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INTERVIEW

2019.05.26

『ワンパンマン』&「スパロボ」強力タイアップ2作を一斉発射!JAM Projectインタビュー

『ワンパンマン』&「スパロボ」強力タイアップ2作を一斉発射!JAM Projectインタビュー

影山ヒロノブを筆頭に、5人の強力ボーカリストを揃えるユニット・JAM Projectが2枚のシングルを同時に発売した。1枚はアニメ「ワンパンマン」第2期のオープニング主題歌を収めた「静寂のアポストル」、もう1枚はゲーム「スーパーロボット大戦T」のオープニング主題歌を表題曲とする「Tread on the Tiger’s Tail」だ。リスアニ!WEBでは、2020年に迎える結成20周年に向けた強烈な景気付けとなるこの2枚のニューシングルについて、5人のメンバーにたっぷりと思い入れや裏話を聞いた。

――まずTVアニメ『ワンパンマン』第2期OPテーマの「静寂のアポストル」について伺います。サビのキーがとても高く、前作にあたる「THE HERO!! ~怒れる拳に火をつけろ~」に負けない破壊力を感じました。

影山ヒロノブ 実は1回ミックスまでして完成させたものがあったんですけど、演奏も含めて全部撮り直したんです。みんなで聴きながら「悪くはないけど、前作と比べてインパクトが少ないよね」なんて話して。それでJAMの面白さは声のレンジの広さやハイトーン、シャウトだから、キーを上げて作り直しました。

きただにひろし でも、普通キーを上げるとしても半音とかなのに、今回は一音半上げたんですよ。

遠藤正明 元のやつもそれはそれでよかったんですけどね。別に低くもないし。でも(影山)兄さんが言ったとおり、前作の「THE HERO!! ~怒れる拳に火をつけろ~」があのインパクトだから(笑)。これくらいやらないとみんな納得しないでしょう。

福山芳樹 この間、TV番組の収録で『ワンパンマン』OPテーマ2曲を歌ってみたけどきつかった。ヒカルド(・クルーズ)が歌っているパートは僕が担当したんですけど、「ちょっと無理かな」と思って変えてもらったところもあるし。

影山 あとAメロの「平穏だった街に」なんかも、元はみんなで1音上を歌っていたけど、きただにのめっちゃ低い声で1人で歌うようにしたり。その一方でサビは遠ちゃん中心に「歌えるもんなら歌ってみろ」くらいのキーにしてメリハリを効かせました。

福山 でもこれはやっぱり撮り直してよかったですよ。ライブでもすごく盛り上がるでしょうし。曲調的にも、しゃくりが速くてファンにとっても新鮮なんじゃないでしょうか。

きただに メロディもヒカルドのテイストが入っていて、これまでと違う雰囲気ですよね。僕が仮歌を歌ったんですけど、自分の中にはないアイデアがたくさんあって面白かったです。

影山 ヒカルドが「最近『ルパン三世』を好きだから、そういう感じで作ってみる」と言ってデモを送ってきたんだよ。だからデモだともう少しロカビリーっぽいアレンジだった。「妖怪人間ベム」みたいな。

奥井雅美 言われてみれば、たしかにAメロとかそうかも。

――カップリングの「ピアノ狂奏曲第4番~怪人賛歌」も、ピアノを前面に押し出したミディアムバラードで、過去のJAMにはないテイストですよね。第1~3番はあるのかと気になるタイトルですが。

影山 (笑)。

遠藤 どこかにはあるんでしょうね。

影山 これは「昔は日本コロムビアがよくアニメごとにアルバムを作って、悪者の歌とか入っていたな」と思い出して作った曲です。「ワンパンマン」って敵も面白いし、特に第2期では怪人もかなりフィーチャーされるので、そちら側の曲があっても面白いかな。特に「ワンパンマン」とタイアップしている曲ではないんですけどね。

きただに 「THE HERO!!」のカップリング(「Shoot the Monster!」)も、タイアップではないけどそういう位置づけの曲でしたよね。今回もキャラソンみたいで、歌っていて楽しかったです。怪人たちがでっかいテーブルを囲んで話している感じ。

奥井 途中に入っている笑い声は私とダニーの2人だけだっけ?

きただに 「ほーっほっほっほ」ですね。

影山 奥井ちゃんがめっちゃ得意な奴。

奥井 いや、私はそんな笑いをしたことないですけど(笑)。そういう笑い声を何パターンも録らされて。

影山 「録らされて」って(笑)。

奥井 笑い声もそうだし、セリフも普段言わないので難しかったです。標準語で命令形だし。

――ライブでどう表現されるか楽しみです。

奥井 生でセリフを言うんでしょうかね?

