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INTERVIEW

2019.04.24

初のアコースティックアルバム『LOVE×Acoustic Vol.1』リリース記念 榊原ゆいインタビュー

初のアコースティックアルバム『LOVE×Acoustic Vol.1』リリース記念 榊原ゆいインタビュー

榊原ゆいが、初のアコースティック・アルバム『LOVE×Acoustic Vol.1』を4月24日に発売する。主にPCゲームのテーマ曲を中心に、アニメの主題歌をなども含む全部で10曲を収録。彼女がなぜアコースティックな作品集を作ろうとしたのか。その想いを聞いてみた。

――まずは、なぜ楽曲をアコースティックなスタイルにリ・アレンジしたアルバムを作ろうとしたのか。そこから教えてください。

榊原ゆい 昨年、私のバースデーライブ「Happy★LOVE×Live2018」を2部制で開催しました。その第1部で行ったのが、これまでの楽曲をアコースティックなスタイルにアレンジをして披露したアコースティック・ライブ。そのときのライブがすごく心地好くて、その日のMCで「これ(アコースティックなスタイルで楽曲を収録したアルバム)、CDになったら買ってくれる?」と聞いたところ、ファンの人たちみんなが「買うー!!」と言ってくれて。その瞬間に「アコースティックなアルバムを作ろう」と心の中で決めました(笑)。

――これまでも、アコースティックなスタイルで歌を披露する機会はあったんですか?

榊原 いつもはガツガツとした熱いライブが中心ですが、たまにバンドメンバーと一緒に変化球的なスタイルとしてアコースティック・バージョンで披露することはあって、そのたびに「楽しい」とも感じていました。中でも、昨年披露したアコースティック・ライブでのお客さんたちの反応がめちゃくちゃ良かったし、とても楽しかったんですね。だから、アコースティックの音源を残せたらいいなと思ったんです。実際、その日のライブメンバーにも、「この日に披露した曲たちをアコースティックな編成でレコーディングしたいと思ったから、近々招集するかもしれない」と言ってましたからね(笑)。

――『LOVE×Acoustic Vol.1』に収録した曲たちは、そのライブで披露した形なのでしょうか?

榊原 そうです。収録した楽曲もライブで演奏したセットリスト通りですし、そのときに披露した演奏が軸になっています。そこへ今回、新録で「HONEY」を加え、それをアルバムでは2曲目に置きました。

――収録したどの楽曲も、原曲は明るくポップに弾け飛んだスタイル。それを、オリジナルの良さを活かしたうえで聞き入る形にアレンジした手腕はさすがだなと感じました。

榊原 原曲を、また違う表情に変えていく。それが楽しさでもありますからね。実際にアコースティック・ライブで演奏する曲を選んでいたときも、「これは原曲の良さを活かしたままの形に仕上がりそう」「これは、アコースティックにするとだいぶ化けるんじゃないか」など、その辺のバランス感も考えました。ただ、アレンジに関しては「好きなように味付けをして」とプレイヤーの方々にお任せしました。結果、原曲に寄せたアレンジもあれば、アコースティックなスタイルになったことで歌い方もガラッと変わった楽曲もあるように、わたし自身も歌い方の変化をライブのときも、今回の収録のときも楽しんでいました。

――当時のライブを観ている方は、あのときの臨場感をふたたび味わえますし、今回、作品を通して初めて触れる方々も、生音ならではの空気感を楽しめる作品になるなと聞きながら感じました。

榊原 あの日の思い出があっての作品なので、あのときのライブが持っていた空気感と近い状態でお届けしたいなと思い、レコーディングも「せーの」で録る、いわゆる一発録りをしています。

――まさに、ライブ感を持った形で録音したわけですね。

榊原 そうなんです。ただし、それぞれの音がマイクに干渉するのを避けるため、メンバーそれぞれ別のブースに入ってレコーディングしました。お互いの顔が見えないので目配せできないぶん、ヘッドホンで演奏の空気を感じながら、しかもクリックを使わずに「せーの」で録ることをやっていました。

