コラボシングル「Over The Galaxy〜メッセージ〜」リリース記念 今井麻美×福士誠治(MISSION)スペシャル対談

声優・今井麻美とバンド・MISSIONのボーカリストとしても活動する俳優・福士誠治がタッグを組んだ、朗読×音楽の新感覚プロジェクトが始動。『コープスパーティ』でも知られる祁答院慎による宇宙を舞台にしたシナリオとふたりの音楽がどのような融合を果たしたのか。刺激的なプロジェクトの全容に迫る。

――今回の『Over The Galaxy〜メッセージ〜』というプロジェクトは、もともと今年3月に行われたプラネタリウムでの朗読イベントのために発足したんですよね。その経緯というものを教えてください。

福士誠治 ……(無言で今井を見る)。

今井麻美 ええっ、そこからですか?(笑)。メインはMISSONさんのほうからがいいんじゃないですか? 元々私もプラネタリウムで朗読会というのはやったことがあるんですけど、今回のキーになっている人がMISSIONの濱田貴司さんで、貴司さんが宇宙に興味があるということで。

福士 僕も好きなのですが、その何倍も好きですね。

今井 MISSIONというグループ名も、宇宙にかかっているらしいですよ。そこでプラネタリウムで役者さんと声優とアーティストのコラボで、演技もしつつ歌もお届けしつつということで考え始めたら……あの、ちょっと貴司さんが限度というものを知らなくて……(笑)。

――やれるとわかった瞬間、全部やってしまおうとなったと(笑)。

今井 そうなんです。ちょっと限度というものが(笑)。「こんなのきっといいね」って言っているうちに、この方式につながっていったのではないかなと思っております。

福士 曲が出来て、朗読もできて、プラネタリウムということで映像も流せると。

今井 すごかったですよね。普通のテレビの画面比率じゃなくて、プラネタリウムの球体みたいなサイズに合わせて、それ専用に作ったという。まだ体験したことない人皆さんにお見せしたいですよね。

――会場となった多摩六都科学館のプラネタリウムというのも、特殊な仕様なんですよね?

福士 見え方も空を見上げるというか、座って正面で星を見ることができるんです。

今井 レアな会場らしくて、投影する星の数も世界一らしいですよ。どちらかというと宇宙の中に自分がスポッとハマっているようで……あの空間に一緒に体験できた人はラッキーだったなと。

――音楽をMISSIONの濱田貴司さんが手がけられましたが、また朗読のシナリオはあの祁答院慎さんが書きおろしたんですよね。

今井 そうなんです。あの、『コープスパーティ』を手がけている祁答院さんなんです(笑)。めっちゃくちゃ忙しかったらしいんですけど、嫌な顔ひとつせず寝ずに書いてくださったと、あとあと別の方から聞きました(笑)。

――制作の順番としては、音楽が先にあったんですか?

今井 先にMISSIONさんの歌が出来上がったんですよね。

福士 そうですね。みんなほぼ同時に動き出していろいろやってみたら、僕らの曲が最初に出来て、それを祁答院さんに渡せたと。

今井 そこでお話をブワーッと膨らませていただいたんですよね。そしてそのお話を私の歌にフィードバックしていくという不思議な作り方でした。

――ではその『Over The Galaxy』の朗読劇のほうからお話をお伺いします。舞台は西暦2250年、福士さん演じる光星が宇宙船に乗って、宇宙の果てを目指すというストーリーです。朗読の収録はどのようにして行われたんですか?

福士 いちばんの理想は今井さんと収録したかったのですが、僕が先で、今井さんは僕に合わせてもらうという……まあ今井さんはプロなので(笑)。

今井 すいませ~ん!受け止める!(笑)。

福士 僕は僕で、声優さんのようにリップに合わせて喋るのではなく、僕の感情としてやらせていただきました。世界観も地球から何億光年も離れていくなかで、AIとの対話になる。近年AIもだんだん親しみやすくなってきたじゃないですか。感情的にはわからないことはなくて、SFといえばSF、でも遠くない未来にありそうな世界観と感じましたね。そこに曲のメッセージというものが隠されている朗読でもあったと思うし、ものづくりとして核をついている作品という感じでした。

――物語は光星のナレーションから、比較的淡々とした語口から始まります。

福士 たしかにナレーションっぽいのですが、そこにAIのロゴスが入ってくるだけで人間っぽくなる。ナレーションから会話に入る瞬間は生きているものとして演じられて、僕も面白くなるんですよね。

――たしかに宇宙空間という過酷な状況のなかで、人との会話が入ることでホッとさせるというか。

福士 そうですね。今回はプラネタリウム本編のほかにもアナザーストーリーが収録されていますが、それもまたホッとする内容かなと思います。

――また今井さんは光星の相手役となるAIのロゴスなどを演じています。

今井 最初はドラマを入れたいんだ、朗読をやりたいんだって聞いていたんですけど、メインは音楽のコラボと思っていたので、こんなに大規模な……。

福士 「こんなに喋るの?」と言っていたじゃないですか(笑)。

今井 こんなにガチの力を入れるものになるとは聞いてなかったんですよ!当日台本いただいて、「ちょっと目を通すぐらいで大丈夫だから」って言われていて、台本を渡されたら“ちょっと”というレベルじゃなくて!(笑)。

