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INTERVIEW

2019.05.24

TVアニメ『群青のマグメル』EDテーマ「The Key」リリース記念 a flood of circleインタビュー

TVアニメ『群青のマグメル』EDテーマ「The Key」リリース記念 a flood of circleインタビュー

中国のマンガ家・第年秒による王道の“少年ジャンプ漫画”『群青のマグメル』。ジャンプ作品をはじめ様々な少年マンガに影響を受けたという第氏が「ジャンプ+」で連載中の冒険活劇だ。その作品が待望のアニメ化。そのエンディングを担っているのが、ロックバンド・a flood of circleの「The Key」だ。物語のキーワードでもある“鍵”と名付けられたこのロックナンバーは弾き語りの序盤から軽快で開けたサビへと展開していく1曲。物語の余韻を荒々しく掻き鳴らすバンドサウンドが因又たちの希望に繋がっていくような感覚だ。既に発売されているこの楽曲について、今、改めてボーカル&ギターの佐々木亮介と原作の大ファンというギターのアオキテツに聞いた。

――『群青のマグメル』のエンディング曲を歌われているa flood of circleはリスアニ!初登場。なので、まずは佐々木さんとアオキさんにとって、印象に残っているアニメソングを伺いたいな、と。

佐々木亮介(Vo.&Gt.) 僕は西城秀樹さんが歌った『ちびまる子ちゃん』の「走れ正直者」ですね。あれが好きで、カバーもしています。いちばん幼少期に衝撃を受けた曲で、さくらももこさんの歌詞って、「おどるポンポコリン」もそうですけど、今、読んでみても引くくらいにすごいって思うんです。僕、さくらさんが大好きで、マンガもアニメも観ていたので。

――たしかに普通に作詞家さんでも出てこない言葉ですよね。

佐々木 あのAメロは出てこない!“交差点で100円拾ったよ”からなんて書けない!マジで書けないです。僕自身も歌詞を書くときに一行目にはこだわって書くんですけど、あの表現は本当にすごい威力です。

――ありがとうございます。アオキさんはいかがですか?

アオキテツ(Gt.) 俺がいちばん好きなアニメが『DARKER THAN BLACK』なんです。だから一期のabingdon boys schoolが歌っていたOPテーマ「HOWLING」と二期OPテーマ、ステレオポニーの「ツキアカリのミチシルベ」はどちらも好きでした。バンドが主題歌をやっている曲って好きでしたし、印象に残っています。

――そんなa flood of circleですが、これまでのアニメとのコラボレーション経験というと……?

佐々木 地上波で放送したアニメではないんですけど、『エア・ギア』の単行本のおまけでつけるOVAにエンディング曲をつけたことがあります。10年近く前なんですけど。あとは今のレコード会社に来てからアニメ『団地ともお』のエンディング曲で「アカネ」という曲を作りましたね。それからボーカルとしてだけなんですけど、『ベイブレードバースト 超ゼツ』で「超ゼル無敵ブレーダー!」という曲を熱唱しました。でもこういう、深夜枠のアニメでしっかり歌うことは初めてです。

――そのa flood of circleが今回は「少年ジャンプ+」で連載中の人気コミックス「群青のマグメル」のアニメでエンディングを歌うことに。ジャンプといえば「友情・努力・勝利」です!

佐々木 まさに!ですよね。でもバンドってどこか「友情・努力・勝利」なところはなくはないですし。結構ジャンプっぽいバンドだなって前から自分でも言ってたくらいで。わりとハマってると思っています。

――そもそも原作も読んでいらした、ということですが。

アオキ 僕が「ジャンプ+」でいつも読んでたんです。Webでマンガを読むアプリをいろいろと携帯に入れているんですけど、その中でもすごく読んでいる「ジャンプ+」で観ていたマンガだったんです。今も、ユーザーさんと一緒で、最新話を待っている状態です。

――その作品のアニメ化。そしてエンディング曲を、と聞いたときにはどのようなお気持ちでしたか?

アオキ めちゃめちゃテンションがアガりました。それにジャケットで描き下ろしてくださった絵がもう最高で。原画がほしいくらいです。このジャケットはうれしすぎて、家の冷蔵庫に貼ってます。

――原作の魅力はどこにあるとお感じになりますか?

アオキ 第年秒さんは中国の漫画家さんなんですけど、すごく「HUNTER×HUNTER」の影響を受けているのを感じますね。

佐々木 実は漫画が連載されている「ジャンプ+」アプリで対談をさせてもらったんですけど、ほかにも『ジョジョの奇妙な冒険』や『ドラゴンボール』といったジャンプマンガだけじゃなく、あだち 充先生の影響も受けてるっておっしゃってました。

アオキ そうなんだ!