影山 セリフもだけど、これピアノはライブで演奏できるのかな。

遠藤 (寺田)志保ちゃん、レコーディングのときは遅く弾いたのをテンポ上げてましたから。

きただに そんな裏話話さなくていいじゃないですか(笑)。

奥井 でも、ライブでの披露が楽しみなのは間違いないですね。

――続いてゲーム「スーパーロボット大戦」関連の楽曲が3曲収録された「Tread on the Tiger’s Tail」について聞かせてください。このシリーズとJAM Projectは長い付き合いですが、個人的にはここ最近……特に「THE EXCEEDER」(「スーパーロボット大戦V」オープニング主題歌)以降、歌詞が作品に寄り添っていると感じています。

影山 最近は作詞する段階で、「スーパーロボット大戦」シリーズプロデューサーの寺田貴信さんがすごく膨大にいろんな資料を送ってくれるんです。そこにはストーリーの流れとか、今回はこういった目的で戦うんだとかわかりやすく書かれていて、そこからイメージして作れているからかもしれません。

――近年の「スパロボ」シリーズのEDテーマでは奥井さんや遠藤さんも作詞されていますが、意識していることはありますか?

遠藤 エンディングテーマはゲームをクリアした人が聴くものなので、特にその作品の世界観を大切にしなきゃいけないと思っています。

奥井 「スパロボ」シリーズに限らず、私は作詞するときは作品に入り込んで「その世界で生きていたらどういう感情が生まれるか」みたいなことを考えています。それが「スパロボ」のエンディングの場合、私が普段作っているような曲……「争うのはやめて、生まれ変わったら仲良くしたいね」みたいなことと重なる部分があって。だからゲームのEDテーマではあるけど、一緒に平和のことなんかも考えてもらえたらいいなという気持ちも込めています。

影山 作品のテイストとミュージシャンの表現したいことの割合は、5分5分がベストなんでしょうけどね。ミュージシャンとしてやりたいことがないと、新しいものを生み出すのも難しいでしょうし。JAMの場合はロックなところと、作品らしさが半々になっていると思います。

――たしかにロボットが戦う「スパロボ」シリーズと、JAM Projectらしいハードロックの相性はいいですよね。それで今回の表題曲「Tread on the Tiger’s Tail」ですが、サビの「ズガーン ズガーン ズガーン」は一発で覚えられるキャッチーさで。

影山 古いよね(笑)。

きただに この10年のアニソンでこんな歌詞、たぶんないでしょう。

遠藤 一周回って新しい。

奥井 でも、これを歌って似合う人も限られているじゃないですか。

遠藤 水木(一郎)さんしかいない。また「俺の専売特許を歌ってるのか」って言われちゃう。

影山 でも「ズガーン」ってロボットって感じがするよね。でかい手が飛んでいくイメージ。

――「スパロボ」の曲だとすぐにわかって、とてもいいフレーズですよね。あと今回リリースされた2枚の表題曲ではヒカルドさんも歌に参加されています。これまで以上に重要なパートを任されている印象がありますが……。

影山 はい。彼も以前までキーは遠ちゃんと同じくらいまで出るけど、音程が悪かったりしたので無難なところを歌ってもらうことが多かったんです。でも最近とても歌が進歩していたので、今回はどんどん前面に出てもらいました。

きただに どちらの曲も、彼が作ったというのもありますから(※「Tread on the Tiger’s Tail」は影山との共同作曲)。

影山 作った人間をないがしろにはできない(笑)。

――表題曲が王道な一方で、カップリングの「RESET」「D.D ~Dimension Driver~」は、どちらもJAM Projectのシングル曲では珍しくEDM色が強い印象です。特に「RESET」は、バラードの多い「スパロボ」のエンディングテーマなのにかなり攻めた音なのが意外で。

影山 僕が去年辺りからEDMを聴いたりそっち系のイベントに行ってたりしていて、「JAMにもこんなテイストで、サビでみんなとガッと盛り上がる曲が欲しいな」と思っていたんです。だから「RESET」に関しては完全にサウンドありきで作りました。

――なるほど。1月に行われた「JAM PROJECT SPECIAL LIVE 2019 A-ROCK」では影山さんがDJKGとしてDJもされていましたが、それもそのEDM要素を取り入れた流れで行われた試みだったのでしょうか?

