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INTERVIEW

2019.05.24

KOTOKO 15th Anniversary SPECIAL SITE~FIFTEEN TALES~ #03

KOTOKO 15th Anniversary SPECIAL SITE~FIFTEEN TALES~ #03

#03 KOTOKOメジャーデビュー15周年記念ライブ“Fifteen Tales☆PREMIUM☆”ライブレポート

2019年4月28日、東京・豊洲PITにてKOTOKOのメジャーデビュー15周年記念ライブ“Fifteen Tales☆PREMIUM☆”が開催された。2004年にアルバム『羽 -hane-』でメジャーデビューを果たしてから15年、この前週のメジャーデビュー記念日である4月21日には地元・北海道での15周年記念ライブ第1弾“Fifteen Tales”で熱狂的なステージを展開してきたKOTOKO。ちなみにそのときの会場は小樽GOLDSTONEという100年前からある倉庫を改装した、小〜中規模のライブハウス。そんな歴史ある場所で、デビュー15周年を祝うライブを行ったのだが、それがまた春の北海道にしてはあまりに熱すぎる一夜だった。そして、続く東京公演もまた、その熱狂に負けないボリュームと演出が加わった、まさに“PREMIUM”の名にふさわしいライブとなった。

「“Fifteen Tales”☆PEMIUM☆」は、「羽」と「DuDiDuWa*lalala」のオルゴールが流れるなか、あるひとつの物語が語られるところからスタートする。それはひとりの女の子が歌をうたうために外の世界に挑戦の冒険に出かけるというもので、女の子は冒険のなかで数々の“扉”を開いていく。そして最初の扉が開かれ、ステージ上から鳴らされたのは最新アルバム『tears cyclone -廻-』より「廻-Ro-tation」だ。ステージ中央には「不思議の国アリス」のウサギを思わせる衣装を着たKOTOKO、ステージ後方にはいつものバンドと見慣れぬキーボード台。そこにはなんと、KOTOKOとは切っても切り離せないクリエイター、I’veの高瀬一矢がいた。このスペシャルなゲスト起用の理由はのちにMCで語られるが、もちろん往年のファンは大熱狂。会場は冒頭から興奮の坩堝と化した。

そしてそのまま、「Reboot oN/↓0」へと続く。高瀬の登場でインパクトが先回りしてしまったが、この日のバンドのサウンドはとにかく素晴らしかった。前週に行われた北海道公演ではライブハウス仕様というか、サウンドもソリッドでアグレッシブなステージだったが、この日は大きな会場に合った肉厚なサウンドという印象。それがまたI’veサウンドに実によく合うのだ。

「15周年……迎えましたー!」と始まったMCでは、この日のライブのテーマが改めて説明される。冒頭で語られたストーリーは、いわば彼女がメジャーデビューを果たしてからの15年、そしてそれ以前の約3年というキャリアを行き来する時間旅行ということだった。そして事前に15年のキャリアを5年ごとにA〜Cブロックと区切り、またメジャー以前の期間をOブロックとした合計4つのブロックでそれぞれ楽曲の人気投票を行い、それをもとに“Fifteen Tales”のセットリストは構成されているという。またこの日は“PREMIUM”の名に相応しく、彼女の15周年を彩ったクリエイターたちをゲストに招いた。そこで最初のCブロックは、現時点でのKOTOKOの最新作『tears cyclone -廻-』を共に手がけた高瀬がステージに立ったのだという。

そんな『tears cyclone -廻-』からもう一曲、ノスタルジックな雰囲気も感じさせる「夏恋」を披露。そして高瀬がステージから去ったあともCブロックのセットは続く。途中「sign」のカバーも含みながらも、このブロックではここ数年に発表されたアニメ/ゲーム楽曲ばかりで、最後の「TOUGH INTENTION」ではまるでライブのクライマックスが訪れたかのようなテンションとなってやってくる。これがまだライブ開始1時間も経たない段階で鳴らされるのは驚異的だ。