福士 めくってもめくっても喋っている(笑)。

今井 「すごい分量ありますけど!」って(笑)。でも読んでいくとすごく面白くて、素読みしているときにも引き込まれていって。あと祁答院大先生のドSなところなんですけど、「今井さん声優だからこれぐらいできるでしょ」って女性の役を全部私に振ってくるという(笑)。「これ書く段階でどれだけ女性キャラがいるかわかっていたことだよね!」って。

――わははは、わかったうえで今井さんが全部演じるという(笑)。

今井 もちろん声優としていろんな役をやらせていただくのはうれしいことなんですけど、そんなに差がないキャラばっかりを!全部年齢感が一緒なんですよ!(笑)。

福士 でもそこは、今井さんは腕があるから。

今井 ……いやあ(笑)。でもやっていて楽しかったですね。最後の大どんでん返しの部分も読んで知っていたんですけど、やりながらちょっとじわっとくる気持ちがありました。

――祁答院さんのシナリオがまた素晴らしいですよね。途中で腕がなくなるなどらしい展開も見せつつ。

今井 ホラー要素が(笑)。

福士 「目が覚めたら腕がなかったときにはびっくりした」って淡々と言っていますからね(笑)。

今井 この舞台と祁答院さんは相性いいんだなって思いましたよね。

――そうしたショッキングな展開もありつつ、感動的なクライマックスへと続きます。

福士 最終的に答えがないところがいいじゃないですか。時間が戻っていったのか、あるいは先に行ったように錯覚させられたのか……答えを出さないのは夢がありますよね。未知なる世界にまだ答えを求めてはいけないというか。今回は朗読劇で、あまり具体的な映像がないじゃないですか。

今井 キャラクターの絵もないですからね。

福士 そう。だからまず想像してもらうところから始まると思う。そこに答えを出しちゃうと非凡なパターンになるし、壮大すぎるとついていけなくなるし。身近なもの、触れて温かいものという考えは素敵だと思いますね。

――さて、その朗読劇でも流れるおふたりのボーカルによる楽曲たちについてお伺いします。MISSIONによる「Over The Galaxy〜愛が聴こえる〜」と、今井さんによる「Over The Galaxy〜君が聴こえる〜」は、それぞれ独立した曲ですが、最終的に合体してひとつの曲になります。このアイデアは最初からあったんですか?

福士 そうですね。最初は宇宙をテーマにしたコラボCDを作ろうという話だったので、その時点で曲が合体することはありきで作っていたと思います。

――それぞれのソロのあとに聴いた合体バージョンは実に感動的でしたね。

福士 いやあ、すごいですね。僕も合体バージョンはプラネタリウムで初めて聴いたのですが、お客さんと一緒に「うわあ~!」ってなっちゃいましたもん(笑)。

今井 「おー……」って小さい声で言っていましたよね(笑)。各々のソロは途中で流れているんですけど、それが合わさった瞬間というのはね。本当、空間広がりますよね。

福士 このアルバムの作品性の強さというものを感じます。朗読があることで、アルバムの全体感がより増したというか。だから合体バージョンは最後に聴いてほしい気がする。

今井 たしかに。朗読にも曲は入っているから、まずは朗読から聴いてもらうのがいいかもしれないですね。

――ちなみにレコーディングはどんな方法でされましたか?

今井 私は福士さんのあとにレコーディングしたので、福士さんの声も全部入った状態で歌いました。

福士 僕は勝手に歌っていました(笑)。

今井 でも本当に難しかったです。普通のレコーディングより考えることは多くて。

――普段とはやはり異なりますか。

今井 最初は全体の雰囲気を聴かせていただいたんですけど、まずは福士さんの声を聴かずに自分のところだけで録ったんですよ。そしたらなんか違って。「これは一緒に録らないとだめだ」と。福士さんのお声というか、福士さんのキャラクターである光星というのが芯のあるひとりの男性で、その周りをフワーッとしているような歌なので、ちょっとしたことですごく彼の邪魔になるんですよ。なのでなるべく邪魔にならずに、でもソロのときに物足りなくならないようにいられるかというのは、結構自分の中で考えながらやりました。楽しかった……!