影山 それも少しありますね。最初は「なんで歌うやつもいないしバンドもいないのに、そんなに人が集まるのかな」なんて思っていたんですけど。

きただに 曲を流しているだけなんですけどね。

福山 僕もこないだ町田でアニソンDJイベントに出させてもらったんですけど、3フロア全部でDJしていて。「これすげぇな」と驚きました。

影山 「RESET」ではさすがにサビに歌を入れましたけど、本当のEDMはサビになるとメロディーがなくなるんだよね。でもそこが一番盛り上がる。そこが不思議で面白い。

――ちなみにDJKGのプレイを、ほかの皆さんはどう見られていましたか?

遠藤 ん、僕らの休憩時間のことですか?

(一同笑)

遠藤 いや「すごいなー」と。初日が終わったときに兄さんが「失敗しちゃった」と言っていたけど、どこを失敗したか全然わからなかった。

奥井 そうそう。

遠藤 うちらには正解にしか聴こえなかったので、それを聞いて「自分の中での完成度があるんだろうな」と。だから2回目、3回目は注意して聴いていましたね。

影山 いや、自分にしかわからないポイントで失敗してるんだよ。

――とてもスムーズに曲をつないでいて、人前でのプレイが初めてとは思えないほど上手でした。

影山 マジですか。教わってる先生のおかげなんですけど……ありがとうございます!

――そのDJKGが活躍した「JAM PROJECT SPECIAL LIVE 2019 A-ROCK」で、影山さんが2020年に迎える20周年に向けて、2019年からの2年間でピークに持っていくと話されていました。最後に、そのピークに持っていくために現在行っていることを教えてください。

影山 まず2020年にこれまででいちばん大きなツアーをやりたいんです。ただその前に記念アルバムを、できれば年内に出したくて今みんなで曲の構想を練っているところです。

――それは、これまで5枚作ってきたオリジナルアルバムとは毛色の異なるものになるのでしょうか?

影山 はい、もっとコンセプトがしっかりした、アニソン界にいるJAMじゃなきゃできないようなものにしたくって。アルバム1枚を通じてストーリーになっているようなものができればなと。

――ヒカルドさんを含む6人で作曲した「決戦 the Final Round」のアルバム版みたいなことでしょうか。

影山 そういうことです。

奥井 私は20周年に向けてあれがやりたいな、「ドガーン!」みたいなの。どこか行って撮る感じで。音楽だけじゃなく、これ以上歳を取ったらできないことをこの機会にしておきたいです。

きただに あとは20周年を終えるまで、誰も事件を起こさないように。

奥井 ひとりが事件を起こしたら、連帯責任になって大変やからね。

影山 そのときはお前が謝れよ。

きただに なんでやねん!(笑)。

Interview& Text By はるのおと


●リリース情報
TVアニメ『ワンパンマン』第2期オープニング主題歌
「静寂のアポストル」
発売中

【アーティスト盤】

品番:LACM-14854
価格:¥1800+税

【アニメ盤】

品番:LACM-14855
価格:¥1200+税

<CD>
01.静寂のアポストル(TVアニメ『ワンパンマン』第2期オープニング主題歌)
作詞:森 雪之丞 作曲:ヒカルド・クルーズ 編曲:宮崎 誠
02.ピアノ狂奏曲第4番~怪人賛歌
作詞・作曲:影山ヒロノブ 編曲:栗山善親
03.静寂のアポストル (Instrumental)
04.ピアノ狂奏曲第4番~怪人賛歌(Instrumental)

『スーパーロボット大戦T』OP/ED主題歌&『スーパーロボット大戦DD』OP主題歌
「Tread on the Tiger’s Tail/RESET/D.D ~Dimension Driver~」
発売中

品番:LACM-14856
価格:¥1500+税

<CD>
01.Tread on the Tiger’s Tail(PS4®/Nintendo Switch(TM)『スーパーロボット大戦T』オープニング主題歌)
作詞:影山ヒロノブ 作曲:影山ヒロノブ/ヒカルド・クルーズ 編曲:寺田志保/栗山善親
02.RESET(PS4®/Nintendo Switch(TM)『スーパーロボット大戦T』エンディング主題歌)
作詞:遠藤正明/影山ヒロノブ 作曲:影山ヒロノブ 編曲:高橋亮人
03.D.D ~Dimension Driver~(スマートフォンアプリ『スーパーロボット大戦DD』主題歌)
作詞・作曲:影山ヒロノブ 編曲:宮崎 誠
04.Tread on the Tiger’s Tail(英語ver.)
05.Tread on the Tiger’s Tail(中国語ver.)
06.Tread on the Tiger’s Tail(韓国語ver.)
07.Tread on the Tiger’s Tail (Instrumental)
08.RESET(Instrumental)
09.D.D ~Dimension Driver~(Instrumental)

©ONE・村田雄介/集英社・ヒーロー協会本部

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