――それ、めっちゃ緊張感ありますよね。

榊原 ありました(笑)。普段なら、楽器隊だけ同時録音をし、その後に歌入れを行う形ですが、今回は、わたしも一緒に歌入れを行ったので、本当にライブの持つ臨場感を再現する形を持ってレコーディングをしました。楽曲によっては、途中ブレイクもあるんですけど、お互いの顔が見えないぶん、そこはわたしの息づかいや、演奏陣のグルーブによって上手く気持ちのタイミングを合わせながら。さすが皆さんプロなので、ほとんど1、2テイク、多くても3テイク目で録り終えています。あの空気感をぜひ感じて欲しいなと思います。

――だから、あの心地好い空気感が収録曲たちの中に生きているんですね。

榊原 そこへは、ミックスも関係していると思います。今回は極力「生感」を出したかったので、ミックスでも変に音をきれいに調整することなく、ヴォーカルも整えた歌声ではなく、わたしの囁き声から急に歌声が大きくクレッシェンドしてゆく様までと、歌声の音圧も極力生のままを活かして、商品として最低限の質を上げるミックスを施しただけで、あとは、その臨場感を味わってほしいなと思っています。

――榊原さんなりに、「ここはこだわった」ところも教えてください。

榊原 「星影灯」の中に、音を切り、アカペラになる部分が出てくるんですけど。あそこは、演奏する方々と本当に信頼がないとできないこと。それこそ、自分の歌いたいタイミングで歌い始め、そこからふたたび演奏に繋ぐという流れをクリックなくスムーズにできたのも、皆さんとの阿吽の呼吸ができていたからこそ。もちろん、その流れを作るために息づかいなどの合図も送っていたわけですが、それをしっかり感じ取り、より心地好い流れを持って返してくれるところは、歌ってて本当に気持ち良かったところでした。それと、新録で入れた「HONEY」かな。

――「HONEY」は、うれしい裏切りを見せてくれましたからね。

榊原 ギターの藤井さんが「『HONEY』をボサノバにアレンジしよう」と言ったときは、「なんておしゃんてぃ」と思ってしまいました(笑)。同時に、こういう活動をしていると、なかなかボサノバ曲を歌う機会がないから、むしろ、自分の引き出しを提示できる良い機会になるなと思いました。結果、おしゃんてぃなカフェで流れているような楽曲になり、それに似合う歌い方もしています。

――今回のアルバム、原曲との違いにうれしい驚きを感じる楽曲たちばかりですね。

榊原 このアルバムを通し、今まで見せたくても、見せる機会のなかった引き出しまで出せたなと思っています。何より『LOVE×Acoustic Vol.1』は、榊原ゆいの楽曲を聞き込んでいる人ほど深く楽しめるアルバムになったとも思います。

――これもうれしい驚きだったのが、「HONEY」を「Whistle Ver.」、つまり口笛でメロディを吹いて収録されているバージョンがあること。

榊原 今回、ボーナストラックとして「HONEY(Acoustic Yui Whistle Ver.)」を収録していますが、もともと今回収録した「片翼のイカロス」には、得意としている口笛を一部収録しているんですけど、別の曲のレコーディングへ入るときに、パーカッションの田中さんのペダルが壊れてしまったんです。しかも、修理をするのにちょっと時間を要すると。その時間で、なにかできないかなと思ったとき、先に「HONEY」を録り終えていたことから、「『HONEY』の口笛バージョンとか作ってみちゃおうかな」と提案し、ブースに入って吹いてみたところ、こりゃいけるなと(笑)。結果、3テイクほど吹いたなかで、その3テイク目のバージョンを急遽ボーナストラックとして収録することに決めました。あそこで機材トラブルがなかったら、この口笛バージョンは生まれていなかったと思います(笑)。

――口笛めっちゃうまいですよね!

