもっといいものになる、という想いで録り直すことにしたその瞬間から、いつOKを出せば固定できるものになるのかも自分で決めなきゃいけなくなる。今回は結果として4回目で「ここで」と固定したんですけど、なんだったら100回だって録りなおせる。どこで「固定」するのか、という問題に今回初めて直面したんです。自分たちの音を留めるのは、本当にここでいいのか、と自分たちでジャッジをするのが初めての経験で、すごく難しいなと感じたんです。今の自分たちにとっては出来る範囲内でのいちばんいいものはこれだ、ということで4回目で固定したんですけど、その判断は本当に難しかったです。ライブで今後、年を取るにつれて勇-YOU-の歌も変わってくるだろうし、ライブの中で変わっていくとも思うんです。あくまでもCDに収録したのは2019年バージョン。これから2020年、2021年と進化していくんだろうな、と今から感じています。

――そんな進化の過程でもある8月のワンマンライブ「SCREEN mode SUMMER Live 2019 “Laughing Stars”」が楽しみになります。このライブはどんなライブにしようと今、考えていらっしゃるんでしょうか。

勇-YOU- このあいだアコースティックライブをやったばっかりなんですけど、8月は久々にライブハウスでのスタンディングライブ。ガッツリとみんなで盛り上がれるライブなので、すごく楽しみです。「約束の空」をメインにして、このミニアルバムをひっさげてのライブをやらせてもらうので、みんなと一緒に盛り上がるハコの中でこの楽曲たちをどう歌っていくのか、しっかり考えていかなきゃいけないな、と思っています。でもタイトルで“Laughing Stars”と打ち出しているので、また改めてみんなが心の底から笑ってくれるようなライブにしたいです。自分をさらけ出したこのミニアルバムを作ったことで、よりみんなに届くような歌を意識して放っていくライブになると思います。期待していてください。

Interview & Text By えびさわなち


●リリース情報
3rdミニアルバム
『約束の空』
発売中

 

品番:LACM-15783
価格:¥2,500+税

<CD>
1.ATTITUDE
作詞:勇-YOU-、Kino Sei 作曲・編曲:太田雅友
2.Feel good
作詞:村野直球 作曲:太田雅友 編曲:太田雅友、EFFY
3.友情ごっこ
作詞:唐沢美帆 作曲:太田雅友 編曲:太田雅友、EFFY
4.約束の空
作詞:松井五郎 作曲:SCREEN mode 編曲:太田雅友、EFFY
5.smile
作詞:勇-YOU- 作曲・編曲:太田雅友
6.WRIGHT LEFT
作詞:松井洋平 作曲・編曲:太田雅友 Strings Arrangement:EFFY(FirstCall)

●ライブ情報
ワンマンライブ「SCREEN mode Summer Live 2019 “Laughing Stars”」
8月4日(日) 会場:下北沢 GARDEN
開場:17:15 開演:18:00
※開場・開演時間は変更になる場合がございます。

チケット発売中
整理番号付 全自由:¥6,480(税込)
※入場時にドリンク代別途 600 円が必要

・チケットぴあ
TEL : 0570-02-9999 (P コード:156-244)
・ローソンチケット
TEL : 0570-084-003 (L コード:72889)
・ e+( イ ー プ ラ ス )

お問い合わせ先:オデッセー
03-5444-6966(平日 11:00~18:00)

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