佐々木 対談のときに、ジャンプマンガとか『封神演義』とかの話を振ってたら「僕、あだち 充先生が好きなんです」っておっしゃって。

アオキ でもそういった王道マンガのミックス感がすごくいいですよね。それと女のコのキャラクターがかわいいです。

佐々木 僕はストーリー自体も面白いんですけど、作者の第年秒さんが、日本のマンガや文化に触れて感動して日本のコミック誌で作品を描いている感じがいいなぁ、と思っているんです。ジャンプに感動して、中国文化の礎のある作家が作品を発信しているからこその面白さってあると思うんです。異世界に挑戦することであったり、いろんな人種も出てきますが、その人種が分かたれることなく戦っているところには大人が読んでも現代的なテーマがあって面白いと思うし。それと自分もアメリカやイギリスの音楽に感動して、別の国の音楽に憧れて、どうやって消化して自分なりにやろうと考えてやってきていたので、第年秒さんのチャレンジやどこで努力をしたかがなんとなく読み取れる気がしていて。ストーリーそのものの面白さと、まったく違う文化の人が一周廻って自分たちに向けてメッセージを発信しているということが面白い。二重に楽しめるな、と思っています。

――その『群青のマグメル』のエンディングは「The Key」。作品に向けて書き下ろしたんですか?

佐々木 オファーが来たときに「世界を寄せてほしい」と言われるのかな、と思ったんですね、最初は。むしろ原作や台本を読んで書きたかったんですけど、いい意味で「お題は特にないです」って言われたので、「自由にやっていいのか」と。それで勝手に自分で原作をしっかり読み直していくなかで、自分に似ているなってことに気づいたんです。“Hello new world”という歌詞も、原作を読んで出てきたんじゃなく、自分たちの曲用に書いていたフレーズだったんですが、すごく『マグメル』の世界観とリンクしていたので、この曲をそのまま出せばいいじゃんって思って。だから寄せた、というより普通に書いていったものを第年秒さんもすごく気に入ってくれた、という感じでした。自然な形で書けましたね。

――オーダーはなかったんですね。

佐々木 もっとくれよ!くらいの感じでした(笑)。この曲、ギターの弾き語りだけで23秒くらいいくんですけど、あまりアニメの曲っぽくない構成だとも思うんです。弾き語りでしばらく溜めて、すぐにサビが来ちゃう。でもその変な構成も作品に合うかなぁって思っちゃって。ありそうなものに寄せたというよりも、自分たちの音楽を素直に出した。その曲に対して(EDの)絵を付けてくださったんですが、バッチリな絵になっていたので、感動しましたね。

アオキ この曲はシングルの直前に出した『CENTER OF THE EARTH』というアルバムに収録するために作っていた曲だったんですね。それが『群青のマグメル』の曲に決まったんです。

佐々木 アルバムに向けて1曲1曲大事に作っていたので、その大事な1曲を「『群青のマグメル』に」って言ってもらえた流れですね。

アオキ でも本当に好きな作品だったので「ありがとうございます!」っていう気持ちでもありました。

――エンディングというのはいかがですか?オープニングとはまた楽曲の世界観や方向性も変わるかと思いますが。

佐々木 『ドラゴンボール』で育ってきているので、エンディングではちょっとしっとり、というのが定石じゃないですか。

――「ロマンチックあげるよ」のように。

佐々木 そうそう。でもあまりロマンチック声じゃなかったので(笑)。だからギターと歌だけで始まる構成だったり、自分なりの音で意外性や違和感を出したかった。そういう意外性や違和感をこの作品には感じるし、僕自身はそういう作品に惹かれるんですよね。マンガでは擬音も中国語だったり、アニメでも看板とか中国っぽくて。それがいい違和感だなって思っているんですね。ジャンプっぽい世界観だけど、知らない世界を見ている感じが大事だと思ったので。だから楽曲の構成でもエンディングっぽくないけどちょっとだけ変な感じがマグメルの世界観にリンクしていくといいな、と意識しながら作りました。歌詞は原作のことを意識もしたんですけど、提出したら「いいですね!」って返ってきて。自分としてはもっと何か厳しいことを言われたかった!(笑)。それに弾き語りでサビまでいってしまう構成についても、何か言われてしまうかとも思ったんですが、やっぱり「いいですね」って言われて。すごく懐の大きな制作チームでした。

――実際にアニメで流れているのをご覧になったときにはいかがでしたか?

アオキ 「俺のギターの音が聴こえる!」ってなりました。バンドに加入してから初めてのアニメタイアップでもあったので、シンプルに親に連絡もしました。「俺、アニメのエンディングやってるんだ」って。テンションがアガりました。

佐々木 実際に映像を観たときには安心感がありました。作品に寄せていないから、本当に合うのかという不安はあったんです。本編のあとにどう聴こえるかはわからなかったですし。マンガも読んでいたので、第一話があんなふうに物語を切り取っていて、そもそも原作とも少し変わっていたから「なるほどな」と思っていたんですけど、そこで自分の曲が流れて。ハマっていたので、「やったな!」と。

――89秒という制約は制作にあたってどんなことを感じましたか?