榊原 昨年のライブで「片翼のイカロス」の中で一部口笛を吹いたときにも、皆さんにそう言われました。それもあって試したてみたところ、丸々1曲を口笛で吹いてしまったという(笑)。そんな長い時間口笛を吹いたことがなかったから、吹き終わったときは上唇がちょっと痙攣していましたね(笑)。

――ぜひ、ライブでも口笛バージョンを聴きたいです。

榊原 いつか披露する機会があればいいですね(笑)。あと、収録曲の聴きどころとして、「SAYONARAじゃない。」は以前にもバラード・バージョンを歌ったことはあるんですけど、今回はソウルフルな感じで歌っているので、そこの歌い方の違いも感じていただけたらなと思います。

――冒頭に「Love☆Jet!」をインスト・バージョンが収録されているのも新鮮でした。

榊原 実はこのアルバムの中でどれがいちばんお気に入りかと聞かれたら、「Love☆Jet!」を挙げると思います。自分では、歌ってないのに(笑)。わたし、部屋でヒーリング音楽を聴くのも好きで、この「Love☆Jet!」をリピートしながらずっと流したいなって思ってるんです。まさか、自分の楽曲がこんなにもヒーリング音楽のようになるとは思ってなかったですね。今回はショート・バージョンでの収録でしたけど、もし『LOVE×Acoustic』の第2弾を出す機会があったら、フルで1曲はインスト・バージョンを収録したいなと思ったほどお気に入りです。

――アルバムのリリース後、5月には福岡・大阪・東京で「Gachi★LOVE×Live2019」が開催されます。

榊原 こちらは、ファンの人たちの投票で歌う楽曲を選ぶスタイルになっています。盛り上がる曲が中心になるのですが、けっこう古めの曲の投票も多かったので、懐かしい楽曲もいろいろ披露するライブになります。ぜひ、盛り上がりに来てください。

――最近では、「魔界」という舞台シリーズにも定期的に出演していると伺いました。

榊原 そうなんです。今年からレギュラーとして「魔界」という舞台に出演しています。これは歴史上の人物たちが繰り広げるバトルと劇と音楽が入り混じったハイブリットなエンターテイメント舞台。毎月お話が進みますが途中からでも存分に楽しめます。キャラクター同士の戦いがそのままプロレスになっていたり、俳優さんもアクションを披露しています。わたしも歌うだけではなく、高山ジュスタ役としてお芝居でも登場しているので、そちらもぜひ楽しんでいただけたらなと思います。

Interview & Text By 長澤智典


●リリース情報
LOVE×Acoustic Vol.1
4月24日発売
品番 GQCS-90700
価格:¥3,000+税

<CD>
1.Love☆Jet! (Live Short Ver.)
2.HONEY (新録アコースティック Ver.)
3.Aqua Voice (PCゲーム『朝凪のアクアノーツ』OP曲)
4.ボクノセカイ (PCゲーム『あるぺじお』OP曲)
5.移りゆく花のように (PCゲーム『処女はお姉さまに恋してる2~2人のエルダー~』挿入歌)
6.星影灯 (PCゲーム『処女はお姉さまに恋してる 3つのきら星』挿入歌)
7.SAYONARAじゃない。 (PCゲーム『Fateタイガーころしあむ』ED曲)
8.奇跡の絆 (PCゲーム『めぐり、ひとひら。』主題歌)
9.STAR LEGEND (PCゲーム『77~And.two stars meet again~』 OP曲)
10.片翼のイカロス (TVアニメ『H2O -FOOTPRINTS IN THE SAND-』OP曲)
ボーナストラック
11.HONEY (Acoustic Yui Whistle Ver.)

●ライブ情報
2019年春ライブツアー
『Gachi★LOVE×Live2019』

【福岡公演】5月12日(日) Early Believers
開場15:00 開演 15:30

【大阪公演】5月18日(土)OSAKA MUSE
開場15:00 開演 15:30

【東京公演】5月26日(日)新宿BLAZE
開場15:15 開演 16:00

※公演時間は3時間を予定しております
チケット料金
福岡公演・大阪公演 5,300円 (税込)
東京公演 5,800円(税込)
※入場時に別途ドリンク代が掛かります。

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