福士 ありがとうございます。じゃあ次も後攻でお願いします。

今井 一度やってみてくださいよう!(笑)。でも本当に楽しかったんですね。福士さんがすごくまっすぐ歌っていたので、そのぶん自分が近寄ったり離れたりするのがやりやすかったですね。最初のテイクと比べると仕上がりが全然違うんですよ。

福士 僕が知らない苦労を本当にありがとうございます(笑)。

――光星が地球から離れて、やがて戻ってくるというストーリーと、独立した男女それぞれがひとつになるという音楽はリンクしているような気がしますね。

福士 僕が思ったのは、女性がいるから男はどこまでも行けるというのをすごく感じるストーリーであり歌ですね。還れる場所というか、そういう男性の哲学が宇宙にも当てはまるような気がして、最後寂しくなると戻ってきて重なってというのが古風な感じがして、壮大にして人間の心理をついているような気がします。

――なるほど。

福士 僕は全部許されている気がします、今井さんの声に。物語でも歌詞でも「あなただからできるから行ってきなさい、私は待っているから」と言っていて、それがとっても優しい。

今井 作詞も、MISSION版が男性の溝口(貴紀)くんで、私たちのほうが女性の(森)由里子さんだったのもあるかもしれないですね。

福士 そういうのがあったかもしれないですね。

今井 なんというか、クリエイト感がありましたね。

福士 僕もちょっとそれ言いたいな、クリエイト感(笑)。

今井 与えられたものを100%返すのが私たちのお仕事なんですけど、私たちも作っている過程にグイグイ入り込んでいる感がありましたね。

福士 朗読も貴司さんとプロデューサーの濱田智之さんが声を担当したりとか。濱田・濱田でアフレコして(笑)。

今井 めちゃくちゃ心配だった!「Pふたりも喋るの?」って(笑)。これもドS祁答院先生の発案で。

福士 想いのある人たちで作ったものですよね。みんなで作ったぶん熱いものになるし、深さも出てきた作品だなと。すごく……クリエイトしているなと(笑)。

――こうした経験は、今後のお互いの活動にフィードバックされていきそうですね。

福士 僕はプラネタリウムでのライブというのに興味が出てきました。

今井 めっちゃ楽しいですよ!

福士 あの空間でのもの作りやお客さんとの共有感というのはなかなか味わえない気がする。非日常というのを味わえたら。あと球体の映像を使った作品としても興味は出ましたね。

今井 自分ひとりではできないものをいろんな人の力を借りてできて……本当「みんなすごいな!」って思いました。各々のポジションすごいなって。自分ができることって朗読して歌ってということで、もっといろんな人と関わって仕事していきたいなと思いましたね。

――おふたりのコラボの続きも見たいですね。

今井 今度ドラマを録るときにはぜひ……福士監督にディレクションを。

福士 本当ですか。

今井 福士さんは映画も撮ってらっしゃっているので。

福士 僕も声優にも興味があります。映像に声を入れることはあまりやったことがない仕事だし。

今井 こうやって実現していくんですよ。周りは子供みたいな大人ばかりなので、「やるっ!」って言ったら実現するんですよね。

Interview & Text By 澄川龍一


●リリース情報
福士誠治(MISSION)×今井麻美
『Over The Galaxy〜メッセージ〜』
5月29日発売

品番:USSW-0182
価格:¥3,000+税

発売元:5pb.
販売元:MAGES.

<CD>
1.朗読「Over The Galaxy〜メッセージ〜」
シナリオ:祁答院慎 声:福士誠治、今井麻美  音楽:濱田貴司、濱田智之
2.Over The Galaxy〜愛が聴こえる〜/歌:MISSION(福士誠治+濱田貴司)
作詞:溝口貴紀 作曲/編曲:濱田貴司
3.Over The Galaxy〜君が聴こえる〜/歌:今井麻美
作詞:森由里子 作曲/編曲:濱田智之
4.Over The Galaxy/歌:MISSION(福士誠治+濱田貴司)×今井麻美
作詞:溝口貴紀/森由里子 作曲/編曲:濱田貴司/濱田智之
5.朗読「Over The Galaxy〜メッセージ〜」アナザーストーリー
シナリオ:祁答院慎 声:福士誠治、今井麻美 音楽:濱田貴司、濱田智之

<MISSION Profile>

2018年、福士誠治(俳優)、濱田貴司(作曲家)によって結成されたロックバンド「MISSION」。圧倒的な表現力を持つ二人により生み出される音は、類を見ない。エモーショナルで高圧的な曲から、細部にまでこだわり抜いた極上のバラード、そして、心を解放するアップナンバーまで、そのステージに「理」はない。2019年2月渋谷スターラウンジで行われたデビューライブは2公演ソールドアウト。今後の活動が期待されるハイエンドなロックバンドである。8月10日には新宿ReNYにてファン待望のMISSION ONEMAN LIVE 「SECOND」が決まっている。特設ページにてチケット発売中。

<今井麻美 Profile>

「シュタインズ・ゲート」牧瀬紅莉栖役他、声優として数多くの作品に出演しつつ、歌手としての2009年4月にデビューシングル「Day by Day / Shining Blue Rain」をリリース。2015年6月にTVアニメ『プラスティック・メモリーズ』EDテーマ「朝焼けのスターマイン」、7月に映画『コープスパーティー』主題歌「BABYLON ~before the daybreak」をリリース、同年のアニサマに出演。2018年8月にTVアニメ「シュタインズ・ゲート ゼロ」EDテーマ「World-Line」を、2019年1月にTVアニメ「ぱすてるメモリーズ」OPテーマ「Belive in Sky」をリリース。現在までに20枚のシングルをリリース。

© 5pb. / SPIKE株式会社

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