幕間を挟んで開かれた扉――すなわち次のブロックは、Bブロック。KOTOKOが慣れ親しんだレーベルとI’veを離れ、あらたな挑戦に向かっていった頃。そんな挑戦を象徴する曲が、直後に披露された2011年発表の「Light My Fire」だ。これもまた普段のライブでは終盤に聴かれる1曲である。それがセット序盤から中盤にかけてのところで鳴らされ、当然ながら観客も全力のシンガロングで応える。ものすごい興奮の最中、一方で「このライブは、最後はどうなってしまうんだ……」という疑問がうっすら頭をよぎる。しかし、それをあざ笑うかのようにKOTOKOはさらにパワフルに、最後のロングトーンもしっかり決めてアグレッシブなBブロックの幕を開けた。この頃の楽曲は、先ほどの「Light My Fire」など近年のKOTOKOのライブのクライマックスで披露される曲が多いので、中盤ながらやはりテンションも普段よりも高い印象だ。のちにKOTOKOは「短いライブを4本やった感じ」と語っていたが、短いとはいえ各ブロックに込められた熱量はやはりワンマン1本と変わらない。また、ファン投票で選ばれた楽曲だけにどれも隙がないというか、「jihad」などのゲーム楽曲から「→unfinished→」といった鉄板曲、あるいは「リスタート」といった人気曲と、きっとどの曲もがファンの記憶に刻まれている大事な思い出だ。そういった意味では濃密さとしても、またKOTOKOのキャリアを網羅するという意味でも隙のない構成なのだ。

そんなBセットの後半、軽快な「bumpy-jumpy!」のあとに鳴らされたイントロに会場がどよめく。KOTOKOが作詞した「SHOOT!」のカバーバージョンだ。そしてそのバージョンのアレンジを務めた齋藤真也が、冒頭に高瀬がいたキーボードセットの前に立っていた。のちのMCでKOTOKO自身も語っていたが、彼もまた2010年代のKOTOKOのサウンドを支えた功労者である。どの音楽ジャンルにも精通したマルチかつポップなセンスは、外に打って出たばかりのKOTOKOにも大きな影響を与えたという。そんな齋藤とのレコーディングの中で生まれた印象深い1曲が、「サクラノアメモエギノヨ」だ。「→unfinished→」のカップリングながらファン投票でも人気のあったというメロディアスな曲、またここでもKOTOKOは絶品の歌唱を聴かせ、切ない余韻とともに一度ステージをあとにする。

バンドによる「サクラノアメモエギノヨ」の長いアウトロのあと、場内には「はいはいはい、ポロリ♪」というサンプリングが収められた「さくらんぼキッス!ポロリMIX」が流れる。そんな出囃子のあとに披露されるのはもちろん歴史的名曲「さくらんぼキッス!〜爆発だも〜ん〜」。そう、ここからはKOTOKOのメジャーデビュー以前の楽曲たちを集めたOブロックのスタートだ。ゲームシーンのみならず、のちのアニソンにも大きな影響を与えた「さくらんぼキッス」「Princess Bride!」といったいわゆる“電波ソング”を含む、I’veサウンドのアーリー・ベスト11曲をメドレーで披露する。そしてそのとき、KOTOKOの横でキーボードを弾いていたのは「さくらんぼキッス!」を手がけたC.G mix。I’ve時代のKOTOKOを彩ったクリエイターといえば高瀬一矢が挙げられるが、彼女が“mix兄さん”と呼ぶC.G mixの存在もやはり欠かせない。メジャーデビュー15周年を祝う“Fifteen Tales”においてはエクストラブロック的な20分余りのセットではあったが、やはりこのセットへの思い入れの強いファンも多く、終始歓声や嬌声が飛び交う盛り上がりを見せた。

そして残るブロックは、KOTOKOがメジャーデビューを果たした2004年より5年ばかりの期間を集めたAブロックのみ。その幕開けとなったのは、アニメシーンに衝撃が走った名曲「Re-sublimity」だ。ハードコアでありながらメロディアスなダンスミュージックをアニメ音楽にもたらしたこの曲、またキャッチーなロックチューン「being」や「ハヤテのごとく!」といったアニソンの代表曲たちが続々と披露される。そんななか、このブロックでもゲストクリエイターの登場が期待されるところ。誰もが「高瀬さんやC.G mixさんが来たから、次はナカザーだろうな……」という、元I’veのクリエイター・中沢伴行の登場を予想していた。しかし、「Princess Brave!」でキーボード・セットの前に立っていたのは中沢伴行……の等身大ポップ。6月リリース予定のKOTOKOのニュー・アルバム『tears cyclone -醒-』の制作が佳境ということもあって残念ながら欠席、代わりにお祝いのメッセージを流すというものだった。しかしそのメッセージが流れたとき、ステージにマイクを持って登場したのは、その中沢本人。どうやらKOTOKOだけが知らされていなかったドッキリで、中沢は見つからないようにずっと豊洲ピットの楽屋にこもっていたそう。……というくだりがあったあと、クライマックスを迎えた“Fifteen Tales”が再開。もちろん披露されたのはKOTOKOと中沢のタッグで生まれた「agony」「421 -a will-」、そして「覚えてていいよ」だ。中沢らしいキャッチーでポジティブなバンドサウンドが豊洲で鳴らされ、祝祭感に溢れたポジティブな雰囲気のまま本編を終えた。