佐々木 構成に迷いましたね。一回、先輩バンドの9mm Parabellum Bulletが『ベルセルク』の曲の「インフェルノ」を本当に90秒サイズでリリースしたんですよね。「やられた!」って思いました。俺もやりたかった(笑)。元々「The Key」も2分半くらいのコンパクトな曲ではあったんです。最初に迷ったのはちゃんとAメロBメロサビ、みたいな普通の構成もありかなと思ったんですけど、90秒だからこそ弾き語りとサビっていう歪さを意識していたのですが、放送を観て、それが効果的だった気がしました。正直、アニメに向けてこの構成にしたということではなくて、ライブのことばっかり考えていてこうなったというか。ライブでつい、曲にまだなっていない曲を弾き語りしてしまうことがあるんです。それを曲として作っちゃって、ライブでやればいいって思ったんです。それが曲として変な構成で、アニメにそのままはめた感じでした。

――おふたりの中で、この部分がアニメとすごくシンクロした、というとどこでしょうか。

佐々木 “閉ざされてんのは離れ島だからじゃない”っていう部分ですね。そもそも自分が海外でレコーディングをしたりもしていて、日本って人口も多いし、音楽とか文化的なもので商売しようと思えば外を見なくても成り立つから、あまり海外のことを考えなくてもいい状況ではあると思うんです。でも、ニュースとかを見て海外も同じだと考えれば、外のことも気にした方がいいなと思って生きていたし、そう思ってこの曲を書いていたんですけど、たまたま『群青のマグメル』がめっちゃ離れ島のことを描いていて、チャレンジしに行くというストーリーで。そこは第年秒さんのイメージもあるのかなとも思うし、今の自分が考えていることを作品で絵として描いてくれていることだったので、意図せずにそこはハマったなと思っていました。

アオキ 最初の一行目と二行目が原作の『群青のマグメル』っぽくて好きです。特に“段々分かった気がしていた?まだ暗い”のところが、物語の芯の部分な気がしていて。最近の連載の流れがそんな感じでもあって。この歌を演奏しているとまた最新話に想いが向かってしまうんです。

――その楽曲に「The Key」とつけたのはどうしてなんですか?

佐々木 元々曲のタイトルを先につけていたんです。a flood of circleも彼(アオキ)が入って初めてのアルバムを出したところで、彼が加入して1年目のタームで作っていた曲でもあるので、次の自分たちになるための曲にしたかった。いいタイトルがあればいい曲が書けるという信念を持っているんですね。この「The Key」は響きと字面がいいなと思っていたんです。それで出来た曲を送ったら、『群青のマグメル』に鍵のシーンが出てくる。それもたまたま合致していて。

――運命的ですね、この曲と『群青のマグメル』は。この「The Key」でa flood of circleに出会う人たちもたくさんいると思います。どのように楽しんでもらいたいですか?

佐々木 アルバムと同時に作っていたので、アルバムと同じ気持ちで作ったシングルなんです。だからできればアルバム『CENTER OF THE EARTH』と一緒に聴いてもらいたいです。今回のシングルにはカップリングに「Backstreet Runners II」を収録しているんですけど、アルバムには「Backstreet Runners」も入っているので、こちらも気になってもらえたらなと思っています。それとすごく尊敬している東京事変の「群青日和」をカバーしているんですけど、それも『群青のマグメル』にかけて収録もできたんですね。すごく楽しんで作っていますし、バンドもいい状態なので、この曲を聴いてぜひライブにも遊びに来てもらいたいです。

Interview & Text By えびさわなち


●リリース情報
「The Key」
発売中

品番:TECI-678
価格:¥1,300+税

<CD>
01. The Key
02. Backstreet Runners Ⅱ
03. 群青日和(東京事変のカバー楽曲)
04. The Key -群青のマグメルver.-

a flood of circleニューアルバム
『CENTER OF THE EARTH』
発売中

【初回限定盤(CD+特典CD)】
品番:TECI-1621
価格:¥3,800+税

【通常盤(CDのみ)】
品番:TECI-1622
価格:¥3,000+税

<CD>
01. Flood
02. Vampire Kila
03. 光の歌
04. Backstreet Runners
05. Youth
06. ベイビーそれじゃまた
07. 美しい悪夢
08. ハイテンションソング(3/5より先行配信開始)
09. Drive All Night
10. スノードームの夜
11. 夏の砂漠
12. Center Of The Earth(先行配信開中)

<特典CD>
「サテツ」デビューシングル
01. Champagne Free Flow
02. LALILA(あるいは気を失うまで)
03. Golden Dead Cigar

●ライブ情報
a flood of circle Tour
CENTER OF THE EARTH〜アーユーハイテンション?〜
6月9日(日)千葉LOOK
6月13日(木)高松DIME
6月14日(金)大阪梅田TRAD
6月16日(日)福岡CB
6月21日(金)名古屋CLUB QUATTRO
6月23日(日)大分club SPOT
6月25日(火)岡山PEPPERLAND
6月28日(金)札幌cube garden
6月30日(日)仙台CLUB JUNK BOX
7月6日(土)長野J
7月7日(日)水戸LIGHT HOUSE
7月13日(土)東京マイナビBLITZ赤坂
※全公演前売り ¥3,900(D代別)

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