その後、アンコールの歓声とともにひとりでステージにやってきたKOTOKO。15周年への感謝を述べたあと、アカペラで歌ったのは「足あと」だった。この15年以上の足跡を辿ったいまにふさわしい楽曲であり、しかしまだここで終わりではないと告げるようなパワフルな声を響かせ、KOTOKOによる時間旅行“Fifteen Tales”は幕を閉じた。

その後、カーテンコール的にバンド・メンバーとともにステージに三度登場したKOTOKO。そのとき彼女が着ていたのは、プロデューサーからプレゼントされた“生涯現役”というTシャツ。偉業である15周年、しかし彼女にとってはまだまだ通過点であるということだ。15周年イヤーもまたこの“Fifteen Tales”で幕を開けたばかり。その後アルバム・リリースと全国ツアーが控えている。偉大なる小さなシンガーの巨大な足あとは、令和を迎えた2019年にも力強く刻まれることだろう。

Text By 澄川龍一

KOTOKO メジャーデビュー15周年記念ライブ ”Fifteen Tales”☆PREMIUM☆
2019.4.28(日)豊洲 PIT

<SET LIST>
【Cブロック】
M.01 廻-Ro-tation
M.02 Reboot oN/↓0
M.03 夏恋
M.04 恋ひ恋ふ縁
M.05 Adolescence Locator
M.06 sign -KOTOKO Ver. Remix-
M.07 INFINITE SKY
M.08 TOUGH INTENTION
【Bブロック】
M.09 Light My Fire
M.10 jihad
M.11 Restoration~沈黙の空~
M.12 WING OF ZERO
M.13 →unfinished→
M.14 リスタート
M.15 bumpy-jumpy!
M.16 SHOOT! -KOTOKO ver.-
M.17 サクラノアメモエギノヨ
【0ブロック】
M.18 メドレー
さくらんぼキッス!~爆発だも~ん~/Just as time is running out/Face of Fact/Princess Bride!/同じ空の下で/Shooting Star/Imaginary affair/LOVE A RIDDLE/I pray to stop my cry/Close to me…/We survive
【Aブロック】
M.19 Re-sublimity
M.20 Leaf ticket
M.21 being
M.22 Fatally
M.23 ハヤテのごとく!
M.24 Princess Brave!
M.25 agony
M.26 421 -a will-
M.27 覚えてていいよ
EN.01 足あと(アカペラ)


●リリース情報
KOTOKO 8th Album
『tears cyclone -醒-』
6月26日発売

【初回限定盤(CD+Blu-ray)】

品番:GNCA-1545
価格:¥5,000+税

【通常盤(CD)】

品番:GNCA-1546
価格:¥3,000+税

<CD>
全12曲収録予定

<Blu-ray>
KOTOKO LIVE TOUR 2018「tears cyclone-廻-」ライブ映像(2018/09/30@TSUTAYA O-EAST)

●イベント情報
「tears cyclone -醒-」発売記念イベント
6月30日(日)ソフマップAKIBA①号店 サブカル・モバイル館8F
出演:KOTOKO
内容:トーク&ミニライブ
開催:2019年6月30日(日)
集合:14:50 開演:15:30

対象商品:6月26日発売「tears cyclone -醒-』【初回限定盤】

イベント情報詳細はこちら

●ライブ情報
KOTOKO LIVE TOUR 2019 ”tears cyclone-醒-”
8月3日(土) 北海道・札幌 cube garden
8月17日(土) 福岡・DRUM Be-1
8月18日(日) 広島・SECOND CRUTCH
8月31日(土) 愛知・名古屋 Electric Lady Land
9月1日(日) 大阪・umeda TRAD
9月7日(土) 東京・TSUTAYA O-EAST

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